■ 充実に向けた視点意見書を一般向けに書き直してみた
前々回では、意見書の内容をClaudeに質問して理解するデモであったが、そんなのに付き合って読む暇ないわ、ということもあろうかと思われるので、意見書を一般向けに書き直すことにし、Claudeを使って以下のプロンプトから始めてやってみた。
私:これは、個情委に提出した意見書ですが、個情委が用意した質問に答える形式で書いているため、何を言いたいのかが一般読者にはわかりにくいかもしれません。
私:そこで、全部をわかりやすい文章に書き直したいです。ご参考までに、個情委が用意した質問が含まれる「検討の充実に向けた視点」の文書はこちらです。
このようなプロンプトを何十回と指示して完成したのが以下の文書だ。これでおわかりいただけるだろうか。
高木意見書の生成AI Claude 3.5 Sonnetによる解説
はじめに
個人情報保護法の3年ごと見直しにあたり、個人情報保護委員会は「制度の基本的な在り方」に立ち返った議論を求めています。特に、「何をどのような方法で守るべきか」「個人情報の有用性に配慮しつつどのように個人の権利利益を保護するのか」といった根本的な問いかけがなされ、その検討の視点が示されました。
具体的には、本人の同意や関与を通じて個人データの利用の適正性を確保しようとする現行の仕組みの実効性、統計利用など直接的な影響が想定されない利用に対する規制の在り方、第三者提供を原則禁止とする仕組みの妥当性など、制度の基本的な前提に関わる論点が提示されています。
本意見書は、これらの論点について、データ保護法制の本来の趣旨に立ち返りながら考察を行うものです。特に、本制度の制定過程に関する文献調査を中心とした近年の研究成果に基づき、現行法における「自律的ガバナンス」への過度の依存という問題点を指摘し、より実効性のある保護の仕組みへと発展させるための具体的な提案を行います。
制度の基本的課題:「自律的ガバナンス」の限界
現行の個人情報保護法は、個人情報の適切な取り扱いを確保するため、「自律的ガバナンス」という考え方を基礎としています。この仕組みでは、事業者が利用目的を特定して公表し、本人がそれを認識したうえで開示や訂正、利用停止の請求などの関与を行います。また第三者提供時には本人同意を得ることで、データ取り扱いの適正性を確保しようとしています。
この仕組みは、データの誤りによって個人が不利益を被ることを防ぐという限定的な目的においては一定の効果を持ちます。個人データに誤りがある場合、本人がそれを発見して訂正を求めることができます。しかし、現代のデータ利用においては、この仕組みだけでは不十分です。特に、AIによる評価を用いた決定の場面や、子供のデータを扱う場合など、本人関与による適切性の確保が期待できないケースでは、より実効的な保護の仕組みが必要となります。
なぜなら、AIによる評価の適切性、特に差別的な効果を持つ決定を防ぐためには、OECDガイドラインが定めるデータ品質の原則の重要な要件である「関連性」が必要となるからです。これは、使用されるデータが決定の目的に対して関連性を持つことを求めるものです。例えば、AIを用いた人事評価を考えてみましょう。ここでは、評価に使用されるデータ項目が実際の職務遂行能力と関連性を持つのか、あるいは不当な差別につながる可能性があるのかといった判断が必要になります。
このような関連性の判断は、当事者間の自主的な解決には適していません。仮に本人が関連性のないデータ項目による差別的効果を疑い、本人開示の請求権を行使してデータ項目の構成と内容を確認できたとしても、現行法では関連性のない項目の削除を求める手段が用意されていません。また、そもそも関連性の判断には高度に専門的な評価が必要となります。
実は、このことは1970年代の時点で、データ保護法制が西側諸国で勃興した際に既に認識されていました。欧州と米国は、関連性の判断を行う専門機関の必要性を指摘していました。個人データの漏えいへの対応や安全管理措置の監督は、単なる業界規制の一環にすぎません。データの利用が個人に与える影響の適切性を判断するためには、業界の監督官庁ではない、独立した専門機関による監督が不可欠なのです。日本の個人情報保護委員会を設置する必要があった真の理由も、実はそこにあるのです。
このことは、現行の「自律的ガバナンス」の一つ目の要素である本人関与による監視の限界を示しています。そして、もう一つの要素である本人同意の仕組みにも本質的な問題があります。第三者提供や目的外利用、要配慮個人情報の取得といった場面で求められる本人同意を考えてみましょう。提供先でどのような利用がなされるのか、目的外利用の結果どうなるのか、取得された情報がどのように使われるのかは、一般に不確かです。本人の立場からすれば、同意した結果何が起こるのか見通しがつかない中で、同意するか否かの判断を迫られても適切な選択はできません。
このように、データの利用が個人に与える影響の適切性は、本人による関与や同意だけでは確保できないのです。自律的ガバナンスだけでは真の課題は解決せず、個人情報保護委員会の介入が必要なのです。そして、そのために、データ品質の原則(OECDガイドライン第2原則)の法制化が必要なのです。
データ品質の原則の法制化の必要性
現行法は、データの正確性として、データが事実と合致しているかという狭義の意味での正確性のみをカバーしています。しかし、データ品質の原則には、使用目的に照らして妥当な決定を可能とする広義の正確性や、決定目的との関連性、さらには完全性(EU法でいうadequacy)といった要件が含まれます。これらはいずれも、OECDガイドライン第2原則が定めるデータ品質の原則の重要な構成要素なのです。
データ品質の原則を法制化することで、個人に対する評価・決定の適切性を確保するための明確な基準が設定されます。特に重要なのは関連性の要件です。これは、個人に対する決定に使用されるデータが、その決定の目的に対して関連性を持つものに限定されることを要求します。関連性要件は、不当な差別を防止するための基準として機能します。
個人データの取扱いの正当性を裏付ける基準として、現行法の不適正利用禁止規定の解釈を明確化する方向性も考えられます。しかし、この規定には本質的な限界があります。令和2年改正当時、AIやプロファイリングによる不適切な決定を防ぐための規律として構想されましたが、どのようなプロファイリングが禁止されるべきで、どのようなプロファイリングなら許されるべきか、その基準を示すことができませんでした。そのため法制局予備審査の過程で当初の構想とは異なる規定となり、本来目指していた不適切な評価・決定の防止という目的は達成できていません。
この問題に対する解答は、実は1980年の時点で既に用意されていました。最近の研究により、OECDガイドラインのデータ品質の原則に、プロファイリングの適切性を判断する基準が組み込まれていたことが明らかになりました。データ利用の適切性は、使用されるデータ項目が決定の目的に対して関連性を持つか否かによって判断されるべきなのです。
本人関与の新しい在り方
