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高木浩光@自宅の日記

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2025年12月16日

知財検討会にまで及ぶAI規制の混迷──処遇AIと生成AIを混ぜると、全部壊れる

Twitterで、12月12日の「AI時代の知的財産権検討会(第10回)」の配布資料「AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル型コード(仮称)(案)」が、これはひどいと話題になっているのが流れてきたので、読んでみたところ、色々言いたいことが思い浮かんだ。本来ならば論文で指摘するべき話だが、他に先に書かないといけないことばかりで、いつになったらできるかわからない。今動いている話なので、急ぎここに記す必要があるが、書くのが面倒なので、生成AIに書かせた。自分で書けばぐちぐちと悩みながら2、3日かけるところだが、もはや生成AIのおかげで、気づいてから半日で完成だ。(どういうプロンプトで書かせたかは末尾に開示しておく。)

関係者の皆さんには読んでほしい。方向付けさえすれば自然にここまで言われてしまうという事態の深刻さを受け止めてほしい。


知財検討会にまで及ぶAI規制の混迷──処遇AIと生成AIを混ぜると、全部壊れる

5月に「処遇AIと生成AIの区別ができていない」と指摘した。国会審議で、処遇AI(人事評価の差別)について質問されているのに、大臣が生成AI(差別を助長する出力を防ぐ)のことを答弁してしまう事態が起きていた。AI事業者ガイドラインの「差別」「バイアス」への言及も、精査してみると生成AIの出力についてしか述べられていなかった。

12月には欧州向けに、EUのDigital Omnibus規則案についても同様の混同が起きていると批判した。欧州委員会もnoybも、「GDPRのスコープを広げるか狭めるか」という間違った軸で戦っており、データ保護法の本丸である「決定の適切性」と「関連性の原則」が見失われている、と。

そして今、さらなる混同が発生している。今度は「知財面からのAI規制」においてである。

先週金曜日(12月12日)に開催された「AI時代の知的財産権検討会」第10回会合の資料が公開され、「プリンシプル・コード(仮称)(案)」が示された。これを見た人々からX上で悲鳴が上がっている。

日本が20年続けてた負けパターンに嵌ってきた感」「クソデカため息しか出ない」「会議内容から失われた日本を絶対に取り戻さない強い意志を感じる」——。

政府は「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を標榜している。その方針自体は正しい。だが、この資料を見る限り、その方針とは真逆の方向に進んでいるように見える。

より具体的な指摘もある。「責任追跡を書類と掲示で担保しようとしている」「全部書けば透明性と思っていそう」「新聞で言えば取材源を全部公開しろと言っているようなもので、副作用を考えていない」「学習データ開示やログ管理が数兆トークン規模で不可能」「EUに合わせた以外の根拠がない」「OpenAIは絶対応じないだろう」——。

さらに、「EU AI Actをほぼ丸パクリしつつ強制力なしのため正直者だけバカを見る」「ゲーム開発者も対象になり得る定義の広さで、国外事業者は無視して国内だけ萎縮する」「NDAや営業秘密のセーフハーバー(免責)が考慮されていない」といった指摘もある。

これらの不満は、感情的な反発ではない。制度設計として当然の帰結を指摘している。問題は「規制が厳しいか緩いか」ではない。規制の目的と手段が噛み合っていないのである。

何が問題視されているのか

知財検討会の第10回資料2「プリンシプル・コード(仮称)(案)」を見ると、「透明性確保のための措置」として、学習データ、クローラ、トレーニングプロセス等の開示が列挙されている。ここまでは知財(著作権)の観点から一定の合理性がある。

なお、この文書は自ら「EU AI Actにおける取組」を参照し、「comply-or-explain」方式を採用すると明記している。EUを手本にしていることは、文書自身が認めているところである。

問題はその先である。同じ「透明性」の箱に、「アカウンタビリティ関係」として次の記述がある。

AIシステム・サービスの開発・提供・利用中に行われた意思決定等について、技術的に可能かつ合理的な範囲で追跡・遡求が可能な状態の内容(記録方法、頻度、保存期間 等)

そしてこの根拠として、脚注でAI事業者ガイドラインの「検証可能性の確保」を引用している。そこにはこう書かれている。

AIの判断にかかわる検証可能性を確保するため、データ量又はデータ内容に照らし合理的な範囲で、AIシステム・サービスの開発過程、利用時の入出力等、AIの学習プロセス、推論過程、判断根拠等のログを記録・保存する

ログの記録・保存にあたっては、利用する技術の特性及び用途に照らして、事故の原因究明、再発防止策の検討、損害賠償責任要件の立証上の重要性等を踏まえて、記録方法、頻度、保存期間等について検討する

「AIの判断」「推論過程、判断根拠」——これは何のための規律か。「事故の原因究明」——これはまた別の話ではないか。

処遇AI、生成AI、そして製品AI

ここで改めて、5月から使っている概念を確認し、一つ追加しておく。

処遇AIとは、個人をデータに基づいて他の個人らと異なって扱うことを目的としたAIである。採用判定、与信判断、保険料算定、行政給付の決定、監視対象の選別などがこれに当たる。処遇AIの規律で問題となるのは、決定の適切性である。関連性のないデータで人を分けていないか。誤ったデータで不利益な決定をしていないか。不当な差別が生じていないか。決定に対して異議申立ての途が開かれているか。

生成AIとは、表現(文章、画像、音声など)を生成するAIである。生成AIの規律で問題となるのは、主に出力段階の問題である。ディープフェイク、偽情報、出力が既存著作物に類似する場合の著作権侵害、悪用防止などがこれに当たる。学習段階で問題となるのは、取得手段の違法性(不正アクセス等)程度である。

