Googleマップの「ストリートビュー」について「無断撮影公表に波紋」と題する記事が、朝日新聞2008年9月2日朝刊社会面に掲載された。asahi.comには掲載されないようなので、朝日新聞社知的財産センターの許諾を得て*1以下に転載する。
(転載許諾期間終了)
[社会]「ネットに写ったわが家」波紋
道路沿いの家々や通行人を撮影した画像を、インターネットで自由に見られるグーグルの新サービス。先月、国内主要都市でサービスが始まると、利便性とプライバシー保護との兼ね合いをめぐり、激しい議論がわき起こった。(1面目次欄より)
(転載許諾期間終了)
朝日新聞2008年9月2日朝刊29面「無断撮影公表に波紋」より
朝日新聞社知的財産センターの許諾のもと転載(許諾番号: 2-1257) ※朝日新聞社に無断で転載することを禁止する
*1 有償での許諾。「読者提供」写真の転載は朝日新聞社からは許諾されないが、写真提供者に別途連絡して転載の許諾を得た。また提供者の許諾があればこの形で転載してよい旨、朝日新聞社知的財産センターの承諾を得た。
8月24日の日記で参照した大阪北摂霊園内のストリートビューは、9月2日の朝日新聞朝刊で取り上げれたためか、9月3日に写真が削除された(正確には削除されたどうかは不明で、少なくとも非表示状態になった)ようだ。削除された範囲は以下の赤で示した部分となっている(図1)。
つまり、地図上で灰色で示されている領域に隣接した道路を削除したようだ。これでよいのだろうか?
霊園の北側の出入り口付近を見てみると、以下の緑で示した部分が削除されていないのだが、ここは明らかに敷地内である(図2)。
ここは墓地の駐車場用道路だ。「北西」に進むと駐車場内に入って撮影していることがわかる。ゲートで遮断されており、目的外で入る場所でないことは誰の目にも明らかである。
ストリートビューで写真を見てみれば、これが不適切な写真だとわかるはずだ。グーグル株式会社は、その程度のチェックすらしていない。削除についてグーグル株式会社は朝日新聞に対し次の通りコメントしている。
グーグル日本法人の広報担当者は「一部公道と私道の区別がつきづらいところで、誤って撮影している場所が確認されている」と認めたうえで「ユーザーからの連絡や当方の再確認によって、削除している」と説明している。
無断撮影 公表に波紋 路上から見た画像、ネット上に, 朝日新聞2008年9月2日朝刊
「再確認」などとまるで確認してから公開したような口ぶりだが、確認なんて何もしていないも同然なのは明らかではないか。
念のため、霊園の管理事務所にこのような削除方法を依頼したのか確認したところ、そのような依頼はしていないとのことだった。この地図上のグレーの領域に何か意味があるのかについても尋ねたところ、グレー部分以外も霊園の私有地であり、図3の緑で示した道路も私道であるとのことだった。グレー部分が何を表しているのかについては心当たりがないとのこと。
ストリートビューの何が問題かといえば、このように何ら人間的配慮がなされないところにある。たまたま撮影された静止画写真がたとえどんな非道な写真であろうともノーチェックで公開される。それが今後もいつまた起きるともわからないまま永遠にその可能性が続く。従来からあった写真の撮影・公開と根本的に異なる点だ。この存在が人々の生活に漠然とした不安をもたらしていく。
ところで、これだけストリートビューについて様々な声が挙っているというのに、ネット系のメディアはいったい何をやっているのか。INTERNET Watchの記事やITmediaの記事によれば、グーグル株式会社は毎週月曜日に「報道関係者向けの定例説明会」を開いているそうじゃないか。東京新聞が取材拒否される中、ネット系メディアは毎週グーグル広報と顔を合わせているわけだ。聞き出すべきことはいくらでもあるんじゃないのか。たとえば、これまでに何枚の写真が削除されたのか。削除の申し込み件数は何件になったのか。そんな基本的な情報さえ聞こえてこない。言われたことを右から左へ流すだけで何が報道か。
8月29日の日記「グーグル社がゲートのある敷地内に進入して撮影した事例 その2」に続き、「その3」となる事例。
このストリートビューは、女子高の正門の中(校舎の玄関前)で撮影されている。
これはどういうことかというと、図2のように、北側の道から入ったようだ。この高校には「○」で示した3つの門がある(Googleマップの地図上にも門の印が見える)。グーグルの車は「1」の門から入って赤線で示したルートを通ったようだ。途中から、道でないところを通っているため、地図上では位置のずれた道路部分に青線がひかれている*1。
「1」の門に入る様子が図3のストリートビューで確認できる。
ここが公道なのか私道なのかはわからないが、これを先に進むと「2」の門に突き当たる(図4)。
これは校門の内側である。ストリートビュー上では白い線が門の外へとつながっているが、実際には、門が半開き(生徒を通すためと思われる)のため自動車は出ることができず、グーグルの車は門を通過していない。ここで右に向かったようだ。
この時点で、グーグルの撮影作業員は、入ってはならない場所に来てしまったことに気付いたはずだ。当然ながら、ここで撮影を中止するとともに(撮影済みデータもキャンセル処理して)、来た道を引き返すべきだっただろう。しかし、グーグルは校舎前の奥へと侵入していく。
ここでも、引き返すことを選択していない。左側には転回するのに十分な広さの場所があるにもかかわらずだ。グーグルの撮影作業員は、通ってはならない場所であることを自覚しながら、それでもかまわないと思ったのか、正門から出ようとしたようだ。
ところが、ちょうどそのとき、学校関係者の車が正門から入ってきたため、出られなかったようだ(図7)。
この期に及んでもグーグルの作業員は引き返すことをせず、さらに奥へ進むことを選択している。
この後どうしたのかはわからない。バックして出たのかもしれないし、玄関前のロータリーを一周して正門から出たのかもしれない。
この件については、この高校の管理部門のある鶴見大学に通報した。
このケースでは、たまたま人影は写っておらず、窓のカーテンも閉まっていることなどから、致命的な被害は生じていなかったからよかったものの、運が悪ければ女子生徒に取り返しのつかない被害が出ていただろう。なぜなら、グーグル株式会社はこうした不適切な写真を事前にチェックすることなくインターネットで公開する会社だからだ。
このような撮影行為自体が許されないよう、法律が私たちを保護してくれているはずではないか。
繰り返しになるが、Googleマップの「ストリートビュー」には、民家、集合住宅等、ここでは紹介するのが憚られるようなところで敷地内に入って撮影された写真が大量に公開されている。朝日新聞9月2日朝刊の記事で、グーグル株式会社の広報は「当方の再確認によって削除している」とコメントしているが、「再確認」の作業など行われているとは到底思えない。
関連:
*1 黄色い人形アイコンが立っている道路は撮影されておらず、赤線で示した場所の写真が、この青線で示された位置に対応付けられている。
分析グラフ作成中。
9月9日から14日にかけて、はてなのアンケートシステムを使用して、ストリートビューに対する意識調査を行った。その結果を以下にまとめる。アンケートは2回に分けて行った。
1回目のアンケートでは、ストリートビューに対して「否定的」か「肯定的」かと、抽象的に問いかけた。「否定的」「肯定的」の定義は人それぞれだと思われる。回答総数は1000件。
その回答を円グラフで示すと図1のようになる。「否定的」が 33% で「肯定的」が 47% となっているが、この値自体はあまり重要ではない。母集団が変わればこの値は変化すると考えられ、はてなアンケートの利用者での値でしかない。この調査の目的は、回答した人の属性や自宅の環境によって「否定的」となるか「肯定的」となるか、その傾向を調べることにある。
