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2021年07月12日

郵便事業がコモンキャリアを逸脱すれば郵便物を差し出す事業者が個人情報保護法に抵触する

総務省の郵政行政部が「デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会」の最終報告書(案)のパブコメ募集をしていたので、先ほど急いで書いて提出した。


「『デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会』最終報告書(案)」に対する意見

東京都墨田区在住 高木浩光
2021年7月12日

意見1 仮名加工情報に過大な期待が見られるが制度に誤解があるのでは

報告書案5頁には、「こうしたデータ活用のためには、たとえば令和2年改正後の個人情報保護法の定める『仮名加工情報』の仕組みの利用が考えられる」とあり、13頁には、「特定のエリアにおける郵便物の動き(配達データ)等を分析し、地域の経済活動の見える化やグループ内でのエリアマーケティング等に活用」の手段として「仮名加工情報」の利用が例示されているが、そもそも、個人データを仮名化することは、統計量への集計の前段階の処理として、ごく普通に従前から行われてきたごく一般的な手法であり、個人情報保護法の令和2年改正によってはじめて可能となるものではない。令和2年改正の仮名加工情報の制度は、そのような処理を行う場合に、一定の規制に服するのを条件に、開示・訂正・利用停止等の義務が免除され、本来目的用途を終えた後、本来は当該個人データの消去の努力義務が課されるところ、仮名加工情報に加工しておくことで消去の義務なく、将来の統計量への集計のために温存しておくことができるようになる点が新しい制度である。

すなわち、本件報告書が想定する状況において、令和2年改正の施行を待つまでもなく、「こうしたデータ活用」は可能だったのであり、仮名加工情報を持ち出すまでもない話である。本件報告書が公表されることで、仮名加工情報に対する誤解がさらに広まる危険があるので、誤解を招かない記載ぶりに改められたい。

意見2 「配達データ」の利用は「モバイル空間統計」と同一視できない

報告書案12頁には、「必ずしも同意を必要としない新サービス」として、「配達データ等の活用」とあり、「『モバイル空間統計ガイドライン』(略)といった先例を参考に」とされているが、モバイル空間統計は郵便とは事情が異なるのであり、参考にすることはできない。

モバイル空間統計は、通話やデータ通信の履歴そのものを用いるものではなく、携帯電話サービスを実現する手段として携帯電話事業者が把握している携帯電話端末の存在する基地局位置情報を用いて統計量に集計しているものである。これを郵便と対比させるなら、「配達データ」それ自体は、携帯電話の通話やデータ通信の履歴そのものであり、通信の秘密(信書の秘密)に直接係るものであるから、「配達データ」を利用することを「モバイル空間統計」と同一視するのは不適切である。

たとえ統計量への集計であろうとも、現状において、携帯電話事業者が(さらには電気通信事業者一般が)通話やデータ通信履歴を集計して、本件報告書が想定するような「データ活用」(「配達ルートの最適化」など正当業務行為として許されるような本来用途を超えたマーケティング利用)を行なっている事実はない。このことは、個人情報保護法令和2年改正で導入される仮名加工情報の制度を利用しても正当化されることはない。なぜなら、個人情報保護法の法目的と通信の秘密(信書の秘密を含む)の法的利益は別のものだからである。

モバイル空間統計(のうち、どの区画に人が多いかの集計情報)に近いものを挙げるならば、郵便局内で把握されている各局ごとの業務の取扱量から計算できるものであり、個々の「配達データ」を利用する必要性がない。また、モバイル空間統計で得られる移動の統計量(どの区画からどの区画へ移動した人が多いか)に相当するものは、転居に伴う「転送情報」の統計量ということになるであろうから、その点に限っては報告書案の記載は誤りではないので、その場合に限った記載ぶりに改めるべきである。(もっとも、転居に伴う「転送情報」は、極めて低頻度の人の移動を表すものであるから、モバイル空間統計の移動の統計量に匹敵するほど有益な情報は得られず、大して役に立たないことが予想される。)