データ品質の原則の法制化は、本人関与の仕組みを否定するものではなく、むしろ両者は相互に補完し合う関係にあります。特に、データ品質の原則における関連性要件の履行を確保する上で、本人関与は重要な役割を果たします。具体的には、本人が開示請求を通じて使用されているデータ項目を確認し、関連性のない項目が使用されていることが判明した場合に、その項目の削除を求めることができるという、利用停止請求権の拡充が必要です。現行法ではこのような請求は認められていないため、関連性要件の法制化とともに、利用停止請求権の要件も見直す必要があります。
ただし、このような本人関与が実効性を持つためには、本人が理解できる説明が不可欠です。特に、「社会におけるモニタリングを通じて規律される」ためには、利用目的が公表されているだけでなく、決定の目的に対する関連性を判断できる程度に、決定の目的と使用するデータ項目の一覧までもが公表される必要があります。
より正確には、まず、利用目的は個人に対する決定を伴うか否かの事実、決定を伴う場合はどのような決定の目的であるかを明らかにする必要があります。その上で、決定を伴う場合に限り、決定に使用するデータ項目の一覧を公表する必要があります。決定のロジック(アルゴリズム)の開示も検討に値する選択肢であり、営業上の秘密との関係など考慮すべき課題はありますが、透明性確保の観点から重要な論点となります。
このように、個人情報保護委員会による専門的な判断と監督という制度的な保護と、本人自身による開示請求や利用停止請求を通じた関与という二つの側面を組み合わせることで、より実効性の高い保護が可能となります。本人による開示請求等は、個人情報保護委員会による監督のきっかけとしても機能し、両者が相まって評価・決定の適切性確保という目的の達成を支えることになります。
統計利用等における本人関与の必要性
これまで述べてきた本人関与による規制の仕組みは、個人データの利用が個人に対する評価・決定を伴い、その結果として個人の権利利益への影響が具体的に見込まれる場合に必要とされるものです。これに対して、統計的な分析など、個人への直接的な影響を伴わない利用については、本人関与による規制の必要性は低くなります。
しかし、現行法の民間部門では、統計目的での第三者提供であっても本人同意を原則として要求しており、これは過剰規制となっています。統計目的の利用であれば第三者提供時の本人同意は不要とすべきですが、その際には、確実に統計目的に限定されることを担保する仕組みが必要です。具体的には、第三者提供時の利用目的拘束の仕組みを設け、データの転々流通を防止する規律を前提として、「第三者提供を禁止する必要のない類型」とすることが妥当です。
その上で、本人への影響を伴わないことを確実に担保するために、二つの要件を課すべきです。一つは、提供されるデータを仮名化することです。もう一つは、そのデータを個人に対する決定に用いることを禁止することです。このような保護措置を前提とすれば、本人同意を不要とすることができます。このような保護措置は、令和2年改正で導入された学術研究の例外規定の解釈にも示唆を与えます。同規定は「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除く」としていますが、これを具体化すると、結局のところ決定利用を禁止することに帰着します。
なお、統計目的での利用であっても、漏えい事故のリスクは残ります。特に深刻なのは、一生分に渡る長期間の医療・健康データが集中的に蓄積されるケースです。こうしたデータは仮名化されているとはいえ、漏えい時の影響は極めて甚大なものとなります。このような場合には、補完的な保護措置として、本人同意を求めるかオプトアウトの機会を提供することも検討に値します。ただし、これはあくまでも補完的な措置であって、本質的には上記の利用目的の制限と決定利用の禁止によって保護を図るべきです。
要配慮個人情報規制の問題点
現行法における要配慮個人情報の規制は大きな問題を抱えています。現在の制度は、特定の情報カテゴリーを列挙し、その取得に際して本人同意を要求する方式を採用していますが、これは本質的な解決にはなりません。
本来、データ保護法の趣旨は、特定の属性による差別を防ぐことではなく、あらゆる関連性のないデータ項目による決定を「差別」として排除することにありました。しかし日本の個人情報保護法は、データ品質の原則に対応せず、平成27年改正まで法目的に差別防止の趣旨すら含んでいませんでした。その結果として、要配慮個人情報という限定列挙の規定を設けることで、差別防止の趣旨をカバーする体裁をとることになったのです。
このような列挙方式による規制には重大な限界があります。まず、代理差別(proxy discrimination)による差別的効果(間接差別)を防ぐことができません。この問題に対し、要配慮個人情報に相当する情報を他のデータから推知して生成する場合も要配慮個人情報の取得とみなすべきだとする意見も見られます。しかし、このような解釈を採用しても、限定列挙された法的保護属性への代理差別しか防ぐことができません。データ保護法は、1970年代の時点から、このような列挙方式ではなく、あらゆる関連性のないデータ項目による決定を「差別」として、その排除を目指していたのです。
要配慮個人情報の定義には「不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する」という文言が使われています。しかし、ここでいう「差別」の意味について誤解が広がっています。本来この「差別」とは、すべての「不合理な区別」を指す概念です。これは日常語でよく使われる差別感情(集団に対する嫌悪や蔑視、排他の感情)や、特定の集団に対する社会的な烙印(スティグマ)とは異なるものです。しかし「偏見」という語が併記され、さらに「差別につながる」「差別を助長する」といった表現が使われることで、人間の感情や偏見に基づく差別行為を想定した規定であるかのように誤って理解されています。この規定が本来意図しているのは、データに基づく不合理な区別の防止であり、その趣旨を明確にすることが必要です。
さらに、本人同意を要件とする現行の規制方式は、同意の形骸化を招いています。同意を得られなければ取得できないとする規制は、往々にして形式的な同意取得の慣行を生み出し、実質的な保護にはつながっていません。
これらの問題に対処するためには、データの種類による規制から、データ項目の決定目的との関連性に着目した規制へと転換する必要があります。そのための具体的な方策として、データ品質の原則、特に関連性要件の法制化を通じて、不当な差別的取扱いを防止する明確な基準を設けることが求められるのです。
識別子の問題への対応
端末識別番号やCookie情報などの新しい識別子への対応については、単にそれらを情報の類型として規制すると、保護が過剰となったり不十分となったりする問題が生じます。これらの識別子自体を規制対象とした場合、決定利用を伴わない単なる広告表示まで過剰に規制することになってしまいます。また、識別子を類型的に列挙する方式では、新たな技術によって生み出される識別子への対応が困難です。
重要なのは、事業者がその識別子を用いて収集した個人データに基づいて個人に対する決定(決定利用)を行うことを予定しているか否かという点です。また、事業者自身が決定利用を予定していない場合であっても、提供先で決定利用が行われる可能性がある場合には、その提供行為も規律対象としなければなりません。
