サイバー犯罪に関する白浜シンポジウムで白浜に滞在中。今日の午後一番目のご講演に対してさせていただいた質問に補足すると、「愛媛県警の報告書が『Winnyの利用は自由』としていた」というのは以下のこと。
用語等の凡例 (用語の意味・内容)
ウィニー: 使用者同士がインターネットを通じて音楽や映像などの情報を自由に共有できるファイル共有ソフトの一種で、通信の暗号化と高い匿名性を備えている。
これについて、2月下旬に以下の問い合わせを送っていた。
調査結果報告書 警察職員の「ウィニー」利用による警察情報流出事案について
http://www.police.pref.ehime.jp/soumu/ryusyutu_chousa.pdf
を拝見しました。内容に疑問点がありますので質問させてください。報告書の終わりのところに「用語等の凡例」という部分があります。ここに、Winnyの説明として以下のように書かれています。
ウィニー: 使用者同士がインターネットを通じて音楽や映像などの情報を自由に共有できるファイル共有ソフトの一種で、通信の暗号化と高い匿名性を備えている。
質問:
Winnyで音楽や映像などを共有することは自由ですか?以上、お尋ねします。
しばらくの後に担当部署から電話でご回答を頂き、大変丁寧な説明を受けたのだが、この質問をしたのは、この報告書にはWinnyによるダウンロード行為(同時にそのファイルは公衆送信可能化される)の違法性について何ら記述がなく、むしろ次のように、正当な利用であったかのように読者を誤解させ得るような書き方になっており、もしかして本当に違法性を知らないのではないか? と疑問に思ったからだった。
(2) インターネット、「ウィニー」の使用状況
A警部は、平成11年ころからインターネットの利用を開始していたところ、平成15年夏ころ、情報の検索に便利なファイル共有ソフトとして「ウィニー」を知り、自宅の個人所有パソコンに導入し、本件事案が発覚するまで、映画・音楽等を収集するために使用していた。
県警においては、平成16年4月以降、内部規程により、職場で使用するパソコンのみならず、公務に使用しない個人所有パソコンにおいても、「ウィニー」等ファイル共有ソフトの使用を控えるとともに、使用している場合には、これを削除することなどを指示し、すべての県警職員を対象にその徹底を図ってきたところであるが、A警部は、自宅の個人所有パソコンについては、普段公務に使用しておらず、職場で作成・収集したファイルも保存されていないため、「ウィニー」を利用しても構わないと誤って認識していたことから、上述の指示の後も自宅での同ソフトの使用を継続していた。
調査結果報告書 警察職員の「ウィニー」利用による警察情報流出事案について, 愛媛県警察本部, 2006年6月16日
この報告書の文から、愛媛県警の内部規定では、Winnyの利用は禁止ではなく「使用を控える」という程度のものであったことがわかる。禁止とまで言えないのは自宅での使用まで内規で禁止できるかということがあるのだろう。というのも、使用を控えるべきとする理由が、あくまで情報漏洩を起こさないためとされていたからだ。もし、「公衆送信すると違法になるファイルをダウンロードする行為には違法性がある」という理由で指示していたならば、この警部は、「職場で作成・収集したファイルを保存していないためWinnyを利用しても構わない」などという認識には至らなかったはずだろう。なぜなら、警察官は一般市民以上に法遵守の精神があるはずだからだ。
2月の質問に対する愛媛県警の担当者からの説明は、「Winny自体が違法かどうかはっきりしていないし、使い方しだいだと思う」というような内容だったように記憶している。(メモをとらなかったので、確かな表現はもう思い出せないため、あまり書くことができない。)
そこで私は、2月25日の日記「Winny問題解決への糸口が今、山梨県警の手に託されている」で書いたことを意見として説明した。すなわち、以下の点を伝えた。
ひとつひとつ説明したところ、本当に理解していただけたようだった。
報告書を修正することは難しいかもしれないが、内部規定はどうなっただろうか。その後どうなったかは知らない。
前から思ってたけど、なんなんだろう、この人の尋常ならざるWinny*1への憎しみは。ときおり根拠らしく述べる内容は、どう見ても「nyは絶対悪」の結論ありきの後付的な臭いがする物ばかり。 単なるアスペ性の粘着(によるバランス欠如)なのか。単なる成人型中二病なのか。
まず自分の守備範囲の中で正しいことを主張し続けることこそが大事であって、重要なのはその意見が正しいか間違っているかでしかない。その人間が本気で社会のためを考えているかというのは2の次でしかない。