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高木浩光@自宅の日記

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2010年09月02日

岡崎図書館事件(2の2) 図書館はどうしたのか 前編

が話題になっている。

事件直後、つまり逮捕報道の翌々日の5月28日、最初に電話取材したのは岡崎市立中央図書館だった。このときは録音していたが、とくに意味のある情報が得られなかったので聴きかえすことはなかったのだが、今日改めてはじめてその内容を聴いてみたところ、図書館側の姿勢が当初から現在まで全く変わっていないことに驚愕した。この時点で既に言うべきことは言っていたが、図書館側は当初から話を受け入れる様子がまるでなかった*1。以下、正確性を期すためそのまま内容を示す。先方は、岡崎市教育委員会図書館交流プラザ中央図書館企画室の三浦氏(日経コンピュータ8月4日号の記事で図書館側として出ていた方)。


私: 情報セキュリティの研究をしている者ですが、26日の朝日新聞にそちらの図書館に対して集中的にアクセスした男が逮捕されたという報道がありましたが、これはちょっとおかしいのではないかということが、話題になっているのですけども、通常、連続してアクセスするようなソフトウェアを開発して使うということは日常的に行われているのですけども、

図: はい。

私: そういった通常の使用とは違うケースだったということなんでしょうか。

図: 実際のところ、今逮捕されたという報道発表がされて、警察で調べているということだと思いますので、新聞に載っている内容で発表されているものですから、あまり今の段階で我々の方として詳しく、ちょっとコメントすることは考えていないのですが、なんていいますか、元々はですね、

私: はい。

図: こちらのホームページが閲覧できない状態というのが出てきていまして、それについて被害ではないかということで警察の方にお届けさせていただいたというのが、まあ、元々のきっかけです。

私: はい。そちらのサイトの作り方が悪いから性能が悪いだけなんじゃないでしょうか。

図: まあそれはどういうふうかというのはちょっと何とも言えないですけどね、ええ。

私: でも、こんなことで逮捕されるんでは、産業の発展が阻害されると思うんですけども。

図: はあなるほどはい。

私: そういった公的な図書館としての責任として、何も原因を調べもしないで、

図: はいはい。

私: 警察沙汰にして、

図: ええ。

私: 警察も本当は、故意による、まさに業務を妨害するものとしてやったのかどうか、ということをろくに確認もしないで、このような報道をして、実名報道してですね、こういうことが出てしまうと、たとえばGoogleのようなサービスをこれから立ち上げようとしても、日本ではできないということになってしまいますね。

図: はあなるほどはい。

私: 一か所でも出来の悪いサイトがあって、落ちてしまう場合にですね。

図: まあ出来が悪いかどうかっていうのはまあ、そちらの方はそういうふうに思われるんだということと思いますけども、私どもの方は運営してこれまで普通に動いてきたサイトが、他のお客様が予約しようとしてもその画面が見れないという状況が出たということですね。

私: その原因を調べるとかですね、対策をとるとか、たとえば、同じところからアクセスが来てたと思いますのでね、とくに偽装して何かわざと回避していたわけではないみたい、だと思いますので、

図: ないみたいというのは、どうしてそういうみたいということなんですか。

私: そちらで何か調べたりはされたんですか。

図: ですので、そこらへんのところについて今警察さんの方が調べられているとこなもんですから、今ここでちょっと電話でということでお伝えするということは、申し訳ないですけども控えさせて頂きたいと思います。

私: あのー、そちらでもとれる対策はあったんじゃないかと思うんですけどもね。

図: はいはいはい。

私: そういったことは何もされなかったと。

図: 何もしなかったっていうわけじゃなくて、どっちにしてもその、なんていいますか、こちらの方でファイアウォールとか当然あるわけなんですけども、そういうことをしていてもやっぱり、アクセスがされて、ホームページ自体が止まっちゃうということが出てきたもんですから、我々としては困っちゃったなということです。

私: あのー、検索をするとですね、たとえば0.5秒くらいかかるような作りになっていたとすればですね、1秒に2回くらい連続して検索をすると止まってしまうと思うんですけどね、ファイアウォールがあってもですよ、

図: はいはいはい。

私: しかし、そういうときはまず、やめてほしいとかですね、連絡をとるためにアクセス元のIPアドレスのISP事業者に対して、このお客さんちょっと困るんですけどというような依頼をされたことはないんですか。