意見3 「配達原簿」「配達データ」の利用は「非特定視聴履歴」と同一視できない

報告書案12頁には、「必ずしも同意を必要としない新サービス」として、「居住者情報(配達原簿、転送情報)、配達データ等の活用」とあり、「放送業界の『オプトアウト方式で取得する非特定視聴履歴の取扱いに関するプラクティス(ver.2.0)』といった先例を参考に」とあるが、「非特定視聴履歴」は元より個人の氏名を含まない履歴についての話であって、「配達原簿、転送情報」「配達データ」はいずれも、個人の氏名を含む履歴であるから、全く関係のない話である。「配達原簿、転送情報」「配達データ」から氏名を取り除いても、「非特定視聴履歴」に相当する「非特定配達データ」のようなものにはならず、せいぜい「個人情報である仮名加工情報」(個人情報保護法令和2年改正における)に当たるものにしかならないから、放送業界における「非特定視聴履歴」の議論は全く当てはまらないものである。

そもそも、総務省「放送分野の視聴データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」の検討状況を傍聴する限り、構成員からオプトアウト方式による「非特定視聴履歴」の利用について否定的な意見が出ているように、「非特定視聴履歴」なる概念自体が、個人情報保護法平成27年改正時の混乱から出た不適切な取り組みであって、今後に期待できるものではないことを把握するべきである。

意見4 居住者情報の地図事業者へのオプトアウト方式での販売は令和2年改正後は実現できない

報告書案13頁に記載の「地図情報を利用している事業(サービス)との協業、当該事業を行う者に対して居住者情報を一定程度含むデータを提供・販売」とある構想は、個人情報保護法23条2項に基づくオプトアウト方式による第三者提供が想定されているものと推察されるが、他方で、その受領者となる「地図情報を利用している事業」もまた、これまで、個人データを含む地図情報の提供事業は個人情報保護法23条2項に基づくオプトアウト方式で許されるものと理解されてきたことからすると、報告書案が構想する「販売」は、二重のオプトアウトとなり、個人情報保護法令和2年改正で新たに禁止される行為(改正後23条2項「ただし、第三者に提供される個人データが(略)他の個人情報取扱事業者からこの項本文の規定により提供されたもの(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)である場合は、この限りでない。」に当たる。)ということになるので、実現することはできない。

意見5 郵便がコモンキャリアとしての土管業から逸脱すれば郵便物の差出人の行為が個人情報保護法違反となりかねない

報告書案9頁には「グループ各社・各社内に分散している『ID』(利用者との接点)の一元化を行い、単一のIDでグループの全てのサービスを利用可能にする。」「グループ全体での共通顧客データベースの構築に取り組む。」との記載、12頁には「EC事業者と連携し、両者が保有するデータのより高度な活用」との記載があるが、これがもし、郵便事業についても一元化し、「配達データ」や「配達原簿」を一元化して記録し処理することを意味しているのだとすれば、致命的な制度破綻をもたらすことになるので、そのような計画は避けなければならない。

個人情報保護法上、郵便を利用する側の一般の事業者が郵便物を差し出す行為が、郵便事業者への個人データの第三者提供として同法23条に抵触することがないのは、郵便事業がコモンキャリアとして土管業に徹していることを前提に、個人データの第三者提供に当たらず、さらには、個人データ処理の委託(同法23条5項)にも該当しないものとして理解されていることによるものである。これは、郵便事業が、郵便の配達に伴って扱うことになる差出人や宛名を、あくまでもコモンキャリアとして通信を実現するために使用しているだけであって、独自に個人データとして処理しているわけではないからである。

それにもかかわらず、本件報告書が言うように、もし、郵便事業を含めて他の事業と「一元化」し、「配達データ」や「配達原簿」を一元化して記録する事態となれば、それは郵便事業者がそれらの差出人や宛名を個人データとして処理することになるのであるから、郵便を利用する側の一般の事業者が郵便物を差し出す行為が、郵便事業者への個人データの第三者提供ということになって、本人同意かオプトアウト手段の提供が必要となるか、または、郵便事業者への個人データ処理の委託ということになると考えられる。個人データ処理の委託ということになれば、郵便物を差し出す事業者には、委託先の監督義務(同法22条)として郵便事業者の安全管理を監督する義務が課されることになるが、全く現実的でない。

