某政党から自宅に電話が来た。
という。高木さんのお宅ですか? ○○党です。今度の国政選挙にあたって、何か政治に望むことがあったら教えてください。
最初のうちは「それを言うとどうなるのですか?」などと言ってみて、相手の出方をうかがっていたのだが、相手はもごもごして明確な回答をしない。そこで、「じゃあ、言いましょう。」と、私は次のように述べた。
住民基本台帳法第十一条の規定により、市町村長は、誰の請求であっても住民基本台帳の閲覧を基本的に認めなくてはならないことになっていますが、企業、政党、団体などが宣伝の目的で大量に写しをとっていくことが起きていると聞いています。この法律ができた当初は、コンピュータやネットワークが存在していなかったでしょうが、ITが発達した現代では、大量の住民基本台帳データを低コストで高速に処理することができるようになったわけですから、昔とは違った使い方ができてしまうようになっていると考えられます。もはや今の使われ方は、市民感覚からかけ離れてしまっているという声が出ているようです。
そういう状況があるわけですが、あなたは私の電話番号をどこでお知りになりましたか? 電話帳には載せていないのですが。
それから、あなたは今、私に政治的信条を尋ねるにあたって、プライバシーポリシーを明示しませんでした。あなたは私の氏名を知った上でこの電話番号に電話しているのですから、私がここで述べたことは、誰の主張であるかをあなたは記録可能な立場にいます。しがたってあなたはまず、電話の冒頭で次のように述べるべきでした。
高木さんのお宅ですか? こちらは○○党です。今度の国政選挙にあたって、有権者の皆様の国政に対するご意見をうかがっているところです。高木さんのこの電話番号は、○○の方法によって入手した名簿をもとにしたものです。今回の選挙が終了ししだい、この名簿は破棄することにしています。これから高木さんのご意見をお伺いしたいのですが、その前に、プライバシー情報の取り扱いについて説明いたします。これからお話しいただくご意見は、当方でメモをとって記録しますが、この際に高木さんのお名前や電話番号は記録せず、誰の意見かはわからないようにすることをお約束します。ご希望とあらばお名前を記録することもできますが、どちらを選択なさいますか?というわけで、とりあえずどこでこの電話番号を入手したのか答えてください。
「自分は知らないので調べて回答する」とのことだったが、まだ電話はこない。