そもそも「個人を識別することができる」とは、個人を個人別に異なって扱うことができる状態を意味します。決定利用はまさにそのような個人別の異なる取扱いであり、そのための識別は個人別に異なって扱うための手段に他なりません。したがって、決定利用に供される情報は、必然的に「個人を識別することができる」情報として処理されることになります。このような理解に基づいて規制対象を、体系的に構成された個人に関する情報のうち決定利用され得るものとすることで、その利用目的と個人への影響に着目した、必要十分な保護を実現することができます。
なお、個人別の決定を伴わない、全員に同じ広告を表示するだけの利用については、本来の保護法益である「個人データ処理による個人に対する評価・決定の適切性確保」という観点からは規制の必要性は低く、むしろ「勧誘拒否の利益」といった別の観点からの検討が必要となります。
クラウドサービスとAIの課題
データ処理環境の変化は、法制度の前提を大きく揺るがしています。まず、IaaS・PaaSなどの基盤的なクラウドサービスについては、個人データを預かってはいるものの個人データ処理自体は行わないとされますが、そのサービスに起因して個人データの漏えい事故が発生する可能性があります。現行法では、このような場合のクラウド事業者の責任が明確ではありません。個人データ処理の委託にも当たらないため、クラウドサービス事業者の責任を問えない状況が生じているのです。
さらに、個人データ処理を行うSaaSの場合、クラウドに起因する漏えい事故への責任の所在が問題となります。現行法では委託先の監督義務が課されていますが、実質的にはクラウド事業者が圧倒的な優位性を持っており、利用者による実効的な監督は現実的ではありません。利用者は事業者が提供する標準的な契約条件や安全管理措置を、そのまま受け入れざるを得ない状況にあります。
SaaSの機能自体が、データ利用の適正性の観点で不適切な決定を生じさせる問題も存在します。たとえば雇用や与信の決定を行うSaaSにおいて、決定ロジックに特定の属性による不当な差別が含まれたり、決定に用いるデータ項目が決定目的との関連性を欠いたりすることがあります。現行法ではこのような機能の適切性を監督する制度が確立されていません。このような問題は、クラウドサービスだけでなく、AIを含むソフトウェア製品全般にも当てはまります。これは、製品やサービスの機能自体の適切性をどのように確保するかという、より広い課題として捉える必要があります。
AI規制との関係
AIによる評価・決定の適切性確保は、データ保護法制の重要な課題です。この点について、EUのGDPRや米国のPrivacy Act of 1974は、公平性確保のためのデータ品質原則、特に関連性要件を備えています。これにより、AIによる評価を用いた決定においても、使用されるデータが決定目的との関連性を持つことが要求され、不当な差別的取扱いを防止する枠組みが確立されています。そのため、EUにおけるAI規制では、個人データに係る公平性の問題については、GDPRという既存のデータ保護法制で対応できることを前提に制度設計が行われています。
一方、日本の個人情報保護法は関連性の要件を法制化していません。そのため、AI規制が問題とする公平性の確保を制度的に担保することができず、AIによる評価・決定が不当な差別的効果をもたらす場合であっても、それを規制する明確な法的根拠が存在しません。このことは今後のAI規制に大きな影響を与えます。個人データに係る公平性の問題も含めて新たな規制の枠組みを設ける必要が生じ、AI時代における個人の権利利益の保護に重大な課題を突きつけることになるのです。
この状況を改善するためには、法目的に公平性の概念を明示的に導入し、データ品質の原則を法制化する必要があります。そのうえで、AIによる評価・決定の適切性を確保するための具体的な基準を設けることで、データ保護法の本来の趣旨に沿った制度としての機能を取り戻すことができます。
第三者提供規制の見直しと個人情報ファイル概念の導入
現行法では利用目的について大まかな特定で足りるとされています。しかし、その結果として第三者提供を原則禁止とせざるを得ない状況が生じています。この規制の背景には、平成15年法の立法時に、急激な新規制の導入に伴う事業者への配慮として、利用目的を特定する義務を、大まかな特定で構わないとされた結果、その代わりに第三者提供を原則禁止とせざるを得なかったという経緯があります。
この状況を改善するためには、第三者提供時の利用目的拘束の仕組みを導入し、提供先での利用目的を明確に限定することが必要です。これにより、「契約の履行」に基づく場合に相当するような、限定された特定の利用目的の場合に限って、第三者提供を禁止する必要のない類型とすることが可能となります。
このような利用目的拘束の仕組みを実現する一つの方法として、公的部門で用いられている個人情報ファイル概念を民間部門にも導入することが考えられます。個人情報ファイル概念を導入することで、事業者は、個人データの利用の実態をファイル単位で把握・管理することが可能となり、より詳細な利用目的の特定とその拘束を実現することができます。
このように、利用目的拘束の仕組みの導入と、それを支える基盤としての個人情報ファイル概念の導入は、現行の過剰な規制を適正化し、必要な個人データの流通を確保しつつ、その適切な取扱いを担保するための重要な制度改革となります。この改革は、事業者の実態に配慮しながら段階的に実現していくことが可能です。具体的には、従来の「個人情報データベース等」の概念も残しつつ、現状維持で足りる事業者はそれを継続利用し、第三者提供の柔軟化を必要とする事業者が個人情報ファイル制度に移行していくという形で、実効性のある制度への転換を図ることができます。
今後の課題と展望
この制度改革の実現には、個人情報保護委員会による積極的な監督と本人関与という、二つの柱による監視の仕組みの確立が重要です。これは、現在の「自律的ガバナンス」重視の制度から、より実効性のある制度への転換を意味します。
個人情報保護委員会は、子供データや生体認証データなど、特定の情報類型について追加的な規制の要否を検討課題としています。しかし、前述のように、情報の種類による規制には本質的な限界があります。単に新たな規制カテゴリーを設けるだけでは、実効性のない形式的な規制に終わってしまう恐れがあります。まずは制度の基本的な在り方を見直す必要があります。
例えば子供データの問題は、本人関与による保護の限界を示す典型例です。子供本人による適切な判断や関与を期待することは現実的ではなく、また保護者による関与にも限界があります。このような特性を持つ子供データの保護には、本人関与に依存しない制度的な保護の仕組みを整備することが不可欠です。
具体的には、まず子供データの処理を個人情報保護委員会による監視監督の重点対象とし、積極的な介入を可能とする制度設計が必要です。さらに、子供データを扱うことの多い地方公共団体については、マイナンバー法で導入された特定個人情報保護評価と同様の規律の導入を検討すべきです。これは、EUのGDPRにおけるデータ保護影響評価(Data Protection Impact Assessment: DPIA)に相当する仕組みであり、データ処理が個人の権利利益に及ぼす影響を事前に評価し、必要な保護措置を講じることを求めるものです。このような制度的な保護の仕組みこそが、自律的ガバナンスの限界を超えるために必要な方策なのです。
