今週11日、臨時国会に「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案」が提出された。位置情報取得可能化手段としてAirTagなどの紛失防止タグを用いた場合も対象に含めるための改正のようだ。
これで思い出すのは、4年前の日記「スマホ覗き見の反復で迷惑防止条例違反の犯罪に?改正ストーカー規制法の位置情報規定に不具合か」である。その後どうなったのか、たまに思い出しては気になっていたが、調べていなかった。
というわけで、Claude Sonnet 4.5に調べさせたところ、以下のようになった。問題は解決していないようであり、静岡と栃木にも広がっているようなので、結論として、今国会で解釈を確認しておいた方がいいと思われる。結論から読みたい人は最後のターンまでスキップするとよい。
2021年12月26日のこの日記では、警視庁の迷惑防止条例改正案とストーカー規制法の改正について、特に「スマートフォンを一時的に操作して位置情報を盗み見る行為」まで規制対象となることへの懸念を表明されていますね。その後の経緯を調べてみます。
警視庁の通達を確認してみます。
ガイドラインのPDFを確認してみます。
調査結果をまとめます。
2021年12月26日の日記で懸念を表明された後、以下のような経緯をたどりました。
東京都の迷惑防止条例(正式名称「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)は、懸念されていた内容のまま改正・施行されました。
改正では、「相手方のスマートフォンを一時的に操作して、当該スマートフォンの画面上に位置情報を表示させて盗み見る行為」が規制対象となりました[Keijijiken-bengoshi]。 これはストーカー規制法の2021年改正に合わせたものです。
警視庁は2024年3月29日に「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例に定めるつきまとい行為等の取扱いについて」という通達(運用ガイドライン)を発出しました[Tokyo Metropolitan Police Department]。
残念ながら、以下の点については明確な情報が見つかりませんでした:
条例は高木さんが懸念されていた内容のまま施行され、法律上は「専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で」という主観的目的要件のもと、GPS機器を取り付ける行為を伴わずに既に記録されている位置情報を閲覧するだけでも、反復すれば迷惑防止条例違反となる可能性がある状態が続いています。
ただし、実際の運用において、高木さんが懸念された「日常的に許されている行為」との境界がどのように扱われているかについては、公開されている情報からは確認できませんでした。
条例の第8号が表示されていないようです。PDFファイルで確認してみます。
条例の第8号と規則を確認させてください。
東京都公安委員会規則を確認してみます。
ストーカー規制法施行令を確認してみます。
ストーカー規制法施行令を確認します。
取得した情報を基に、ご質問にお答えします。
結論:懸念は基本的に妥当でした。
条例第5条の2第1項の但書では、「第1号から第3号まで及び第4号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限るものとする」と規定されていますTokyo Metropolitan Police Department。
つまり、第8号(位置情報取得)と第9号(GPS取り付け)は、この但書の対象外です。高木さんが日記で「この限定は入らない可能性が高い」と訂正された通り、実際に限定は入りませんでした。
ただし、柱書で「不安を覚えさせるような行為であつて」という文言は全ての号にかかっていますTokyo Metropolitan Police Department。しかし、これがどこまで実質的な限定として機能するかは運用次第です。
条例第8号では、位置情報記録・送信装置は「東京都公安委員会規則で定めるもの」、取得方法は「東京都公安委員会規則で定める方法により取得すること」とされていますTokyo Metropolitan Police Department。
これはストーカー規制法が「政令で定める」としているのと同様の構造です。高木さんはストーカー規制法施行令について「大した限定はなく、位置情報の取得方法は『閲覧する方法』『記録媒体を取得する方法』『受信する方法』が列挙されているだけで、何でも該当する」と指摘されていました。
東京都公安委員会規則の具体的内容は確認できませんでしたが、ストーカー規制法の施行令と同様の内容であれば、「スマートフォンを一時的に操作して位置情報を閲覧する行為」も規制対象になる可能性が高いと考えられます。