このことはクラウドサービス事業においても共通するところがあり、PaaSやIaaSの事業者が、その事業において手にすることになるデータについて、個人データとして認識して処理することになれば、当該クラウドサービスを利用する事業者には、委託先の監督義務としてクラウドサービス事業者の監督義務を負うことになって、全く現実的でないところ、PaaSやIaaSはデータ内容に一切感知しないことを前提としているが故に、そのような義務が課されないことになっている(個人情報保護法ガイドライン通則編Q&A Q5-33)ものである。同様に、もし、電気通信事業者が、通話やデータ通信の履歴を記録し、契約者の個人データとして独自の目的で処理するようになれば、個人情報取扱事業者が個人に電話をかける行為も、電話番号の電話会社への第三者提供又は電話会社への個人データ処理の委託に該当することになって、全く現実的でない事態となる。

このように、通信の履歴や信書の配達データを独自に利用することが許されないのは、通信の秘密(信書の秘密)保護の法的利益のみならず、個人情報保護法制が、コモンキャリアはそうした独自の利用をしないことを当然の前提としてきたことによるものである。それ故、もし、本件報告書が言うような計画が実現されれば、致命的な制度破綻をもたらすことになりかねない。

仮に、本人同意のある受取人についてのみ「一元化」を実施するようにしたとしても、差出人から見ると、受取人がそのような同意をしておらず「一元化」されていない場合には、個人データの提供に該当しない一方で、受取人がそのような同意をしていて「一元化」されている場合には、個人データの第三者提供(本人同意に基づく)という扱いになるが、第三者提供の場合には、第三者提供に係る記録の作成義務(同法25条)を負うことになるので、全ての郵便を利用する事業者に無用な負担をかけることになるし、受取人がそのような本人同意をしているかを事前に把握することもできない。

以上


要するに、ろくに現行制度の理解もなく提言するもので、ずさんな検討と言わざるを得ない。このような方向性の原案を打ち出したのは、同懇談会の「データ活用WG」のようだが、非公開で行われており、「議事要旨」もほとんど内容が記録されていない。構成員は以下の面々であるが、誰が何を言ったのかは不明だ。

デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会 データ活用WG 構成員名簿

【構成員】

谷川史郎 東京藝術大学客員教授 (主査)
高口鉄平 静岡大学学術院情報学領域准教授
小林慎太郎(株)野村総合研究所上級コンサルタント
中川郁夫 大阪大学招へい准教授(株)エクスモーション フェロー
中村伊知哉 iU学長

【オブザーバー】
日本郵政株式会社
日本郵便株式会社

データ活用WG開催要綱、コンプライアンスWG開催要綱

報告書(案)には、「留意点等をまとめたガイドラインの制定等(「郵便事業分野における個人情報保護に関するガイドライン」の改正を含む。)を検討することが求められる。」とあるので、そこで実際に可能なのかが専門家らにより検討されるものと思われる。今後の郵便事業分野ガイドラインの改正に要注意であり、一般の個人情報取扱事業者も他人事でない。

パブコメの結果(8月22日追記)

その後、「意見募集の結果及び最終報告書の公表」があった。「提出された意見及び当該意見に対する考え方」において、上の提出意見は「個人7」である。以下の結果となった。

意見1 仮名加工情報に過大な期待が見られるが制度に誤解があるのでは

「仮名加工情報」については、データ活用のために用いることのできる令和2年改正後の個人情報保護法の規定の例として記載したものであり、原案どおりの記載とさせていただきます。

これはまあ想定内。回答に余計なことが何も書かれていないのは良い。仮名加工情報の制度は(匿名加工情報もそうであったように)誤解が多いので、釘をさせればOK。

意見2 「配達データ」の利用は「モバイル空間統計」と同一視できない

(略)

