ここの日記は、3年ちょっと前までたびたび無断リンク禁止条項の話題を取り上げていたが、その後は取りあげなくなっていた。それは、もはや決着がついており、残るラスボスは日経新聞と読売新聞と電通だけであり、それらが他に伝染することはもはやなかろうと思い、放置していたからだった。
今日、久しぶりに古いメールボックスを開いてみたところ、2006年9月に、読売新聞東京本社知的財産担当に対して、問い合わせしたときの文書が出てきたので、ここに公開しておく。
From: 高木浩光 Subject: 「リンクポリシー」について Date: 2006年9月24日 18:07:37 JST http://www.yomiuri.co.jp/policy/link/ の「リンクポリシー」を拝見して、 以下の通り問い合わせします。 個人でブログを書いている者です。日ごろから、新聞社のサイトに掲載された 時事のニュースを参照、引用することによって、自身の主張を補強する材料と して活用させていただいているところです。 ところが、御社の「リンクポリシー」http://www.yomiuri.co.jp/policy/link/ には、次の通り書かれています。 > 個別記事へのリンクは原則としてお断りしております。特別な理由がある場合 > は、その理由を付して読売新聞社の了承を得てください。 すなわち、私がブログから読売新聞社Webサイト上の記事を参照する行為は、 「特別な理由がある場合」に当たるのでしょうか。 はい(特別な理由がある場合に該当する)または、いいえ(該当しない)でご 回答ください。 -- 高木 浩光@自宅
From: 読売新聞 知財担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> Subject: Re: 「リンクポリシー」について(高木浩光様) Date: 2006年9月26日 16:24:39 JST 高木浩光 様 ご連絡ありがとうございます。読売新聞の知的財産担当です。 1.個別記事へのリンクにつきましては、その都度ご申請頂き、検討のうえ回答しております。 従いまして、本メールをもっての回答は致しかねます。 より具体的なお問い合わせを頂戴致しましたら、検討のうえお返事差し 上げます。 なお個別記事へのリンクを原則としてお断りしている理由としては、 ・著作権法、不正競争防止法等に抵触する恐れがあること ・記事によっては、掲載日によってURLが変更され、肝心の記事ページ に辿りつけない事態がしばしば起こること などを考慮しております。 2.引用につきましては、著作権法では、次のように規定されております。 「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合におい て、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、 研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」 そして、次の3つの条件を満たす必要がある、とされています。 ・質的にも量的にも、引用する側の本文が「主」、引用部分が「従」という 関係であること。「読売新聞に次のような記事があった」と書いて、あと はその記事を丸写しにしたものや、記事にごく短いコメントをつけただけ のものは引用とはいえません。 ・引用箇所が明瞭であること。引用部分を『 』で括るなど、本文と引用部 分が明らかに区別できること。 ・「出所の明示」(○○年○月○日付読売新聞)をすること。 上記3条件を満たした引用の場合、弊社宛の申請手続きは必要ありません。 その他、弊社の著作権に関する詳しい情報は、「Yomiuri On Line」の著 作権の項目(下記ページ)をお読み下さい。 (http://www.yomiuri.co.jp/policy/copyright/) 今後とも読売新聞をよろしくお願いいたします。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 読売新聞東京本社 知的財産担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
From: 高木浩光 Subject: Re: 「リンクポリシー」について(高木浩光様) Date: 2006年9月26日 16:49:10 JST 引用についてなど質問していないのですが、何を言っているのですか? ろくに質問を読まずにこういう回答をするのですか。 -- 高木 浩光@自宅
From: 高木浩光 Subject: Re: 「リンクポリシー」について(高木浩光様) Date: 2006年9月26日 17:25:10 JST On Tue, 26 Sep 2006 16:24:39 +0900 読売新聞 知財担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> wrote: > 1.個別記事へのリンクにつきましては、その都度ご申請頂き、検討のうえ > 回答しております。 > 従いまして、本メールをもっての回答は致しかねます。 ですから、以下のとおり具体的に状況を挙げて尋ねているのに、いったい何が わからないというのですか? > 個人でブログを書いている者です。日ごろから、新聞社のサイトに掲載された > 時事のニュースを参照、引用することによって、自身の主張を補強する材料と > して活用させていただいているところです。 .... > すなわち、私がブログから読売新聞社Webサイト上の記事を参照する行為は、 > 「特別な理由がある場合」に当たるのでしょうか。 -- 高木 浩光@自宅
From: 読売新聞 知財担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> Subject: Re: 「リンクポリシー」について②(高木浩光様) Date: 2006年9月27日 17:49:30 JST 高木浩光 様 読売新聞の知的財産担当です。 恐縮ですが、高木様のブログのURLと、リンクを希望される記事ページ をお知らせ下さい。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 読売新聞東京本社 知的財産担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