高木さんの懸念の核心は以下でした:
この点について、条例は両者を区別せず、第8号で「取得すること」を広く規制対象としています。高木さんの懸念通りの立法がなされたと言えます。
ただし、実際の運用において「専ら、特定の者に対する妬み、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」という主観的要件と「反復して行う」という要件がどこまで限定機能を果たすかは、今後の運用と判例の蓄積を待つ必要があります。
改正案では、第2号として「位置特定用識別情報送信装置」に関する規定が新設されます。
位置特定用識別情報送信装置とは、「当該装置を識別する情報を送信する機能を有し、当該装置の周辺において当該情報を受信した識別情報送受信装置の位置に係る位置情報を利用して、その所在する地点又は区域の位置を特定するために用いられる装置」と定義されています。
これはApple AirTagのような紛失防止タグを想定したものです。他人のスマートフォン(識別情報送受信装置)を介して位置を特定する仕組みです。
この改正は高木さんの懸念にはほとんど影響しません。理由:
つまり、今回の改正はAirTag等への対応を主眼としたもので、高木さんが指摘された「装着行為を伴わない閲覧行為の犯罪化」という根本的な問題には何ら手を加えていません。
検討会委員の発言:「GPSは気付かないうちに取り付けられている点は、他の『つきまとい等』に当たる行為とは異なるが、他方で、他の行為と同様に、生命、身体に対する危険が生じる事態は変わらない。また、GPS機器を取り付けられた又はアプリケーションを入れられたと分かれば、不安を感じない事態は考えられないため、『不安を覚えさせる』方法による方法の限定は不要だと思う。」
この議論は明確に「取り付けられる」ことを前提としています。
ところが条文では:
が独立して規定され、どちらか一方だけでも該当する構造になりました。
「気付かないうちに取り付けられている」という前提で「不安を覚えさせる蓋然性が高い」から限定不要としたのに、取り付け行為を伴わない閲覧だけでも規制対象になるという矛盾が生じています。
本人のスマホを一時的に操作して既に記録されている位置情報を閲覧する行為は:
日記でも高木さんが指摘されたように「検討会委員はあくまでも『取り付けられる』ことを前提に話していた」のに、「いつの間にか話がねじ曲がった」のです。
今回のAirTag対応改正でも、新設第2号は同じく「気付かないうちに取り付けられる」特性を持つ装置を想定していますが、やはり「取得」と「取り付け」が独立規定されているため、同じ問題を抱えています。
立法論として、少なくとも第1号(および新設第2号)については「第3号に規定する行為がされた装置に限る」といった限定を付けるべきだったのではないか、というのが高木さんの指摘の本質だと思います。
「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」
→ 恋愛関係・好意関係に起因する行為に限定
「専ら、特定の者に対する妬み、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」
→ 恋愛感情等に限定されず、あらゆる「悪意の感情」が対象
ストーカー規制法では:
迷惑防止条例では:
これらすべてが対象になりえます。
警視庁のパブコメ担当係は「ストーカー規制法の警視庁における運用においても該当するものとしている」「ストーカー規制法の改正に合わせて、同じものを入れる趣旨のものだから、何の問題もありませんが?とでも言いたげな口ぶりだった」とのことですが、実際には:
ご指摘の通り、ストーカー規制法の段階で「第1号・第2号は第3号に規定する取り付け行為を伴う場合に限る」といった限定を入れておけば:
これが実現されていないため、特に迷惑防止条例レベルで高木さんが懸念された「日常的に許されている行為の犯罪化」という問題が現実のものとなっているわけですね。
今回のAirTag対応改正も同じ構造を踏襲しているため、問題は解決されないまま、さらに規制範囲だけが拡大していくことになります。
「別のタイミングで別の人」のケースとは:
このような共犯・教唆のケースにも対応するため、取得行為と取り付け行為を独立させた。これ自体は理解できます。
第1号(修正案)
その承諾を得ないで、第三号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること。
第2号(修正案・新設AirTag対応)
その承諾を得ないで、第三号に規定する行為がされた位置特定用識別情報送信装置の位置に係る位置情報を取得すること。