図: 我々の方としてはそこがわかんなかったということになりますね。今の時点で、もうしわけないですけども、私たちの方も実際に被害を受けた立場としてお届けをして、今これがどういうふうになるのかっていうのを見守っているところなもんですから、もうしわけないですけどもこれ以上個別でのお答えというのはちょっとできませんので。

私: でも、通常、Webサイトを運営するにあたってはですね、いろいろなアクセスが来る中で、そういう状況に対処していくというのは、サイトを提供している限り責任を持ってやる部分というのはあると思うんですよ。

図: はいはい。

私: そういうときに、ただ、動かないからすぐ警察っていうのは、いかがなものかと思うんですが。

図: はあなるほどねはい。そういうご意見としては承ります。はい。

私: あのー、とくに何も一切なくただ止まったから警察に届けたということなんでしょうか。

図: 我々の方としても、ある日突然止まったから警察に届けたわけじゃないですけども、その辺が最終的にどういうふうになるかというところを今のところ見守っているとこなもんですから。

私: その、保守の業務を委託している事業者というのはないんですか。

図: 当然市で直接全部立ち上げたホームページじゃないわけですから、図書館システムがあるわけで、そこと連動させてホームページを運営しておるもんですから、 当然、業者さんというのはいるわけですけどね。

私: そういうところとの相談というのはとくにされなかったんでしょうか。

図: 当然最初はどういう原因かっていうのはわからないもんですから、何が原因でそういうふうになっちゃうのかはわからなかったものですから、当然、保守をしている業者さんと、そことは相談をしております。

私: そのときどういうふうな、業者の言い分…

図: (遮るように)個別に申し訳ないですけどもそこについて今、どういうふうで捜査といいますか、見守っている立場ですので、個別にもうしあげることはもうしわけないですがこの場では控えさせていただきます。

私: ちなみにその、保守を担当している業者はどこでしょうか。

図: 三菱電機インフォメーションシステムズというところが、図書館システムとして対応しているところです。

私: ははあ。そうですか。えーと、業務妨害罪っていうのは過失罰はあるんでしたかね。

図: 私たち警察じゃないもんですから、そのへんはちょっとどういうふうになるのかっていうところを見守らざるを得ないところでございまして、お答えすることはできません。

私: まことに残念です。産業の発展に対して重大な萎縮効果になると思います。

図: なるほどはいはい。

私: そちらの図書館の管理をされているのは、岡崎市のどこですか。

図: 市立中央図書館という、まあ、課にあたる部分がありますので、中央図書館が課にあたるところですね。

私: そちらさんはどういう役職の方なんでしょうか。

図: この図書館の職員の主任主査という役名を与えられておる者です。

私: こういう問い合わせはもしかして多数寄せられてるんでしょうか。

図: 多数と言ったらいいのかわからんですけども、1件だけじゃなくて2件、3件というふうで頂いておるですね。

私: そういう状況についていかが思われますか。

図: ですのでこれから、ですので、なんていいますか、どれくらいの容量までカバーできるのかっていうことは話としては出てくると思うんですけども、今回の内容がそもそも最終的にどういったところに落ち着くのかというのは見守らざるを得ないというふうに思っておりますね。

私: いや、問い合わせが何件も来るということについていかが思われますか。

図: 問い合わせあるっていうのはそりゃ当然、あの、お宅様が言われたみたいな言い方をされてる場合ばっかりじゃないもんですから、詳しく教えてほしいだとか言い方をしてるわけでありまして。

私: 言い方。言い方と言いますと。

図: お宅様が言われているのと同じような質問、図書館のシステムがそもそもおかしいんじゃないですかっていう話ばっかりが来てるわけじゃないものですね。

私: はい。

図: その問い合わせがどんな内容であるかというのはべつにお宅様に言う必要はないと思いますけど。

私: そうですか。何か私いけないことを言ったでしょうかね。

図: いえべつに。

私: 何か一貫していやな感じで話されているのですが。

図: そうですかね。それだったら申し訳ないですけども。今私たちとしては細かく答える、といっても実際のところ警察さんの方が動いているもんですから、メールであろうと電話であろうと問い合わせいただいても細かくコメントすることは差し控えてたいということなんですけども。