なお、ここで「モバイル空間統計ガイドライン・・・といった先例を参考に」と記述しているのは、モバイル空間統計のように、事業者が保有しているデータを統計的に価値あるデータとして公開するために留意すべき事項等を検討会等を開催してガイドラインとして整理する、この一連の流れが、今回の日本郵便が保有しているデータの活用に当たっても参考となるという趣旨で記述しているところです。

ご意見の趣旨を踏まえ、誤解を生まないために、脚注に「移動通信事業者が保有するデータを活用したモバイル空間統計と、日本郵便が保有するデータの活用には性格の違いがあることに留意し、データ活用の検討に当たっては、郵便事業における「信書の秘密」や個人情報の保護には十分配慮して検討・実施する必要がある」との記述を追加します。

脚注に注意書きが加えられた。「性格の違い」として意見2で述べたことが、今後の検討で漏れなくなされるか要注視。

意見3 「配達原簿」「配達データ」の利用は「非特定視聴履歴」と同一視できない

意見2とまとめて対応されている。上と同じ脚注で対応したことになっているかのようだが、「非特定視聴履歴」への言及がない。

どのように理解されたか疑わしいが、意見2及び4と合わせて回答することでスルーされた辺りから察するに、問題は理解されたもの(非特定視聴履歴と同列に扱うことの正当性について何も言っていない)の、回答のしようがない(放送分野における非特定視聴履歴の検討の不当性について言及する立場にない)ということと推察。

意見4 居住者情報の地図事業者へのオプトアウト方式での販売は令和2年改正後は実現できない

本懇談会報告書を踏まえた具体的な新たなビジネスモデルの検討に当たっては、令和2年改正後の個人情報保護法により、オプトアウトにより提供された個人データを更にオプトアウトにより第三者に提供することが禁止された点(令和2年改正後の法第23条第2項ただし書)も含め、個人情報保護法の規律と整合的な形で検討されるものと考えます。

なお、ここで「モバイル空間統計ガイドライン・・・といった先例を参考に」と記述しているのは、(略:意見2に対する回答と同じ)との記述を追加します。

意見2とまとめて対応されている。「オプトアウトにより提供された個人データを更にオプトアウトにより第三者に提供することが禁止された点も含め」「整合的な形で検討されるもの」とのことなので、個人情報保護委員会の見解しだいということになるだろうが、追加された脚注において言及がないので、今後の検討で失念されることにならないか要注視。

意見5 郵便がコモンキャリアとしての土管業から逸脱すれば郵便物の差出人の行為が個人情報保護法違反となりかねない

報告書案の「グループ各社・各社内に分散している『ID』(利用者との接点)の一元化を行い、単一のIDでグループの全てのサービスを利用可能にする」等の記載については、「ゆうびんID」など、利用者(差出人等)の申請に基づき利便向上サービスを提供するために付与するIDの共通化により、さらなる利便性の向上が計られることを意図して記載しているものであり、ご指摘の「「配達データ」や「配達原簿」を(日本郵便以外の者のデータと)一元化して記録し処理すること」を想定しておりません。その上で、本懇談会報告書を踏まえた具体的な新たなビジネスモデルの検討に当たっては、個人情報保護法の規律と整合的な形で検討されるものと考えます。なお、脚注に「検討に当たっては、郵便事業における「信書の秘密」や個人情報の保護には十分配慮して検討・実施する必要がある」との記述を追加します。

意見5で仮定した「これがもし、郵便事業についても一元化し、「配達データ」や「配達原簿」を一元化して記録し処理することを意味しているのだとすれば」について、「ご指摘の「「配達データ」や「配達原簿」を(日本郵便以外の者のデータと)一元化して記録し処理すること」を想定しておりません。」と否定された。否定されたけれども、脚注を追記するという。

では、その「一元化」とは何なのかだが、回答によると、「「ゆうびんID」など、利用者(差出人等)の申請に基づき利便向上サービスを提供するために付与するIDの共通化により、さらなる利便性の向上が計られることを意図して記載しているもの」だという。