製品AIとは、物理的な動作や制御を担うAIである。自動運転車、産業用ロボット、医療機器などがこれに当たる。製品AIの規律で問題となるのは、製品安全である。事故が起きたときの原因究明と再発防止がこれに当たる。従来の製品安全法制の延長線上にある。

この三つは、規律の目的が根本的に異なる。

処遇AIで必要な「透明性」は、本人救済と監査のための透明性であり、「この人をこう扱った理由」が争える形で残っていることを意味する。

生成AIで必要な「透明性」は、出力段階での検証と悪用抑止のための透明性であり、「生成物がAI製であること」の表示や、問題ある出力への対応窓口などを意味する。

製品AIで必要な「透明性」は、事故調査のための透明性であり、「何が起きたか」を事後に再現できることを意味する。

三者を混ぜると、規制は必ず変になる。

何が混同されているのか

プリンシプル・コード案の「意思決定等について…追跡・遡求が可能」という文言は、実は二通りに読める。

一つは、「事業者の意思決定」——開発・提供・利用を決めた経緯の記録という読み方である。これなら知財紛争での立証に関係しうる。

もう一つは、「AIの意思決定」——AIが個人に対して行った判断の記録という読み方である。これは処遇AIの規律に属する。

文言だけなら前者の読み方も不可能ではない。だが、脚注で引用されているAI事業者ガイドラインを見れば、話は明らかである。ガイドラインは「AIの判断」「推論過程、判断根拠等のログ」と言っている。これは「事業者がどう決めたか」ではなく、「AIがどう判断したか」の記録を求める語彙である。

さらにガイドラインは、ログの目的として「事故の原因究明」を挙げている。これは製品AI寄りの語彙である。

知財検討会は知財(著作権)の問題を扱う場である。著作権の観点から透明性が問題になるとすれば、取得手段の適法性や、出力が既存著作物に類似する場合の検証などであって、「AIがどのような推論をしたか」や「事故原因の究明」ではない。

ところが知財検討会の「プリンシプル・コード案」は、AI事業者ガイドラインの「検証可能性」をそのまま引用している。処遇AI向けの「AIの判断ログ」と、製品AI向けの「事故・安全」の語彙が、生成AI×知財の文脈に「キーワード」として流れ込んでいる。「透明性」という一語の下に、目的の異なる規律が同居してしまっている。

これがまさに、X上で指摘されている「全部書けば透明性と思っていそう」の正体である。

EU AI Actでは区別されている

この文書が自らEU AI Actを参照しているというなら、EU AI Actの構造を確認しよう。

EU AI Actでは、ログ・トレーサビリティの義務は高リスクAI(その多くが処遇AIに当たる)に課されている。Article 12は、高リスクAIシステムがイベント(logs)の自動記録を技術的に可能にすべきことを定め、その目的を「高リスクAIシステムの機能の追跡可能性(traceability of the functioning)」と明示している。採用判定や与信判断などに用いられるAIでは、誰がいつどのように評価されたかを事後に検証できるようにするためである。Article 86には「個人の決定に対する説明を受ける権利(Right to explanation of individual decision-making)」まである。

一方、GPAI(汎用目的AI)モデルに課される義務は別の束である。Article 53は、技術文書の作成、下流事業者への情報提供、著作権ポリシーの策定、学習データの要約の公開などを求めている。ここには「個別の意思決定ログ義務」は含まれていない。

つまりEUは、高リスクAI(処遇AI寄り)とGPAI(生成AI寄り)で義務の束を分けている。ログ・トレーサビリティは高リスクAI向けであり、GPAIには「技術文書」「著作権ポリシー」「学習データ要約」という別の透明性が課されている。

日本が「EU整合」を唱えるなら、輸入すべきはキーワードではない。輸入すべきは「区別」である。

なぜこうなるのか

EUから聞き齧ったルールが「何のためにどのように働くルールなのか」を理解しないまま、キーワードだけを輸入する。「透明性」「追跡可能性」「責任」「Code of Practice」「robots.txt」「EU整合」——こうした単語を、目的も前提も異なる領域にベタ貼りする。

すると何が起きるか。「どの害を防ぐためのルールか」という問いが消え、「とにかく開示」「とにかくログ」「とにかく掲示」という書類主義の万能薬になる。

X上の不満はその帰結である。「全部書けば透明性」「取材源公開みたい」「根拠がない」——これらは感情的反発ではなく、制度設計の欠陥への正当な指摘である。

だが、なぜキーワードが「流れ込んでくる」のか。それは、本来の居場所で定着していないからである。

処遇AIの規律が宙に浮いている

「追跡可能性」「検証可能性」「ログ」——これらは本来、処遇AIの領域で使われるべき語彙である。人を選別するAIにおいて、「なぜこの人をこう扱ったのか」を事後に検証し、争えるようにする。そのための規律である。

そして処遇AIの規律の本来の居場所は、個人情報保護法である。個人データに基づいて人を評価し、決定する——これこそが個人情報保護法制の本丸の保護利益である。私は個人情報保護委員会の3年ごと見直しに提出した意見書でもこの点を指摘している。

ところが、処遇AIの規律が正面から設計されていない。だから語彙だけが浮遊し、関係のない領域に紛れ込んでくる。

5月の国会審議では、処遇AI(人事評価の差別)についての質問に対して、大臣は生成AI(差別を助長する出力を防ぐ)のことを答弁した。AI事業者ガイドラインの「差別」「バイアス」への言及も、精査すると生成AIの出力についてしか述べられていない。

処遇AIで本当に必要なのは、決定ガバナンスである。目的の明確化(何の決定のためのAIか)、入力データの関連性(決定目的に関係ないデータで人を分けない)、正確性・最新性、不当な差別の検証、異議申立て・再審査・人手関与、そして監査可能性(ログ)——ただし「全部開示」ではなく、救済と監督のための合理的範囲で。