ポイント:
第1号(修正案)
その承諾を得ないで設置され、若しくはその承諾を得ないでインストールされ、又は第三号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置により記録され、又は送信される位置情報を政令で定める方法により取得すること。
説明:
第3号の「その他その移動に伴い位置情報記録・送信装置等を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為」において、位置情報記録アプリを無断でインストールする行為を明示的に含める必要があります。
そうすれば:
というケースも捕捉できます。
案1が最もシンプルで明確だと思います:
現行の「(第三号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)」という括弧書きは、含めることを明示しているだけで限定ではありません。これを「第三号に規定する行為がされた」装置に限定することで、高木さんの懸念を解消できます。
いかがでしょうか。
第1号:「その所持する位置情報記録・送信装置(...)(第三号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)により記録され...」
第3号:「その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること」
考えられる理由:
この括弧書きは、「含む」であって「限る」ではないことが決定的に重要です。
立案者は意図的に「含む」という文言を選んでいます。これは、元から所持していたスマホ等も対象に含めることを前提としていた証拠だと思われます。
この括弧書きの存在自体が、高木さんの懸念が的を射ていることを示しています:
立案過程で意図的に広く取ったのか、それとも意図せず広がってしまったのかは不明ですが、少なくとも最終的な条文は「元から所持していた装置も含む」構造になっています。
修正するなら、この括弧書きを「(第三号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置に限る。)」に変更するのが最もシンプルな方法かもしれません。
第3号:「その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。」
アプリの無断インストールは:
と解釈できる可能性があります。また「その他...政令で定める行為」に含まれる可能性もあります。
問題は、アプリを無断インストールした後のスマホが:
パターンA:スマホ全体が「第3号に規定する行為がされた装置」になる
パターンB:インストールしたアプリ部分のみが「第3号に規定する行為がされた装置」
この曖昧性によって、高木さんの懸念はさらに深刻になります:
もしパターンAの解釈なら:
もしパターンBの解釈でも:
このため、私が先ほど提案した修正案では不十分かもしれません。より明確にするなら:
第1号(より明確な修正案)
その承諾を得ないで設置され、若しくはその承諾を得ないでインストールされた位置情報記録・送信装置、又は第三号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置により記録され、又は送信される位置情報を政令で定める方法により取得すること。
つまり、規制対象を:
に限定し、「その所持する」という文言を完全に削除する必要があるかもしれません。
そうすれば、元からスマホにあったOS標準の位置履歴機能は明確に対象外になります。
法律で「インストール」を定義しようとすると:
など、技術の進展に応じて陳腐化しやすい定義になってしまいます。
立案者は以下のジレンマに直面していたと思われます:
規制したい行為:
立法技術上の選択:
現行法はB案を採用した結果:
この構造により、立案者が本来想定していなかった(かもしれない)「元からあるスマホのOS標準機能の閲覧」まで規制対象に入ってしまったわけです。
高木さんが日記で指摘されたように、この問題は有識者検討会で十分に議論されるべきだったのではないでしょうか。
検討会では「GPS機器を取り付けられた又はアプリケーションを入れられたと分かれば」という前提で「不安を覚えさせる限定は不要」と結論づけていますが、「アプリケーションを入れる」をどう法文化するか、その際に元からある機能との区別をどうするかという立法技術上の課題が十分に検討されたとは言えません。
結果として、立法技術上の便宜(定義の困難さを避ける)が、実体法上の問題(規制範囲の過度な拡大)を生んでしまった、という構造的問題があると言えそうです。
これは情報法制における典型的な困難さを示す事例ですね。
(位置情報記録・送信装置の範囲)