個人情報保護法は、単なる情報の取扱いルールから、個人に対する評価や決定の適切性を確保するための包括的な制度へと発展していく必要があります。
まとめ
本意見書では、個人情報保護法の3年ごと見直しにあたり、個人情報保護委員会が提起した「制度の基本的な在り方」に関する根本的な問いかけについて検討を行いました。
現行法は本人の同意や関与を通じた「自律的ガバナンス」を基礎としています。しかし、特にAIによる評価・決定が普及する現代において、この仕組みだけでは十分な保護を実現できません。データ保護法が本来目指してきた方向性に立ち返り、OECDガイドラインが定めるデータ品質の原則、特に関連性要件を法制化し、個人情報保護委員会による専門的な監督と本人関与という二つの柱によって、個人に対する評価や決定の適切性を確保する制度へと発展させる必要があります。
また、統計目的での第三者提供については、現行の本人同意原則から、決定利用の禁止等の適切な保護措置を前提とした柔軟な制度へと転換すべきです。要配慮個人情報についても、情報の類型による規制から、データ項目の決定目的との関連性に着目した規制へと転換が必要です。
第三者提供規制についても、利用目的拘束の仕組みと「個人情報ファイル」概念の導入により、より適切な制度設計が可能となります。この改革は、従来の「個人情報データベース等」の制度との併存を図りながら、段階的な移行を実現できます。
このように、個人情報保護委員会が問いかけた制度の基本的な在り方に関する論点は、いずれもデータ保護法制の本質に関わるものでした。今回の見直しを機に、個人情報保護法を単なる情報の取扱いルールから、デジタル社会における個人の権利利益の実質的な保護を実現する制度へと発展させることができるのです。
おわかりいただけただろうか。
この文書は全自動で生成されたわけではなく、以下の手順で生成された。出力は省いてプロンプトだけ示しておく。
私:これは、個情委に提出した意見書ですが、個情委が用意した質問に答える形式で書いているため、何を言いたいのかが一般読者にはわかりにくいかもしれません。
私:そこで、全部をわかりやすい文章に書き直したいです。ご参考までに、個情委が用意した質問が含まれる「検討の充実に向けた視点」の文書はこちらです。
私:いや、わかりやすく書き直したいのは、1つ目の文書です。
私:箇条書きではなく、論述にしたいです。言いたいことの事項だけでなく、なぜそうなのか、までわかるようにしたいです。
私:悪くないですが、細かな論点が欠落しているようです。もっともっと長くなってもいいので、ガッツリ論述してください。
私:もっと長くしていいですよ。後ろの方、根拠を端折ってますよね。
私:箇条書きは不要です。
私:お願いします。
私:少しずつ直していきたいと思います。まず、最初の「自律的ガバナンス」の限界のところですが、「同意や関与」のところ、同意と開示等を合わせて「関与」という関係なので修正が必要です。また、「単純な誤りや不完全さ」は対象が不明ですが、対象はデータです。誤りの訂正の対象は「個人情報」ではなく「個人データ」としたほうがいいです。
私:お願いします。
私:OKです。次の章「データ品質の原則の法制化の必要性」は、「本当に必要で関連性のあるもの」とありますが、必要性と関連性は別の概念であり、この記述だと、同じ概念を言い換えたものと誤解する人が出そうですので直したいです。
私:OKです。次の章「本人関与の新しい在り方」は、出だしの「ただし」が接続としてやや不自然な気がします。また、「このように」以下は、やや説明不足ですね。独立した監督機関による監視は前の章の話なので、文脈を追えない読者がいそうです。
私:OKです。しかし、追加したいことがあります。意見書の「本人関与の前提として本人が理解できる説明のあり方」から始まる部分の要素をこの章に組み込むと良さそうです。
私:「難しい面」の話は尻切れな感じがあるので、あまり詳しく書かずに誤魔化したほうが良さそうです。
私:否定的に終わると読者が謎に思ってしまうので、考慮する課題はあるが検討に値するという順にしてはどうでしょうか。
私:いいでしょう。次の章「要配慮個人情報規制の問題点」は、もう少し長く書いたほうが良さそうです。
私:スティグマが登場する2つの段落は、繰り返しが多いですね。1つの段落に統合できるのでは。それから、元案にあった、同意の形骸化、転換の必要性の話が消えてしまったのは復活させたほうがいいです。
私:2点。まず、「……差別として理解されがちです。」で終わるのは段落の趣旨が分かりにくいです。誤解の話ばかり書かれていますが、正しくはどうだということを明確に言う必要があります。もう一つは、最後の段落で、「これらの問題に対処するためには、」以下は、全体の話なので段落を変えたほうがいいですね。
私:偏見のところの段落はまだ分かりにくいかなあ。単純に日本語として改善の余地があります。
私:いいですね。さすがです! 続いて、次の「クラウドサービスとAIの課題」の章以降、先ほどの「箇条書きを避けて論述形式で書き直し」以降をベースに直していきますが、まず、クラウドのところは、
・「個人データ処理を行わない場合であっても、そこに起因して漏えい事故が発生する可能性があります」のところ、漏洩するのが個人データであることを書いたほうがいいです。(個人データが含まれていても「個人データ処理を行わない場合」があることを前提としています。)
・「高度な技術と管理能力持っており」のところですが、能力の問題というよりも、力関係のようなものです。
・「SaaSの機能自体が」の段落は、2つのことを言っていて、どちらも重要なのに簡潔すぎて読者には理解が追いつかなそうです。
私:いいですね。1点だけ。1つ目の段落が日本語的にまだこなれていないです。
私:OK。次の段落「AI規制との関係」ですが、内容的にはOK、もう少し長くしましょうか。「引き受けることができません」の表現で言いたいことが書けていないかな。
私:うーん、ChatGPTの件を入れたのは(説明が足りないので)分かりにくくなりました。そこは省きましょう。「引き受けることができません」の表現で言いたいことは、EUのAI規制では個人データに係るものはGDPRでカバーしているという背景があって、日本でのAI規制ではそうはいかないよ!ということです。
私:内容的にはOK、第1、第2段落がまだやや文章的にこなれていないかな。
私:OK、次に「識別子の問題への対応」の段落ですね。以下の点を改善したいです。
・「不十分」というよりは、過剰と過小が生じるということかな。(後ろの段落の説明を鑑みると。)
・「予定しているか否か」が重要なのは、まずはその通りなのですが、続く文の「たとえ」以下は、予定していない場合の話なので、前の文に追加の話ですよね。このままの表記だと、前の文の説明のように読めてしまい、読者は混乱しそうです。
・「……規制が求められます」のところは、このように規制すれば丁度良くなる(過剰、過小が生じない)ということをいいたいので、そこをうまく書きたいですね。
私:以下の点を修正しましょう。
・データの類型→情報の類型。なぜなら、データは体系的に構成されたものを指すからです。否定する施策には「情報」を使い、肯定する施策には「データ」を使います。
