NHKが今日になってテレビでこんな誤り情報を流した。まことに遺憾。なぜ私に確認しない。Webでちょっと「winny 利用者」で検索するだけで信用できない情報とわかるじゃないか。
依然として20万台以上に上っており、特にWinnyは、元日に少し減ったあと、利用が増え続けているということです。
観測Winnyノード数は、下の写真のように、1月21日14時ごろ、一気に8万4千ノードが消滅し*1、その後は、先月比で約2割ほど減少した数で従来通りのパターンで推移している。
23日から水増しノードの発生源について調査していたところ、26日にほぼ判明したが、まだ裏付けのための集計処理が終わっていない。NHKがこのような報道を出したので、取り急ぎ、速報として以下の事実関係を示す。
原因となっている水増し分のIPアドレスは、以下の3つであると判明した。
160.193.162.233 160.193.162.234 160.193.163.135
これらは、逆引きできないが、traceroute等でわかるように、大阪市立大学に割り当てられ、接続機器が稼働中のIPアドレスである。ただし、これらのIPアドレスが発生源だったのか、それとも、他の者により偽装されたIPアドレスとして出回っていたのかは、まだ解析できていない。
これら3つのIPアドレスそれぞれに、2万8千個ほどの異なるポート番号を組み合わせたWinnyノード情報が、コマンド4で隣接ノード情報としてWinnyネットワーク全体に出回っていた。
これらのノードを、過去24時間分の合計として計数したのが、図3の茶色のグラフ(下の線)である。
この茶色の水増し分を、赤のグラフ(上の線)から差し引いたのが、紫のグラフ(上から2番目)*2であり、これが本来の値である。グラフの通り、2009年12月31日24時を境に急激に減少し、その後は通常通りのパターン*3で推移していたことがわかる。
何者かの愉快犯が、このような誤報を誘因するためにノード数を水増ししたのか、それとも、大阪市立大学の正当な研究用のWinnyクローラ*4が、異常な設計になっている*5ために引き起こされた、不慮の社会的混乱事故であるのか、あるいは、大阪市立大学の研究の目的自体が、偽ノードを大量に発生させることによる何らかの実験(たとえば、通常のWinny利用を阻害する目的など)だったのか、まだわからない。
今日は時間がないのでここまで。今週末に詳細を改めて書く予定。
大阪市立大学の関係者からの連絡をお待ちしております。
1月30日の日記に続編を書いた。
*1 過去24時間分の集計値なので、実際に発生源が止まったのは1日前の、20日14時ごろと考えられる。1月22日のTwitter発言1、同2。
*2 グラフ中で、下向きにヒゲのように飛び出ているところが4か所ほど見られるが、これは、横軸のサンプル点が異なるデータ(赤と茶色)に対して、引き算によって算出した値であるため。赤のサンプル点は、クローラが一巡するごと(約15分から25分で変動)であるのに対し、茶色のサンプル点は、1時間毎。茶色のグラフが急激に変化した部分で、時刻が整合していないことが原因で、ヒゲのようになる。これは、全体を集計しなおせば解決するが、数日かかる計算量なので、まだやっていない。
*3 平日に少なく、休日に多く、正月三が日には少なくなる。
*4 大阪市立大学から発表された研究で、Winnyクローラを使用しているとされている論文に次のものがある。ただし、これが今回の件と同じ研究室によるものかは、現時点では不明であることに注意。
*5 たとえば、接続するごとに、(自己申告になっている)自ノードポート番号をなぜかランダムにしているとか。
高木浩光@自宅の日記の『NHKまでもが「Winny利用が増え続けている」と誤報 いいかげんにしろ』を読んで
『21日14時ごろ、一気に8万4千ノードが罧..