遠隔操作ウイルス事件において、冤罪や誤認逮捕を生み出したことについて、警視庁、神奈川県警、大阪府警、三重県警は、それぞれ、自らの捜査の経緯を検証し、報告書をWebサイト上で公表した。いずれも2012年12月14日に同時発表されている。しかし、半月あまりでこれらのいずれの報告書もWebサイトでの掲示が取りやめられていたことが発覚した。
私が各警察本部(広報課、広報室)に電話で問い合わせたところ、元々掲載期間を2012年末までとしたものであったため、12月28日や31日に掲載終了したとのことだった。国立国会図書館に納入しているわけでもない様子である*1。
この報告書は、警察の捜査のあり方を研究する上で重要な意義を持つものであり、今後、様々な分野の研究者らが批評を加えるために参照するものと予想されるところ、このように文書を消去してしまうのは、そうした批評の妨げとなりかねない*2。
そこで、各警察本部の許諾を得てこれらの文書をここに転載することにした。警視庁、大阪府警、三重県警については、電話での問い合わせに対し1〜2時間程度で快諾を得ることができた*3。神奈川県警については、検討に時間を要するとのことで*4、現在回答待ちである。
以下、許諾を得られたものについてこれらの文書を転載する。
*1 神奈川県警警務課企画室によると、国立国会図書館に納入しているかとの問いに対し、県警ホームページに載せただけであるとのことであった。
*2 引用は可能であっても、全文を確認する手段のない状況では、公正な批評であるか確認する手段がないことを理由に、批評自体を躊躇する研究者もいるだろう。
*3 警視庁については、刑事総務課から「既に公表したものであるのでそちらで自由にお使いください。」との回答があった。大阪府警については、広報課から「刑事総務課に確認したところ『掲出して頂いてけっこうです。ただし、それによってそちらが炎上等したとしても当方は責任を負わないことをご了承ください。』とのこと。」との返事であった。三重県警については、広報室から「ホームページに載せたものですし、うちらが載せる載せないを許諾するものではありませんので、高木さんの判断で載せるなら載せるようにお願いします。」との返事であった。
*4 神奈川県警警務課企画室との電話で、「この資料は重要なものであり様々な研究目的で参照されると考えられるところ、そちらのサイトから消えてしまったため、学術的研究で評価に使えなくなってしまっているのではないかと考え、私のサイトに転載して維持していきたい。」とその趣旨を伝えて転載の許諾を求めたが、検討に時間を要するので来週火曜日まで待って欲しいとのことであった。
*5 回答にまだ時間がかかるとの連絡が火曜と水曜にあり、木曜の朝に「ホームページに載せたものですので、高木さんのご判断におまかせします。」との回答があった。
 [遠隔操作ウイルス事件での冤罪・誤認逮捕を警察自身が問題点検証した報告書]より気になった点を『報告書をWebサイト上で公表』する時代になったようです『この報告書は、警察の捜査のあり方を研究する上で重要な意義を持つものであり、今後、様々な分野の研究..