これが、ストリートビューを実際に使ってみた人とそうでない人とで、どう違ってくるかを集計したのが図2である。
まだ使っていない人は「わからない」と回答することが多く、使用した人は、ちょっと使っただけなのか、かなり使ったのかに関わらず、「否定的」「肯定的」の割合は概ね同じだったことがわかる。
次に、自宅がストリートビューに掲載されていた人とそうでない人とで、どう違ってくるか調べた(図3)。
自宅が写っていた人では「否定的」の割合が大きくなっている。自宅が写っていない場合では、たまたま写っていないからなのか、未対応地域だからなのかに関わらず、ほぼ同じ「否定的」「肯定的」の割合となっている。また、自宅の状況を知らない人での「否定的」「肯定的」の割合は、自宅が写っていた人の場合と概ね同じになっている。
次に、自宅が一戸建てなのか集合住宅なのか、持ち家なのか賃貸なのかの違いを調べた(図4)。
一戸建てで賃貸の場合だけ「否定的」が極端に大きくなっているが、これはちょっと不可解だ。(自宅タイプ別の文系/理系の分布と自宅タイプ別の自称「IT」に詳しいを見ると、なぜか一戸建て賃貸では、文系の人が多く、ITに詳しくない人が多くなっていることから、その影響が出たのかもしれない。)
その他には、
といったことが読み取られる。商業施設兼用では「否定的」が少ないのではないかと予想したのに反する結果となっているが、サンプル数が少ない(23件)ので何とも言えない。
次に、自宅のある地域が都会か田舎かによってどう異なるかを調べた(図5)。
都会に近い町の住宅街でない地域で「否定的」がかなり多くなった。これはどういった原因が考えられるだろうか。住宅街よりも住宅街でない地域の方が「否定的」な何らかの原因があるのだろうか。
それ以外にはこれといった特徴は見られない。(都会から遠い町の住宅街でない地域は、サンプル数が少なすぎるので信頼性が低い。田舎で「わからない」が増えているのは、未対応地域が多いためではないか。)
次に、家族構成による認識の違いがあるかどうか調べた(図6)。
一人暮らしでは「肯定的」が多くなっている。なぜだろうか。ただし「わからない」も多い。
それ以外にはとくに特徴は見られない。未就学児童がいる場合に「否定的」が多くなるのではないかと予想したが、その特徴は見られなかった。
次に、「あなたはIT(情報技術)に詳しいですか」と問いかけ、「詳しい」と答えたか「詳しくない」と答えたかによる違いを調べた(図7)。
予想通り、自称「ITに詳しい」人の方が「肯定的」と答える割合が大きかったが、その差は圧倒的というほどでもなく、「ITに詳しい人」でも「否定的」と答える人が 28% もいた点には注目すべきだと思う。
同様に、「あなたは文系ですか理系ですか」についても問いかけてみた(図8)。
「ITに詳しいですか」と類似の特徴が現れているが、「文系/理系」対「ITに詳しいですか」の集計で確認できるように、文系かつITに詳しい人も結構な割合で母集団に存在しているので、これらは同じことを表しているわけではない。本当は、自称「ITに詳しい」人のうちで文系/理系で違いが出るかを調べたかったのだが、残念ながら、はてなアンケートのシステムではそれが集計できない。*1
なお、文系か理系かに「どちらでもない」と答えた人では、「わからない」が多いことに注目できる。
最後に、職業も聞いてみた(図9)。(「専門職」の意味するところについては元の質問文を参照のこと。)
「否定的」の割合が平均より大きくなっているのは、主婦または主夫、学生・無職、営業職、研究職、サービス業、教員で、「肯定的」の割合が大きいのは、技術職、専門職、経営者(ただし経営者はサンプル数が少なすぎる)となっている。
その他、はてなのユーザ登録時に登録されている「性別」「年代」「地域」の情報で区分けした集計も以下に示す。
女性が「否定的」で男性が「肯定的」という傾向が現れているが、これは、性差そのものが直接的に現れたものとは限らず、性別ごとの文系/理系の分布が偏っている(女性は 59% が文系で理系は 19% にすぎない)こと、また、性別ごとの自称「ITに詳しい」の分布も大きく偏っていることから、図8や図7の傾向がここにも及んでいると見ることもできる。*2
年代ごとの傾向は、50代以上はサンプル数が少なすぎるので無視するとして、40代だけが「肯定的」が多いという結果になっている。これは、40代では理系の方が多く、30代と20代では文系の方が多いことの影響かもしれない。
地域ごとの差はあまり意味がなさそうだった。関東、近畿、東海以外はサンプル数が少なすぎるので割愛した。東海地方ではまだストリートビューの掲載が始まっていないことから、図3の「未対応地域だった」と同じ影響が現れていると考えられる。関東より近畿の方が若干「否定的」が少ないがこれも、近畿地方では未対応地域がまだ多いことの影響ではないか。
はてなのシステムで地域が「その他」となるのは、日本国外に居住する人か、あるいは、居住地の登録を拒否した人と考えられるが、それに該当する回答者が72人もいた。その中では、「否定的」が多く、「わからない」が少なくなっている。
以上が1回目のアンケートの結果である。まとめると、次のことが言えるように思う。
はてな以外を含む社会全体で同様のアンケートをとれば、「ITに詳しい」人の割合は少なくなり「否定的」が増えると予想され、また、今後ストリートビューの掲載地域が増えれば、自分の家が写っているのを見て「否定的」となる人が増えると予想される。
1回目のアンケートが終わってから、2回目のアンケートを実施した。
「否定的」か「肯定的」かでは、どういう意味で否定なのか肯定なのか曖昧だった。2回目のアンケートでは、「どうなるべきですか」を尋ねた。回答総数は同じく1000件。
「問題はない」「問題がある」の切り口で分ければ、「問題はない」は 19% で、「問題がある」は 71% となる。「肯定的」「否定的」の区分とは大きく異なっている。
継続してよいか、中止するべきかの切り口で分けると、継続してよいとするのは 52% で、中止するべきとするのは 38% となる。
ただ、「問題点が解消されるのなら継続してよい」という回答は、あまり考えていない人の無難な回答選択肢として選ばれてしまった面があるようだ。これについては後で述べる。
次に、この回答が、自宅が写っていたかどうかでどう違ってくるか調べた(図14)。
自宅が写っていた人では、はっきりと、「問題点は解消されないので無くなるべき」という回答が多くなっている。
また、自宅が写っていた人は、対象地域なのに写っていないことを確認した人に比べて、「とくに問題がないのでこのままでよい」がやや多い。自宅の写り具合を見て「問題ない」と認識する人もいるようだ。
未対応地域では、無難な回答を選ぶ人が多いように見える。自分が当事者となってはじめて結論を出そうとする人が少なくないということだろうか。
次に、性別ごとの違いを確認した(図15)。
1回目のアンケートでも示したように、女性が「否定的」となるのは、理系が少ないこと、自称「ITに詳しい」人が少ないことの影響も考えられるところであるが、ここでは、「とくに問題がないのでこのままでよい」と回答した女性は 9% しかなく、性別による差はより鮮明になっている。
次に、「問題点が解消されるのなら……」「問題点が解消されるまで……」「問題点は解消されないので……」を答えた人向けに、「どの問題点の解消が必要ですか。全てを列挙してください」として、22項目を挙げて選んでもらった。その集計結果を図16に示す。(図中の選択肢の文章は略している。正確な表現は元の質問文を参照のこと。)
