3月の日記に掲載した図のように、電車内でBluetooth機器を観測すると、駅に出入りするごとに、ホームにいる人の携帯電話がたくさんすれ違い様に検出されるパターンが見られた。
では、それとは逆に、駅のホームの側から出入りする電車の方を観測するとどうなるだろうか。図2は、山手線の新大久保駅*2のホーム(中央あたり)で観測した場合のデータである。なお、このときは、class 1のBluetoothアダプタを外付けして使用した*3。電車が出入りするごとに数十個の機器が検出されている。点線で繋がれているのは、どこかで用を済ませて戻ってきた人のものと思われる。
図2では、土曜の夜だったため運転間隔がやや長い。本場の山手線はこんなものじゃないぞということで、平日の朝にも観測してみたところ、図3のようになった。
1時間38分の間に2597個の機器が検出された。このケースでは、ちょうと1時間数分後に再び現れた機器が1つあった(8時2分20秒から始まっている点線は9時5分0秒につながっている)。乗務員の携帯電話なのだろうか、それとも一周以上廻った乗客がいたのだろうか。
図2で、ときどき見られる数個から10個ほどの小さな山は、隣の山手貨物線を通過する埼京線や湘南新宿ラインなどの列車のものだった。では、駅に停車する山手線電車ではなく、通過する山手線電車を観測するとどうなるだろうか。そこで、線路脇で試すべく、第二中里踏切に行って観測してみたところ、図4のようになった。観測は外回り線側で行い、この場所では山手貨物線は陰になっており、検出されていない。
停車する列車の場合よりかなり少ないが、それでもこれだけの数が検出された。1時間の間に230個が検出された。どこかで用を済ませて戻ってきた人も1つ検出されている。2つ以上のスロットにまたがる実線は付近の道路の通行人のものと思われる。
このとき、線路に接近しても、離れても、検出される数に大きな違いはないようだった。線路脇の道路の反対側でも十分検出できた。ということは、もし鉄道沿線の家に住んでいれば、継続して24時間、毎日観測することもできてしまいそうだ。
次に、鉄道以外に人の多く集まる場所だとどうなるだろうか。図5は、渋谷ハチ公前スクランブル交差点正面のStarbucks店内の窓際の席で観測したときのデータである(外付けclass 1を使用、最初の20分間のデータ)。
店の中からでも外の人たちを検知できている。長い実線は店内の客や後ろ側のTSUTAYAの客なのかもしれないが、数分の長さのものは交差点で信号待ちしている人たちであろう。2分間隔でブロックがあるように見えるが、これは信号の周期に対応しているだろうか。
同じデータを1時間後まで表示させると、図6のようになる。点線が多いのは、どこかに行って戻ってくる人の多い場所だからであろう。1時間の間に822個が検出された。
第二中里踏切で検出した機器が、新大久保駅でも検出されていたかを調べてみたところ、2つあった。
000E7BXXXXXX 2009-05-22.09:01:25 0:00 | 217 新大久保駅、平日朝 000E7BXXXXXX 2009-05-23.17:41:15 0:00 | 138 第二中里踏切、土曜夕方 001CEEXXXXXX 2009-05-22.08:02:03 62:33 | 50,226 新大久保駅、平日朝 001CEEXXXXXX 2009-05-23.17:09:26 0:00 | 48 第二中里踏切、土曜夕方
このうち1つ(後者)は、図3で一周して現れたものだ。やはり乗務員なのか、あるいは乗務員室に備え付けの携帯電話か何かだろうか。「001CEE」のベンダー名は「SHARP Corporation」である。
次に、渋谷のスクランブル交差点で検出された機器が、新大久保駅でも検出されていたかを調べてみたところ、6つ見つかった。
001987XXXXXX 2009-04-04.19:35:19 0:21 | 41,42 新大久保駅、土曜夜 001987XXXXXX 2009-04-05.21:12:57 0:21 | 65,66 渋谷スクランブル交差点 0022F3XXXXXX 2009-04-04.19:57:10 0:00 | 103 新大久保駅、土曜夜 0022F3XXXXXX 2009-04-05.21:38:16 0:00 | 137 渋谷スクランブル交差点 001262XXXXXX 2009-04-05.21:04:33 0:00 | 41 渋谷スクランブル交差点 001262XXXXXX 2009-05-22.08:47:48 0:00 | 179 新大久保駅、平日朝 00175CXXXXXX 2009-04-05.21:07:18 1:25 | 49,52,53 渋谷スクランブル交差点 00175CXXXXXX 2009-05-22.07:52:11 0:00 | 22 新大久保駅、平日朝 00175CXXXXXX 2009-04-05.21:15:23 0:42 | 72,73,74 渋谷スクランブル交差点 00175CXXXXXX 2009-05-22.08:44:13 0:00 | 169 新大久保駅、平日朝 001CEEXXXXXX 2009-04-05.21:38:16 3:31 | 137,140,142,143,146,147 渋谷スクランブル交差点 001CEEXXXXXX 2009-05-22.07:47:15 0:00 | 8 新大久保駅、平日朝
なお、土曜夜の新大久保駅と平日朝の新大久保駅の両方で検出されたものを調べたところ、45個もあった。
3月にこの件を書いてからずいぶん経ったが、Bluetoothを検出可能にしたままの人の多さは減る様子がない。私がここに書いたところで、読む人はごく僅か。肝心な人たちには伝わらない。
先日の日記にも書いたように、ここまで多いのは、シャープ社製ソフトバンクモバイル端末の設計が悪いからなのだから、やはり、シャープなり、ソフトバンクモバイルから注意喚起のお知らせを公式に出してもらえないものだろうか。
*1 3月の実験で使用したMacBookの内蔵Bluetoothは、class 2(通信距離10メートル)のものだった。
*2 山手線の上下線が停まるホームのある駅のうち、ホームに滞留する人が最も少なそうな駅として選択した。
*3 class 1の通信距離は100メートルであるが、相手の携帯電話側がclass 2である。この場合に、10メートルまでしか届かないのかというとそうでもないようで、機器探査だけならある程度遠くても検出できるようだった。簡単に実験してみたところでは、MacBook内蔵class 2 対 携帯電話class 2 の場合で、見通し直線距離40メートルまで検出でき、外付けclass 1 対 携帯電話class 2の場合では、100メートル離れても検出できた。ただし、そのくらい離れていると物陰にちょっと入っただけで検出されなくなった。電車内で探査した場合、内蔵class 2の場合でも外付けclass 1の場合でも、検出される機器の数はあまり違わない(障害物が多いためか)ようだったが、駅に出入りするときや対向列車とすれ違うときに検出される数は2倍弱くらいに増えるという感じだった。