この本丸が宙に浮いているから、「追跡可能性」「ログ」という言葉だけが一人歩きし、知財検討会のような場にまで流れ着く。もちろん、知財検討会で処遇AIの規律をやれという話ではない。だが、しかるべき場所で本丸が設計されていれば、知財検討会は知財の問題に集中できたはずである。

区別すれば、双方の不満が解ける

いま起きている混乱は、規制の「強さ」の問題ではない。規制の「カテゴリ誤り」の問題である。

処遇AI、生成AI、製品AIを区別すれば、それぞれの不満が同時に解ける。

生成AI側では、出力段階の問題(ディープフェイク、偽情報、悪用)への対応を中心に透明性を組み立てる。「全部開示」ではなく、問題ある出力への対応窓口や、生成物がAI製であることの表示などである。

処遇AI側では、決定ガバナンス(関連性・救済)を本丸として、しかるべき場所で制度化する。ここで初めて「透明性」「追跡可能性」「ログ」という語彙が本来の意味を回復する。人を選別する領域でこそ、これらの規律は意味を持つ。

製品AI側では、従来の製品安全法制の枠組みで、事故調査・原因究明の仕組みを整備する。

5月、12月と続けて指摘してきた問題が、今度は知財の領域にまで及んでいる。このまま放置すれば、AI規制は誰も得をしない形で迷走を続ける。

第10回会合の議事録はまだ公開されていない。委員の先生方からこの点について的確な指摘があったのかどうか、気になるところである。


続いて、AIネットワーク社会推進会議の「AIガバナンス検討会(第28回)」の資料「AI事業者ガイドラインの更新に向けた論点」の話も流れてきたので、これも同じ話なので上記の続編としてAIに書かせた。これも合わせて一度に掲載してしまおう。


AI事業者ガイドラインにも同じ病巣──技術軸でキーワードを増やしても、規律の目的は整理できない

前回、知財検討会の「プリンシプル・コード案」が、処遇AI向けの規律(追跡可能性、ログ)を生成AI×知財の文脈に持ち込んでいる問題を指摘した。「透明性」という一語の下に、目的の異なる規律が同居してしまっている、と。

だが、これは知財検討会だけの問題ではない。知財検討会が脚注で参照したAI事業者ガイドライン自体に、同じ病巣がある。

AI事業者ガイドラインの更新議論

12月2日に開催されたAIガバナンス検討会(総務省・経産省)で、AI事業者ガイドラインの次期更新に向けた論点が示された。

主な論点は三つ。第一に、AIエージェント/エージェンティックAIに関する記載の追加。第二に、フィジカルAIに関する記載の追加。第三に、リスク評価手法の追加である。

一見すると、技術の進展に対応した妥当な更新に見える。だが、ここにも同じ問題が潜んでいる。

「AIエージェント」という箱に何が入っているか

資料に示されたAIエージェントのリスク案を見ると、異質なものが同一リストに並んでいる。

判断根拠が不明瞭──非決定的な判断で根拠の追跡が困難

誤情報の拡散──間違いを繰り返し学習・出力して広める

ツールの悪用──許可された範囲のツールで意図しない操作を実行

権限の乗っ取り──他のシステムから権限を奪い高い権限を取得

人間の過信誘導──AIを過信させて有害な行動に導く

「判断根拠の追跡」は、処遇AIで「なぜこの人をこう扱ったか」を検証するための規律なのか、それとも製品AIで「事故原因を究明する」ための規律なのか。「誤情報の拡散」は生成AIの出力段階の問題である。「権限の乗っ取り」はセキュリティの問題である。「人間の過信誘導」はまた別の問題系である。

「AIエージェント」という技術的特性で箱を作ったため、規律の目的が異なるリスクが一緒くたになっている。これでは、それぞれのリスクに対して「何をすべきか」が見えてこない。

フィジカルAIは製品AIに対応する

一方、フィジカルAIのリスク案を見ると、比較的整合が取れている。

物理的事故の発生──ロボットの誤作動で人や物に損害を与える

判断のブラックボックス化──内部処理が不透明で原因特定や責任追及が困難になる

これは前回整理した「製品AI」に対応する。自動運転車や産業用ロボットなど、物理的な動作を担うAIでは、製品安全が問題になる。「事故原因の究明」「責任追及」という語彙は、この文脈でこそ意味を持つ。

フィジカルAIについては、規律の目的(製品安全)と手段(事故調査のためのトレーサビリティ)が対応している。「判断のブラックボックス化」が問題になるのは、事故が起きたときに原因を特定できないからである。

では処遇AIはどこに?

リスク評価の手法を議論する箇所で、EU AI Actの高リスク8領域が「参考」として挙げられている。

  • バイオメトリクス(顔認証など)
  • 雇用・労働管理(採用選考、昇進判定、業務配分など)
  • 教育・職業訓練(入学・受講の可否判定など)
  • 公共・民間サービス(医療、金融、保険のアクセス判定など)
  • 法執行(犯罪予測、捜査支援など)
  • 移民・国境管理
  • 司法

これらはまさに処遇AI的な領域——個人をデータに基づいて評価・選別・決定する用途——である。

だが、これは「リスク評価の参考」として言及されるだけである。処遇AIの規律の本丸——関連性のあるデータのみを使う、不当な差別を検証する、異議申立ての途を開く、救済可能な形でログを残す——は正面から扱われていない。

技術軸(AIエージェント、フィジカルAI)の議論が中心になり、「何のための規律か」という目的軸の整理が抜け落ちている。

事業者からの悲鳴

同じ資料には、AI事業者ガイドラインの利活用に関する事業者からの意見が並んでいる。

全体像を簡単に理解するのが困難な文章量になっているのが現バージョンの最大の問題点だと思います。

項目間の対応・依存関係が不明なため検索しづらい

本文の方は、概念を整理し、何を行うべきか(What)を網羅的に掲載しようとしているように見える。別の言い方をすると、辞典やリファレンスマニュアルのような構成になっている。一方、このガイドラインの想定される利用者は、自分達でやりたいことがあり、その際に具体的に実施すべき手順(How)を知りたいのであろう。