まず、「とくに問題がないのでこのままでよい」と回答した人は、ここにチェックを入れて回答するのは論理的に矛盾しているのだが、後述するように、このうち数件ずつはノイズ(ランダムに投票する人やボットの存在の影響)と考えられる。そのノイズを除いても、「とくに問題ない」としながら「解消の必要な問題点」を挙げている人はいるようだ。とくに、「自動車ナンバープレートにぼかし処理をする」は50人ほどの人が挙げている。この50人が本来は「問題点が解消されるのなら継続してよい」に投票するべきだったとするなら、「とくに問題がないのでこのままでよい」は図13の 19% ではなく 14% となるはずである。
選択した人が多かった解消されるべき問題点は次の通りである。
私にとっては意外なことに、表札にぼかし処理を求める人が多かった。自動車ナンバープレートに自動でぼかし処理を施すことは可能だろうけども、表札を自動処理するのは技術的に困難ではないだろうか。グーグル株式会社の藤田一夫ポリシーカウンセルが総務省の通信プラットフォーム研究会で(ストリートビューの話題ではないが、ストリートビュー開始直後の日に)「わざわざ自分の名前を公道に出しているわけだから」と発言した背景には、このことが関係しているのではなかろうか。
同様に、「干されている洗濯物や布団等にぼかし処理を施す」というのも技術的に無理な感じがする。そういった自動処理を施さなくても問題がないレベルに画像の解像度を落とすしかないのではないだろうか。
「顔だけでなく身体全体にぼかし処理を施す」は技術的に実現できるような気がする。グーグルはなぜこれを行わないのだろうか。ロケーションビュー社が夏休み企画で「ファッションチェック! ・原宿を歩くヒトと近所を比べよう」などとやっていたように、人間もストリートビューにとって欠かせない観察対象ということなのだろうか。
「公道以外での撮影を行わないよう徹底し再発防止策を公表する」、「不適切写真の判断基準を公表する」は当然にできることなのだから、グーグル株式会社は早急に実現するべきことであろう。
「非常に狭い道に入って撮影しないようにする」などは、落としどころをどこにするかの選択肢の一つであろう。
その他、やればすぐに実現できるはずのことがいくつもある。「報道機関の取材を拒否しないようにする」(227票)、「不適切写真の事前及び事後それぞれの削除件数を定期的に公表する」(227票)、「無料電話サポート窓口(コールセンター)を設置する」(244票)は企業として存在する以上やって当然のことだ。「撮影車両で回転灯、サイレン、拡声器等を用いて周囲に撮影中である旨を周知するようにする」(218票)、「撮影前に撮影対象地域に対し撮影日時の通知を行うようにする」(247票)なども現実的な要求だろう。
この項目への投票では、投票対象者が 710人だったのに対し、最大の得票数が 434票だった。投票がばらけているようであり、どの点を問題とみなすかは人それぞれということであろうか。
次に、「問題点は解消されそうだと思いますか」という問いかけをした。その結果を図17に示す。
ここでも矛盾が見られる。図13の「どうなるべきですか」で「とくに問題がないのでこのままでよい」と答えた人は、ここで「そもそも現状で問題がない」と答えないといけないのに、19% だったのが 13% に減っている。設問を読んでいるうちに問題に気付いたのか、あるいは、「どうなるべきですか」では自分の都合で回答し、「問題は解消されそうですか」では他人の身になって答えたのかもしれない。
(何年たっても)解消されないと答えた人が 34% にものぼっていることが注目される。これらの回答の内訳を見るために、「どうなるべきか」の回答別に集計してみた(図18)。
「問題点が解消されるのなら継続してよい」(中止する必要がない)と答えた人のうち 28% もの人が、(何年たっても)解消されないと答えている(91票)。これも論理的に矛盾している。「問題点が解消されるのなら継続してよい」かつ「問題点は解消されない」ならば、継続してはならないわけであり、「解消されるまで一旦中止するべき」または「無くなるべき」を回答してしかるべき票である。実際のところ、「問題点が解消されるのなら継続してよい」は耳障りの良い無難な回答であるため、あまり考えなく回答する人に多く選ばれたのではないか。
この91票を「一旦中止するべき」に編入すると、「一旦中止するべき」または「無くなるべき」の総数は、474票(47%)となり、「わからない」を除くと半数を超える。(はてなアンケートの利用者を母集団とした場合において。)
また、「問題点は解消されないので無くなるべき」と答えた人のうちの 23% が「1年くらいでは解消されないが何年もかかっていつか解消されると思う」と答えている。問題解消に何年もかかるような事態はそもそも容認できないという立場であろう。
なお、「問題点は解消されないので無くなるべき」を冒頭で選んだのに「そもそも現状でとくに問題が無い」を答えている人が 3%(6票)存在する。これはあり得ない選択だ。ポイント稼ぎ目的のランダム投票やボットがいて、このくらいの影響を及ぼしているのだと思われる。
次に、念のため、自宅が写っているかどうかによって、問題点が解消されるかの予想が違ってくるかを確かめるために、図19の集計をした。
このように、問題点が解消されそうかの予測は、自分の家の状況によらず概ね一定しており、回答者らは感情に流されず、客観的にグーグル株式会社の現在の対応状況が見ていると言えるのではないだろうか。
最後に、「問題点は解消されそうか」別に集計した「解消されるべき問題点」を図20に示す。
この集計から、「問題点は解消されそうにない」と考えられる原因となっている問題点がどれなのか、浮き彫りになるのではないかと期待したが、そうした特徴は現れなかった。
以上が2回目のアンケートの結果である。まとめると、次のことが言えるように思う。
さて、どうなれば事態は解決に向かうのだろうか。
11日の日記がASCII.jpで紹介された。2つ目の記事ではグーグル株式会社のコメントが掲載されている。
「Googleマップ ストリートビュー」に神奈川県内の私立高校の敷地内で撮影されたと見られる画像が掲載されていた問題(関連記事)で、その後、当該画像がストリートビューから削除されていることが分かった。(中略)
グーグル日本法人に今回の画像の削除理由について電話で確認したところ、「個別の画像が削除された理由やどのような申請があったかはお答えできない」(広報)として明確な回答は得られなかった。
また、「当社としてもぼかしの漏れなどの不適切な画像の見直しは行なっている」と断った上で、「基本的に専用のWebフォーム(「不適切なストリートビューを報告」)に通報があったものに限り、対応している」(広報)と説明。今回削除された画像についても、関係者などからの削除申請があったようだ。
私が入手している情報では、関係者からの削除要求は行われていないと聞いている*1。アスキーはなぜ当事者のコメントをとらずに記事を書くのか。それどころか、ここで取材で聞くべきことは「削除理由について」ではなく、「これは不法侵入ではないのか」「なぜ起きたのか」「撮影作業員にはどんな指示を出しているのか」「再発防止策はどうなっているのか」だ。アスキーの記者はなぜそれを聞き出さないのか。答えてもらえなかったのならそう書けばいい。それ自体がニュースじゃないか。日本のネットメディアの取材力の無さにはいいかげん吐き気がする。削除件数が何件になったかの基本事項さえいまだどのメディアも聞き出していない。毎週月曜には顔を合わせているくせに。
