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高木浩光@自宅の日記

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2008年08月24日

グーグル株式会社の広報姿勢が嘘八百なことを示す事例

ストリートビューについて、グーグル株式会社は、公道から撮影していて私道や敷地内には入っていないと説明している。このことは次のように報道されている。

しかし、ネットを「公道 私道 グーグル」などでサクって*1みると、自宅が私道から撮影されていると不満を漏らす声がいくつも見つかる。また、8月16日の朝日新聞の投書欄には、「グーグル側は『人の顔はぼかし、車のナンバーは映らないようにしている』と説明しているが、大うそではないか。『公道から撮影した画像は基本的に公開が可能と判断した』ですって? うちの周りは私道です。」という声が掲載されている。 
グーグル株式会社の出鱈目な広報姿勢はどんどん皆で証拠を示して指摘していけばいいところだが、皮肉にも、自宅が私道から撮影された証拠を示すには、自宅の場所か写真を公表することにもなってしまうため、せいぜい匿名掲示板に文章で不満を書くくらいのことしかできず、実態が広く周知されない状態に陥っている。(グーグル株式会社がそのことを予見しつつやっているのかどうかは知らない。)

そこでここでは、公表することによる問題が公表しないことによる問題よりも十分に小さいと考える事例について、私の責任でいくつか具体的に示しておく。

事例1

大阪北摂霊園の事例。


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図1:「関係者以外通行禁止」と掲示された霊園の私道にグーグルの撮影車が進入する様子

管理事務所に電話して確認したところ、この墓地一帯は財団所有の私有地で、ここから奥の道路は私道(市道ではなく「わたくしみち」)であるとのこと。表門の看板には「関係者以外通行禁止」と掲げており、実際、改造車愛好者らの集会で入られた際などに「何しにきているのか」と問い質し追い払っているとのこと。墓参者のための道路だとのことだ。

グーグル株式会社が許可をとって撮影した可能性もあると考えたので、管理事務所に確認したところ、「あり得ない」とのことだった。目的が明らかでないものを許可することはないし、撮影が目的であれば撮影場所を必ず確認するし、そもそも墓が写る撮影ではそれぞれのお墓の家の承諾をとらなければ許可できないとのこと。

撮影車は図2のように霊園をくまなく撮影しようと廻っており、単に誤って通過したというレベルのものではない。

図2: 撮影車が霊園内を巡った様子

そして最も高い地点まで上り詰めて、むしろ墓を写す目的で行ったのかと思われるほどの写真が撮られている。


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図3: お墓まで撮影してグーグル社が公衆送信している様子

事例2

茨木国際ゴルフ倶楽部の事例。


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図4: 「関係者以外立入禁止」のゲートがあるゴルフ場の私道にグーグルの撮影車が進入する様子

ゴルフ場に電話して確認したところ、このゲートより奥は私有地であり、この道路は私道であるとのこと。

撮影車はゴルフ場の奥まで進み、以下の図のように、わざわざ駐車場に入って、駐車場内をずんずん進み、駐車されている自動車群を何枚にもわたって撮り続けている。






図5: 駐車場に入り駐車中の自動車ばかり写し続けている様子

ここでは示さないが、ストリートビューで横に向きを変えると、駐車中の自動車のナンバープレートはそれぞれ丸見えで、グーグル株式会社の河合敬一プロダクトマネージャーが言うような「識別できない」といったレベルのものではない。

8月6日の朝日新聞報道によると、グーグル株式会社は、

と言っているそうだが、どう見ても「なるべく映り込まないようにしている」というのは嘘偽りで、駐車場に入って自動車を撮りまくっている。

これが撮影作業員のミスということはあるかもしれないが、前回の日記にも書いたように、撮影作業員が誤って入った場所の他、撮影作業員が休憩に立ち寄ったコンビニのシーンや給油所でのシーンも見つかっており、撮影は全自動で行われていて、誤った撮影のキャンセル作業は行われていない。

マンションの敷地などの細かい所の私道進入をチェックで見落とすくらいはあり得るにしても、これほど明確な進入さえもグーグル株式会社はチェックできていない。「私道や敷地内に入っての撮影はしていない」というのはまるっきりの嘘っぱちではないのか。

グーグル株式会社に確認しようと、土曜日の16時50分頃に代表電話に電話してみた。すると、

こちらはグーグルでございます。ただ今の時間は、弊社の営業時間外となっております。お手数ですが発信音の後に、お名前、電話番号とメッセージを録音してください。こちらから折り返しご連絡させて頂きます。なお、電話でのサポートは行っておりません。サポートをご希望の方は、弊社ホームページよりヘルプセンターをご利用ください。

という自動応答メッセージが流れ、同じ内容の英語メッセージが流れた後、電話は切られた。「発信音」が流れることもなく、メッセージを残すことはできなかった。事故かもしれないので日曜にもう一度試したが、やはり「発信音」は流れずにブツ切りされる。

Webで文句を言おうとしても、「約87文字以下で入力してください」と、そもそも説明させないようにされている。

こんな傍若無人で噓つきな会社を放置しておいたら、この先何をされるかわかったものじゃない。

その他の事例

無断で入ったのかどうか私は事実確認をしていないが、進入禁止の私道に自動車で進入しているのではないかとの指摘が、他にも出ている。

*1 Webの検索サービスで検索することを「サクる」と私は言うようにしている。

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高木浩光@自宅の日記 - グーグル株式会社の広報姿勢が嘘八百なことを示す事例 を読みました。
個人的には、まだ、具体的な被害を受けた認識..

送り犬のビーフストロガノフ (2008年08月25日 19:46)

【ネタ】
(アニメ・漫画・ゲーム)
・魔法先生ネギま!は脱がしマンガだったんだよー! (痕跡症候群)
 何を今更。てか、くまパンって覚えて祟..

Googleマップ「ストリートビュー」が、プライバシー侵害では無いかといろいろ話...

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