その場合でも、土管業から逸脱することにならないか、要注視であろう。

「郵政バリューアップ戦略検討委員会」の露骨な楽天誘導パブコメ意見と総務省の反応(8月22日追記)

ところで、今回のパブコメに、「郵政バリューアップ戦略検討委員会」なる団体から次のような意見が出ていた。

現場の期待の大きい楽天との業務・資本提携に関係する記述が今回の報告書には触れられていないので、何かしらの提言を報告書に盛り込むべきではないかと考える。
基本的には以下のような協力・提携が可能と考えられる。

金融:ゆうちょPayと楽天Payとの連携
保険:かんぽ生命と楽天保険との提携郵便局ネットワーク:郵便局ネットワークに楽天の持つICTのノウハウを活用する事により楽天の喫緊の課題である5G基地局整備や「JP共助連携ネットワーク」の構築を推進物流:郵便局ネットワークのリアルな物流と楽天のe-コマースの相乗効果の推進
観光:かんぽの宿と楽天トラベルの相乗効果の推進海外展開:楽天グループに共に出資するテンセントと連携した海外展開

郵政バリューアップ戦略検討委員会

これに対して総務省の回答はこうなっている。

個別の企業との具体的な連携について本報告書に記述することは適切ではないと考えますが、日本郵政グループにおいて自ら他社との提携等を通じ新たなサービスを展開していくことは望ましいことと考えます。

総務省情報流通行政局郵政行政部 企画課・郵便課

他にもこんな意見が続く。

○ グループ単一のIDですべてのサービスを利用可能とするなら正にマイナンバーはこの目的に合致するものと考える。目下マイナンバーの本格導入は国として喫緊の課題となっているところ、「共通ID」にマイナンバーを活用する事とすれば、マイナンバーへの取り組みへの遅れを一気に取り戻すことが出来、なおかつ、結婚、出産、就学、終活などのライフステージサポートサービスへの本格的かつスピーディーな導入だけでなく、来るべきマイクロファイナンスを含む個人金融や情報銀行業務にも資することが出来るので、「共通ID」としてマイナンバーの利活用を、マイナンバーとDXを推進すべき総務省としては当然、提言すべきではないかと考える。

郵政バリューアップ戦略検討委員会

典型的な素人意見。マイナンバー(行政手続における特定の個人を識別するための番号)は法定された行政手続目的にしか利用してはならないことをまだわかってない団体があるとは。

○ 本提案に関しては、郵政グループとしては本来であれば国民経済の中で包括的な考慮が必要になるべきものであるが、今般の郵政グループと楽天との業務・資本提携で楽天の携帯サービスのアンテナの設置場所としての郵便局が目的の一つに入れられている。

楽天1社だけにチャンスがあるという理解ではないと思うが、郵便局の公共性を考慮するとすべての携帯事業者に門戸を開くべきと考える。何故なら携帯事業者各社はより小さいコストでインフラ整備ができるチャンスであり、その結果として通信サービスの料金が低下する可能性は高くなる。このことはさらにより多くの携帯各社との間で、彼らが行う「デジタル化時代の情報通信利用動向調査」(仮称)等のデータを、本人同意を前提とした上で国や地方公共団体を巻き込みながら、防災や減災健康増進や栄養指導、資産管理などに代表される情報銀行業務の柱として我が国の金融業界に新風を吹き込むことになる。

郵政バリューアップ戦略検討委員会

「デジタル化時代の情報通信利用動向調査」(仮称)等のデータ」? 何それ? 栄養指導とか気持ち悪う。寒イボ。

○ DXの必要性は郵政グループの中期経営計画であるビジョン2025及び懇談会の両方で謳われている最重要のテーマであるが、本懇談会の最終報告書(案)には上記個所にあるようなユニバーサルサービスの重要性の記述はあるものの、ユニバーサルサービスの維持・効率化そしてDXである「共創プラットフォーム」という言葉・概念は述べられていない。

