2017年5月、それは新聞各社のベタ記事報道から始まった。
朝売新聞2017年5月26日朝刊
美術館の電子書籍を破壊 愛崎県警 不正指令電磁的記録作成容疑、32歳を逮捕
岡知市立美術館の電子書籍データを破壊する不正なプログラムを人の実行の用に供する目的で作成、提供したとして、県警生活経済課と岡知署は25日、不正指令電磁的記録作成及び同供用の容疑で、コンピュータソフトウェア制作会社社長を逮捕した。
発表によると、容疑者は、昨年12月、ハードディスクを繰り返し執拗に消去するプログラムを作成し、インターネットのホームページで公開していた。今年3月に市立美術館の主任主査がこれをダウンロードしたところ、美術館の電子書籍データがすべて破壊された。プログラムは35回にわたって繰り返し0(ゼロ)を書き込むよう作られており、誤消去したファイルを元に戻すソフトを使った復旧作業を不可能にしたとされる。
容疑者は、「セキュリティのために情報を消去するプログラムを作成し提供していた。利用者の利便性のために提供していたもので、誤って実行させるつもりはなかった」と容疑を否認しているという。
同美術館によると、システムの保守を委託している業者が復旧を試みたが、バックアップ装置のトラブルで復旧が不可能になったという。
ニュースのことば 不正指令電磁的記録作成及び同供用罪
コンピュータウイルスによる情報流出などの被害が後を絶たないことから、ウイルスの作成を処罰できるよう、2012年の刑法改正で新設された罪。他人のコンピュータで使われるよう提供する目的で、他人が使用する際の意図に反する動作をする不正なプログラムを作成した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられる。
このニュースがネット上に掲載されると、Twitterやスラッシュドットなどで、「この逮捕はおかしいのでは?」という疑問の声が相次いだ。Webプログラマの大柿氏は、岡知署に電話して意見を述べたとのことで、「電話に出た方は納得したようだ」とのことだった。
(執筆中)