私: しかし、社会に対して影響を及ぼしているわけで、そちら公的な機関ですし、

図: はいはい。

私: ……。

図: ええ、ですんで?はい。

私: ……。

図: まあ、なんらかの発表内容を図書館としてすべきではないかということが、出てくるかどうかということはこれからちょっとあれになりますけどね。

私: そうですか。そのー、サーバのですね、性能が非常に劣っているからではないかということについての調査は、まだなさっていないということですかね。

図: これからですね。

私: これからなさるつもりであると。

図: はいはい。

私: これからなさると。

図: まあするというか、じゃあどれくらいだったらいいのかということはちょっとなんとも言えないところがあると思うんですけどね。私たちもちょっと新聞報道を見てまして、数字がいろいろ出ている中で、こちらの新聞はこういうふうに書いてるけどもあちらの新聞はこういふうに書いてる、ちょっと違いがあるだとかですね、いったことは把握してますけども、それについてちょっと今、だからここはおかしいとかいうようなことは、私たちとしては差し控えたいもんですからね。

私: わかりました。とにかく、これは大変残念なことだと思います。

図: ああそうですかはいはい。

私: もしこれ、容疑が晴れてですね、故意でやったものではないとなれば、過失罰ありませんから、嫌疑不十分、あるいはそもそも容疑に該当するものはなかったということになり得ると思うんですが、

図: はあなるほどはい。

私: そういった場合、何か発表なさるんですか。

図: それは結果を見てみてみないとなんとも言えないですね。

私: もしそうなった場合は、発表なさる予定は。

図: 私の一存ではちょっとするとかせんとかいうことはお約束できませんけどね。

私: べつに約束ということではなくて、まあここで今、そういう必要があるんじゃないですかね、ということなんですけどね。

図: ああそうですか、としか言いようがないですね。もうしわけないですけども。

私: ……。そうですかー……。まあその個人の方にもそうとう迷惑がかかったと、この人もミスで過失によってこうなってしまったと思うんですけどね。

図: はあなるほどねはい。

私: こんなふうになったというのも、通常、過去に例のないことだと思いますし。

図: はいはい。

私: しかも社会に対しても大きな不安を与えたというのも、おたくらの技術的な力不足のせいだと思うんですけども、あるいは業者との検討とか、あるいは社会的な常識感というのがないと思うんですけども。

図: ああそうですかはい。

私: それでじつはまったく疑いはなかったと、いう結果になった場合には、それはあなた方にだって、それは事実でなかったと、私たち何も調査しないで警察に頼ったことに対する反省の

図: (遮って)決めつけられても我々としてはちょっと、エーというふうに思いますけどね。

私: 何ですって?

図: 調査がなかったということを、しなかったということを決められた上で、そういうふうにおっしゃってるということなんでしょうけど、それについて今の時点で、いやそれは違いますだとかいうことは申し上げることはないですけどもね。

私: でもさっきの話だと、保守をやっている業者と相談はしたというような話で。

図: 当然、一存で、私がそういう状況を見つけましたということですぐ警察に届けたというわけじゃ、当然ないわけですので。

私: というとこれはやっぱり何か、悪質な行為でもって何度も来ているという、落とそうと思って来ている、攻撃だというふうな判断になる何かというものがあったんですかね。

図: 私たちとしては、とにかく、他のお客さんが普通に予約をして利用したいという人たちに迷惑をかけられているとしか、ちょっと考えようがない、というふうに思ったもんですから、被害ではないかということで考えたわけですけどもね。それがそもそも岡崎市立中央図書館常識がないですよということだったという結末になるかもしれないよというお話ですよね。

私: はい。

図: お宅様が言われているのは。

私: はい。

図: ……。

私: えー、やはり、その、業務妨害を意図したものではなかったという結果になった場合においては、どういう顛末、なぜこういうことになったのかということをしっかり調査してですね、公表されることを望みますし、

図: そうですか。

私: それは公的な機関としての責任だと思います。

図: んーなるほどはい。

私: これだけの結果になっているわけですから。

図: はいはい。

私: 以上です。

図: はいそうですか。よろしいですか。

私: はい。

図: はい。


今になって興味深く感じられるのは、原因について保守業者に相談したときに保守業者がどういう言い分だったかを尋ねようとした途端、それまでと違って急に話を遮って、「個別に答えることは差し控える」とされた点だろうか。

*1 たとえば、サイトの作り方が悪い可能性について述べたときに、それはどういうことかといった具合に聞き返されることが全くなかった。

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岡崎市立中央図書館というだけで、またあの件か、とネットを毎日のように使い、まして、いわゆるWEBプログラミングによって
情報収集している人たちにとっては、驚くほどレベ

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