昨年あたりから、児童ポルノ法の見直しをめぐって、単純所持の処罰化を求める団体の発言や、それを援護する新聞のキャンペーン報道が活発になっていたわけだが、それを見ていてずっと疑問に思っていたことがある。「日本は児童ポルノ大国だから」と、規制強化の必要性を訴えるわけだけども、いつも、その根拠となる数字なり調査結果なりが示されることはなかった。そのため、違法化を嫌がる人達が、イタリアの児童保護団体がまとめた国際比較統計などを示して、日本の児童ポルノ掲載サイトの数は世界的に見て非常に少ないのであり、5年前に比べても大きく減少しているのだと、そもそも問題は存在しないかのように語ってきた。
しかし、それはどうだろう? 日本には、Winny*1という日本特有のP2P型ファイル共有ネットワークが定着してしまっている。児童ポルノを欲している人達は、Winnyでそれを入手できることで満足しており、その結果として、Webサイトが少なくなっているだけではないのか。Winnyに児童ポルノが流通しているらしいことは、Winnyを使ったことのある人なら*2気づいているはずだ。
それなのに、規制強化を求める団体も、キャンペーン記事を流す新聞も、そのことに全く触れてこなかった。日本の「児童ポルノ大国」ぶりを実証できる題材なのに、誰もそれをしない。これはいったいなぜなんだろうか。
陰謀論的な見方をする人からすれば、「官憲が児童ポルノを口実に『Webのブロッキング』を実現しようとしている」「そのうち、体制に不都合な言論もブロックされるようになるだろう」という憶測が出てくる。たしかに、まだ児童ポルノ法の改正が決まってもいないうちから「児童ポルノ流通防止協議会」が発足し、「ISPによるブロッキング、検索エンジンにおける元データからの削除等」の実現が模索されようとしており、この動向が肯定的に報道されてきた。この協議会は、Winny等での児童ポルノ流通を阻止する必要性について触れていないし、この動向を伝えるマスコミ報道もそのことに触れない。もはや、Webサイトのブロッキングありきで事が進んでいるように見える。
このことが気になった私は、白浜シンポジウムやその他の場で、いろいろな方にその疑問を投げかけてみた。「何か狙いがあってわざと言わないようにしてるんですかね?」と。ある人からは「いや、実態を知らないだけなのでは?」と、別の方からは「めんどくさいことは後にして、簡単なことからやるって話なのでは?」との反応があった。*3
もしかして、規制強化要望団体もそれを援護する新聞も、本当にWinnyでの実態を知らないのだろうか。であるなら、実態が明らかにされて、広く周知されるべきであろう。
というわけで、3年前から稼働させているWinnyネットワーク観測システムの記録データ(流通しているファイルの名前等を示すキー情報)を基に、その実態を調べてみた。
当初、どうやってファイル名から児童ポルノらしきものを見分けて抽出すればよいか、面倒だなと調べるのが億劫だったのだが、とりあえず「ロリ」と「洋炉」の文字列を含むものを抽出してみたところ、意外にも整然とファイル名が付けられており、その他に「和炉」「亜炉」があるほか、英語圏の小児性愛者らの間で通用する隠語と思しき英字の略語が使われていた。
他に「loli」を含めた計6つの語について、それがファイル名に含まれる*4ものを、2009年7月1日の24時間に流通していたキーから抽出したところ、70,665個(種類*5)のファイルが見つかった。これには、児童ポルノに該当しないものも含まれているだろうから、ランダムに選んだ300個について、ファイル名を目視で判断して仕分け、その割合を推定したところ以下のようになった。
概ね4割くらいが該当するよう*6なので、2009年7月1日の24時間で、約2万8000個ほどの児童ポルノファイルが共有状態にあるのが観測されたということになる。
では、1週間ではどのくらいが観測されるか。2009年7月1日から7日までに観測されたキーから集計したところ、94,705個だった。そのうちの4割が該当するとすると、約3万8000個である。
過去はどうだったのか。2006年9月1日から2009年4月1日まで(1か月おきの)1日あたりの観測数をグラフにしたところ、図2のようになった。*7
