8月9日の日記で、(1)〜(4)の4項目の質問をしたのに(1)と(3)にしか回答をくれなかったと書いた件について、その後、再度コールセンターに問い合わせ*1、(2)と(4)についても回答をくれるように依頼していたのだが、その回答書が来た。
2003年8月15日(挨拶部 略)
■コンテンツプロバイダとの契約にて「サブスクライバーIDは個人情報なのでこれを厳重に管理し外部に漏らさない」との項目はあるか?
(回答)コンテンツプロバイダとの契約におきましては、本サービスの提供にあたり知り得た顧客に関する一切の情報について、第三者へ開示・漏洩しないことを明記致しております。
■非公式サイトヘのサブスクライバーIDの送信を止める機能はあるか? またEZweb@mailを一旦削除して登録しなおす方法以外に、サブスクライバーIDを変更する方法はあるか?
(回答)現行のシステムでは、非公式サイトにサブスクライバーIDへの送信を止める機能はございません。またEZweb@mailを削除して再加入頂く以外にサブスクライバーIDを変更することはできません。
「知り得た顧客に関する一切の情報について、第三者へ開示・漏洩しない」ことが契約で約束されているというのであるから、顧客としては、この文章を見ると直感的に安心感を覚える。
しかし、この回答文は、よく読むと、サブスクライバーIDが「知り得た顧客に関する情報」に含まれるのかどうか、答えていない。「一切の情報」という文節に注目すれば、含まれるように聞こえるが、「顧客に関する」という文節に注目すると、顧客に関するものとしているのかどうかが、不明だ。
この回答を前回の回答とあわせて4項目を並べてみると次のようになる。
(1) サブスクライバーIDは個人情報であるか。
それ自体は、単なる文字、数字及び記号の羅列であって、それによって個人を特定できる情報ではありません。
(2) コンテンツプロバイダとの契約にて「サブスクライバーIDは個人情報なのでこれを厳重に管理し外部に漏らさない」との項目はあるか?
コンテンツプロバイダとの契約におきましては、本サービスの提供にあたり知り得た顧客に関する一切の情報について、第三者へ開示・漏洩しないことを明記致しております。
(3) 非公式サイトに対してサブスクライバーIDを送信するのはプライバシーの問題があるのではないか。
コンテンツプロバイダー(以下「CP」)への提供自体に問題はないと考えております。
(4) (略)
(1)の回答からすれば、サブスクライバーIDは、(2)における「顧客に関する情報」にはあたらないと解釈できる。
その解釈の下では、公式サイトとの契約においても、(個人情報との結び付けさえしなければ)外部に転売することが許される(誰かわからないこのIDの人が、いつどんな閲覧をしたかの情報の転売が許される)という解釈も可能に思える。
一方、(2)の質問は、「これ(サブスクライバーID)を厳重に管理し外部に漏らさない」ことを約束しているかという問いである。「顧客に関する情報」でないのなら、
サブスクライバーIDは個人情報ではないので、契約において個別に明記していません。と回答してもよさそうなものだ。それなのに、「顧客に関する一切の情報について開示・漏洩しない」という回答をここにもってくるのには、「サブスクライバーIDの保護を契約で明記していない」とは回答したくないという気持ちがあるのだろう。
であるなら、なぜ(3)のように、契約関係にないコンテンツプロバイダーである「非公式サイト」への提供について、「問題はない」という回答になるのだろうか。
ここでもやはり、「お客さまの情報は守る」ということと、「お客さまの情報ではない」という二枚の舌が巧みに使われている。
*1 コールセンターの責任者は、今回もとても顧客想いの対応だった。私からの電話だとわかるやいなや、こちらから話の口火を切るより先に、回答書が回答になっていなかったことに理解を示すのだ。私も昔、いろいろなコールセンターに問い合わせたことがあるが、こんな顧客本位の対応はとても珍しい。回答に責任を持つため明快な回答を避けざるを得ない立場の者と、顧客対応の者とは別といったところだろうか。まさに組織と顧客の仲介役という感じだった。