先日、Winnyに対する意見を求められる取材申し込みが立て続けにあった。「現状を把握しておかねば」と思い、書店にずらりと並べられていると噂に聞いていた、Winny利用教唆本を何冊か買ってみることにした。とくに次の一冊の謳い文句が興味をひいた。
こわーいウィルスから個人情報を完全に守る方法教えます!今日パソコンを買ってすぐ『ファイル共有』を初めたい人大集合!!!!!「ファイル共有」ヤバ〜イ、『お宝映像』もカンタンにダウンロードできる!!
ほほう。さっそく通販で購入して目を通してみた。
しかし、ざっと見た限りどこにも「個人情報を完全に守る方法」らしきものは見当たらない*1。 それよりも目に飛び込んできたのは、はじめの方に書かれているこのページだった。
なんと、「ファイアウォールを無効にしよう」と、その手順を詳細に指導している。
警告が「いちいち邪魔」ということで、警告が出ない設定にしようと指導している。
そしてなぜかこの話とは関係がないのに、Windows Updateしない設定のときの警告も出ないようにすることを指南している。
セキュリティ関係者にはぜひ買って読んでいただきたい代物だ。
国土交通省オンライン申請システムのサイトで、3月10日付で次の「重要なお知らせ」が掲載されていた。
平成18年3月26日より提供いたします「申請書作成アプリケーション及びアプレット環境設定プログラム」(以下、申請用ソフトウェア)においては、 Java 2 Runtime Environment(以下、JRE)の自動アップデート機能が動作することがあります。自動アップデートを行うと、本システムにて対応していないバージョンのJREがインストールされるため、あらかじめ以下に示す手順によって、自動アップデート機能を無効化するようお願いいたします。
自動アップデートを無効にするとどんな不利益が生ずるかは、一切、説明されていない。
3月22日の「最新の「申請書作成アプリケーション及びアプレット環境設定プログラム」の提供について」でも、システム利用準備手順の説明の最後で、
(2)-3 申請用ソフトのインストール後の注意
申請用ソフトをインストールした後、「関連情報:Javaの自動アップデート機能について(http://www.goa.mlit.go.jp/info/c_autoup.html)」に記載された手順でJREの自動アップデート機能を無効にしてください。
最新の「申請書作成アプリケーション及びアプレット環境設定プログラム」の提供について, 国土交通省総合政策局
と念を押している。
対策としては……やはりこれだろうか。
「ヤバ〜イルート証明書もじゃんじゃんダウンロードできる!!」
*1 あとでよく見ると、p.66にちょっとだけ(半ページだけ)書いてあった。内容は、
という説明のほか、HUBからケーブルを引き抜いた様子の写真が掲載されている。Winny独特のプライバシー侵害ウィルスにご用心! (略)
これを防ぐには、ウィルス対策ソフトを導入し、拡張子を表示してexeファイルを実行しないなどの予防が大切だ。万一感染したらネット接続は物理的に切断しよう。また何よりも個人情報を特定できるデータが入ったパソコンを使わないこと。会社のパソコンでWinnyなどもってのほかだ。
Winnyやりてぇー! 初心者のための「ファイル共有入門」, 英知出版, p.66
高木浩光@自宅の日記 - Winny利用教唆本のセキュリティ対策指南、その仰天内容