・「影響を及ぼす」「異なる扱い」「決定利用」の語は同じことを指している概念であり、全部使うのもOKですが、読者には違う概念のように読まれかねないので工夫したいです。
・「このように」以下ですが、体系的なものに限る理由がまだ説明されていないので、このままでは理解されません。
私:うーん、上手く直りませんでした。ここは元の意見書には情報が不足していますかね。
私:意見書の該当部分を改めて抜粋しました。一応、理由のロジックは書かれているなあ。
私:もう少し長く書いてみてください。
私:うーん、以下の点を修正したいです。
・「逆に、」以下はその理由ではなく、限定列挙だと他の識別子に対応できないからです。
・「その情報を用いて個人に対する決定」のところ、ここは「データ」で書きます。識別子自体は情報ですが、識別子を用いて収集されたレコードはデータであり、それを使って決定が行われ得る場合を問題にしています。
・「なぜなら、一旦……」のところもその理由ではないです。意見書には理由が書いていないので、ここは理由なしにしましょう。
・「retrieval識別子」はこのままだと読者にはわからないですね。また、必然的なのは、体系的であることだけでなく、「個人を識別することができる」に該当することについてもです。そこも強調したいところです。
私:うーん、イマイチです。重複もあります。やや長すぎるかなあ。
私:・「一律に規制すると」というより、「それ自体を規制すると」ということかな。
・「個人を特定して検索・参照する」のところ、「特定」の語を用いると話がややこしくなるので避けたいです。意見書の注25「そもそも、……」が参考になりませんか。
・必然的であるのは、異なって扱うことが識別に他ならないという点であって、「体系的に」が必然的かは、意見書には書いていないなあ。
私:概ねOKです。また後で再検討しましょう。
次の章「統計利用と研究利用の取り扱い」ですが、全体的によくないです。この章は、統計・研究利用がOKである前提で、安全管理やオプトアウトの必要性を論じていますが、この意見書ではそれ以前に、現行法が統計目的の第三者提供を同意原則にしていることを問題視しています。意見書の前の方に書かれているはずですが、そこをスキップしていますかね?
私:そうしましょう。これまで作ってきた恒星のどこに差し込むのがベストですかね。
私:それがいいですね。すでに書いた部分への影響はないでしょうか。
私:ではその構成でいきましょう。新しい章を書いてみてください。
私:素晴らしい。一発でOKです。そうすると、残りの章(まだ書いてないもの)は何でしょうか。
私:そうですね。あと、冒頭に導入の章が必要かもしれません。
私:どうだろう? 想定する読者からすると敬遠されてしまう要素にもなりそうです。それよりも、個情委の問いに答えるものであるという要素が重要では?
私:概ねいいですが、まだ改良の余地がありそうです。こちらは、その個情委の問いかけの文書です。これに対する意見書であることを理解すると、上手く書けるのでは。
私:素晴らしい。完璧ですね。では、後ろに付け加える残りの章を書いてみましょう。
私:素晴らしい。必要なことは書かれていますね。無理して短くしているなら少し文章量を増やしてもいいかもしれません。あるいは、この「展望」の章の後に、まとめの章を加えるという構成も考えられ、その場合は重複を避けたいところですが、どちらの構成が良いでしょうか。
私:2番目がいいですね。その前提で、「公平性の確保と制度の透明性」と「今後の課題と展望」について、無理して短くしているなら少し文章量を増やすことを検討してみてください。
私:ちょっと長いかなあ。意見書に書いていないことまで書いてますよね?
私:うーん、では、まとめを生成する前に、これまでに作った各章の最終盤をつなげて全体を生成してみてください。それを再検討しましょう。
私:続けて。
私:続けて。
私:続けて。
私:続けて。
私:続けて。
私:続けて。
私:続けてみましょう。その際に、重複感がないかに気をつけて、先ほどの案が重複感があるようであれば、是正してください。
私:概ねいいですね。「契約の履行」のところ、意見書では「個人情報ファイル概念を民間部門へ導入する」と書きながら「準備に時間が足りず、説明文は未記載。」としていたところが、実はその実現方法なのです。それが解決方法の一案であることを軽く記載できますか。
私:内容と見出しが合っていないですね。意見書のどのパート(個情委のどの問いかけへの応答)から拾っているのですかね。
私:見出しは良さそうです。内容的には上の方とは重複しておらず、元の問いかけの3つ目が最後の方に来たということですかね。順番を変えたのは問題ないです。読者にわかりやすい順序がいいので、この順序で良さそうですかね。ただ、この内容にするなら、分量的に短すぎる気がします。
私:概ねいいですが、以下の点を直したいです。
・利用目的拘束は重要な要素です。この書きぶりだと、個人情報ファイルを導入することで結果的に得られる一要素のように読めてしまいます。むしろ、第1段落の問題を解決するために利用目的拘束がまず必要であり、それを現行法の改正で段階的に可能にしていく方法の一案として個人情報ファイルの導入があるという関係と理解するのが正しいです。
・ファイル単位にすることで関連性の判断がやりやすくなるのは事実ですが、ここの話からは外したほうがよさそうです。
私:概ねいいですが、「段階的に実現」は、そこに書くより最後の段落に書く内容かと。
私:OK。最後の章「今後の課題と展望」は先ほどのままとして、「まとめ」を書いてみてください。
このまま続けると、length limitが来てしまいそうだし、文脈の把握が怪しくなりそうなので、ここで一旦この会話を終了し、分割して出力された最終版を、手作業でWord文書に貼り付け、新たな会話を開始して、そのWord文書を対象に修正を検討していった。
私:これは先ほどClaudeに書いてもらった文書です。内容は概ねこれで良いので、文章的な改善をしようと考えています。まずは、内容を把握してください。
私:その前に次の点を把握してください。この文章は、私が作成した元の意見書(添付します)を、先ほど以下のプロンプトでClaudeに書き直すように指示して生成させたものです。
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これは、個情委に提出した意見書ですが、個情委が用意した質問に答える形式で書いているため、何を言いたいのかが一般読者にはわかりにくいかもしれません。そこで、全部をわかりやすい文章に書き直したいです。
私:まず、元の意見書と書き直した文章とを比較して、内容的に食い違っている点がないか、検証してみてください。
私:では次に、日本語的な再検討です。Claude生成なので誤字はないはずですが、同じ表現の繰り返しが見られたり、接続が悪かったりするところがあったような気がします。その点に注意して、改善の余地のある箇所をリストアップしてください。
私:お願いします。
私:ですます調をである調に変えてしまうと、変更しない部分と混在してしまいますよ。それから箇条書きはやめたいです。
私:うーん、1の修正は必要なのですかね?2の部分の修正は良い修正でした。3の部分もそうですね。
私:そうしましょう。まずは、必要な修正箇所の列挙からお願いします。
私:いずれも良い修正です。これらを反映した文書の全体を生成できますか?