ほとんど変化していない(ノード数は半減しているのに)。3年前の時点で既に大量の児童ポルノが流通しており、おそらく同じものがずっと流れ続けているのだろう。2009年7月1日に観測されたファイルのうちの何個が、グラフ中の各月(の1日)で常に観測されていたかを調べたところ、11,683個がそれに該当した。半分ほどは常に確実に共有されているということだ。
では、これらのファイルはどのくらいダウンロードされ、どのくらいの人達の間で共有されているのだろうか。図3は、Winnyがファイル毎に記録する「被参照量」のデータから、ファイルの延べダウンロード回数*8を求め、その多い順に表示したものである*9(2009年7月1日の観測データから)。
Winnyでは「被参照量」に上限が設定されているのか、10,000回を超えた分はカウントできていなかった。図3のように、上限に達してしまった(殿堂入りした)ファイルはたくさんある。いくつあるか数えてみたところ、1,961個のファイルが殿堂入りしたものだった。
図3の左端の数値は、その日にそのファイルがいくつのノード(何台のパソコン)で共有されていたかを(概ね)表す値であり、500人前後の人が、児童ポルノファイルを共有状態にしたままWinnyを稼働させているらしいことがわかる。
まとめると、「少なくとも3年以上前から、数万個の児童ポルノファイルがWinnyネットワークで流通しており、その半分ほどは常時共有状態にあり、数千個のファイルが1万回以上ダウンロードされており、毎日500人くらいの人がそれらを共有状態にしている」ということだ。
現行の児童ポルノ法でも、公然陳列や提供する行為、またそれを目的とした所持は処罰の対象となっているわけで、実際、今年の2月には、ファイル交換ソフト等を用いた児童ポルノ公然陳列犯が相次いで検挙されていた*10。しかし、その摘発内容をよく見てみると、「eMule」(非Winny型のファイル交換ソフト)で海外とファイル交換(おそらく)していた犯人を摘発したときに、偶然、犯人が「Winnyp」(Winny型のファイル共有ソフト)も使ってファイル共有していたため、それも摘発対象としたというものであったり、「Share」(Winny型のファイル共有ソフト)で放流していた(おそらく)犯人を摘発したというものになっている。
つまり、非Winny型のファイル交換ソフト(LimeWireやWinMX、eMule等)での提供犯か、Winny型のファイル共有ソフトでの放流者(共有ネットワークに最初にファイルを流した人)を摘発の対象としているようで、図3に出ているような、(自分で放流したわけでなく)ダウンロードしたものを漫然と共有状態のまま放置しているような人々は、まだ摘発されていないと記憶している。
このことは、Winnyが登場した当初から言われてきたように、著作権侵害ファイルの場合でも同じであり、放流者は逮捕できるけれども、放流者でない共有者は逮捕が難しいという話がある。
実際、著作権侵害事件として、放流者でない共有者の摘発が明るみになったのは、福岡県警が2008年3月にゼンリンの住宅地図ソフトをWinnyでダウンロードして共有状態にしていた者(兵庫県警の巡査と福岡市内の会社員)を書類送検したという事案しかなく、この件では、逮捕という報道はなく氏名も非公表であったし、書類送検はされたけれども、結局、起訴猶予処分となっている。この事件では、共同通信の記事にあるように、「自分のパソコンからネットを通じ、他人に取り出されることは知っていた」と供述していたにもかかわらず、公衆送信可能な状態にした行為の故意性を立証することが(なぜか)困難だったのだろう。
児童ポルノの場合にはどうかというと、テレビアニメ作品やコミックのケースと違って、特定のタイミングで次々と新作が放流されるということは、おそらくないのであろうから、放流者を摘発することも難しくなっている(著作権侵害事件に比べて)と思われる。
日本の著作権法は、諸外国に比べて厳しいと言われるように、「送信可能化権」という概念を確立させており、ファイルを実際に送信していなくても、自動公衆送信し得る状態(もし誰かからのアクセスがあれば送信してしまう状態)にしただけで権利侵害となるので、それが立証できれば立件できる。それでも、非放流者である共有者の起訴が難しいという。
児童ポルノ法ではどうなのか。現行法では、次のように規定されている。
(児童ポルノ提供等)
第七条 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、(略)