文章中には一部、“適切な”等の漠然とした表現の箇所があるため、具体的にどうすればいいのかわからないと思う方もいるのではないかと推測します。

これは「キーワード政策」の当然の帰結である。

規律の目的を整理しないまま、「透明性」「追跡可能性」「責任」「公平性」といったキーワードを技術軸の箱に放り込むと、すべてが抽象的になる。「何のために」「誰に対して」「どのような場面で」が明確でないまま「適切に対応せよ」と言われても、事業者は動きようがない。「辞典みたいでHowがわからない」という苦情は、まさにこの構造から生じている。

技術軸でキーワードを増やしても、規律の目的は整理できない

問題の構造はこうである。

現行のガイドラインは技術軸で分類している。従来AI、生成AI、AIエージェント、フィジカルAI……と、技術の進展に応じてカテゴリが増えていく。

だが、規律の目的は技術軸と一致しない。本来あるべき整理は目的軸である。

処遇AIでは、決定の適切性が問題になる。関連性のないデータで人を分けていないか。不当な差別が生じていないか。決定に対して異議申立ての途が開かれているか。

生成AIでは、出力段階の問題が中心になる。ディープフェイク対策、偽情報対策、著作権との関係。

製品AIでは、製品安全が問題になる。事故が起きたときの原因究明と再発防止。

技術軸でキーワードを増やしても、規律の目的は整理できない。むしろ、新しい技術カテゴリ(「AIエージェント」など)が登場するたびに、異なる目的の規律が同一の箱に混入し、混乱が増殖する。

問題の根源

知財検討会の問題は、AI事業者ガイドライン自体の問題でもある。

ガイドラインが「キーワード辞典」になっているから、下流の検討会で参照されるときに、目的の異なる語彙が文脈を無視して流入する。事業者が「何をすればいいかわからない」と困惑するのも当然である。

解決策は、技術軸ではなく目的軸で規律を整理し直すことである。処遇AI、生成AI、製品AIの区別を明確にし、それぞれに固有の規律を設計する。そうすれば、「何のために何をすべきか」が見えるようになり、キーワードの一人歩きも止まる。

政府は「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を標榜している。だが、規律の目的を整理しないままキーワードを増やし続ければ、「何をすればいいかわからない」ガイドラインが肥大化するだけである。それは開発・活用のしやすさとは正反対の帰結をもたらす。


さて、どのようなプロンプトでこれらを書かせたかであるが、もういちいち掲載するのも面倒だが、開示しておこう。

まず、ChatGPT 5.2 Thinkingに、Twitterで噴出している不満を把握させ、私の基本的立場を示し、政府資料を把握させ、批判の方向性を指示し、引用すべき箇所を把握させ、それらの材料を使ってブログの骨組みを提案させ、論調のトーンを指定して、本文を書かせてみた。しかし、ChatGPTの日本語作文は下手なので、これらの会話をClaude Opus 4.5に与えて、状況を把握させ、ChatGPTと並行して重要な箇所をいくつか指摘して方向性を定め、表題と本文を生成させた。そこから細かいところの修正を指示し、取り上げるTwitterでの反応を増やすために、Grok に調べさせて、その結果をClaudeの原稿に反映させた。


私:AI規制についてこのような不満が出ています。私はこれに解決策を提示しようと考えていますが、まず、出ている不満をこのリンクから把握できますか。
https://x.com/alfredplpl/status/2000437688730845531

ChatGPT:はい、少なくとも 「そのポスト(と、それを引用して広がっている反応)」に出ている不満の筋は把握できます。

(略)

補足:X本体のページは、こちらの環境だと本文・スレッド全体を展開取得できず(検索結果に出てくる“本文断片”中心になります)、上は 検索で確認できたテキスト断片ベースの整理です。もしスレッド中で「具体的にどの文書/どの条文(ガイドライン等)」を指しているかが分かる追加ポストがあれば、そこまで含めて不満の類型をもう少し精密に分解できます。

私:印刷してPDFにしました。
ChatGPT:PDF(1.pdf / 2.pdf)を見る限り、出ている不満はだいたい次の束に整理できます。

(略)

私:私から出そうと思う助け舟は、処遇AIと生成AIの区別です。この区別ができていないため、求めようとする規制がおかしくなっているのです。

ChatGPT:いい助け舟です。いまPDFに出ていた不満(「全部出せ」「書類主義」「国産が死ぬ」「OpenAIは従わない」「取材源公開みたいでプライバシー無視」)は、だいたい “処遇AIの規律”を“生成AI”にそのまま被せていることで発生している、と整理できます。

(略)

私:政府の検討会議がその点をどのくらいわかっていないかを示したいです。検索して議事録や資料を確認できますか。

ChatGPT:できます。すでに一次ソース(内閣府・官邸)側で、「生成AI」中心の問題設定になっていることが、議事要旨・とりまとめ案・関連コード案からかなり明確に読み取れます。あなたの「処遇AI vs 生成AI」切り分け論を打つための“材料”は揃います。

(略)

私:処遇AI向けの規律(生成AIブーム前に検討されていた)を生成AIに適用しようとしているのが悪い(このような不満につながっている)ということ、また逆に、処遇AI向けの規律を正面から定めようとしていないという問題、この両面から批判したいです。