第一条 ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下「法」という。)第二条第三項第一号の政令で定める装置は、地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第四項に規定する衛星測位の技術を用いて得られる当該装置の位置に係る位置情報を電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。次条において同じ。)として記録し、又はこれを送信する機能を有する装置をいう。
(位置情報の取得方法)
第二条 法第二条第三項第一号の政令で定める方法は、次に掲げる方法とする。
一 位置情報記録・送信装置の映像面上において、電磁的記録として記録された位置情報を視覚により認識することができる状態にして閲覧する方法
二 位置情報記録・送信装置により記録された電磁的記録に係る記録媒体を取得する方法(当該電磁的記録を他の記録媒体に複写する方法を含む。)
三 位置情報記録・送信装置により送信された電磁的記録を受信する方法(当該方法により取得された位置情報を他人の求めに応じて提供する役務を提供する者から当該役務を利用して当該位置情報の提供を受ける方法を含む。)
(位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為)
第三条 法第二条第三項第二号の政令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一 その所持する物に位置情報記録・送信装置を差し入れること。
二 位置情報記録・送信装置を差し入れた物を交付すること。
三 その移動の用に供されることとされ、又は現に供されている道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車、同項第十号に規定する原動機付自転車、同項第十一号の二に規定する自転車、同項第十一号の三に規定する移動用小型車、同項第十一号の四に規定する身体障害者用の車又は道路交通法施行令(昭和三十五年政令第二百七十号)第一条第一号に規定する歩行補助車(それぞれその所持する物に該当するものを除く。)に位置情報記録・送信装置を取り付け、又は差し入れること。
「位置情報記録・送信装置の映像面上において、電磁的記録として記録された位置情報を視覚により認識することができる状態にして閲覧する方法」
これはまさに、スマホの画面でiPhoneの「利用頻度の高い場所」を見る行為そのものです。
高木さんが日記で「大した限定はなく」「何でも該当する」と指摘された通りです。
ご指摘の仮説は非常に興味深いです:
法律制定時:
政令制定時:
考えられる理由:
第3条を見ると、物理的な「取り付け」「差し入れ」だけで、アプリのインストールは明示されていません。
これは逆説的ですが:
この政令を見ると、修正の難しさがより明確になります:
理想的には:
第2条に「ただし、第3条に規定する行為又はこれに準ずる行為がされた装置に係るものに限る」という限定を入れるべきだった
しかし:
結論として、ご指摘の通り「政令で限定する予定が後回しになって趣旨が忘れられた」可能性は十分にあり、かつ、今から政令だけで修正するのは困難なので、やはり法律本体の改正が必要だということになりますね。
今回のAirTag対応改正は絶好の機会だったのですが、同じ構造を踏襲してしまっています。
「地理空間情報活用推進基本法第二条第四項に規定する衛星測位の技術を用いて得られる当該装置の位置に係る位置情報を電磁的記録として記録し、又はこれを送信する機能を有する装置」
→ 機能的定義なので、理論的にはソフトウェアも含み得る
→ すべて物理的動作を前提としている
一般的な日本語感覚:
しかし機能的には:
立法技術上のジレンマ:
このジレンマを回避するため、立案者は:
という構造にせざるを得なかった。
しかしこの構造では、元からスマホが持っている位置情報記録機能(アプリではなくOS標準機能)を閲覧する行為も射程に入ってしまうわけです。
「装置」概念の限界を認めて、別の立法技術を採るべきだったのかもしれません:
案1:ポジティブリスト方式
その承諾を得ないで、次に掲げるいずれかの行為により取得可能となった位置情報を取得すること:
一 GPS発信機その他の位置情報記録・送信装置を取り付ける行為
二 位置情報を記録し送信するためのプログラムをインストールする行為
三 その他これらに準ずる行為として政令で定める行為
案2:行為態様を中心とした定義
相手方の知らない間にその所在を把握することを可能とする手段を相手方の承諾を得ないで設定し、又は当該手段により取得された位置情報を取得すること
しかしこれらも:
結局、技術的に中立で、明確で、かつ適切に限定された規定を作ることの困難さがここに現れています。
「装置」という物理的イメージの強い用語を使いながら、デジタル時代のアプリインストール行為まで含めようとしたことが、立法技術上の無理を生み、結果として高木さんが指摘するような過度に広い規制になってしまった、と言えそうです。
この問題は、情報法制における立法技術の限界を示す典型例と言えるのではないでしょうか。
まだ続けたかったがこの辺りでClaudeの長さ制限にかかってしまったので、上の方の「修正案を作ってみてください。」まで戻ってやり直して、以下に続けた。(以下は修正案の検討の文脈を含んでいないということ。)
警視庁の意見募集の説明には「位置情報を取得する行為の例」として「相手方のスマートフォンを一時的に操作して、当該スマートフォンの画面上に位置情報を表示させて盗み見る行為」が列挙されていました。
しかし、高木さんが注目した後、説明ページが消滅し、「警視庁生活安全部」のツイートも削除されました。高木さんは「どういうことなのか? パブコメはなかったことにしているのか?」と疑問を呈されています。
説明ページは削除されたものの、条例自体は2022年10月1日に施行されました。そして私が最初の回答で引用した弁護士の解説(2023年6月)では、まさに削除されたはずの例示がそのまま記載されています。
つまり、パブコメ時の説明は表面上削除されたが、解釈・運用としてはその例示が生きているということです。
「相手方のスマートフォンを一時的に操作して」で検索すると、確かに他の自治体の条例説明や弁護士解説に同じ表現が見られますね。これは東京都のパブコメ説明文(削除前)がコピーされて広がっている可能性が高いと思われます。
警視庁は2024年3月29日に「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例に定めるつきまとい行為等の取扱いについて」という通達(運用ガイドライン)を発出していますTokyo Metropolitan Police Department。
このガイドラインのPDFには直接アクセスできませんでしたが、このガイドラインに「スマートフォンを一時的に操作して閲覧する行為」についてどう記載されているかが重要です。
削除されたパブコメ説明文の解釈が、このガイドラインで正式に復活しているのか、それとも曖昧なままなのか。これは情報公開請求等で確認する価値がある重要な論点だと思います。
高木さんが当時予告されていた「JILISからの情報公開請求で法律案の立案過程を分析」の結果も、この問題の本質を明らかにする上で非常に重要ですね。
このガイドラインは主に手続的事項(相談受理、援助措置、保護対策等)を定めたもので、第5「適用上の留意事項」では以下の一般的な留意点を示しています:
しかし、「相手方のスマートフォンを一時的に操作して位置情報を閲覧する行為」が規制対象に含まれるかについての明示的な記載は一切ありません。
つまり:
この状況は以下を意味します:
これは法の予測可能性の観点から非常に問題のある状態だと言えます。「都民の権利を不当に侵害しないように」と書きながら、何が規制対象かが明確でないという矛盾があります。
問: ストーカー規制法2条3項「位置情報無承諾取得等」は、第1号で位置情報の「取得」、第3号(旧第2号)でGPS機器等の「取り付け」を独立して規定しています。しかし、令和3年改正時の有識者検討会では、委員から「GPSは気付かないうちに取り付けられている点」を前提に、「GPS機器を取り付けられた又はアプリケーションを入れられたと分かれば、不安を感じない事態は考えられない」との発言があり、この理由で「不安を覚えさせるような方法」による限定を不要としました。
しかし、第1号と第3号を独立規定としたため、「取り付け行為を伴わない、既に記録されている位置情報の単なる閲覧」も規制対象になるように見えます。これは検討会での議論の前提と矛盾するのではありませんか。立法趣旨を明確にご説明ください。
問: ストーカー規制法施行令は、位置情報の取得方法として「閲覧する方法」「記録媒体を取得する方法」「受信する方法」を定めています。この「閲覧する方法」には、以下のような行為も含まれるのでしょうか。
(1) 相手方のスマートフォンを一時的に操作して、そのスマートフォン自体が元から記録していた過去の位置履歴(例:iPhoneの「利用頻度の高い場所」)を画面表示させて見る行為
(2) 相手方のスマートフォンに保存されている写真のExif情報に記録された位置情報を閲覧する行為
GPS機器の「取り付け」や位置情報アプリの「インストール」といった行為を伴わず、本来の機能として既に記録されている情報を見るだけの行為まで、法2条3項1号の「取得」に該当するのか、明確にお答えください。