Claude:申し訳ありませんが、文書全体を一度に生成するのは難しいかもしれません。その理由は:
- 文書が非常に長く、一度の応答で全体を生成すると、品質管理が難しくなる可能性があります。
- 部分的な改善を積み重ねていく方が、より確実な改善が期待できます。
提案としては、以下のような進め方はいかがでしょうか:
- まず文書を3-4のセクションに分けて、順番に改善を加えていく
- 各セクションごとに改善案を確認いただく
- 最後に全体を統合する
具体的には以下のようなセクション分けを想定しています:
セクション1: はじめに 〜 データ品質の原則の法制化の必要性
セクション2: 本人関与の新しい在り方 〜 統計利用等における本人関与の必要性
セクション3: 要配慮個人情報規制の問題点 〜 クラウドサービスとAIの課題
セクション4: 第三者提供規制の見直し 〜 まとめ
このような進め方についてはいかがでしょうか?
Claudeは長文の出力が苦手な様子なので、修正結果の管理は人力でやることにした。
私:OK、こちらで編集したWordを再度添付しようと思いますが、どうですか。
Claude:はい、それが最も確実な方法だと思います。元の意見書と今回のClaudeの生成文書をベースに、人間の目で編集したWordファイルを添付していただければ、それを基に文章の改善作業を進められます。その場合:
- 添付されたWordの内容をベースに
- 先ほど確認した改善点を反映しつつ
- さらなる改善点も見つけながら
作業を進めることができます。お手数ですが、編集済みのWordファイルをご提供いただけますでしょうか。
私:これが、先ほどの修正案を反映させた原稿です。なお、一部、存在しない箇所がありました。「決定のロジック」の箇所は元原稿にその通りの文はありませんでしたので、反映していません。もう一つも、部分的にしか存在しない箇所があったので、そこはうまく合わせておきました。
私:まず1.について精査してください。
私:あまり重要な直しではない気がしますが、どうですか。
私:それでは、先ほどの2.について検討してください。
私:いずれも良い修正です。採用しておきます。2.の観点の修正候補はその3つだけですか。
私:良い修正ですね。もう他にはありませんか。
私:7と9はニュアンスが変わってしまうので不採用です(原因として、7は元の個情委ペーパーの文脈を踏まえていないからのようです)。8は採用です。だいぶ無理も出てきたのでこの観点は打ち止めですかね。
私:長文の検討に移りましょう。
私:良いですね。1つ目の段落には問題点を見つけましたが、内容的な問題です。その修正は後でやります。続けて、同様の長文の問題は見つかりますか。3の修正はそのままでは採用できません。第1文は「場合も」のところでニュアンスが違って読まれてしまいます。「もともと異なる方向」というのも、何と異なるのか?という点で変です。
私:素晴らしい。いいですね。先ほどの4.のところも、微妙にニュアンスが違ってきています。原因は、元の意見書の説明が十分でなかったのだろうなと思います。
私:そのようですね。言いたかったことは、個人識別性の解釈についてです。日本法の通説的には指名到達性のようなことが言われますが、それは間違っているぞというのが意見の背景にあり、じゃあどのようにして個人識別該当性が定まるのかといえば、決定利用が可能な場合、言い換えれば、個人別に異なって扱うことが可能な状態であれば、それを「個人を識別することができる」と言うのだ(初めからそうだったのだ)ということなのです。
私:悪くないですが今一歩です。特に第1の文も合わせて直す必要を感じます。
ここで一旦、修正をWordに反映し、人力で全体を読み直してみると、直したいところがいくつか見つかった。プロンプトでそれを指摘していくのは面倒だなというところ、Wordのコメントに直接、指摘を記入すれば良いのではないか?と気づき、やってみたところ、ちゃんとコメントを読めるようだった。最初からこうすればよかったとも言える。
私:OKです。以上を反映させた版を作成しました。1つだけ原文に存在しなかった修正があった(おそらく、他の原稿と混同が生じたのが原因)のでそこは無視しました。
私の方で、反映させた版を精読して、直したいところにコメントを記入しました。このコメントに従った修正をお願いしたいです。
Claude:はい、ご指摘の多数のコメントを確認しました。大きく以下のような課題が見られますね:
- 内容の正確性に関する問題
- コメント#0: 「不完全さ」を含めることで矛盾が生じている
- コメント#1,2,3: 関連性要件に関する説明の構造の問題
- コメント#4: 正確性の概念(狭義/広義)の説明が不足
- 論理展開の明確化が必要な箇所
- コメント#8: 要配慮個人情報規制の問題の背景説明が不十分
- コメント#9: 「確かに」の使用による論理構造の不明確さ
- コメント#10: 「表示」に関する文脈の唐突さ
- より詳細な説明が必要な箇所
- コメント#5: 利用停止請求権の改正の必要性
- コメント#12: 段階的実現の具体的説明
- コメント#13: 子供データに関する説明の不足
- 用語・表現の統一性
- コメント#14: 「両輪」と「二つの柱」の不統一
- コメント#16: 「判断」と「決定」の使い分け
- まとめの改善
- コメント#17,18: まとめ部分の薄さと、単なる繰り返しになっている問題
これらの問題点に対する具体的な修正案を作成していきましょうか? 特に優先順位の高い部分から始めたいと思いますが、どの部分から着手すべきでしょうか?