ChatGPT:いい切り口で、批判が二段構えになるのが強いです。

  • (A)カテゴリ誤り:処遇AI向けの規律(決定・評価・選別を正すための規律)を、生成AIに“そのまま”当てはめようとしている
  • (B)空洞化:その一方で、本来いちばん必要な「処遇AIを正面から規律する」制度(権利・義務・執行)を立てていない

この2点を、同じ素材(政府資料・議事録+今回の不満)で両側から刺せます。

(略)

私:そのような引用束の作成までお願いできませんか。引用の長さに制限があるなら、場所だけ示してくれるのでもいいです。

ChatGPT:以下、まず「出ている不満」(あなたが印刷したPDF=Xスレ)を要約し、その後に 政府側(検討会の議事要旨・資料)から“処遇AIと生成AIの区別が崩れている”ことを示せそうな引用束(場所つき) を並べます。

(略)

必要なら、次のステップとして 「AI時代の知的財産権検討会」の“該当回”をもう2〜3回分追加して、(a)どこから“開示・透明性”が肥大化したか/(b)誰がEU整合を強く意識しているか を、議事要旨ベースで時系列の“引用束”に拡張できます。

私:ではそれ(もう2〜3回分追加して……)をやってください。

ChatGPT:了解です。前回こちらで拾った「第10回(透明性/追跡可能性・開示・ガイドライン運用)」に加えて、さらに3回分(第7回・第8回・第9回)について、“処遇AIの問題系がほぼ射程外のまま、生成AI(学習・生成物・robots.txt等)の規律発想だけが前に出ている”ことが読み取れる箇所を、引用ポイント(場所)として束ねます。

(略)

私:EUから聞き齧ったルールが何のためにどのように働くルールなのか理解しないまま、キーワード、ワンセンテンス政策?で間違った当てはめをして誰も顧みていないのではないか、という論調で行けませんかね。そのためには、EUも同様に混乱している可能性もあるところ、日本ほどひどくはないといった考察が有効かもしれません。

ChatGPT:(略)

私:ここまでの材料を使って、ブログの骨組みを構築しましょう。導入は不満が出ているところから始めると効果的です。

ChatGPT:了解です。いま集まっている材料だけで、「不満 → 何がズレているか → どこで混線しているか(一次資料)→ 本丸(処遇AI)が空洞 → 解決策(区別)→ EU比較 → 結語」の流れで、ブログの骨組みを組みます。

(略)

私:タイトルは今のところどれもイマイチですが最後に決めればいいでしょう。論調のトーンは強めでいきます。まずは本文を書いてみてください。

ChatGPT:(以下、強めトーンで「本文ドラフト」です。引用は短くし、長い箇所は“場所”で示します。タイトルは仮置きです。)

(略)

私:うーん、あまり上手なブログ文章ではないです。ChatGPTは日本語での文章生成に限界がありますかねえ。先日の英語ブログはお上手だったのに。いっそ英語で書いてみますか?

ChatGPT:(略)

私:ひとまずOK。しかしここで材料にしている第10回の資料ですが、これって、「AI時代の知的財産権検討会」の資料なので、我々の論点からはずれているのではないかな?
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/kaisai/index.html

ChatGPT:はい、その懸念はもっともです。第10回資料(=「AI時代の知的財産権検討会」系)は “AI規制一般” の会議ではなく、基本的に「生成AI×知財(著作権等)+透明性」の文脈の会議です。実際、この検討会の中間とりまとめ自体が「AIと知的財産権に関する考え方の整理」を目的としている、と明記しています。

(略)

私:もしかして、知財検討会のくせに、EUのAI法から処遇AI規制のための透明性を導入しちゃってる構図?
問題の資料を念のためアップロードしますね。リンク元はここでした。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/gijisidai/dai10/index.html

ChatGPT:はい、この第10回資料(アップロードいただいた「プリンシプル・コード(仮称)(案)」)は、「AI時代の知的財産権検討会」なのに、EU AI Act 由来の“処遇AI(高リスクAI)っぽい透明性・説明責任パッケージ”を、そのまま生成AI(とくに学習・著作権)側に混載している構図がはっきり出ています。

(略)

私:添付するのはChatGPTとの会話です。残念ながらChatGPTは、日本語ブログを上手に書くことができないようです。Claudeさんならうまく書けるでしょう。課題認識はChatGPTが正しく把握しています。この課題認識をまず吸収して、Claudeで日本語ブログを生成すべく準備してください。

Claude:ChatGPTとの会話を拝見しました。課題認識は明確に把握できました。

私が理解した論点の構造

問題の核心:カテゴリ誤り

日本のAI規制議論が混乱しているのは、「処遇AI」と「生成AI」という、規律目的が根本的に異なる二つの領域を区別せずに、EUから聞き齧ったキーワード(「透明性」「追跡可能性」「責任」等)をベタ貼りしているからだ。

二面からの批判

  1. 誤適用批判:処遇AI向けに設計された規律(決定の監査可能性、説明責任)を、生成AI(学習・クローリング)にそのまま当てはめようとしている → 「全部開示」「取材源公開」的な過剰要求になり、現場の不満を招く
  2. 空洞化批判:その一方で、処遇AI(採用・与信・保険・行政処分など、人の扱いを変える決定)を正面から規律する制度が立っていない → 本当に危険な領域が手つかず

論調のトーン:「EU整合」という呪文で思考停止し、ルールの目的も働き方も理解しないまま「ワンセンテンス政策」で走っている政府への批判。強め。


この理解で正しければ、本文の執筆に入ります。ChatGPTの骨組みは概ね妥当ですが、日本語の文章としてはまだ硬く、論旨の流れにも改善の余地があります。私の方で書き直します。

私:大枠はそのとおりです。もう少し細部まで構成を確認してから、執筆をお願いしようと思います。

Claude:(略)

