「岡崎図書館事件(15)」として「ウイルス作成罪」(不正指令電磁的記録作成等の罪)の件について書こうと思っていたところ、ちょうど今日、法務省の検討状況の続報が出た。
法務省は22日、インターネットを通じたハイテク犯罪防止のため、コンピューターウイルスの作成、保管などに対する刑事罰の新設や、電子データの差し押さえをしやすくする刑法や刑事訴訟法などの改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めた。民主党法務部門会議で明らかにした。
ウイルス作成罪の件は頓挫しているとの噂を耳にしたばかりだったので、安堵した。
私は、ウイルス罪新設刑法改正は早く成立させるべきだと思っているが、ただし、これまでに提出されてきた法案のままでは危険であり、目的要件を修正することが必須だと考える。
具体的には、
人の電子計算機における実行の用に供する目的で、
を
人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える状態にする目的で、
あるいは、
人の電子計算機における実行の用に供し、人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせる目的で、
などと修正するべきである。
つまり、単なる「人の電子計算機における実行の用に供する」(プログラムを公開する)目的という目的犯としてではなく、「その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせる」ことを目的とした目的犯にするべきである。
これまでのこのような私の主張に対して、法律家の方あるいは法律を勉強していると思しき方から、何回か、杞憂だとする反論を頂いたが、それらのご指摘は次の2つにわけられる。
どちらに対しても既に反論したつもりだが、プログラムを書いたことのない(法律家などの)方々には理解し難いようで、まだ説明が必要だと、ずっと考えてきた。今すぐこれを書きたいところだが、別の原稿の締め切りがあるので書く時間がない。次の土日には書くとして、とりあえず、これまでに書いたもののリンクを以下にまとめておく。