いずれにせよ、グーグル株式会社はこの事例をメディアに尋ねられたなら「これは不慮の事故であり意図して侵入したものではない」といった弁明を示してしかるべきだろう。なぜそれすらしないのか。嘘でも「事故が生じた原因を調査中だ」とか「これからは改善する」といった釈明をするのが普通だ。グーグル株式会社は法人の体をなしていないのではないか。刑事告訴されるまで再発防止策を打ち出さないつもりか。
「基本的に専用のWebフォームに通報があったものに限り対応している」というのは、まあわからなくもない。初めから厳しめの基準で自粛するのでは面白さ半減だというのだろう。言われたところから消していくうちに基準が定まっていけばいいという考えなのだろう。だが、敷地内への侵入はそういう問題ではない。これからもこういう撮影を繰り返すつもりなのか。今も道路でない場所での撮影写真が数多く掲載されたままだ。この先新たに掲載される地域はどうなるのか。
聞くところによると、グーグル株式会社の広報は一人しかいないそうだ。どうせろくにやる気もないのだろう。いつでもまた別の外資系会社に移籍できるようでは、こういう事態で会社がどうなろうと知ったことではなくなるだろう。社長も英語勉強法の本を出版してご満悦だそうだ。この人は何をやっているのか。そういう風評は表には出ないがいろいろな人から聞こえてきている。
佐々木俊尚氏もサイゾー10月号で次のように書いている。
プライバシーに対するグーグル的感覚とは
ところで、高木さんが怒っているのは、(中略)この問題に関してグーグルの側がきちんと説明せず、まともな広報対応もおこなっていないことだ。(中略)
実際、私がグーグル社内の何人かの知人に聞いてみると、彼ら彼女らはこんなふうに話した。「プライバシーの感覚は、時代や国や世代によってどんどん変わっていくでしょう?」「たぶん今は受け入れられなくても、ストリートビューの利便性は絶対に受け入れられるし、現在の批判は一過性のもの」「グーグルがやらなくても、どうせ誰かがやりますよ。だったらうちがやればいい」
こうしたグーグルの考え方は、なかなか一般の人には受け入れられないだろう。しかしプライバシーの感覚が時代とともに移り変わってきているのは事実だ。(中略)オンライン書店アマゾンに対して、「これは監視社会じゃないか」と批判する人はほとんどいない。反監視の市民運動のメンバーが「アマゾンって便利だよね」と書籍の購入に使っていたりするぐらいだ。プライバシー侵害というのはその程度の皮膚感覚でしかなく、あまりロジカルではないのだ。
アマゾンと同列に扱うあたり佐々木氏もロジカルでないが、この記事の全体的な論調がどういうものかはサイゾー2008年10月号で確認できる。
サイゾーはこれまで読んだことがなかったのだが、今回初めて買って読んだところ、もうひとつグーグル株式会社に関する記事が掲載されていた。そこにもこんな記述がある。
本誌編集部がグーグルに質問状を送ったが、返答はなし。そのほか、同社のプライバシーに関する見解を聞こうと質問を投げたが、度重なる催促にも回答可否の返答すらよこさない始末であった。
[グーグルにハマれなかった元社員の証言から――]
殺伐としたジャパンオフィスの実態とは?(中略)プライバシーとの兼ね合いで議論となっている「ストリートビュー」にしても、「1年ほど前から準備は進めていて、どんなサービスかは知っていたけれど、検索して自宅の写真が出てきたのを見て気持ち悪くなった」(元社員談)と、進めていた当人たちも改めてびっくり。この元社員いわく、忙しすぎて、その是非を考えたり話し合ったりする余裕も機運もなかったそうだ。
グーグル株式会社のこうした振る舞いは、外国企業の日本法人におけるビジネスコンプライアンスの問題として注目されるべき事象だと思うが、今週発売のビジネス週刊誌はこぞってグーグル特集だという。この二誌はグーグルをどのように語るのだろうか。
道路でない道や空き地で撮影している事例はたくさんあるが、実態周知の必要性に照らして紹介するのにはばかられないものとして、墓場への進入事例がある。これまでに大阪北摂霊園の事例と高槻市公園墓地の事例を示したが、他にも各地でいくつもの事例がある。墓場は地図上で灰色で示されているので簡単に見つけられる。
日野公園墓地の事例では、既に一部の場所で削除されている。1枚ではなくかなりの枚数が削除されているのだが、そのわりには全部を消しているわけではない。どういうことなのか。
これらはグーグル株式会社の方針に沿ったものなのだろうか。
*1 削除作業は一時、中途半端な形でなされた。当時私が確認していたところでは、12日19時ごろに1枚だけ削除された。削除されたのはASCII.jpの記事に掲載された玄関の写った写真一枚だけであった。それ以外の写真(至近距離で校舎の窓が大写しされた写真等)はそのままだった(図1)。それが、同日20時40分ごろに全部(11日の日記の図2で赤の実線で示した場所という意味での「全部」)が消えた。
前回の日記で、横浜市日野公園墓地の事例について「1枚ではなくかなりの枚数が削除されているのだが、そのわりには全部を消しているわけではない。どういうことなのか」と書いたが、その点についてトラックバックを頂いた。
なるほど、横浜市には「横浜市墓地及び霊堂に関する条例」という条例があり、グーグル株式会社の撮影行為はこの条例の第18条に違反しているのだという。
第18条 墓地又は霊堂において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。
(略)
(2) 業として広告写真又は映画の撮影その他これらに類する行為をすること。
(略)
このことについての横浜市の見解が8月28日に公表されている。
<投稿要旨>
(中略)当該社は、公道から撮影した画像の公開は法的に問題ないとの見解を示しておりますが、私は公道からの撮影した画像の公開が一律に合法とはいえず、墓地内の写真を機械的に大量に撮影し公開することは、墓地の平穏を害するのではと考えます。この件につき、横浜市の見解をお聞かせください。
また、横浜市墓地及び霊堂に関する条例 第18条 墓地又は霊堂において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。とありますが、当該社の撮影行為が第18条第1項の各号に該当するか否か、該当するなら市長の許可を得たのかどうかもお聞かせください。
<回答>
(中略)日野公園墓地内には公道と施設内通路が通っておりますが、公道部分の公開につきましては特に問題ないと考えます。ただし、墓地区画の墓碑に刻んである家名が読み取れるものについては、個人情報として適切に対処するよう申し入れを行いました。
施設内通路につきましては、御指摘のとおり条例により撮影の際には事前の許可が必要となります。今回のケースは、事前に許可を得ずに撮影を行ったため、公開している画像の削除を申し入れております。
しかし、この墓地の現状のストリートビューを見ると、消えている範囲が中途半端でどうもおかしい。そこで、昨日、休暇をとって、横浜市健康福祉局健康安全部環境施設課に電話で尋ねてみた。
まず、墓地の「公道部分」とはどの部分なのかを尋ねてみたところ、図1の緑で示した部分だという。
たしかに、横浜市の道路台帳で認定路線図を確認してみると、この部分は「下野庭623」と「野庭56」という路線名の2つの道路となっている。
一方、現状でストリートビューから写真が削除されているのは、図2の黒で示した部分である。
公道の部分まで一部削除されている一方で、その他の青で囲まれた道が削除されていない。
このことについて、市役所の環境施設課の担当者と話した。担当者によると、8月にグーグルに対し削除の要請を2回行ったとのことで、要請から一週間弱が経過して一部が消えたのを確認したのだそうだ。
