<前の日記(2003年06月02日) 次の日記(2003年06月06日)> 最新 編集

高木浩光@自宅の日記

目次 はじめに 連絡先:blog@takagi-hiromitsu.jp
訪問者数 本日: 1898   昨日: 1581

2003年06月05日

明治記念館でRFIDセミナー

今日は、佐藤さん、山川さんとRFIDのセミナーだった。佐藤さんはRFIDタグの能力と特性を担当、私は技術面からプライバシーを、山川さんは法律面からのプライバシーを担当した。「RFID反応リンク集」のことをご存知という方に挙手をお願いしたところ、4〜5名程度だった。意外に少ない……と感じたが、世の中一般からすれば十分に多いか。

講演後、ご来場の方々と貴重なお話ができた。耳にしたのは、現場の個々の研究者や技術者には問題を認識している人も結構いるようだが、それがまとまった力になっていないという声。各社にばらばらに存在するそうした人材を活さねばという話。もうひとつは、法学者と技術系研究者の間の溝がとても深いという声。法学者も個人情報保護法のこともあり、RFIDのプライバシーについて議論することがあっても、理解がとんでもなくずれていることがあるという話。他には、研究部門と事業部に交流がなく、研究部門が問題解決を図っていても事業部が関心を示さないという話。残りの話は秘密だ。

日経バイト「個人のプライバシは守れるか」

日経バイトから「カバンの中身が外から分かるICタグ 個人のプライバシは守れるか」という記事が出た。プライバシーの懸念には2つがあり、暗号化したIDでは一方しか解決しないこと、もう一方の解決には暗号回路が必要でコストが現実的でないこと、事実を周知する必要性について書かれている。

「IDを読み取るのにパスワードを設定する」というのは、スキャナ側が秘密情報を送って、それがタグ内蔵の値にマッチする場合だけ、応答をするという方式なのだろうか。

「(低価格路線で進める場合には)運用でプライバシを守ることを考えるべき」という文脈で、「ユーザー側で危険を避ける工夫もできる」を挙げているのは感心しない。セキュリティホールを指摘されたときに「ファイアウォールで防げるので告知だけして修正はしません」と開き直るのに近い。

電波到達範囲を短くするという対策案が書かれていないのはなぜなのだろう。アンチコリジョン機能を入れる場合に問題解決にならないからなのだろうか。

「スキャナの設置に規則を設ける」というのはどうなのだろうか。ユビキタスコンピューティングの研究者達は、街中にセンサーが遍在して、シームレスにその恩恵を受けられる世界を夢想しているわけで……。「スキャナを設置した場所はポスターなどでそれを明示する」というのは、販売店に設置する用途など、ごく一部のRFID用途だけを想定したもので、短期的な展望でしかないように思える。

検索

<前の日記(2003年06月02日) 次の日記(2003年06月06日)> 最新 編集

最近のタイトル

2024年04月07日

2024年04月01日

2024年03月23日

2024年03月19日

2024年03月16日

2024年03月13日

2024年03月11日

2023年03月27日

2022年12月30日

2022年12月25日

2022年06月09日

2022年04月01日

2022年01月19日

2021年12月26日

2021年10月06日

2021年08月23日

2021年07月12日

2020年09月14日

2020年08月01日

2019年10月05日

2019年08月03日

2019年07月08日

2019年06月25日

2019年06月09日

2019年05月19日

2019年05月12日

2019年03月19日

2019年03月16日

2019年03月09日

2019年03月07日

2019年02月19日

2019年02月11日

2018年12月26日

2018年10月31日

2018年06月17日

2018年06月10日

2018年05月19日

2018年05月04日

2018年03月07日

2017年12月29日

2017年10月29日

2017年10月22日

2017年07月22日

2017年06月04日

2017年05月13日

2017年05月05日

2017年04月08日

2017年03月10日

2017年03月05日

2017年02月18日

2017年01月08日

2017年01月04日

2016年12月30日

2016年12月04日

2016年11月29日

2016年11月23日

2016年11月05日

2016年10月25日

2016年10月10日

2016年08月23日

2016年07月23日

2016年07月16日

2016年07月02日

2016年06月12日

2016年06月03日

2016年04月23日

2016年04月06日

2016年03月27日

2016年03月14日

2016年03月06日

2016年02月24日

2016年02月20日

2016年02月11日

2016年02月05日

2016年01月31日

2015年12月12日

2015年12月06日

2015年11月23日

2015年11月21日

2015年11月07日

2015年10月20日

2015年07月02日

2015年06月14日

2015年03月15日

2015年03月10日

2015年03月08日

2015年01月05日

2014年12月27日

2014年11月12日

2014年09月07日

2014年07月18日

2014年04月23日

2014年04月22日

2000|01|
2003|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|02|03|04|05|06|07|08|09|
2013|01|02|03|04|05|06|07|
2014|01|04|07|09|11|12|
2015|01|03|06|07|10|11|12|
2016|01|02|03|04|06|07|08|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|10|12|
2018|03|05|06|10|12|
2019|02|03|05|06|07|08|10|
2020|08|09|
2021|07|08|10|12|
2022|01|04|06|12|
2023|03|
2024|03|04|
<前の日記(2003年06月02日) 次の日記(2003年06月06日)> 最新 編集