私:変更が大きくなりそうなところから始めましょうか。
私:子供データの関係は、元の意見書を見てもらうとわかりますが、「自律的ガバナンス」の限界と強く関係しています。
私:それがいいですね。1.で子供について触れる際に、分量は少なくて十分伝わると思います。2.で再び子供データについて触れる際に、元の個情委ペーパーが、子供データをどうするべきかとか、他の情報類型をどうすべきかと問うているのを受ける形で、理論のないいい加減な規制はやめるべきという意見書の指摘を入れて、触れるのがいいのではないかと思います。
私:概ね良いです。1の方は、コメント#1も同時に対応したのですね。「不完全さ」をカットし、「例えば」以下をカットしていますね。「例えば」以下は、「例えば」の語だけカットして、「個人データに誤りがある場合……」は「一定の効果」の話として残した方がいいです。
私:OKです。2については、「子供データなど特定の情報類型」のところ、子供以外も例に挙げたいですね。意見書では「やったふりだけの実効性のない規制」として批判しています。
私:概ねOKです。特定個人情報保護評価が唐突に出てくるので、意見書から「介入の対象として子供データの処理を重点的に監視監督すること」も広い、さらに特定個人情報保護評価を提案する流れにして、特定個人情報保護評価はGDPRでいうDPIAに相当するものだという補足を入れてはどうでしょうか。「特定個人情報保護評価」はマイナンバー法の法定用語ですが、「影響」の語を外しているのでImpactの意味が消失しているという問題もあるので、うまくそこのニュアンスも入れ込みたいです。
私:よいですね。では次に行きましょう。コメント#2,3,4を検討しましょう。
私:概ね良い直しです。「要件」という言葉の使い方がちょっと変です。データ品質の原則の1つの要件(requirement)ですね。
私:OKです。「……専門的な評価が必要となります。」に続く段落は修正なしという想定でしょうか。
私:いいですね。素晴らしい。では次へ行きましょう。大きな変更が必要な箇所の残りは、コメント#8,9のみですかね。
私:いいですね。素晴らしいです。続く段落は修正は不要ですかね。コメントは入れていませんでしたが。
私:うーん、ニュアンスが違ってしまった。ここで言いたいことは「差別」概念が、差別感情やスティグマのことではなく、不合理な区別の方の意味であるということ、そこに誤解が生じているということだけで、限定列挙か関連性のない全てなのかという点はここでは言わない方がいいです。論理が混乱します。
私:微調整のみのほぼ元のままですね。前の段落からの流れとしても、大きな修正は必要なかったということでしょうか。
私:OK、では残りのコメントを検討しましょう。ここまでの修正を反映させた版です。コメントは先ほどの残り分です。
私:まとめのところは後にしましょう。1の修正、概ねOKですが、「具体的には、本人が開示請求を通じて使用されているデータ項目を確認し、関連性のない項目が使用されていることが判明した場合には、その項目の削除を求める利用停止請求権の拡充が必要です」は、「利用停止請求権」がどこまでを指しているのか読み取りにくいですね。「……という」を入れたり、読点の調整が必要そうです。
私:OKです。残りの2,3,4,5の修正確認もしました。OKです。「個人情報データベース等」のところは「「個人情報データベース等」」と鉤括弧を入れておきました。
私:お願いします。
ここで、変更箇所が多くなる問題点があったので、直接Wordファイルを直して、変更履歴の機能を使ってみた。Claudeにもちゃんと変更履歴が見えるようだ。人間の編集者あるいは共著者とやりとりするのと同じようにできるわけだ。
私:OKです。以上の修正を施した版を添付します。
「判断」の語の使い方について、他の箇所でも多く現れ、用法に問題があったので、数が多いので直接修正を入れました。変更履歴は見えていますか。修正の趣旨としては、「評価」「判断」「決定」はそれぞれ別の概念としており、評価をしても決定を行わない場合(統計量に集計する場合がそれに該当)は問題視しない立場から、「評価や決定」という表記を避けて、「評価・決定」と書いています。その意味は、「評価をし決定をする」の意です。「決定」のみでは意味が理解されにくいところにその表記を用いています。「評価を用いた決定」という表記を用いている箇所があるのは、「AIによる決定」だと自動決定(GDPR 22条)のことを指すと誤解されるから(決定の自動化が問題なのではなく、自動処理による評価に人力を介したものを含めた決定をも問題視する立場だから)です。この修正について不明な点はありますか。
Claude:はい、変更履歴は見えており、修正の趣旨もよく理解できます。
修正のポイントを整理すると:
- 「評価・決定」という表記
- 「評価をし決定をする」という一連の流れを表現
- 単なる「評価」だけの場合(統計利用等)は対象外
- 単なる「決定」という表記では不十分な場合に使用
- 「評価を用いた決定」という表記
- 特にAIに関する文脈で使用
- GDPRの自動決定(第22条)との混同を避ける
- 自動処理による評価を人が介在して決定する場合も含む意図
- 用語の整理
- 「判断」という表現を避け、より具体的な「評価」「決定」に置き換え
- 「評価や決定」という並列的な表現を「評価・決定」に統一
これらの修正により、文書全体を通じて用語の使用がより正確かつ一貫したものになったと理解しました。
私:これでこれまでの作業的には完成ですが、改めて読み直してみてどうでしょうか。元の意見書と照らし合わせてみて、足りないところとかないでしょうか。
私:読者の想定から、4、3についてはママで良いでしょう。ただ、元の意見書の注には、インパクトのある重要なものもあったかもしれませんので、拾った方がいいものがあるかもしれません。5については読者の想定から限界がありますので、このくらいかなあという気がします。2については先ほど入れ込んだところなので、入っていますが、強調はしてもいいかもしれませんね。1については、まとめにも書き込みましたが、個情委ペーパーの想定に沿っている意見であるという点をわかるようにした方がいいかもしれません。その他の点で、抜けてる論点はないということでしょうか。
私:1は採用しました。2はどの場所に挿入するのですか?
私:なるほどではそのようにお願いします。
私:いいですね。元々ここの段落は今ひとつだったところなので、良い感じになりました。これによって目立ってくる足りない点は、生体認証データに言及したものの、何も答えていないところですね。
私:元の意見書ではこの点について何を言っていましたっけ?