実際にストリートビューを見てもらいながら、そのとき消えていると確認したのはどこなのかを聞き出したところ、どうやらこの黒い部分と一致しているようだった。一部しか消えていないのになぜそれ以上のアクションをとらなかったのかを尋ねたところ、担当者曰く、一部しか消えていないが「作業の途中なんだろう。だんだん消えて行くのだろう」と思ったからだそうだ。
どうやら、横浜市が削除要請したにもかかわらずグーグルが削除していないのは、図3の赤で示した部分ということになる。
どうしてこんなことになっているのか。そもそも、横浜市の担当者はどうやってグーグル株式会社に削除要請を出したのか。その点について尋ねた。
担当者は、公道部分に色を塗って示す図をパソコンで作成して、メールでグーグルに送ろうとしたそうだ。しかし、グーグルには苦情を送る先のメールアドレスが公開されていないため、送れなかったという。
では、どうやって削除要請をしたのかと尋ねたところ、Googleマップ・ストリートビュー・ヘルプセンターの「不適切な画像を報告する」機能(図4)によって要請したのだという。
ところが図4の例にあるように、この機能は「約88文字以下で入力してください」などと木で鼻をくくったようなエラーを出してくる。じつは、「削除の要請を2回行った」というのは、「約88文字」では説明しきれなかったために2回に分割して送信したという意味だった。
この機能は受付番号の発行さえ行わないので、こうやって分割してしまうと、2つが一連のものとしてグーグル側で認識されない虞もあるところだが、担当者は2回の作業(つまり合計約176文字以下)で、削除すべき場所を指定し、加えて、公道部分についても、家名が読み取れるものについては見えないようにするよう要請したのだそうだ。
日野公園墓地内には公道と施設内通路が通っておりますが、公道部分の公開につきましては特に問題ないと考えます。ただし、墓地区画の墓碑に刻んである家名が読み取れるものについては、個人情報として適切に対処するよう申し入れを行いました。
施設内通路につきましては、御指摘のとおり条例により撮影の際には事前の許可が必要となります今回のケースは、事前に許可を得ずに撮影を行ったため、公開している画像の削除を申し入れております。
横浜市「市民の声」 公道から撮影した市営墓地の写真は合法なのでしょうか, 横浜市市民活力推進局広聴相談課
担当者は、メールで図を送れないこともあって、グーグル株式会社に電話で要請しようともしたそうだ。しかし、何回電話してみても、自動応答に番号を選んでいくと人が出る前に電話を切られてしまい、話をすることができなかったという。
「不適切な画像を報告する」に対しても、グーグルは自動応答の定型文を返すだけで人間としての対応を一切しない。削除したことについても、かなりの時間が経過した後に以下の定型文を送ってくるだけで、どこを削除した件なのかの明示もしない。削除する範囲が足りていないと指摘することさえ許されない。
Subject: Googleマップ ストリートビュー 画像公開の停止につきまして
Googleユーザー様、
この度は Google マップ ストリートビューの不適切な画像についてご連絡いただきありがとうございました。
ご連絡を頂戴しました画像を確認し、公開を停止させていただいたことをお知らせします。ご不便をおかけし大変申し訳ありませんでした。
今後とも Google をどうぞよろしくお願いいたします。
Google マップ チーム
グーグル株式会社は、違法な行為をしながら再発防止策も示さないばかりか、違法である旨を指摘されないよう、通告手段さえ制限している。
横浜市の担当者は、さすが健康福祉局の方だけあってかゆっくりと優しい話し方をなさる方だった。「88文字以下で」などとコケにされていながらも怒りを表に出すことなく、もう一度連絡を試みてみると話されていた。
しかし、これは連絡して削除してもらえば済むという問題ではなかろう。許可なく業として撮影した条例違反事実は消えない。担当者曰く、罰則規定のない条例なので何もできないとのことだったが、グーグル株式会社に再発防止策の提示を要求するなり、なんなりの手段でやることはあるのではないか。この案件は健康福祉局では処理しきれないだろうから、横浜市のもっとしかるべきところが対処してはどうか。*1
これは横浜市だけの問題ではないし、お墓の問題というわけでもない。住宅でも同様に、道路でない敷地内に進入して住宅を裏側などから無断撮影した事例が多数存在している。一枚だけ削除要求することはまあできても、何枚もの写真に渡る道や空き地全体が不法侵入事例である場合には、横浜市健康福祉局の事例のように、不適切な画像の範囲をグーグル株式会社にまともに伝えることさえ不可能にされている。不満の声が表に出てこないのは、気付いても実例を示すわけにいかないからだし、ストリートビューを見たことがない人、インターネットさえ使っっていない方々がたくさんいるからだ。
上で「罰則規定のない条例なので」と書いていたが、罰則規定はあるのだった。(はてなブックマークコメントにてご指摘いただいた。)
(行為の制限)
第18条 墓地又は霊堂において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。
(略)
(2) 業として広告写真又は映画の撮影その他これらに類する行為をすること。
(略)(過料)
第21条 次のいずれかに該当する者は、50,000円以下の過料に処する。
(略)
(3) 第18条第1項又は第2項の規定に違反して同条第1項各号に掲げる行為をした者
(平17条例102・追加)
これは見落としていた。平成17年に追加された規定のようだ。
*1 横浜市が8月28日に公表した見解の「公道部分の公開につきましては特に問題ないと考えます」というのも誤った判断ではないかと思う。条例は、墓地内であれば公道か施設内通路かによらず、「業として広告写真又は映画の撮影その他これらに類する行為」には「市長の許可を受けなければならない」としており、立法趣旨に鑑みれば、無闇に墓場が業として撮影されることを避けるためであろうから、公道から撮影して公道しか写っていないならともかく、墓が被写体となる撮影である以上、市長の許可を必要とすると解釈するものではないだろうか。
前回の日記に対して、弁護士の壇俊光氏よりご当人のブログ上にて以下のご批判を頂いた。
高木浩光さんのところでこんな記事を拝見した。(略)
横浜市墓地条例の解釈としては(中略)刑事罰の予定されている条項の解釈は厳格になされなくてはならない。公道を墓地や霊堂に含むというのは無理である。
というわけで、道義的な問題や個人情報などの問題はあれどもGSVで公道から撮影する行為は条例に反しないというのが法律実務家としての結論である。
違法行為と決めつけた記述が見受けられるが、この問題は、謙虚に法律を学んだうえで論じる姿勢が望ましい。
9月26日時点での内容より
「違法行為と決めつけた」と言われているが、私は公道からの撮影に関して違法と決めつけた記述をしていない。
前回の日記で書いていることは、読めばわかるように、霊園の敷地内通路(公道でない部分、図で緑色で塗っていない部分)での行為についてだ。条例違反である旨は横浜市の担当者との電話で確認していることも書いた通りである。霊園内の公道部分について触れているのは、本題と区別してオマケとして添えた脚注1での話で、「ではないかと思う」「ではないだろうか」としか表現しておらず、これらが通常の日本語表現として「決めつけた」と言われる筋合いのものとは理解し難い。また、「刑事罰の予定されている条項の解釈は厳格に」とおっしゃるが、この条例に刑事罰は予定されていない(過料は刑事罰ではない)。
ところで、先月のMIAUの「Googleストリートビュー“問題”を考える」シンポジウム*1の様子がビデオで公開されているが、この中で気になる発言があった。
