このところ新聞各紙やNHKでストリートビューの実態を周知する報道が相次いでいる。この段階では両論併記の形となるわけだが、ストリートビューが何のために使われるのかについては、たいてい不動産屋の活用例が出てくる。不動産屋の活用とは、売り出し中の物件とその周辺環境をストリートビューで見られるようにするというものだ。
具体的にはたとえば次のサイトがある。
このサイトは、利用者に対し、ストリートビューがどういうものなのかについて「通りに立った目の高さで移動しながら周辺の景色を見ることができます」と説明している(図1)。
そこで、次のように質問してみた。
この物件の塀の低さについてお尋ねします。
画面のストリートビューを拝見すると、塀の中が見えてしまっているようです。ストリートビューを南西に1ステップ進めて正面から物件を表示させてみますと、やはり塀の中が見えてしまうようです。
この物件の塀はこれほどまでに低いものなのでしょうか?
その下に書かれている「Googleストリートビューの使い方」によれば、「通りに立った目の高さで移動しながら周辺の景色を見ることができます」とのことですから、やはり目の高さから塀の中が見えてしまうのでしょうか。
すると次の回答がきた。
高木 浩光 様
物件No:k023(略)
塀の高さは一般的な高さですよ。ストリートビューは車の屋根に広角レンズのカメラを付けて撮影しているので、低く見えるのではないでしょうか?
しかし塀の高さは一般的ではあるものの高い訳ではありませんので、外から見られるような状況はあるとは思います。完全なる目隠しの塀ではありません。(以下略)
そこで再び次のように質問した。
ご回答ありがとうございます。
広角レンズだからといって塀の上で光が曲がるわけではないでしょうから、塀が低いのか、そうでないなら、高いところから見ているのではないでしょうか。
そちらのサイトに書かれている「通りに立った目の高さで移動しながら周辺の景色を見ることができます」という説明は間違っているのではありませんか?
そうしたところ、
高木 様へ
ファインドホームと申します。お世話になります。
弊社のホームページ上で不適切な表現がありました事を深くお詫び申し上げます。
という返事だった。
とりあえず、「通りに立った目の高さで周辺の景色を見ることができます」という嘘はやめたほうがよいのではないか。売り出し中の物件(人の住んでいない)ならまだしも、「移動しながら周辺の景色を見る」ということでご近所を見て廻ったときに、現住建造物についても塀の上から見えてしまうというのは不動産屋としてどうなのか。
なお、不動産屋にまで「通りに立った目の高さで」という嘘が広がっているのは、グーグル株式会社がそのような虚偽の説明をしてきたからだろう。不動産屋に悪意があるわけではないと思いたい。
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