3 (略)
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、(略)
6 (略)
第1項について見ると、有体物であれ電磁的記録であれ、「提供した者」とあるので、実際に提供行為があった事実を立証しないと摘発ができないのではないだろうか。つまり、捜査員が犯人から実際に提供を受ける捜査まで行う必要が生じているように思える。これが、著作権侵害ファイルの場合なら、(非Winny型の)ファイル交換ソフトの共有フォルダにファイルが入っていて、ソフトが稼働していたことさえ立証すれば送信可能化権侵害罪として起訴できるわけで、著作権侵害事案でさえ起訴が困難なところ、児童ポルノではさらに困難になっているように思える。*11
第4項については、「不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者」とあり、提供だけでなく公然陳列も罰するとされている。もし「公然陳列」という概念が、著作権法の「自動公衆送信し得るようにする」行為に相当するものであるなら、立件の困難さは少し解消されるのかもしれないが、法文をよく見ると、公然陳列については有体物の児童ポルノについてだけで、電磁的記録については「電気通信回線を通じ……不特定又は多数の者に提供した者」と規定されており、第1項と同様に、提供行為が行われた事実の立証が必要となっているように思える。
ちょうど先日、Y-BBSという掲示板サイトの、「動画保管庫板」という掲示板(それ自体は合法なアダルト動画の共有を目的としたもののように見える)で、児童ポルノ専用としたスレッドが立てられ、「YourFileHost」(米国のWeb式の汎用ファイル共有サイト)に保管された個別の児童ポルノファイルを示すURLを掲示板に書き込んだ人が、逮捕されるという事件が表沙汰になった*12が、おそらくこの事案では、掲示板サイトの運営者が捜査に協力的で、当該スレッドへのアクセス記録を捜査機関に開示しているのだろう(そのため事件を伝える報道でも、何件のアクセスがあったかという情報が出ている)。そのような場合には、アクセス記録から、実際に「不特定又は多数の者に提供」があったと推定されるだけの立証が可能なのだろう。それに対し、P2P型のファイル交換・共有ソフト(の大半)では、あえてログを記録しないように作られているため、その立証ができなくなっているということではないか。
昨今の児童ポルノ法改正の方向性をめぐる議論では、「宮沢りえのSanta Feは児童ポルノに該当するのか」といった論点が目立つが、上の図3を見ると、ファイル名を見るだけでも陰鬱な気持ちになってくる、惨たらしく搾取する真性の子供ポルノが、日本で大量に「共有」されている実態が見えてくる。欧米で製造され、欧米で厳しく取り締まられているであろう子供ポルノも多くの割合を占めており、欧米諸国に日本のこの実態が知られれば、「児童ポルノ大国」との誹りを免れないのも理解できる。
はたして欧米諸国はその実態に気づいているのだろうか。気づいているからこそ「単純所持を処罰化せよ」との外圧をかけてきているのだという憶測も可能だが、それにしては、キャンペーン報道でもこの実態について全く触れられないことが解せない。
気づいていないという可能性もある。欧米諸国では、P2P型ファイル交換ソフトでの児童ポルノ交換の事案は頻繁に摘発されているようだけども、それは、Gnutella系(LimiWire等)のファイル交換ソフトや、BitTorrentを用いた個別のファイル共有の事案であり、これらはWinny等と違って、ファイルを公開状態にしている事実を隠さない仕組みになっているので、実態が容易に発覚するし、立証も容易なのだろうと思われる。それに対し、日本のWinny等の場合は、まず、使用されている言語が日本語(操作方法の説明や流通するファイルのファイル名が)であることから、欧米の人達からは実態の理解が容易でないのかもしれない。
日本独自の特性を持つP2P型ファイル共有ソフトであるWinny等は、その利用者もほとんど日本の人に限られているという特徴も明らかになっている(INTERNET Watchの記事参照)が、僅かながら海外からも使用されている。私の観測でも、mit.edu や indiana.edu など米国の大学内から継続的に使用されている(実験ではない様子)ケースがあることを把握している。海外に滞在中の日本国民が使用している可能性もあるが、日本からしか得られないファイルを求める外国人が、手探りながら日本語を使ってファイルを収集している人達もいるのではないか。