壇俊光氏: いちおう日弁連の消費者問題対策委員会をやっておりまして、
4分30秒〜4分34秒より
なるほど、たしかに壇俊光氏のプロフィールを拝見すると「日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会幹事」とある。「専門取り扱い分野: ITにおける消費者保護」という記述もある。
日弁連はストリートビュー問題についてどういう見解なんだろうか。消費者問題対策委員会の取り扱う話題なのかといえば、ストリートビューの「被害者」はグーグルに料金を払っているわけではないし、利用者ですらない場合も多いのだから、「消費者問題」に該当しないのかもしれないが、企業対個人の問題であるという意味では消費者問題に近い側面もあるのではないか。
そもそもこの問題は、「プライバシー権」がどうのこうのと言う以前に、グーグル株式会社の法人としての姿勢の問題であり、そのことは、サービス開始から数日後の時点で既にわかる人にはわかっていたことである。私がこの日記でやってきたことは、それをわかりやすく実証的に示してきただけであって、8月10日ごろには既に囁かれていたことばかりだ。
グーグルの撮影作業員は、グーグル株式会社からどのような指示を受けて撮影車を走らせているのか。どのジャーナリストもいまだにそこを解明してくれない*2ので、私には憶測することしかできないが、おそらく、「Googleマップ上の白い道を全部くまなく走ってください」などと、それ以上の注意事項も何も指示していないのではないか。
削除を受付けるための手段を用意しながらわざと制限し、電話対応も準備しないでいるという悪質さもご覧の通りであるし、広報姿勢も嘘ばかりで取材を拒否しているし、事実として法令違反の行為が散見されるところだ。
こういう状況で、日弁連から何か言うことはできないのか。壇俊光氏は、MIAUのシンポジウムで次のように話したと報道されている。(ニコニコ動画で閲覧、はてなブックマーク経由で閲覧。4分37秒〜5分20秒)
「よちよち歩きのストリートビューには、わかりやすいメリットが見えない。しかし、ファイル共有ソフトも著作権侵害ばかりが言われていたが、いまではコンテンツデリバリーにも使われていることからも、今の段階で全否定という議論はあまり好きじゃない。将来的に良くなるには、どこを変えていけばいいのかという議論をすべき。」(壇氏)
「ストリートビュー」はどこが問題か、MIAUシンポジウムで議論, INTERNET Watch, 2008年8月28日
ファイル共有ソフトの問題をコンテンツデリバリーに重ねるのはまともな技術者からすれば詭弁にしか見えない話だし、そういう問題じゃないだろう。「将来的に良くなるには、どこを変えていけばいいのか」とおっしゃるが、被害者に対してさえコミュニケーションを断絶しているグーグル株式会社を相手に、どうやってそれができると言うのか。「議論をすべき」と言いながら議論しないじゃないか。
ところで、今日9月27日の朝日新聞朝刊「be on Saturday」にストリートビューのことが掲載されていた。「ストリートビュー よく知ろう」「ネットに映るわが家を確認する」「実際に見るには」と題して、まだ使ったことのない人たちに対して、使い方を詳細に図解して、自分に関する映像がないか確認しようと呼びかけている。
360度撮影できるカメラで街の様子を詳細に写し、インターネットで公開したグーグルの「ストリートビュー」が大きな反響を呼んでいる。ネットに縁遠い人には何が起きているのか理解しにくいサービスだが、そういう人ほどよく知る必要がある。自分で見なければ、画像の削除依頼すら出せないからだ。わが家の映像が世界に公開されている事態をどう考えるか。(以下略)
朝日新聞2008年9月27日朝刊, be on Saturday, b3面より
*1 津田大介氏がtwitterでつぶやいているように、私はこのシンポジウムに登壇するよう依頼されたのだが、お断りした経緯がある。お断りの際に示した理由は次の通り。
中川さんには誠に申し訳なく思うのですが、この件に関してはお引き受けしません。なぜなら、この件で私には何の専門性もないからです。今回の件に技術の話はありません。これは、このレベルのプライバシーを国民がどう選択するかの話であり、プライバシーとは何かという議論において私には何の専門性がありません。私が話せるのは、プライバシーは保護されるべきであるという前提があるときに、どのような技術が不適切であるとか、こうした技術で保護できるといった議論だけです。
自宅の日記にはいろいろ書きましたが、元々は、8月11日の時点では、「書くつもりはない」と身近な人に話していました。上に説明しましたように専門外であるし、さすがにこれほどまで問題が解り易い事例では、私が何か言うまでもなく世間は糾弾に動くと思っていたからです。ところがそうはなりませんでした。「キモイと言う奴がキモイ」という流れになり、これはまずいと思ったため日記を書きました。
日記に書いたことは、私が発見したのではありません。2ちゃんねる等に既にたくさん指摘が出ていたことです。表に出てこないから表に出す作業をやっただけです。この種の問題がやっかいなのは、困っている人が声をあげるとその人自身が不利益を被る構造であるため、匿名掲示板でしか不満の声が出ないことです。本来、ジャーナリズムがこれを適切に表に取り上げて、世間に知らしめることですが、日本にジャーナリズムはありません。しかたがないので、覚悟を決めて嫌々私が目白地域の家を訪ねて実態を表に出しました。私道に入っているという件も同じです。本来はジャーナリストの仕事でしょう。私の仕事ではありません。
今必要なのは、グーグルの日本法人が日本向けの適切なローカライズをさぼったことに対する非難と改善交渉です。プライバシーとは何かなどという一般論を議論している場合ではありません。(以下略)
*2 それに対し、海外の事例ではちゃんと撮影作業員へのインタビューとそれに対するGoogle社のコメントが報道されており対照的だ。
Press Democratの記事によれば、ソノマ郡では、Street View撮影車が100を超える私道に立ち入っているそうです。「立ち入り禁止」の看板を出していても、番犬がほえていても私道に入り込んでいるとか。
同紙の取材では、Googleの広報担当者は「ドライバーには詳細なルートを渡している」と話していますが、撮影車のドライバーは「ソノマ郡を運転して回って写真を集めるように言われた」とコメント。広報担当者はドライバーのコメントを聞いて、発言を撤回したそうです。
Google Street Viewの「私道立ち入り」批判、オーストラリアでも, ITmedia 海外速報部ログ, 2008年8月26日
日本の「メディア」はこういうのを翻訳して流すだけのただの入れ物でしかない。
昨日のグーグル株式会社の定例記者会見で、ストリートビュー問題に関する質問が相次いだようで、質疑応答の様子が以下の記事で報道されている。
これらによると、「国ごとの法規制や文化にきちんと対応していきたい」「グーグルはさまざまなフィードバックに対して耳を傾けている」「今後はカスタマーサービスについて改善を進めていく」「日本のユーザーからの意見を取り入れていきたい」とのことなので、私たちはグーグル株式会社に対して、どんどん意見を電話で言っていけばいいのだと理解した。
しかし、次の記事によると、グーグル株式会社の辻野晃一郎製品企画本部長がこんな発言をしたと伝えられている。