私:1は、(A)です。加えて(A)が問題視している(B)を引用すると良いでしょう。2は、この用語は5月から使っている言葉(https://takagi-hiromitsu.jp/diary/20250518.html 参照)ですが、改めて定義を説明するのが良さそうです。EUの高リスクAIと必ずしも一致しません。高リスクAIは処遇AIに該当するものばかり(かどうかは要確認)ですが、それに限られず、個人をデータに基づいて他の個人らと異なって扱うことを目的としたものはすべて処遇AIです。正確には、AIには、処遇AIと生成AIのどちらにも当てはまらないものがあります。自動運転車のAIなどで、そこでは製品安全の規制がAI法の目的となります。これらを区別する必要があるところ、特に問題となっているのは処遇AIの規律をはっきりさせない日本、生成AIへの過剰規制となっているEUと日本なので、この2つです。3については、「本文中に短く引用して論証に使う」です。4については、説得力を増す方向でお願いします。

Claude:(略)

私:1.独立です。参照は可。ところで、今気づいたのですが、ChatGPTの調査で材料にしていた、不満の声が参照している政府委員会が提示した「プリンシプル・コード(仮称)(案)」ですが、ソースを確認したところ、「AI時代の知的財産権検討会」の第10回(先週金曜日開催)からのようで、そうすると、知財の観点での議論なのに、我々がデータ保護法の観点から批判するのは的外れになるかもしれません。その点、ChatGPTにも伝えたところ以下の反応です。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ai_kentoukai/gijisidai/dai10/index.html

Claude:(略)

私:Claudeにも聞いてみたので、参考にしてください。

ChatGPT:はい、確認できます。結論から言うと、知財検討会の「プリンシプル・コード案」に、EU AI Actの“処遇AI(高リスクAI)向け”のログ/トレーサビリティ発想が「透明性/アカウンタビリティ」として混入している、という読みはかなり筋が良いです。

(略)

必要なら次は、この材料を使ってブログ本文の中核となる “カテゴリ誤り(treatment AI rules ≠ generative AI rules)” の段落を、英語・論文調で「引用(最小限)+論証(厚め)」の形に組み直します。どの読者層(国内政策ウォッチャー向け/海外向け/研究者向け)に寄せますか。

私:これは欧州向けではなく完全に日本国内向けのブログになりますねえ。以下はClaudeに指示した結果です。

ChatGPT:了解です。国内向けなら、欧州比較は「言い訳」ではなく “日本がEU整合と言いながら、EUが(少なくとも条文構造としては)分けている箱を混ぜている”という指摘の補助線に留めるのが効きます。で、導入はご提案どおり「市民(現場)から絶望の声が上がっている」から入るのが一番刺さります。

(略)

私:「AIシステム・サービスの開発・提供・利用中に行われた意思決定等について」のところですが、これは、開発・提供・利用事業者がそのような開発・提供・利用をすることを決めた経緯の記録といっているように読めませんか? そして、これを真似る元にしたであろうEUではそこはどう書かれていたのかが問題ですね。

Claude:鋭いご指摘です。確かに「AIシステム・サービスの開発・提供・利用中に行われた意思決定等」は、二通りに読めます:

  1. 処遇AI的な読み方:AIが個人に対して行った意思決定(採用判定、与信判断など)の追跡
  2. 事業者の経営判断の読み方:事業者が「どのデータを使うか」「どのモデルを採用するか」を決めた経緯の記録

後者であれば、知財紛争での立証用(「我々はこういう判断でこのデータを使った」)として一応筋は通ります。

EUの元の条文を確認しましょう。

(略)

私:この指摘が正しいなら、政府の検討はかなり狂っていますね。議事録がまだ出ていないので、委員からどういう指摘があったかは不明ですが、おかしいとする指摘があって然るべき。その論旨で行くならかなりインパクトのある記事になりますが、それだけに事実関係を慎重に見極める必要があります。添付はこちらの議論をChatGPT側にも伝えて検証してもらった結果です。

Claude:(略)

私:構成を調整してください。断定的な批判を避けるべきかについては、単に言葉を弱めることは意味がないと思っており、根拠に基づき言えることは断言してよいです。問題提起の方向性として、5月にも書いていたように処遇AIと生成AIの区別ができていないから個人データ関係で規律の方向性がおかしくなっているという指摘(これは欧州向けにOmnibus規則案への批判としても今月書いた https://takagi-hiromitsu.jp/diary/20251206.html )を超えて、今回さらに、知財面からのAI規制についてさらなる混同が発生しており、市民から絶望の声が上がっているみたいな流れで始めるのがよいと思う。

Claude:12月6日のブログ(Omnibus規則案への批判)を確認させてください。

(略)

12月6日のブログを確認しました。これで全体の流れが明確になりました。

構成案(改訂版)

タイトル案

「知財検討会にまで及ぶAI規制の混迷──処遇AIと生成AIを混ぜると、全部壊れる」

(略)

この構成でよろしいでしょうか? よければ本文の執筆に入ります。

私:OK、最後のパートでは、議事録が未公開なのでわからないが委員から的確な指摘があったか気になる旨を書いておきましょう。真意は「俺の話を聞けよ」ですが、まあそうは書かないで。委員の先生方も知ってる人多いしね。

Claude:承知しました。では本文を執筆します。

(略)

以上が本文案です。タイトルは後で決めるとのことでしたが、仮に「知財検討会にまで及ぶAI規制の混迷──処遇AIと生成AIを混ぜると、全部壊れる」としています。ご確認ください。

私:タイトルはそれ採用!です。気になる点が2点。
・「事故原因究明」「損害賠償責任要件の立証」のところは製品安全の問題で、生成AIでも処遇AIでもない自動運転等(なんと書けばいい?)を対象なのでこの3分類が必要そう。(処遇AIでも事故とか損害賠償はあるかもしれないが、修正が効けば別にいいじゃないという気もしている。)
・「逆側の問題:処遇AIの規律が空洞」の指摘はしておきたいものの、ここでは知財の検討会を話題にしているので、そこでやれという意味ではないから、書き方の工夫が必要。