もちろん、それは、日本のアニメ作品を集めようとしている海外の人達である可能性も高いが、なかには、欧米諸国で重罪とされる児童ポルノを摘発を免れながら収集するためにWinnyを使用している人達もいるのではないか。Gnutella等とは違って、Winnyのプロトコルは海外では広く知られていないことから、摘発が免れられると考えられているのかもしれない。
そのような実態が欧米諸国に把握されてしまったら、それこそ日本に対する風当たりは強くなるのだろう。たとえば、日本国民が虐待された児童ポルノ(や、その他の人権侵害ファイル)が「YourFileHost」のような米国の(汎用)ファイル共有Webサイトに掲載されているときに、米国の法執行機関に対処を求めても、「日本もWinny等を野放しにしているじゃないか」という理由で、協力してもらえないということが起き得るのではないか。
そういう状況の中で、児童ポルノ法に単純所持の処罰を導入することは、(推進している人達の思惑がどうであれ結果として)現行法でのWinny等の摘発の困難性をひとっ飛びに乗り越え、摘発を容易なものにして、一挙に問題解決するものであるかのように思われる。
だから私は、捜査機関の現場の人々は、密かにその効果に期待して、単純所持の規制法が成立するまで、あえて現行法で摘発する努力をしてこなかったのではないかと(去年までは*13)思っていた。
しかし、多くの人が指摘するように、情報の単純所持(保管)罪という、これまでの日本の法体系上、存在してこなかった*14新しい罪の概念は、あまりにも強力であるが故に、冤罪の発生や、捜査権の乱用が心配されているところである。私も、これまでに何回か書いてきた*15ように、その点で心配するところがあるので、Winnyでの実態についてことさらに言うことを避けてきた面があるのは否めない。
そして、今どうなっているかというと、与党案提出者と民主党案提出者が落とし所を協議しているというのだが、昨日の報道によると、「単純所持禁止に関連し、改正法施行前に入手した場合は罰則の対象としない方向で検討が進んでいる」という。
処罰の条件を厳格にするのはよいが、その落とし所を選択した場合に、Winnyでの定常的共有者達をちゃんと摘発できるのだろうか?
そういう検討はちゃんとなされているのだろうか。少なくとも、国民に開かれた議論の形で、そういう論点が出てきたのを一度も見たことがない。議員立法なので、法制審議会の議事録があるわけでもない。
もしかすると、著作権法で「送信可能化権」を導入したのと同様に、児童ポルノ提供罪についても、「提供し得る状態にする行為」*16も処罰するようにすることで、Winny等での共有について従来摘発困難だったものを摘発可能にできるかもしれないと思えるが、そういう検討はされていないのだろうか。
つまり、目的が明確になれば、それにちょうど見合う必要十分な規制の方法を模索できるはずと思うのだけれども、そもそも具体的に何をどうするために「単純所持の処罰化」が推進されているのか不明だから、最大限に強力な規制の法案が出たり、あるいは、落とし所を探った結果、本来必要とされている最も優先されるべき肝心の摘発に使えない法律になっていたなどということになりかねないのではないか。
与党提出法案の附則を見ても、附則第二条で「インターネットによる閲覧の制限」に関する技術開発を促しているが、「閲覧」というのがWebサイトを想定しているようで、Winny型P2Pファイル共有ネットワークによる流通というものを具体的に想定できていないように見える。
いくらWebサイトを取り締まったところで、為政者の目には見えていない、水面下に広がる広大なWinny型ファイル共有ネットワークがその供給源となっている限り、どれだけモグラ叩きを繰り返したところで問題解決にはならない。
Winnyを使う人達も、初めて児童ポルノらしきファイル名を見つけたときに、「本当にこんなものが世の中に出回っているのか?」と興味本位で入手して視聴してみて、最初はその惨たらしさにショックを受け、世も末だと陰鬱な気持ちになる人でも、いくつか繰り返し目にすることで人権感覚が麻痺し、しまいには「撮影される方にも非があるはずだ」と合理化してしまう人も少なくないのではないか。