このほか、グーグルの会社情報ページに記載されている代表番号に連絡し、口頭で問題の住所を報告するという方法もある。匿名でも問題はなく、家族や友人の代理でもいいという。電話の場合も、削除してほしい理由を聞かれるが、「今後のサービス向上の参考のためにヒアリングしているだけで、その内容によって削除するかしないかを判断することはない」(グーグルの辻野晃一郎製品企画本部長)。
また、「インターネットが利用できず、問題となる部分も自分では確認できていないが、自分にとって不都合のある画像が掲載されていることを知人などに聞いた」というような場合は、消費者センターや地域の行政窓口に連絡し、代理で画像を確認してもらった上で、グーグルに連絡を取ってほしいとしている。
これには目が点になった。こんな発言がされたとはにわかに信じ難い。どうしてグーグル社の勝手な写真に対して行政が対応しなければならないのか。
本当にこんな発言があったのか確認する必要があると思ったので、グーグル株式会社に電話して真意を訊いた。質問の要点は次の3点。
その際の電話のやり取りを以下に示す。
(あとでテキスト化するが、時間がないのでひとまず音声にて。再生ボタンによる再生にはJavaScriptが必要。)
← 2008年9月30日にグーグル株式会社に問い合わせた際の電話 (転載禁止)
(10月3日、テキスト化した。)
私: ストリートビューについておうかがいしたいんですが、よろしいでしょうか。
グ: あ、はい、おねがいいたしますー。
私: 昨日何かネットのニュースで、何か記者会見があったということで、記事が出ておりまして、その中でそちらの辻野さん、ですか、おっしゃってることでちょっとよくわからないことがあったんで、うかがいたいんですけども、
グ: はい。
私: ITmediaの記事によるとですね、インターネットが利用できなくて問題となる部分も自分では確認できないような場合には、どうすればよいかということで、消費者センターや地域の行政窓口に連絡して、代理で画像を確認してもらってから、グーグルに連絡を取ってほしいと、そういう記述があるんですけども、
グ: はい。
私: これは辻野さんて方がそういうふうに説明されたんでしょうか。
グ: ……えーっとー……。そうですねあのー……、えっとユーザー様の方では何をお知りになりたいんでしょうか。
私: 今述べた通りですけども。
グ: はい、そのようなそうですねお答えをさせていただいたということかと思うんですが。
私: そうなんですか、まずこれ報道が間違っているのではなくて、確かにそのように答えたということですね?
グ: はい。
私: ですか?
グ: はい。
私: なんですね。
グ: はい。
私: 消費者センターや、地域の行政窓口に、グーグルのことについて問い合わせるということですか? どういう意味ですかこれは。消費者センターや行政窓口の人に、グーグルを見て画像を見てもらうということですかね?
グ: そうですね、もしあの、ユーザ様の方でパソコンがお使いいただけない環境であるとしたら、実際お宅がどのような形で写っているかというのがご確認いただけませんよね。そういうことでたとえばということで、そういう所に行って一度画像を確認して頂いてから、ご依頼を頂いてもかまわないというようなことでお話しさせて頂いたのかと思うんですが。
私: えー、行くということですか? 電話ではなくて。
グ: そうですね、既に画像の方、確認されていて、もう実際にどういう形で写っているかというのがわかるようでしたら、もちろんお電話いただいてもかまわないんですが、どういう状態かというのがまだ特定できない状態でご連絡頂くんであれば、一度そういうところで見ていただければいかがかというようなつもりでお話をさせて頂いたのかと思うんですが。
私: そちらの、グーグル社にお訪ねして、画面を見るってことはできないんですか。
グ: ……。う、そうですねあの、基本的にはですね、ちょっと私どもお電話でのサポートというのはさして頂いておりませんので、できればまああの、基本的にはパソコンからご依頼を頂きたいということでお願いしているんですね、ただまああのー、画像がやはり見れない方に関しては、そういった方法もあるのではないかという感じでお話をさせていただいたのかと思うんですが。
私: 消費者センターや地域の行政窓口に行けばパソコンの画面を見せてもらえると、
グ: はい。
私: たとえばその地域の行政窓口だったら、行政のそのどこの窓口に行けばいいんでしょうかね?
グ: はい、あのまあ消費者センターですとか、市民課というようなところがあるかと思うんですが、市民の方がまあお尋ねになりたい内容によってご相談に応じてくれるところがあるかと思うんですが。
私: パソコンの画面を見たりしてできると?
グ: ……。はい、あのまあ、市民の方のお声を聞いて頂けるような窓口があるかと思いますので。
私: 市民の声というか、市民の声? 行政に関することは聞いてくれると思うんですけども、
グ: はいー
私: グーグルのことについて市役所とか答えてくれるんですかね?
グ: ……。う、そうですねちょっとそれはこちらではわかりかねますが。
私: でも、そういうところに行ったら確認できますよと、今おっしゃったわけですよね。
グ: ……。はいー。…………。
私: えー。えー、確認に行けば、
グ: はい。
私: グーグルのことについて市役所が対応してくれると。
グ: ……。市役所が対応するということではないかと思うんですが。
私: ああ、どういうところが対応するという。
グ: はい、あの、ユーザ様がうかがわれたいことがちょっとこちらでもわかりかねるんですが。
私: 消費者センターや地域の窓口はどこですかと、うかがっているんですね。
グ: あ、場所がどこかということでしょうか。
私: どういう窓口に行けばいいんでしょうか。
グ: 消費者センターというのが市の方にございませんでしょうか。
私: 地域の行政窓口というのはどこなんでしょうか。
グ: はいあの、市民のあの市役所ですとか、消費者センターのことを指しているかと思うんですが。
私: 市役所ですよね、市役所といってもいろんな担当があってですね、どういうところに行けばこのことに相談にのってもらえそうだという意味でおっしゃってるんですかと、うかがっているんですね?
グ: はい、あの、申し上げた通りでございますが。
私: えーと何でしたっけ。
グ: はい、市役所か消費生活センターの方指しているのかと思いますが。
私: ん? 消費者センターは市役所の中にあるんですか?
グ: さあ、私はそこまでわかりかねますので市の方に直接お問い合わせいただけますか。
私: いや、そちらがそういうところに行けばできますよとおっしゃるんで、うかがっているんですね。
グ: はい。申し訳ございませんが、私ちょっと辻野の申したことの本意を全てこちらで把握できておりませんので、お客様の方でその行政はどこかというのがおわかりにならないようであれば、市役所の方でそういったご相談があるということをおたずねいただけますでしょうか。
私: いや、今先ほどね、あなた自身もそういうところでできると思いますがとおっしゃったんでね、どこどこと想定しておっしゃったのかなと思って。
グ: はいあのー、先ほどから申し上げておりますが、どういった市役所ですとか消費者センターのことを指しているのではないかとお答えしておりますが。
私: えー。その、市役所のどういう窓口なんですかねと。
グ: はい。…………。ですから何度も同じお答えしかできませんので、おたずねになりたいことがそれだけであればちょっともうあのお電話切らして頂きたいんですが。
私: いやいや、だっておかしいじゃないですか。ご自身がそういうところでできますよとおっしゃったわけでしょさっき。
グ: はい、できますよとは申し上げておりません。ご相談に行くんならそういったところに行かれたらいかがかという、あのーまあえーと、辻野の方からそういうお話があったという記事を見られたということですよね?
