6月15日の日記の「プライバシーポリシーで解決するのか」で話題にとりあげた「HTMLメールを発行する前に準備すること」の著者である塚田耕司さん(株式会社ルート・コミュニケーションズ代表取締役)から、この日記で書いたHTMLメールのプライバシーに関することについて、メールを頂いた。その内容の一部について日記に書いてよいとのお返事を頂いたので、私の理解した言葉で書くことにする。
「プライバシーについての配慮や取り組みについて、メディアやクライアントに説明できているつもりであったが、第三者から指摘されてそれが足りていなかったことに気づいた」とのことで、次の取り組みを進めているそうだ。
すばらしい。3段階のプライバシーレベルとは次のものだそうだ。
1.はWebビーコンなしという意味だろうと思う。2.はハッシュしたIDや、属性(年代や性別)コードをビーコンのIDとする方式なのかなと想像する。
プライバシーポリシーをどう書くかだが、1.のケースでは、「Webビーコンを使用していません」と書くのだろう。現状では、プライバシーにかかわる仕掛けを使用している場合にだけ、プライバシーポリシーに書くという風潮があるように思うが、こうした「使用していません」ということを胸を張って示すという流れが出てきて欲しいように思う。「使ってもいないのに、そんなお客様が意味を理解できない言葉をあえて書く必要ないよ」という発想をする責任者がいて、なかなか実現しないかもしれない。どこか、公的なところ(プライバシーマーク事務局や、IPAのようなところ)に、WebバグやWebビーコンの解説ページがあれば、そこへリンクして、「当社ではそれを使用していない」と書けるようになるかもしれない。
2.のケースでは、Webビーコンの実例を示して、次のように説明するのが理想的だと思う。
メールマガジンには、Webビーコンと呼ばれる次のようなコードを埋め込んでいます。
<img src="http://beacon.example.com/?hash=99&age=3&sex=0">
「99」の部分の番号は、お客様にその都度ランダムに割り当てた2桁の番号です。これは100人ごとに同じ番号が割り当てられますので、お客様個人を特定するIDではありません(購読者が10万人の場合、1000人が同じ番号を持つことになり、そのうちの誰であるかは特定されません)。「3」は年代を表すもので「3」は30代を表します。「0」は性別で男性を表します。これらの番号は、配信したメールマガジンの何割が開封されたか、どの項目が閲覧されたか、また、それらが年代や性別とどのような相関関係を持つかを統計的に調べるためのものです。お客様のプライバシーを保護するため、個人を特定せずに、統計的な情報しか記録できないように配慮した仕組みです。
しかし、広告を出稿する事業者からすれば、こうした具体的なことを書いてしまうと「かえって購読者が不安がる」という懸念をすることがあるかもしれない。というか、いかにもありがちだ。上の説明は、「個人が特定され得るIDでWebビーコンが埋め込まれている」という現状を知っている消費者からすれば、安心できる説明となるが、そもそもこれまでにそうした情報収集が行われていたことを知らない消費者からすれば、「気持ち悪い」という印象を持ってしまうかもしれない。中途半端な説明でなんとなく凌いでいくか、正直に事実をすべて告げて信頼を得ていくかの選択となると思われる。
「正直な説明をしても報われない」ということにならないよう、私も微力ながら何かをしていきたい。こうしたことは、マスメディアの方々に期待したいところだ。