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高木浩光@自宅の日記

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2008年10月15日

グーグルは交通法規も平気で無視する

再三警告された「自動車通行止め」を豪快に無視した事例

タレコミ(情報提供)を頂いた。グーグルのストリートビュー撮影カーが、通行止めの交通規制を豪快に無視した事例があるという。図1がそれだ。

ストリートビューの画面キャプチャ
図1: 通行止め標識を無視して進入する様子

現在はストリートビューで表示できなくなっている*1*2が、昨日までは図1の画面を見ることができた。

この事例について情報提供者のブログで詳細にレポートされている。


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図2: 通行止め区間を通行していく様子(前に進むことができる)

「反対側から入ったのでは?」などと言う人が出てきそうなので念のため示しておくと、図3のように、画像のつなぎ目から図1のところから進入したことがわかる。


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図3: 図2の位置で後ろを向き、下を見た様子

これだけだと「自転車で入ったのでは?徒歩で入ったのでは?」などという人が出てきそうなので示しておくと、この先の図4のところで、窓に撮影カーであるプリウスの姿が映り込んでいるのが見える。


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図4: 通行止め区間を通行中の撮影カーが窓に映り込んでいる様子

私も気になったので、一昨日の体育の日に、現地を見に行ってきた。

図5は、図4と同じ位置を歩行者の目の高さで撮影したものである(一部配慮して画像を加工)。

現地写真
図5: 図4と同じ位置の現地写真(歩行者の目の高さから)

このように、通常の通行人の目に入る景色とは全く異なるものをグーグル社は撮影して公開している。同様に他の家についても図6、図7、図8のように全く異なることがわかる。

現地写真
図6: ストリートビューの視点と現地歩行者の視点

現地写真
図7: ストリートビューの視点と現地歩行者の視点

現地写真
図8: ストリートビューの視点と現地歩行者の視点

話が逸れた。話を戻す。

図1の通行止め標識は、現地で実際に見てきたところ、図9のように遠いところからも十分に目立つものであったし、フェンスで囲まれていて圧迫感があるため異様さに気付く。標識は両側に立てられているし、その他にも看板が両側にあるという、くどいほどまでに警告されている。グーグル株式会社の撮影カーはこれを無視して通行したわけだ。

現地写真 現地写真 現地写真
図9: 遠くからも見える両側の通行止めの標識と看板

いったい、どういう指導を受けているのだろうか。

これらの標識の裏には、東京都公安委員会が設置したものであることを示すシールが貼られており、本物の交通規制だ。グーグルストリートビュー撮影カーが「居住者用車両」に該当しないことは言うまでもない。

現地写真 現地写真
図9: 標識裏の東京都公安委員会の札

道の途中から突然通行止めになっているのは、ここがちょうど新座市と清瀬市の境界だからのようだ。航空写真(図10)で見ると道が急に狭くなっていることがわかる。また、周囲には防衛省の国有地があちこちに散在していた。このフェンスの左側も国有地のようで「立ち入り禁止」のフェンスで囲われていた。


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図10: 問題の場所の航空写真

現地写真 現地写真
図11: 周囲には国有地が散在する

グーグルの撮影カーは東側の広い道からここへ来たわけだが、この通りに入る交差点のところに、「この先300m 自動車通行止め」の予告標識が立っていた。しかも、両脇に2つあるのに加え、右折で入ろうとしても左折で入ろうとしても標識が目に入るよう、それぞれの方向にさらに2つある。これらを目にしながらグーグルは入っていったわけだ。


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現地写真 現地写真 現地写真 現地写真

図12: 通りへの入口の交差点にある予告標識

また、撮影カーが通り抜けた反対側にも、しっかりと自動車通行止めの標識と看板があった。


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現地写真

図13: 反対側にも自動車通行止めの標識

大量の「居住者用車両以外通行止め」標識を無視している事例

情報提供者の方は、他にも、グーグルが通行止めを無視して撮影した事例を多数公開している。

東伏見4丁目の現場〜まとめ〜」では、以下のようにレポートされている。「居住者用車両以外通行止め」もしくは「自転車及び歩行者専用」の標識で囲まれた一角があり、ほとんど全ての入口に標識があるのに、グーグルストリートビュー撮影カーは、この中の住宅地を網羅して撮影しているという。

