subscriber IDのプライバシー問題は、EZwebの問題であるので、au だけでなく、TU-KA にも同じ問題がある。先週、ツーカーセルラー東京と、ツーカーセルラー東海のコールセンターに、7月1日の日記と同様の問い合わせをした。
両者とも最初に出たオペレータでは即答できなかったため、技術担当者やコールセンター責任者と話すことになり、単にIDを変更する方法という話ではなく、プライバシーについてどう考えるかという、より深い話になった。結論から言うと、ツーカーセルラー東京は、「問題なし」という結論ありきの拒絶モードに陥ってしまったが、ツーカーセルラー東海のコールセンター責任者は極めて良心的な対応で、あちらから文書による回答をくださるという話になった。
まず、ツーカーセルラー東京の場合。以下は電話のやりとりの要旨である。
Q. subscriber IDにはプライバシーの問題があるのではないでしょうか?
A. ないと認識していただいて結構です。
Q. ないと認識するべきだという意味ですか?
A. はい。 Q. 勝手サイトにも送信されますが、問題ありませんか?
A. 勝手サイトが何をするかには感知しない。
Q. 勝手サイトへのアクセスを許しているわけですから、それは、勝手サイトへアクセスする機能というのもEZwebの機能のひとつですね。EZwebとしてのサービス、つまり、ウリのひとつですね。勝手サイトへアクセスするときのプライバシーの保護というのも、通信事業者に求められる通信の秘密に関係するのではないでしょうか?
A. サブスクライバーIDからお客様の個人情報というのは一切わからないようになっている。
Q. メールアドレスはどうか。
A. お客様からメールを送らない限り、わからない。
この後、subscriber IDからどうやってメールアドレスを盗まれるかを説明した。最終的に以下の点を上に報告してもらうことになった。
「勝手サイトにアクセスした際に、サブスクライバーIDを公開する件」
「勝手サイトにアクセスした際に、サブスクライバーIDをメールアドレスと結びつけることができるのではないかというご指摘」
「お客様のプライバシーを相手の方にわかってしまうのではないかという懸念があるという指摘があったと伝える」
また、subscriber IDの変更方法についても尋ねた。7月1日の auの場合では、EZwebのオプションを解約して再び契約した場合にsubscriber IDが変わるという話だったが、ツーカーセルラー東京の場合は、変わらない場合もあるし、変わる場合もあるという説明だった。電話の相手は技術の担当者らしき様子だったが、本当にわかっていて変わらない場合があると言っているのか、単に一般論として言っているだけ(たとえば、乱数で割り当てる場合、原理的に非常に低い確率で同じ値になるわけだから)なのか、そこがわからなかったが、「ある条件に基づいてサブスクライバーIDを決めているので、IDが同じになる場合もある。ある状況に一致しなければ異なるIDになる。」という話だった。どういう条件なのかこちらから、「5分で再契約すると同じ番号になるとかそういうことか?」と尋ねたが確かな回答は得られなかった。
次に、ツーカーセルラー東海の場合。東京と違い、東海のコールセンターの対応はとても良心的だった。「subscriber IDを変更したいのですが」と言うと、どんな事情があって変えたいのかとあちらから尋ねてくる。まずユーザの意図を汲みたいという対応で、これは最後まで一貫していた。最初に出たオペレータも物事をよく理解していた。こんな感じのやりとりになった。
Q. 非公式サイトへもsubscriber IDは送信されますよね?
A. サブスクライバーIDを非公式サイトに流して欲しくないというご希望でしょうか?
Q. そうです。
A. 通常流しているものですから、流さないようにする方法があるかということですね。
Q. はい。subscriber IDは、個人情報ではないでしょうか?
A. サブスクライバーIDは、たくさんいるお客様から、このお客様だと特定する番号ですから、個人情報といえますね。
ここで、コールセンターの責任者と代わることになった
Q. subscriber IDはプライバシーの問題があるのではないでしょうか?
A. お一人様におひとつのものであるかぎり、プライベート性はある。
Q. subscriber IDは個人情報ですか?
A. サブスクライバーIDを追っていけばどこかにいきつくわけだから、個人情報と言えると思いますね。
Q. subscriber IDというのは、Webサーバにアクセスしたときに、自動的に送信されていますよね。X-UP-SubNo: で常時送信している。それはまずいのではありませんか?
A. お客様の意思に関係なくWebサーバに送信されるわけですね。おっしゃりたいことはわかります。
Q. 電話番号も発信者番号通知というのがあるが、これは発信者側の意思で止められる。それに対して、subscriber IDは隠せないわけですね。それは事実であると。個人情報管理の観点でどうなのか。
A. サブスクライバーIDの露見について、個人情報の漏洩にならないのかなあと思っていた。
Q. 以前からそう思ってらしたということでしょうか?
A. IPアドレスを追っていくと誰だかわかるという話があるが、そういう意味で言った。
Q. IPアドレスの場合は、ダイヤルアップ接続の場合では、毎回アドレスが変わるので、法執行機関の介入などによってISPから記録を提出させないと、個人を特定する情報にはならない。それに対して、サブスクライバーIDは値が固定だ。
A. なるほどよくわかりました。
この後いろいろ説明して、この方には、問題点を完全に理解していただいた。すると、あちらから、回答を文書で返したいので期限を設けて欲しいとおっしゃるので、十分に検討していただくために1か月とした。ツーカーセルラー東海の対応に期待できる予感がした。
ところで、subscriber IDの変更については、au と同じ回答だった。「『EZweb@mail』をサービスメニューから一旦削除して、もう一度追加をすると、サブスクライバーIDは別のものになる」とのこと。「なぜそれがわかるのか?」と確認してみたところ、「メールアドレスを変更したいという要望があり、そのときにそういう手続きを案内している。このときにサブスクライバーIDがかわってしまうということを把握している。有料コンテンツが自動的に退会になるため、再登録が必要ですよと案内している」とのことだった。