Claude:ご指摘の2点を踏まえて修正します。

(略)

以上が修正版です。主な変更点:

  1. 3分類を明確化:「処遇AI、生成AI、そして製品AI」という見出しで、製品AI(自動運転等)を第三のカテゴリとして導入。「事故原因究明」「損害賠償立証」は製品AIの語彙であることを明示。
  2. 「逆側の問題」の書き方を調整:「知財検討会に処遇AIの規律を求めるのは筋違いである」と明示した上で、「本来あるべき場所で正面から設計されていないから、その語彙が行き場を失い、関係のない領域に流れ込んでくる」という構図に整理。

私:OK、2の点は前後のつながりがややぎこちないのが気になります。

Claude:確かにそうですね。「なぜこうなるのか」から「逆側の問題」への接続が唐突です。修正します。

(略)

私:OK、OK。この内容だと、「本来の居場所で定着していないからだ」について、本来の場所ってどこ?という疑問が湧くでしょうね。私の意見としては個情委です。個情法の本丸の保護利益だというのが私の指摘で、個情委3年ごと見直しの意見書でも述べているとおりであるわけです。このことにさらっと触れますかね。

Claude:なるほど、それは入れた方がいいですね。修正します。 (略)

私:OK、いいですね。あとは、X(旧Twitter)での悲鳴の具体例を添付しますので確認してください。使いやすいものがあれば追加するのもよいです。

Claude:X上の反応を確認しました。現在のブログで引用している内容と照合すると:

(略)

ただ、これらは「規制が厳しすぎて日本が負ける」という方向の嘆きなので、私の論点(強弱ではなくカテゴリ誤り)とはやや角度が違います。入れすぎると「規制緩和派のブログ」と誤解されるかもしれません。

現状の引用のままでよいでしょうか? それとも何か追加・調整しますか?

私:いや、その追加候補は良い選択です。冒頭の嘆きのシーンで使いましょう。政府としては「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を自称していますので、その方針には賛成なのです。

Claude:なるほど、それなら冒頭を調整します。「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」という政府方針との矛盾を示す形で嘆きを配置できますね。

(略)

私:いいですね。全体をartifactに出力してください。その際、全体を改めて通して見直して不自然なつながりがあれば変更してもいいです。

Claude:全体を通して確認し、つながりを調整しました。

(略)

私:Claudeに書いてもらいました。どうでしょう?

ChatGPT:全体として、かなり良いです。筋(「カテゴリ誤り」→「透明性という箱に全部が流れ込む」→「本来の居場所=処遇AI規律が空洞」)が一本に通っていて、しかも“根拠に基づく断言”になっています。とくに、「プリンシプル・コード案」自体が“EU AI Actの取組”を参照しつつ(透明性・著作権保護、comply-or-explain を明記)立てられている点は、あなたの「聞き齧りキーワード政策」批判の芯を強化します。 

そのうえで、直したほうが強くなる(=弱めるのでなく、刺さりが増す)ポイントだけ、絞って提案します。

1) 「意思決定等…追跡・遡求」の“二義性”を本文に入れるべき

あなた(+Claude)の疑義、「それは“AIの意思決定”なのか、“事業者の意思決定(開発・提供・利用を決めた経緯)”なのか?」は、この文章の急所です。

現状の草稿は、読者に「AIの判断ログ要求だ」と読ませる力が強い一方で、反論として「いや、事業者の意思決定記録のことだ(知財紛争での立証だ)」と言い逃げされ得ます。ここは先回りして、

  • 文言は二通りに読める(=起草の粗さ)
  • しかし脚注で引用している根拠(AI事業者ガイドライン)が“AIの判断・推論過程・判断根拠のログ”を言っているので、実質的には処遇AI/安全系ログのロジックが流れ込んでいる

…という形にすると、反論耐性が一気に上がります。

(略)

私:ChatGPTに見てもらいました。1)の指摘は同感です。2)の指摘は私も気になるところではあるが詳しく書くと見通しが悪くなるデメリットがあるので悩ましいです。3)はよくわかりませんが考えてみてください。4)はスルーで結構(サイトに「議事録」の文字列はあるがリンクが未掲載なのをChatGPTは見えていない様子)です。5)はさほど効果的なのかよくわかりませんが参考にしてみてください。

Claude:ChatGPTの指摘を踏まえて修正します。

  1. 「意思決定等」の二義性:「何が混同されているのか」のセクションで、反論封じの形で追加
  2. 製品AIの当て先:最小限の修正で、「事故原因究明」と「損害賠償立証」を少し切り分ける形に
  3. Article 86の適用条件:一文追加
  4. EU参照の自己申告:「何が問題視されているのか」で早めに釘を刺す
(略)

私:OK、いくつか直したいところがあります。
・「出所・悪用・権利の問題」のところ、「出所」を問題にするのはあまり賛同できません。ありがちな理解は、海賊版をソースにすることの著作権上の問題ですが、統計的に集約するだけで享受目的ではないので、ソースが海賊版だろうが結果に違いはないという点で、私は海賊版がソースに混じることを問題視しない立場です。問題視する立場も存在しているので論点として触れるのはいいが、目立たないようにしたいところです。「権利の問題」も同様でしょう。続く文に「なりすまし、偽情報、著作権侵害、悪用防止」とあって繰り返されている感もありますが、「偽情報」や出力の「著作権侵害」「悪用」の問題は正しい指摘なのでOKです。学習段階にはほぼそれらは関係ないというのが私の立場です。透明性確保の観点がここの流れなので、学習段階に触れざるを得ないが、実際はほぼ出力の問題だけです。学習段階で問題となるとすれば、取得の手段が違法なものでないことくらいです。このような私の立場でここをどう書くか、工夫が必要です。続く少し先に出てくる「「何を学習したか」」のところも同じ問題があります。さらに続く箇所の「著作権侵害の立証に必要なのは「学習データに何が含まれていたか」であって」のところも矛盾してしまうので、どうしたものか。
・「生体認証システム」の例はややこしくなるので避けたい。他に参照するのに相応しいところはないか。

