<前の日記(2004年10月11日) 次の日記(2004年10月16日)> 最新 編集

高木浩光@自宅の日記

目次 はじめに 連絡先:blog@takagi-hiromitsu.jp
訪問者数 本日: 1318   昨日: 2328

2004年10月14日

子供の安全を脅かす発信機

10月10日の日記に書いた讀賣テレビ「ウェークアップ!」の9日放送内容がテキストで公式サイトに掲載されていた。

ところで、和歌山県田辺市の小学校の実験はどうなったのだろうか。番組でも出てこなかったし、その後何も情報が聞こえてこない。6月17日の京都新聞では、「10月から和歌山県田辺市の公立小で実験を始める」とされていたが、もう始まっているのだろうか。父兄への説明会とかは開催されたのだろうか。どの小学校なのだろう?

10月5日の日経産業新聞にも関連記事が出ていたが、田辺市の件は書かれていなかった。

3日に2件――。警察庁がまとめた大学生以下の少年少女が巻き込まれる誘拐事件の件数だ。子どもを誘拐の危険から守ったり迷子になるのを避けるため、物流や流通業で普及しているICタグを活用した安全確保の試みが教育現場で始まった。(略)子どものプライバシー確保の問題が残るが、総務省は「今後ICタグの用途を広げるためにも、プライバシー問題をとことん議論してほしい」としている。 (略) 立教学院立教小学校(東京・豊島、田中司校長)も富士通と組み、9月からICタグで児童の登下校情報を管理するシステムの運用を始めた。微弱な電波を発する電池入りのICタグを児童に持たせる。(略)校門をくぐると自動的に反応するので「1年生など幼少の児童がいても導入しやすい」(同校情報処理室長の佐藤稔氏)。(略)運用に問題がなければ、来年1月には全校児童720人に配布する考え。運用費はICタグの価格込みで月額100円を想定し、保護者から徴収する。 (略) ただ子どもといえども一定のプライバシーを確保する必要はある。文部科学省は「学校と保護者との了解を取れば大丈夫では」(スポーツ青少年局学校健康教育課)としている

総務省は「人の所在地確認ではまず教育現場で実用化が進んできた」(情報通信政策局研究推進室)と指摘し、「個人情報や書籍の追跡などし好に関する分野での普及には、プライバシー保護の問題を実験などで十分に検討するべきだ」(同)と話す。

文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課……よりによっていかにも血のめぐりの悪そうな。

総務省は比較的意識が高いようだ。こんな報道もあった。

  • 電子タグの普及にはプライバシーや地域特性への配慮が不可欠〜RFID特別セッション, INTERNET Watch, 2004年10月6日
    政府の側からは、総務省の大臣官房審議官を務める松井英生氏、経済産業省の商務情報政策局審議官を務める桜井俊氏の2人が、現在のRFIDに対する政府の取り組みの状況を語った。 (略) 一方で問題点として挙がったのがやはりプライバシー問題。松井氏は「電子タグは『究極のSCM』を実現するのに欠かせない技術だが、一方で使い方を誤ると『人間のSCM』にもなってしまう」と語ったほか、「日本では便利になるというと消費者が比較的飛びつきやすい傾向があるが、欧米では便利になるというだけでは消費者は飛びつきにくい」「米国ではテロ対策や入退室管理などへの関心が高く、地域によって価値観が違ってくる」と述べ、世界への普及を考えたときにもっとプライバシーなどへの配慮を高めるほか、地域特性に合わせたソリューションを提供しないと、日本企業の持つ技術が国内でしか活用されなくなってしまうという危機感を示していた。

まったくその通り。日本以外の文明国で、子供にアクティブタグ取り付けて「うっとり安心感」なんてのはあり得ない話だろう。

「ワンクリック料金請求」で用語は定着か

5月25日の日記「「ワン切りメール」ですって?」で、良いネーミングがないとしていた件は、10月8日に警視庁から出た注意喚起では、「ワンクリック料金請求にご用心」という表現になっていた。

関連報道

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://takagi-hiromitsu.jp/diary/tb.rb/20041014]

ショッキングなニュースというのは冷静な判断をできなくすることが往々にしてあるが、今までの慣習を変えるのには絶大な効果もある。 ...

検索

<前の日記(2004年10月11日) 次の日記(2004年10月16日)> 最新 編集

最近のタイトル

2024年11月11日

2024年07月28日

2024年07月27日

2024年07月07日

2024年04月07日

2024年04月01日

2024年03月23日

2024年03月19日

2024年03月16日

2024年03月13日

2024年03月11日

2023年03月27日

2022年12月30日

2022年12月25日

2022年06月09日

2022年04月01日

2022年01月19日

2021年12月26日

2021年10月06日

2021年08月23日

2021年07月12日

2020年09月14日

2020年08月01日

2019年10月05日

2019年08月03日

2019年07月08日

2019年06月25日

2019年06月09日

2019年05月19日

2019年05月12日

2019年03月19日

2019年03月16日

2019年03月09日

2019年03月07日

2019年02月19日

2019年02月11日

2018年12月26日

2018年10月31日

2018年06月17日

2018年06月10日

2018年05月19日

2018年05月04日

2018年03月07日

2017年12月29日

2017年10月29日

2017年10月22日

2017年07月22日

2017年06月04日

2017年05月13日

2017年05月05日

2017年04月08日

2017年03月10日

2017年03月05日

2017年02月18日

2017年01月08日

2017年01月04日

2016年12月30日

2016年12月04日

2016年11月29日

2016年11月23日

2016年11月05日

2016年10月25日

2016年10月10日

2016年08月23日

2016年07月23日

2016年07月16日

2016年07月02日

2016年06月12日

2016年06月03日

2016年04月23日

2016年04月06日

2016年03月27日

2016年03月14日

2016年03月06日

2016年02月24日

2016年02月20日

2016年02月11日

2016年02月05日

2016年01月31日

2015年12月12日

2015年12月06日

2015年11月23日

2015年11月21日

2015年11月07日

2015年10月20日

2015年07月02日

2015年06月14日

2015年03月15日

2015年03月10日

2015年03月08日

2015年01月05日

2014年12月27日

2014年11月12日

2014年09月07日

2014年07月18日

2014年04月23日

2014年04月22日

2000|01|
2003|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|02|03|04|05|06|07|08|09|
2013|01|02|03|04|05|06|07|
2014|01|04|07|09|11|12|
2015|01|03|06|07|10|11|12|
2016|01|02|03|04|06|07|08|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|10|12|
2018|03|05|06|10|12|
2019|02|03|05|06|07|08|10|
2020|08|09|
2021|07|08|10|12|
2022|01|04|06|12|
2023|03|
2024|03|04|07|11|
<前の日記(2004年10月11日) 次の日記(2004年10月16日)> 最新 編集