単純所持処罰化に反対する立場は、人それぞれに別々の理由であるためややこしい。本当に冤罪の懸念だけから反対する人もいれば、実はWinnyで児童ポルノを収集したことがあるのに「日本が児童ポルノ大国だなんて嘘だ」と平気で嘘を言う人達もいるだろう。
本来ならば、まず、Winny等における児童ポルノ流通の実態を公式な調査で明らかにしたうえで、Winny等による流通を具体的に想定し、単純所持処罰化以外の方法によるピンポイントでの規制のあり方はないのか、模索してみるべきだろう。たとえば、一定の特性を持つ特定の*17ファイル共有ソフトを使用する者にそれなりの注意義務を課すことによって、注意義務を怠った場合に処罰できるようにするなどして、児童ポルノの実質的な流通を阻止できる規制のあり方というのもあり得るのではないか。
そういった検討が行われたようには見えない。
私は陰謀論者ではないので、「将来の言論統制のためにWebのブロッキングに楔を打とうとしている」だとか、「天下りのために児童ポルノサイトのリスト作成管理団体を作ろうとしているのだ」といった発想には同調しない。単にキーパーソンが実態を知らないだけなのだと信じたい。実態を知っている現場の人々が、権限を持つ適切な人に、大事なことを伝えていないだけではないのか。
「それら5つの語がファイル名に含まれる」と書いていた部分を、「他に「loli」を含めた計6つの語について、それがファイル名に含まれる」に訂正。調査実験では「loli」を含めていたにもかかわらず、本文を書く際に間違えたもの。
*1 「Share」その他の、Winnyと同様の性質を持つ類似のものを含む。
*2 あるいは、情報流出状況を調査している人、著作権侵害状況を調査している人なら。
*3 その後、唯一、INTERNET Watchの記事が、6月18日に発表された警察庁の「児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム」に、「ファイル共有ソフトを始めとした新たな形態の事犯の捜査手法に関する検討」が盛り込まれたことを伝えた。
*4 大文字小文字を区別せずに。
*5 Winnyのいわゆる「ハッシュ」の数。
*6 もちろん、ファイルの中身を見なければ確実なことは言えない。ファイルを実際に入手して確認する作業は、私がするべきことではないと思うので、今回行っていない。そういった調査は、調査が正当であることが明白な団体等に行ってもらいたいものだ。
*7 2009年4月下旬に観測システムを変更しており、キーの観測密度が大幅に向上しているので、その前後の数を比べることはできない。
*8 Winnyの「被参照量」は、ファイルの断片ブロック(64KB)ごとの転送回数をカウントしているものなので、それをファイルサイズから求めたブロック数で割り算することにより、おおよその「延べダウンロード回数」を求めている。
*9 目視によるカテゴリ仕分けをする前の生データ。
*10 たとえば、「P2P式ファイル共有ソフトでの児童ポルノ共有者、相次いで逮捕」参照。
*11 提供目的所持罪はどうなんだろうか。提供の予備的な意味を持つのだろうか。提供する目的の立証をどうするのか。それに比べると、著作権法の送信可能化権は、送信可能な状態にしたという客観的事実で判別でき、あとはその故意性の立証となる。
*12 「摘発された児童ポルノ掲示板開設者は何をしたのか?」参照。
*14 ウイルス罪を新設する刑法改正案(未成立国会提出法案)が、「不正指令電磁的記録」というプログラムファイルを所持(保管)することを処罰化するものであり、「情報の所持罪」という点で共通するけれども、不正指令電磁的記録の場合には、「人の電子計算機における実行の用に供する目的で」保管する場合に限定されており、目的に限定のない単純所持を違法(罰則なし)とする、今般の児童ポルノ法改正与党案は、それとは異なっている。
*15 2008年5月5日の日記、2009年6月29日の日記、2009年7月5日の日記参照。
*16 「提供し得る」というのは言葉としておかしいので、電磁的記録の電気通信回線を通じた「提供」は、「送信」の概念で整理し直す必要があるのかも。
*17 そのような特性として何が要件となり得るかについては、2006年12月12日の日記などにこれまで書いてきた。