私: ええ。
グ: はい。ただあの、それを推奨しているわけではありませんのでー。
私: 推奨しているわけではないんですか。
グ: はい。
私: じゃあこういう場合にはどうすればいいんですかね。
グ: 市役所に行ってくださいというふうに推奨しているわけではありませんので、そのへんは誤解のないようにお願いしたいんですが。
私: じゃこれはどういう意味なんですか?
グ: …………。はい。
私: 推奨しているのでなければ、これはどういう意味なんでしょうか。
グ: はい、書いてある通りの意味でございますので、それ以上深い意味はとくにございませんが。
私: 書いてある意味は、そういうところで確認をしてもらった上で連絡を取って欲しいと書いてあるから、推奨と違うんですか?
グ: 推奨とはあの、こちらはそういうつもりで申し上げておりませんので。
私: 推奨でないのなら、ど・う・い・う・こ・と・な・ん・でしょうか。
グ: はい、あの、そのような報道がなされたことに対して、こちらでもですね、全て本意が伝わっていない部分もあるかと思いますので、
私: でも今、書いてある通りとおっしゃいましたよね?
グ: そうですね、それはユーザ様の捉え方次第ですので、そうとられる方はそのようにおとり頂くしかしょうがないんです。
私: いや、書いてある通りとおっしゃったけども、今度は報道が正確でないとおっしゃって、おっしゃることが二転三転してますけども、
グ: はいー。あのー、何のお答えが聞きたいのかこちらでちょっとわかりかねますのでー、
私: ですから、こういう場合に、どうすればいいですか、どういう意味ですか、どこに行くんですか、その窓口というのはどこのことを言ってるんですかと訊いているところ、書いてある通りだとか、推奨しているわけではないとか、おっしゃるから、答えになっていないですよね?
グ: ……はいあの、記事について内容が確認したいということであればですね、ちょっとこちらではわかりかねますので、書いてある以上の内容に関してご説明はできかねます。
私: そちらの方が、社員の方が発言された内容ですよね?
グ: はい。
私: ですからどういう意味でおっしゃったんですかと最初からうかがっているわけですね。これ正しい報道ですか、ということを冒頭からおたずねしているわけでして。
グ: そうですね、正しい報道という、そのーあのー、まあ、キテイがちょっとこちらでもわかりかねましてー
私: キテイと言いますと?
グ: 正しい正しくないというのは、ユーザ様の捉え方にもよるかと思いますので、
私: いやここに書いてあることはそちらの辻野さんが、おっしゃことの本意と合ってるんですかということは、そちらでなければわからないですよね?
グ: はい。あのまあ、申し訳ありませんが辻野にお繋ぎすることもできませんし、私の方でその内容について辻野に確かめることもできませんのでー。
私: どうしてできないんですか。
グ: あのー、読まれた方がそうとられるんならばそれで仕方がないというしかないんですけども。
私: えー、何がしかたがないという……。
グ: ……。あのー、ユーザー様のおっしゃっていることがちょっとこちらでも把握できかねるんですね、
私: いやですからー、インターネットが利用できない人は、どうすればいいんですかと、
グ: はいあのーまあ、そうですね、えとー、代理で他の方からお申し込みいただいても対応はさせて頂いておりますし、……、まあできればPC見られて、その画像をと特定して頂きたいので、そういった環境があるところで一度画像を見て頂きたいということで申し上げたのかと思うんですが。
私: 消費者センターや地域の行政窓口ですか?
グ: はい、それはちょっと私の方ではわかりかねますが、そういう環境のあるところで画像をご覧いただければよいのではないかという意味で申し上げたのかと思いますが。
私: そういう所で確認できるということは、確認されたんですか?
グ: ちょっとわかりかねますが。
私: でも、辻野さんの責任でこれ発言されているわけですよね?
グ: …………………………………………。もうしわけございませんがもうお答えできることございませんのでお電話切らせて頂きます失礼いたします。ガチャ、プー、プー、プー、プー、プー、プー、プー
担当者は、単なるオペレータではないようで(裏方に確認するといった対応ではなかった)、ストリートビュー担当者として自身の責任で答えてくれた。回答を要約すると以下となる。
消費者センターが本当にそういう仕事を引き受けているのだろうか。たいへん疑わしいので、東京都消費生活部に電話し、「このような報道が出ているが、消費生活センターや行政の窓口が、本当にそのような対応をしてるのか?」と問い合わせたところ、東京都消費生活総合センターから回答の電話があった。
それによると、「代理で画像を私どもが確認するということはやっておりません。」とのことである。
したがって、グーグル株式会社の辻野晃一郎製品企画本部長の「消費者センターや地域の行政窓口に連絡し、代理で画像を確認してもらった上で、グーグルに連絡を」などという指示に従わないよう、注意する必要がある。
10月2日、ITmediaの記事に追記された。
10月2日 17:00更新
東京都消費生活総合センターに確認したところ、同センターでは「相談者の依頼に応じて代理で画像を確認するということは行っていない」という。
なお、Googleストリートビューの画像削除についての問い合わせには、削除依頼の方法を伝え、削除依頼するよう助言している。ただし、「現状、削除依頼した場合に必ず削除されるかどうかは確認できていないことも伝える」という。
Googleストリートビューの画像を削除してもらうには?, ITmedia Biz.ID
10月3日、ITmediaの記事が訂正された。
10月3日 16:30更新
記事初出時、「消費者センターや地域の行政窓口に連絡し、代理で画像を確認してもらった上で、グーグルに連絡を取ってほしいとしている」と表記していましたが、その後の追加取材で、グーグルではそのような案内をしていないことを確認いたしましたので、訂正してお詫び申し上げます。
Googleストリートビューの画像を削除してもらうには?, ITmedia Biz.ID
訂正された結果、記事本文の当該部分は次の記述となったが、これはおかしい。
また、「インターネットが利用できず、問題となる部分も自分では確認できていないが、自分にとって不都合のある画像が掲載されていることを知人などに聞いた」というような場合は、消費者センターや地域の行政窓口に連絡して、削除手順を確認した後に、グーグルに連絡を取るという方法もある。
Googleストリートビューの画像を削除してもらうには?, ITmedia Biz.ID
東京都消費生活センターが案内しているのは「削除依頼の方法」であり、「インターネットが利用できず、問題となる部分も自分では確認できていない」人について、「削除手順を確認した後にグーグルに連絡を」と言ったところで、何の問題解決にもなっていない。
「追加取材」をしたとのことだが、じゃあ、「インターネットが利用できず、問題となる部分も自分では確認できていない」人はどうすればいいのかという点について、どういう回答が得られたのか。なぜそれを記事にしないのか。