(略)

「郵政バリューアップ戦略検討委員会」がその報告書で提案している「JP共助連携ネットワーク」(後述)は、正に「共創プラットフォーム」の具体的実現方法に合致する。郵政グループ経営陣と「郵政バリューアップ戦略検討委員会」は郵政グループにおける問題をそれぞれ把握・認識し、同時期別々にその解決策を模索した。その結果が、郵政グループの中期経営計画ビジョン2025であり「郵政バリューアップ戦略検討委員会」報告書である。ビジョン2025が「共創プラットフォーム」を含むコンセプトであるのに対し、「郵政バリューアップ戦略検討委員会」は考えを一歩進めどうしたらその問題を解決できるかまでを考慮し報告書にまとめた。それが「JP共助連携ネットワーク」である。

(略)

郵政バリューアップ戦略検討委員会

なんだろうか、これは。「共創プラットフォーム」でWeb検索すると、この日本郵政グループのスライド資料が出てくるが……。

今回のパブコメには、楽天と競合する他の事業者から以下の意見が出ていた。

○ 本最終報告のとおり、社会環境の変化や郵政事業を巡る状況等を踏まえ、デジタル時代において郵政事業が国民・利用者への利便性や地域社会への貢献を推進するため、データ活用やDX等を進めることは非常に意義があるものと考えます。

一方で、日本郵政株式会社殿は、政府保有株式の割合が約6割と国の資本が多数を占める点では、政府の関与余地が高い特殊な企業であり、上記の推進にあたっては民間企業間の公正競争環境に影響を与えないよう留意が必要と考えます。具体的には、日本郵政グループは国営時代から引き継ぐものも含む規模の大きい資産や顧客基盤を有する等の競争上の優位性を有し、事業・業務の内容・方法によっては民間企業間の公正競争環境への影響が懸念されることから、取組の中で特定の企業への出資や他企業との協業または保有資産・顧客基盤等の他企業への提供等が行われる場合は、提携先企業の業種への配慮が必要と考えます。

直近の例としては、日本郵政株式会社殿から楽天株式会社殿へ約1,500億円もの出資がなされ、その総額が基地局整備へ投資される予定と公表されています。また、物流や携帯販売、DX、金融、EC等、あらゆる分野での協業が予定されております。

本事案について、(略)

ソフトバンク株式会社

○ 郵政事業が、中長期的なユニバーサルサービスの維持を図りつつ、新たな時代に対応した多様かつ柔軟なサービス展開、業務の効率化等を通じ、国民・利用者の利便性向上や地域社会への貢献を推進することは重要であると考えます。

一方で、日本郵政グループが公的な性格を有することを踏まえれば、個々のテーマに取り組むにあたって公平性の確保が必要であり、特に日本郵政と資本関係を有する特定の事業者のみを、日本郵政グループが不当に優遇することのないよう注視していくことが必要です。

KDDI株式会社

○ 全国津々浦々に設置されている郵便局ネットワークや、豊富な人的リソース、巨大な顧客基盤等は、日本郵政グループが公社時代から継承、保有している資産と理解しております。

日本郵政が政府出資の特殊法人であることに鑑み、これらの資産を活用し、日本郵政グループが外部企業等と提携して「プラットフォーム・ビジネス」を提供する場合には、全ての事業者が公平な条件で提携を行う事ができることが重要であり、特に日本郵政と資本関係を有する特定の事業者のみを、日本郵政グループが不当に優遇することのないよう注視していくことが必要です。

KDDI株式会社

○ 全国津々浦々に設置されている郵便局ネットワークや、幅広い業務領域、豊富な人的リソース、巨大な顧客基盤を有する日本郵政グループが、グループのサービスメニューにアクセス可能な「スーパーアプリ」を導入した場合には、その事業規模や顧客基盤から、当該「スーパーアプリ」を多くのユーザが利用することが想定されます。