問: 令和3年12月、警視庁が東京都迷惑防止条例の改正に関するパブリックコメントを実施した際、「位置情報を取得する行為の例」として「相手方のスマートフォンを一時的に操作して、当該スマートフォンの画面上に位置情報を表示させて盗み見る行為」を明記していました。しかし、この説明ページとツイートは意見募集期間中に削除されました。
政府は、この東京都の例示が適切であると考えますか。また、なぜ削除されたと認識していますか。
問: 東京都迷惑防止条例は令和4年10月に施行され、第5条の2第1項第8号で位置情報無承諾取得を規制対象としました。ストーカー規制法は「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情」という限定がありますが、迷惑防止条例は「妬み、恨みその他の悪意の感情」と広く、夫婦間・家族間の日常的な行為も対象になり得ます。
現在、弁護士による法律解説サイト等では、削除された東京都の例示をそのまま引用し、「スマートフォンを一時的に操作して位置情報を閲覧する行為」が規制対象であるとの解説が広まっています。この解釈が全国の迷惑防止条例に波及していますが、政府はこの状況を把握していますか。また、このような解釈は適切と考えますか。
問: 今回の改正案では、AirTag等に対応するため第2号を新設しますが、やはり「取得」(新第2号)と「取り付け」(第3号)を独立規定としています。AirTagも「気付かないうちに取り付けられる」特性を持つ装置であり、その前提で規制するのであれば、少なくとも「第3号に規定する行為がされた装置に限る」といった限定を付けるべきではありませんか。
現行法の解釈の曖昧さを是正しないまま、同じ構造の規定を拡大することは、法的安定性を損なうのではありませんか。
問: 以上の問題を踏まえ、以下の点を明確にしていただきたい。
(1) 法2条3項1号・新第2号の「取得」は、第3号の「取り付け」行為を伴う場合に限定されるのか
(2) 「取り付け」行為を伴わない、本人のスマートフォンに既に記録されている位置情報の単なる閲覧は規制対象外であることを明確にできないか
(3) 各自治体の迷惑防止条例における解釈の混乱を是正するため、政府として統一的な解釈指針を示すべきではないか
この質問案は、高木さんの懸念の核心を突きながら、政府に具体的な答弁を求める構成になっています。特に実際の運用(東京都の事例)と法解釈の関係を問うことで、曖昧なままになっている問題を明確化できると思います。
質問5はちょっとおかしいので、「質問5はおかしくないですか?」と続きのプロンプトを入れたが、Claudeの長さ制限で続けられなかった。質問5はボツでいいだろう*1。
現在、「"相手方のスマートフォンを一時的に操作して"」で検索すると、上の会話で出てくる弁護士のサイトと、私の日記とツイートの他には、静岡県警の静岡県迷惑行為等防止条例の解説と、栃木県警による「「栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例」の一部改正のお知らせ」のPDFくらいしか出てこない*2ようであり、東京都(警視庁)にはその説明が存在しないようである。
いったいどういう状況なのだろうか。
*1 紛失防止タグを一時的に操作して位置情報を盗み見るということは1号と違って元々起こり得ないことであるし、本人が自ら取り付けた紛失防止タグについてを想定してみても、その位置情報を他人が取得することは不正アクセス行為を介してしか基本的にできないので日常的な行為とはならず、ここで問題視している問題とはならない。いや、紛失防止タグを登録したスマホのタグ発見機能の画面を日常的行為として閲覧するということはあり得るので、その意味では2号にも1号と同じ問題があるとは言えなくもないが、そんな細かいことを聞いても話がわけわからなくなるだけなので、ボツにした方がいい。
*2 神奈川県議会議員が神奈川県警に問い合わせた際のやり取りを掲載したブログもヒットし、県警が「相手方のスマートフォンを一時的に操作して、記録された過去の位置情報を当該スマートフォンの液晶画面に表示させて盗み見る行為……」と説明し、議員が「一方で、無承諾で位置情報を取得しても条例違反とならない場合などについいて、県民が不安を感じることが無いように具体例の周知に努めていただきたい。」と要望している中で、県警は「11月には、改正条例(案)について県政策局及び横浜地方検察庁との調整・協議を終えたところであり、原案通りの改正条例(案)を令和5年第1回定例会県議会に上程させていただく予定です。」としている。しかし、その後の神奈川県の公式資料に「相手方のスマートフォンを一時的に操作して」のフレーズは検索してもヒットしない。