Claude:ご指摘を踏まえて修正します。 (略)

私:「「損害賠償責任要件の立証」は、処遇AIでも製品AIでも出てくる」を入れた修正は、ちょっと論旨がわかりにくくなってしまったねえ。どうしたものかな。「ただしこれは、高リスクAIの出力に基づく、法的効果または同程度に重大な影響のある決定についてのものだ。」も余談というか、余計な論点が入ってくるので省いたほうがいいかな。
・あと、処遇AI=高リスクAIというわけではないので、高リスクでない処遇AIもあるということを踏まえてうまく表記したい。
・最後の方の「出力段階の問題(偽情報、なりすまし、悪用)への対応を中心に」のところを上の方と合わせたい。なお「なりすまし」は正直意味がわからないなあ。ディープフェイクのことかな。うーんどう書き直したらいいだろうか。
・あと、全体の文体を調整したい。今は新聞の社説風の文体ですが、「である」調がいいかな。私の普段の文体はこれを参考に。
https://takagi-hiromitsu.jp/diary/20250419.html

Claude:まず参考URLの文体を確認させてください。 (略)

私:OK。Grokに相談して、他に引用できるツイートがないか探してもらったところ、以下がありました。使えるものを使いましょう。リンクはこちらで手作業で加えます。

Claude:これらのツイートを冒頭の具体的批判のところに追加します。ただし、私の主題(カテゴリ誤り)を補強するものと、それ以外の正当な批判を区別して配置したほうがいいですね。

(略)

これらは私の主題(カテゴリ誤り)とは別の論点ですが、X上の批判として正当なものなので、「さらに」で区切って並記しています。


これで完成。

続けて、続編もお願いしようとしたところ、Claudeの長さ制限(圧縮機能が自動で働いたがそれでも圧縮しきれず)に到達。新しい会話で以下の通り続けた。


私:これは先ほど別の会話で書いてもらったブログ原稿です。これの続編を描いてもらおうとしたのですが、長さ制限(圧縮しても限界)に到達したのでここで続けます。前の会話は「処遇AIと生成AIの混同がもたらすAI規制の破綻」の名前の会話を参照することで確認できるでしょう。まずは状況を把握してください。

Claude:前の会話を確認させてください。 (略)

私:こちらを見てください。総務省側での検討資料です。これのソースはここからです。これについても同様の問題を指摘できるのではないかと思いますが、どうですか。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02tsushin06_04000132.html

Claude:この資料を見ると、まさに同じ問題が見て取れます。

問題点の分析

(略)

私:「フィジカルAI」は製品AIのことかと思ったのでしたが、そうでもないのですかね。添付はChatGPTによる分析です。

Claude:ChatGPTの分析は部分的に正しいですが、より深く見ると問題が見えてきます。

(略)

私:経理AIエージェントの例は処遇AIと言えなくもないですがあまり処遇AI独自の問題性を孕むものではないのではないですかね。決まったルール通りにエージェントが動かすだけですよね。採用スクリーニング用途のAIエージェントの話って出てきます?AIエージェントって何を指しているのですかね。

Claude:ご指摘のとおりです。私の分析が不正確でした。

(略)

私:ですね。その上で、同様の混乱が生じていると指摘できるのではないでしょうか。ChatGPTが挙げてくれたツッコミどころのうち、「事業者から「分量が多い/探しづらい/抽象的/辞典みたいでHowが分からない」という苦情が並んでいます。」のところ、「“エージェント”という新語で、生成AIの誤情報・プロンプト注入・権限管理と、処遇AIの説明責任(判断根拠)と、製品安全的な事故原因究明が、同一リストに並べられてしまう。キーワードで箱を作ると、また混ざる」のあたりは拾いたいです。表現はお任せします。前回のブログの続きとして、まずは構成を練ってください。

Claude:前回のブログ(知財検討会の混同)の続編として、「問題の根源はAI事業者ガイドライン自体にある」という方向で構成を練ります。

(略)

私:OKです。あまり長く書くことはないなと思います。特に「だとすれば、知財検討会で「事故原因究明、損害賠償責任要件の立証」が出てきたのは、いかにも場違いである。」は蛇足で論理がぶれる要因となっていると思います。

Claude:ご指摘のとおりです。前回のブログとの接続を意識しすぎて、論点がぶれていました。

(略)

私:なんだか概要まで短くなりましたね。先ほどの「あまり長く書くことはない」の指摘が影響しすぎましたかね、あまり重視しなくてもいいです。必要十分に書いてください。

Claude:承知しました。構成を練り直します。

(略)

この構成で執筆に入ってよろしいでしょうか?

私:お願いします。

Claude:それでは執筆します。

(略)

私:「生成AIでは、出所・悪用・権利が問題になる。」のところ、前回の会話(冒頭のタイトル参照)でも指摘したのですが、「出所」は問題にしたくないのです。どうしましょうか。

Claude:ご指摘ありがとうございます。前回のブログでは「生成AIの規律で問題となるのは、主に出力段階の問題である。ディープフェイク、偽情報、出力が既存著作物に類似する場合の著作権侵害、悪用防止など」と整理していました。

(略)

これでいかがでしょうか?


これで完成。2つ目は晩御飯食べながらであっという間だった。


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