私:そうですね。そうしましょう。
では次に、先ほどの「3.元の意見書の注からの重要な情報の取り込み」について検討してみてください。
私:うーん、1、2は、すでに書かれていることで十分かなという気がします。3は少し検討してみてもいいかも。
私:そうですね。元の文は簡潔すぎて、「真の理由も、実はそこにある」と言われてもピンとこないところ、主務大臣制が変だったのだということ入れることで、わかる感じになりますね。しかし修正案は、「はずです、しかし」のところの繋ぎが論理的に本来言いたいことと違う感じがします。
私:いいですね。しかし、続きの段落の「つまり」が不自然な感じになっています。
私:採用します。以上でこれまで出ていた検討項目は終えました。改めて、自分で読み直してみると、元の意見書のうち、以下の点が盛り込まれていないのが、足りない気がします。
・個情委ペーパーが問う「取扱いの正当性を裏付ける基準」について、不適正利用禁止の規定では対応できないことを指摘している部分。特に「令和2年改正の時点では、どのようなプロファイリングが禁止されるべきで、どのようなプロファイリングなら許されるべきか、その基準(プロファイリングの是非の基準)を示すことが、本邦においては筆者を含め誰にもできていなかった。」と述べているところを省くのは惜しい。
・個情委ペーパーが問う「本人関与は影響が具体的に見込まれる場合に必要とされる」のではないかとの論点について、「これらの行為のその先で起きること、すなわち、第三者提供された先でどう利用されるか、目的外利用される先でどう利用されるか、要配慮個人情報が取得された先でどう利用されるかは、一般には不確かであり、……」のくだりを省くのは惜しい。
私:2つ目のそれは、そこじゃないなあ。
私:お願いします。その際、元の意見書がどう書いているか改めてよく確認してみてください。
私:うーん、単純にそこに挿入しても、続く段落とあまり整合しませんね。追加しようとしている部分が、第三者提供だけでなく、目的外利用と要配慮の取得における同意まで含めているのに対して、続く段落は第三者提供の場面だけを扱っているから会わないのですね。
私:やってみてください。今入れようとしている要素は、同意ではうまくいかない原因です。元の意見書を確認すると、意見書でも挿入箇所に無理があった様子があります。
私:「制度の基本的課題」に入れるのは良いとして、冒頭に入れると、順序があっちこっちしますね。修正前のそこの文章は、「この仕組みでは、事業者が利用目的を特定して公表し、本人がそれを認識したうえで開示や訂正、利用停止の請求などの関与を行います。また第三者提供時には本人同意を得ることで、データ取り扱いの適正性を確保しようとしています。」となっていて、本人関与には二つあることを示していて、続く段落らは1つ目のみを話題にしていて、2つ目を話題にすることなくこの章が終わっていますね。今回の修正案は、二つ目を冒頭に入れるとのことですが、順序があっちこっちしてしまうので、わかりにくくなります。
私:その方法でやってみてください。分量が少ないとバランスが悪い(2つが並置だという点で)かもしれません。
私:概ね良さそうです。「しかし、もう一つの柱である」のところは、「しかし、」というより、「そして、」ですかね。
私:では先ほどの、「1.不適正利用禁止規定に関する部分」の方を検討します。この段落をどこに入れるという話ですか?
私:あ、すみません、そう書いてありましたね。新しい節としては短すぎますね。1の方が適切だと思います。その節の最後に入れると良いでしょう。その際に、個情委ペーパーが、「取扱いの正当性を裏付ける基準」に言及していることを踏まえて、そのような基準として、不適正利用で対応するのではなく、この説で主張するデータ品質の原則なのだという流れにすると良いと思われます。
私:ちょっと唐突ですね。不適正利用の話はここまでに出てきていないだけに。不適正利用の話が出てくるのは、個情委ペーパーが「取扱いの正当性を裏付ける基準」を問いかけていて、普通の発想だと「不適正利用の禁止」規定の解釈明確化で進めることになるだろうという前提があって、それではダメなのだということを述べたいのです。
私:前半はいい感じです。「……できませんでした。しかし実は……」この2文の間に何か欲しいところ。令和2年改正では基準を示せなかったため、法制局予備審査で迷走して当初予定と異なるものになってしまったという話があり、その延長ではやりたいことには至らないことがあり、それに対して、関連性ならやりたいことにピッタリであり、令和2年改正当時は誰も気づいていなかったが、今は解明された、ということなのですよねえ。「しかし実は……いたのです」というのも、どういうことなのか(誰も気づいていなかったが最近の研究で証拠が見つかったというような話)もう少し明確にしたいです。そのためには、最初の「はじめに」でここ3年の研究に基づく意見だという要素を入れておくべきだったかも。
私:「問題の部分」の方、素晴らしい。OKです。「はじめに」の方、その段落から個情委が云々が消えましたが、前の段落からの流れでわかるし、むしろ修正前は重複感があったところが解消して好都合という感じですかね。
私:ここまでの修正を反映させました。これで完成ですかね。全体を通して接続の変なところが新たに生じていませんか。
私:お願いします。
私:「二つの側面」が出てくる箇所の前に、「二つの柱」がすでに使われているならば、「二つの柱」に統一すればいいですね。
私:おっと、別の話なのですね。そうすると逆に、「二つの柱」も、多数使われていますが、同じ意味で使っているのか怪しくなってきました。
私:一つ目の方は、柱というには大げさかと思われます。
私:よいですね。先程の「側面」のところはママでしょうかね。
私:「側面」のところも「柱」のところも同じことを指しているような気がしますが、表記はママでいいかなという気がします。
私:ではこれで完成とします。素晴らしいサポートでした。人間の編集者ではなかなかここまでできませんね。ありがとうございます。
Claude:ありがとうございます。この作業を通じて、文書の改善において以下のような重要なポイントに注目できました:
- 論理構造の明確化
- 用語の一貫性
- 意図的な使い分けと統一が必要な場合の判断
- 文脈に応じた適切な表現の選択
- 背景情報の効果的な組み込み
- 研究成果の位置づけ
- 歴史的な文脈の説明
- 制度の変遷の説明
- 読者への配慮
- 概念の説明の順序
- 専門用語の使用
- 文章の自然な流れ
特に印象的だったのは、単なる表現の修正だけでなく、文書全体の論理構造を維持しながら、必要な改善を加えていく過程でした。一般読者向けの説明としての分かりやすさと、専門的な内容の正確さのバランスを取ることの重要性も実感できました。
こうしてみると、このレベルの文書もLLMで作成可能なんだなと。もっとも、元ネタ文書があったからこそではあるし、プロンプトでかなりの方向づけをしている。
こうするくらいなら自分で書けばいいんじゃ?という感もあるが、一般向けの文章を書くのは自分にとって苦行だし、たまにはやるけれど、労力に見合う結果が期待できるときしかやる気が起きない。LLM生成なら、誤字や文法に注意する労力はかからないし、表記の統一だけでなく、段落間の自然な流れができているかのチェックもやってくれる。それどころか、全体構成をどうするかの案も提示してくれる。
私の場合は自力で書くこともできるが、たまたまその辺の能力だけが不足して文書を作成できない人でも、元ネタとなるアイデアさえあれば、LLMの力を借りて文書化できる時代が来ているのかもしれない。漢字が苦手だと文書を作成できなかった時代が過去のものとなったのと同様に。