当該「スーパーアプリ」に「ミニアプリ」を組み込み、外部のサービスに容易にアクセス可能とすることで、利用者の利便性の向上が期待されます。

一方で、例えば、特定の事業者のオンラインショッピングモールや決済サービスなどの「ミニアプリ」だけを排他的に組み込んだり、「ミニアプリ」の実装方法を特定の事業者のものだけ優遇して差異を設けたり、日本郵政グループの共通IDと特定の事業者のIDのみを連携させる場合には、当該オンラインショッピングモール市場や決済サービス市場の競争環境に影響を及ぼすおそれがあります。 したがって、日本郵政グループと全ての事業者が公平な条件で連携を行う事ができることが重要であり、特に日本郵政と資本関係を有する特定の事業者のみを、日本郵政グループが不当に優遇することのないよう注視していくことが必要です。

KDDI株式会社

○ 携帯電話事業者が、基地局の設置場所として日本郵政グループが保有する不動産の借用を求めた場合には、日本郵政グループは全ての携帯電話事業者に対して公平な情報提供や、公平な条件で貸与するなど、携帯電話事業者間で公正な競争環境が確保されることが重要です。

特に日本郵政と資本関係を有する特定の事業者のみを、日本郵政グループが不当に優遇することのないよう注視していくことが必要です。

KDDI株式会社

○ 日本郵政と楽天は2021年3月に資本・業務提携に合意し、物流、モバイル、DX等の様々な領域での連携を強化すると発表。既に楽天モバイルが東京・埼玉・千葉の郵便局10店舗のスペースを活用して楽天モバイルショップをオープンし、販売を実施しております。

日本郵便は、公社時代から数多くの資産を継承・保有する等、公的な性格を有することを踏まえれば、郵便局の店頭スペース等その資産を活用するような届出業務については、全ての事業者が公平な条件で利用できることが重要であり、特に日本郵政と資本関係を有する特定の事業者のみを、日本郵便が不当に優遇することのないよう注視していくことが必要です。

そのため、届出業務の実施状況等について、実態(公平な条件で取り扱われているか等)も含めて、継続的に把握・検証し、その結果を公表することが必要と考えます。

KDDI株式会社

このような意見が続出したことから、総務省は最終報告書に以下の脚注を追記せざるを得なくなったようだ。

脚注6 本報告書案に対する意見募集の中で、KDDI株式会社及びソフトバンク株式会社から、「日本郵政グループが公的な性格を有することを踏まえれば、外部企業との提携等に際しては公平性の確保が必要であり、特に日本郵政と資本関係を有する特定の事業者のみを、日本郵政グループが不当に優遇することのないようにすべき」との趣旨のご意見が寄せられた。

脚注15 本報告書案に対する意見募集の中で、KDDI株式会社から、「携帯電話事業者が、基地局の設置場所として日本郵政グループが保有する不動産の借用を求めた場合には、全ての携帯電話事業者に対して公平な情報提供や、公平な条件で貸与するなど、携帯電話事業者間で公正な競争環境が確保されることが重要」との趣旨のご意見が寄せられた。

脚注22 本報告書案に対する意見募集の中で、KDDI株式会社及びソフトバンク株式会社から、「日本郵政グループが今後新たに進出・提携等する業務分野等における競争状況に与える影響について、総務省においても注視し、必要に応じ検証を行い結果を公表すべき」との趣旨のご意見が寄せられた。

デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会」最終報告書

これはいったい何が起きているのだろうか。

懇談会の議事録を確認すると、構成員がこう発言していた。どういうニュアンスだろうか。そもそも何のための懇談会だったのか?

中川構成員:デジタル化推進上、非常に良い報告書になっており、特に異論はない。議論の最中に、楽天との資本提携など大きな変化があり、こうした懇談会がどこまで関わっていけるかについては非常に考えたところ。DXの方向についての色々な議論ができたが、今後実際にどうしていくのかを何らかの形で注視していきたい。可能であれば、この懇談会メンバーで関わっていける仕組みづくりや方針が見えるとよい。

デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会(第8回)議事要旨

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