<前の日記(2008年08月24日) 次の日記(2008年08月30日)> 最新 編集

高木浩光@自宅の日記

目次 はじめに 連絡先:blog@takagi-hiromitsu.jp
訪問者数 本日: 2175   昨日: 1295

2008年08月29日

グーグル社がゲートのある敷地内に進入して撮影した事例 その2

前回の続き。

大阪市立弘済院付属病院及び特別養護老人ホームの事例

タレコミを頂いた。豪快に敷地内に進入して撮影した事例が他にもあるという。


大きな地図で見る
図1: 当該場所とゲートの位置


大きな地図で見る
図2: 青のゲートを公道から見た様子


大きな地図で見る
図2: 青のゲートに入ろうとする位置(「南」および「東」)


大きな地図で見る
図3: 「南」に進むと敷地内を通って行き止まり


大きな地図で見る
図4: 黄色のゲートに入ろうとする位置


大きな地図で見る


大きな地図で見る

図5: 「関係車両以外の進入を禁止する」の立て札がある様子


大きな地図で見る
図6: 緑のゲートを公道から見た様子

これは「誤って入った」というものではなかろう。撮影されている通路は一筆書きのできない経路であり、積極的な意思を持って全部の道を辿ったようにしか見えない。

このようなゲートがあるところに入って撮影するという神経がよくわからない。撮影作業員はいったいどんな指示を受けていたのだろうか。迷路に入り込んだマイクロマウスのように、ひたすら路側づたいに走れとでも言われたのだろうか。

ただし、病院と特別養護老人ホームの承諾を得て撮影した可能性がないとは限らず、病院への確認はしていない。

高槻市公園墓地の事例

上の事例の周辺地域をぼんやりと見ていたら、他にも墓地に進入している事例を見つけた。

図7: 墓地の中をわざわざ巡っている様子

画面キャプチャ
図8: 入り口にゲートがあり何か立て札がある様子

立て札に何と書かれているかは残念ながら読み取れず、確認はまだしていない。

30日追記:高槻市公園墓地管理事務所に電話で聞いた。ここの道路は「敷地内道路」であり、たとえば自動車が事故を起こしても駐車場内と同様に警察は対応しにくい、そういう道路だという説明。入構を許可したか否かは本庁でないとわからないので月曜に市役所に聞いてくれとのこと。ちなみに、この管理人さんは、グーグルストリートビューというもので墓の写真が出ていることは既に本庁から聞かされているとのことだった。ほほう。

その他の事例

住宅の私有地に入っている事例もたくさん見つかるが、普通はゲートがない。集合住宅の駐車場用の通路に入った事例も数多く見つかる。ここでは、あまりに人で無しな事例を一つ挙げておく。


大きな地図で見る
図9: 行き止まりで転回のために住宅の駐車場に入りついでに写真撮影して公衆送信している事例

この先の踏切が車両通行止めのため、撮影作業員は、左側の土地に車を進入させて転回して戻ったのだと推定される*1

たしかに私たちは、ドライブ中にこうした行き止まりにたどり着いてしまった場合、やむを得ず個人宅の敷地内に入らせていただいて、車を転回させていただくことはしばしばある。入ったときそこに住人の方がいらっしゃったなら「すみません、道を間違えまして。ちょっと失礼します」くらいの声をかけて急いで転回するだろう。そこで写真をとったりすることはない。

ところがこの、グーグルの撮影作業員は、その転回に入った他人様の敷地で無断撮影したうえ、その静止画写真に洗濯物等が大きく写っているにもかかわらず、それをWebで公衆送信可能化しているのである。まるで、ドアを開けて先に通してくれる人に屁を放って行くような所業だ。

撮影作業員に常識があるなら、このような場所では撮影装置のスイッチを切ってしかるべきであるし、誤って撮影してしまったにしても、その場で削除するか後で削除できるようキャンセル用マークを付けるなどするのが当然だろう。そして、グーグル株式会社の河合敬一プロダクトマネージャーは、事前にこれをチェックすることなく公衆送信用サーバに放り込み、写真を送信可能化している。

ITmediaの記事によると、河合敬一プロダクトマネージャーは、最初に故郷の母校周辺を検索して懐かしい思いがこみ上げ「涙が出そうになった」と記者発表会で話したそうだ。その前に見るところがあるんじゃないのか。

*1 地図では左の住宅の手前にある狭い道に少し入ったように青い線が描かれているが、これは処理の誤りで、道のない所に入って撮影したためにずれた位置の道がマークされている。

本日のTrackBacks(全8件) [TrackBack URL: http://takagi-hiromitsu.jp/diary/tb.rb/20080829]
検索

<前の日記(2008年08月24日) 次の日記(2008年08月30日)> 最新 編集

最近のタイトル

2024年11月11日

2024年07月28日

2024年07月27日

2024年07月07日

2024年04月07日

2024年04月01日

2024年03月23日

2024年03月19日

2024年03月16日

2024年03月13日

2024年03月11日

2023年03月27日

2022年12月30日

2022年12月25日

2022年06月09日

2022年04月01日

2022年01月19日

2021年12月26日

2021年10月06日

2021年08月23日

2021年07月12日

2020年09月14日

2020年08月01日

2019年10月05日

2019年08月03日

2019年07月08日

2019年06月25日

2019年06月09日

2019年05月19日

2019年05月12日

2019年03月19日

2019年03月16日

2019年03月09日

2019年03月07日

2019年02月19日

2019年02月11日

2018年12月26日

2018年10月31日

2018年06月17日

2018年06月10日

2018年05月19日

2018年05月04日

2018年03月07日

2017年12月29日

2017年10月29日

2017年10月22日

2017年07月22日

2017年06月04日

2017年05月13日

2017年05月05日

2017年04月08日

2017年03月10日

2017年03月05日

2017年02月18日

2017年01月08日

2017年01月04日

2016年12月30日

2016年12月04日

2016年11月29日

2016年11月23日

2016年11月05日

2016年10月25日

2016年10月10日

2016年08月23日

2016年07月23日

2016年07月16日

2016年07月02日

2016年06月12日

2016年06月03日

2016年04月23日

2016年04月06日

2016年03月27日

2016年03月14日

2016年03月06日

2016年02月24日

2016年02月20日

2016年02月11日

2016年02月05日

2016年01月31日

2015年12月12日

2015年12月06日

2015年11月23日

2015年11月21日

2015年11月07日

2015年10月20日

2015年07月02日

2015年06月14日

2015年03月15日

2015年03月10日

2015年03月08日

2015年01月05日

2014年12月27日

2014年11月12日

2014年09月07日

2014年07月18日

2014年04月23日

2014年04月22日

2000|01|
2003|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|02|03|04|05|06|07|08|09|
2013|01|02|03|04|05|06|07|
2014|01|04|07|09|11|12|
2015|01|03|06|07|10|11|12|
2016|01|02|03|04|06|07|08|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|10|12|
2018|03|05|06|10|12|
2019|02|03|05|06|07|08|10|
2020|08|09|
2021|07|08|10|12|
2022|01|04|06|12|
2023|03|
2024|03|04|07|11|
<前の日記(2008年08月24日) 次の日記(2008年08月30日)> 最新 編集