緑と青の印のところに標識があるのだそうだ。たしかに何か所か確認してみると、ストリートビューでもそれを確認できる(図15)。


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図15: 「自動車通行止め(東伏見4、5丁目地区居住者用車両を除く)」の標識

図16のように、下を向くと、写真の継ぎ目で、撮影カーのプリウスの銀色の車体が一部残っていることから、自動車で通行したことがわかる。


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図16: 写真の継ぎ目でプリウスの車体が一部残っている

情報提供者から「東伏見付近にもある」と聞かされたとき、私も自力で別の事例をすぐさま見つけることができた(図17)。

いったいどれだけの数あるのか。

西東京市の一角がストリートビューの空白地帯になっていることが以前話題になったが、 情報提供者のブログによると、「旧保谷市(現西東京市)には広大なストリートビュー空白地帯があるけど、こういう通行止めが多いのも関係しているかもしれませんね」とのことだ。

もしそうだとすると、グーグル株式会社はこの一帯の「居住者用車両以外通行止め」の存在を認識していることになり、だとすると、これだけ数多くそれを無視した区域があるのはどういうことなのか?という疑問がわく。もし、撮影が終わってから消したのが空白領域なのだとすると、撮影時の交通違反を事前に防止しなかったのかという点が問題となる。どういうことなんだろうか。これ以上の追求はジャーナリストの仕事であり私にはできない。

情報提供者のブログを見に行くと今日もアップデートされており、別の事例が追加されていた。

二輪以外の自動車の通行が禁止された狭い道を通行した事例

8月にも、他のブログで、通行止め標識を無視した事例がいくつか報告されていた。

二輪の自動車以外の自動車の通行が禁止されるほど狭い道を走行し、高いところから塀の中を見下ろして撮影している。

二輪以外の自動車通行止めを二度通行した事例

上のブログのコメント欄にも酷い事例が指摘されていた。


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図19: 二輪以外の自動車通行止め区間を通り抜けた様子

上の図のように、この順の方向で通り抜けたようだ。

ところが、この途中に丁字路があってそこも撮影カーは通っており、下の図のように北東側から進入していることがわかる。これは車両通行止め区間を二度通ったということではないか。


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図20: 通行止め区間を二度通ったと思われる様子

つまり、次の図のように通行したのではないか。うっかり通ってしまったというレベルではない。

画面キャプチャに補足した図
図21: 推測される通行経路

こんな無法者を、警察は放置しておくのですか? 現行犯でないと交通違反は取り締まれないと聞きますが、これほど状況証拠を残しながら組織的に大量に違反している事例は前例がないでしょう。「居住者用車両以外通行止め」は無視していいものですか? このくらい許されるという風潮が既成事実化してしまって良いのですか?

グーグル株式会社としては「交通違反は運転手の責任だ」と言うのかもしれない*3。ならば、写真に撮影者の署名(運転者の氏名の表示)をしてはどうだろうか。コンビニの店員だって名札を付けているではないか。

追記

他にも以下のブログでも、同様に交通違反の指摘がされていた。

*1 昨日まで、図1の地点のすぐ後ろで何枚かが「この画像はなくなりました」状態になっていた。別件で削除要請があったものと思われる。それが今日、ストリートビューで、削除済み地点の経路情報の消去処理が一斉に行われたようで、その部分は移動することもできなくなっている。

*2 今後は、削除した場合に「この画像はなくなりました」の表示も見ることができなくなるのかもしれない。そうなると、グーグル社が削除件数を公表しない限り、どれだけ不適切な画像が掲載されていたのかの実態が不明なままとなっていくだろう。

*3 走行距離当たりの出来高制で報酬を与えているとか、その種の原因で、無理な走行を助長していたりはしないのだろうか。そういうこともジャーナリストの方々に解明して頂きたい。

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昔のことわざで『泣く子と地頭にはかなわない』って有るんだけど知ってるか?地頭って

「グーグルは交通法規も平気で無視する」というエントリが話題になっている。はてなブックマークだけでなく、やじうまWatchでも取り上げられてる。 グーグルはストリートビューの撮影をただちに中止して、抜本的な対策を立てるべきだと思う。人身事故が起きてからでは遅すぎ

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