ストリートビューについて、グーグル株式会社は、公道から撮影していて私道や敷地内には入っていないと説明している。このことは次のように報道されている。
グーグルは「公道から撮影した画像は基本的に公開が可能と判断した」と説明。
グーグル広報部は「公道から視覚的に見えているものだけを使っている。削除要請にも個別に応じ、個人情報保護に努めている」としている。
河合氏(引用時註: グーグル株式会社地図製品担当プロダクトマネージャー河合敬一)は、画像の公開にあたっては「法律的に検討した結果、公道から撮影したものであれば、基本的には公開して構わないと考えている」と説明。(略)
撮影地点については、「撮影する道路は公道からに限っており、私道や敷地内に入っての撮影はしていない」と説明。
しかし、ネットを「公道 私道 グーグル」などでサクって*1みると、自宅が私道から撮影されていると不満を漏らす声がいくつも見つかる。また、8月16日の朝日新聞の投書欄には、「グーグル側は『人の顔はぼかし、車のナンバーは映らないようにしている』と説明しているが、大うそではないか。『公道から撮影した画像は基本的に公開が可能と判断した』ですって? うちの周りは私道です。」という声が掲載されている。 グーグル株式会社の出鱈目な広報姿勢はどんどん皆で証拠を示して指摘していけばいいところだが、皮肉にも、自宅が私道から撮影された証拠を示すには、自宅の場所か写真を公表することにもなってしまうため、せいぜい匿名掲示板に文章で不満を書くくらいのことしかできず、実態が広く周知されない状態に陥っている。(グーグル株式会社がそのことを予見しつつやっているのかどうかは知らない。)
そこでここでは、公表することによる問題が公表しないことによる問題よりも十分に小さいと考える事例について、私の責任でいくつか具体的に示しておく。
大阪北摂霊園の事例。
管理事務所に電話して確認したところ、この墓地一帯は財団所有の私有地で、ここから奥の道路は私道(市道ではなく「わたくしみち」)であるとのこと。表門の看板には「関係者以外通行禁止」と掲げており、実際、改造車愛好者らの集会で入られた際などに「何しにきているのか」と問い質し追い払っているとのこと。墓参者のための道路だとのことだ。
グーグル株式会社が許可をとって撮影した可能性もあると考えたので、管理事務所に確認したところ、「あり得ない」とのことだった。目的が明らかでないものを許可することはないし、撮影が目的であれば撮影場所を必ず確認するし、そもそも墓が写る撮影ではそれぞれのお墓の家の承諾をとらなければ許可できないとのこと。
撮影車は図2のように霊園をくまなく撮影しようと廻っており、単に誤って通過したというレベルのものではない。
そして最も高い地点まで上り詰めて、むしろ墓を写す目的で行ったのかと思われるほどの写真が撮られている。
茨木国際ゴルフ倶楽部の事例。
ゴルフ場に電話して確認したところ、このゲートより奥は私有地であり、この道路は私道であるとのこと。
撮影車はゴルフ場の奥まで進み、以下の図のように、わざわざ駐車場に入って、駐車場内をずんずん進み、駐車されている自動車群を何枚にもわたって撮り続けている。
ここでは示さないが、ストリートビューで横に向きを変えると、駐車中の自動車のナンバープレートはそれぞれ丸見えで、グーグル株式会社の河合敬一プロダクトマネージャーが言うような「識別できない」といったレベルのものではない。
河合氏は(略)米国では車のナンバープレートなどについても一部処理を行っているが、日本では解像度の問題でほとんど識別できないと思われるため、現時点では顔以外には自動的な処理は行っていないとした。
8月6日の朝日新聞報道によると、グーグル株式会社は、
グーグルは「公道から撮影した画像は基本的に公開が可能と判断した」と説明。通行人の顔は自動識別機能を使ってぼかし、車のナンバーは撮影時になるべく映り込まないようにしているという。
と言っているそうだが、どう見ても「なるべく映り込まないようにしている」というのは嘘偽りで、駐車場に入って自動車を撮りまくっている。
これが撮影作業員のミスということはあるかもしれないが、前回の日記にも書いたように、撮影作業員が誤って入った場所の他、撮影作業員が休憩に立ち寄ったコンビニのシーンや給油所でのシーンも見つかっており、撮影は全自動で行われていて、誤った撮影のキャンセル作業は行われていない。
マンションの敷地などの細かい所の私道進入をチェックで見落とすくらいはあり得るにしても、これほど明確な進入さえもグーグル株式会社はチェックできていない。「私道や敷地内に入っての撮影はしていない」というのはまるっきりの嘘っぱちではないのか。
グーグル株式会社に確認しようと、土曜日の16時50分頃に代表電話に電話してみた。すると、
こちらはグーグルでございます。ただ今の時間は、弊社の営業時間外となっております。お手数ですが発信音の後に、お名前、電話番号とメッセージを録音してください。こちらから折り返しご連絡させて頂きます。なお、電話でのサポートは行っておりません。サポートをご希望の方は、弊社ホームページよりヘルプセンターをご利用ください。
という自動応答メッセージが流れ、同じ内容の英語メッセージが流れた後、電話は切られた。「発信音」が流れることもなく、メッセージを残すことはできなかった。事故かもしれないので日曜にもう一度試したが、やはり「発信音」は流れずにブツ切りされる。
Webで文句を言おうとしても、「約87文字以下で入力してください」と、そもそも説明させないようにされている。
こんな傍若無人で噓つきな会社を放置しておいたら、この先何をされるかわかったものじゃない。
無断で入ったのかどうか私は事実確認をしていないが、進入禁止の私道に自動車で進入しているのではないかとの指摘が、他にも出ている。
*1 Webの検索サービスで検索することを「サクる」と私は言うようにしている。
高木浩光@自宅の日記 - グーグル株式会社の広報姿勢が嘘八百なことを示す事例 を読みました。
個人的には、まだ、具体的な被害を受けた認識..
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