From: 高木浩光 Subject: Re: 「リンクポリシー」について②(高木浩光様) Date: 2006年9月27日 18:22:06 JST On Wed, 27 Sep 2006 17:49:30 +0900 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> wrote: > 恐縮ですが、高木様のブログのURLと、リンクを希望される記事ページ > をお知らせ下さい。 それは、ブログの内容次第では許可しないという意味でしょうか? また、当初より私がお尋ねしている質問は、ブログから記事へリンクする場合 というのが、「「特別な理由がある場合」に当たるのでしょうか?」という問 いです。 今回頂いたメールのように「ブログのURLを示せ」とおっしゃるということは、 以下の質問に対して、「特別な理由がある場合」に該当するという回答だとい うことでしょうか? > > 個人でブログを書いている者です。日ごろから、新聞社のサイトに掲載された > > 時事のニュースを参照、引用することによって、自身の主張を補強する材料と > > して活用させていただいているところです。 .... > > すなわち、私がブログから読売新聞社Webサイト上の記事を参照する行為は、 > > 「特別な理由がある場合」に当たるのでしょうか。 -- 高木 浩光@自宅
From: 読売新聞 知財担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> Subject: Re: 「リンクポリシー」について③(高木浩光様) Date: 2006年9月28日 14:11:07 JST 高木浩光様 再度のお問合せありがとうございます。 まず、「ブログから記事へリンクする場合というのが『特別な理由がある 場合』に当たるのでしょうか?」とのご質問ですが、「『ブログから記事へ リンクする場合』だけでは判断できません」というのが弊社の回答になり ます。 また「ブログの内容次第では許可しないという意味でしょうか?」というご 質問についてですが、ブログに書かれている内容を基に判断することは いたしません。 個別記事へのリンクにつきましては、リンク元のリンクの扱い方を拝見さ せていただいた上で、読まれる方がリンク元と弊社記事ページとの関係 や弊社の運用について混乱しないか、悪意を持ったリンクではないか等 について総合的かつ個別に判断させていただいています。 最初にいただいたメールでは、一般論をご質問されているのか、個別記 事へのリンクをご希望されているのか判断しかねたため、まず一般的な リンク及び引用に関する弊社の考え方をご説明いたしました。 すでに高木様から「日ごろから、新聞社のサイトに掲載された時事のニ ュースを参照、引用することによって、自身の主張を補強する材料として 活用」されている旨ご連絡いただいています。弊社としては、高木様が個 別記事へのリンクを希望されるのであれば、これが高木様の「特別な理 由」であり、希望される記事ページは「時事のニュース」であると理解して います。したがいまして、これらの個別記事へのリンクをご希望される場 合には、高木様のブログのURLをお知らせください。また、「時事のニュ ース」以外の個別記事へのリンクもご希望される場合には、どのようなペ ージをご希望かをお知らせください。ご連絡いただいた内容と高木様の ブログを拝見させていただいた上で許諾するかどうかの判断をさせてい ただきます。 以上、ご賢察の上、ご理解を賜りたいと存じます。 今後とも読売新聞をよろしくお願いいたします。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 読売新聞東京本社 知的財産担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
From: 高木浩光 Subject: Re: 「リンクポリシー」について③(高木浩光様) Date: 2006年10月19日 11:30:00 JST On Thu, 28 Sep 2006 14:11:07 +0900 読売新聞 知財担当 <〓〓〓〓〓〓〓@yomiuri.com> wrote: > まず、「ブログから記事へリンクする場合というのが『特別な理由がある > 場合』に当たるのでしょうか?」とのご質問ですが、「『ブログから記事へ > リンクする場合』だけでは判断できません」というのが弊社の回答になり > ます。 > すでに高木様から「日ごろから、新聞社のサイトに掲載された時事のニ > ュースを参照、引用することによって、自身の主張を補強する材料として > 活用」されている旨ご連絡いただいています。弊社としては、高木様が個 > 別記事へのリンクを希望されるのであれば、これが高木様の「特別な理 > 由」であり、希望される記事ページは「時事のニュース」であると理解して > います。したがいまして、これらの個別記事へのリンクをご希望される場 > 合には、高木様のブログのURLをお知らせください。また、「時事のニュ > ース」以外の個別記事へのリンクもご希望される場合には、どのようなペ > ージをご希望かをお知らせください。ご連絡いただいた内容と高木様の > ブログを拝見させていただいた上で許諾するかどうかの判断をさせてい > ただきます。 -- 高木 浩光@自宅
最後のメールは、下書きフォルダに入っていたもので、書きかけたものの、出すことはなく、それ以降放置していた。
読売新聞の「リンクポリシー」なるページの「個別記事へのリンクは原則としてお断りしております。特別な理由がある場合は、その理由を付して読売新聞社の了承を得てください」という記述は現在も変わっていない。
当時のこの回答からすると、ブログで読売新聞の報道を活用する際には、「ブログに書かれている内容を基に判断することはない」そうだけれども、それでもなお事前の許諾を得る必要があるのだという。
誰か体力に自信のある人は、上のやりとりの続きを問い合わせてみてはどうだろう。
私は、日ごろ、読売新聞はもちろんのこと、日経新聞、その他の新聞も、記者さんから勤務先で取材を受けることが多く、新聞こそが*1社会の情報セキュリティ向上のために不可欠な役割を果たしていると信じており、新聞記事の内容がもっと広く必要な人々のところに届くことを願ってやまない。
*1 ネット系のなんちゃってメディアではなく。