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高木浩光@自宅の日記

目次 はじめに 連絡先:blog@takagi-hiromitsu.jp
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2025年03月04日

個人情報保護法3年ごと見直しの行方 グラフィックレコーディング風インフォグラフィック

Claude 3.7 Extendedの能力進歩が凄まじい。昨日Twitterでバズっていたように、Maki@Sunwood AI Labsさんの「グラフィックレコーディング風インフォグラフィック変換プロンプト」を使わせて頂いたらすごいことになったので、さらに、1月26日の日記「個人情報保護法3年ごと見直しの行方を大規模言語モデルClaudeで占う」のときに用意した「project knowledge」(資料集)に対して適用してみたところ、これまた驚愕の結果となった。せっかくなので、ここに載せておこう。もう人間がブログを書く必要はないのではないか。与えたのは資料集と以下のプロンプトだけだ。


私:グラフィックレコーディング風インフォグラフィック変換プロンプトをペースト)
(略)
## 変換する文章/記事
Project knowledgeにある全資料

個人情報保護法 3年ごと見直しの検討

データ利活用と個人の権利利益保護のバランスを目指して

📅 2025年3月時点

出典:個人情報保護委員会資料等

個人情報保護法の目的と基本理念

📝法の目的(第1条)

「行政機関等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営を図り、並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」

🧭基本理念(第3条)

「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることに鑑み、その適正な取扱いが図られなければならない」

🔍
個人データに着目した規律
👤
本人の関与による適正な取扱いの確保
🏢
事業者内における適正な取扱いの確保

見直しの経緯とプロセス

2003年

個人情報保護法 成立(2005年4月施行)

2015年

個人情報保護法 改正(2017年5月全面施行)

2020年

個人情報保護法 改正(2022年4月全面施行)
「3年ごと見直し規定」が附則第10条に規定

2021年

個人情報保護制度の官民一元化

2024年6月

「中間整理」の公表・意見募集

2024年10月

「個人情報保護法のいわゆる3年ごと見直しの検討の充実に向けた視点」公表

2024年11-12月

事務局ヒアリングの実施(有識者11名、団体17団体)

個人の権利利益を保護するために考慮すべきリスク

評価・選別及びこれに基づく影響を与えるリスク

本人に係る情報が自身の想定を超えて取得され利用され、そのデータ処理に基づく評価・働きかけにより、想定外の影響が生じる

直接の働きかけを行うことのリスク

住所、電話番号等を想定外の事業者が入手し、勧誘等の直接的働きかけにより平穏な生活が害される

秘匿領域が他人に知られるリスク

本人が秘匿したい情報が、認識できない形で利用される可能性が排除できず不安に

自身のデータを制御できないリスク

本人の気づかない間に又は意思に反して個人情報が取得・集積・利用される

ヒアリング結果:上記リスクをバランスよく対応すべきという指摘が大半。ただし、A〜Cは事業者による取扱いに由来するリスク、Dは本人に関わる情報の取扱いを本人が決定する権利に関わるリスクであり、位置付けが異なるとの指摘も

個人データ利用における本人の関与

事業者のガバナンスを確保するための手段

個人の認知限界や事業者との情報・交渉力等の非対称性が存在

a) 個人の選択権
b) 基準による監視

個別の権利利益に直接影響がない場合は本人関与は必須ではないとの考えが共有

本人に関わる情報の取扱いを本人が決定する権利

様々な見解があり、以下の両極端の間に位置

a) 個人データは本人の所有物
b) 社会的ニーズ等で制限あり

データポータビリティの権利も検討すべきとの指摘

事務局ヒアリングでは、生成AIの学習データ利用について、「個別の個人の権利利益への直接的な影響が想定されない個人データの利用」として本人の関与は必要ないとする指摘が大半

一方で、情報に対する権利性を強調する観点から、自分の情報のAI学習利用について関与できることが必要との意見も

事業者のガバナンス

🔄本人関与の限界

個人の認知限界や事業者との情報量・交渉力等の非対称性から、事業者の取扱いの改善を本人関与に期待することは現実的に困難

消費者等の個人が全ての個人情報の取扱いを監視することは負担が重い

🔗データ処理の委託と管理の課題

事業者がデータベース構築やデータ処理を第三者に依存するケースが拡大

委託先管理等を通じた安全管理義務の実効性に疑問(否定的な考えが示される)

個人データの取扱いの実態に即し、適正な取扱いの義務を負うべき者とそれぞれの義務の内容等に加え、認定個人情報保護団体やプライバシーガバナンスなどの自主的な取組等を織り交ぜた全体のガバナンスの在り方について議論を深めることが必要

官民を通じたデータ利活用

🔄行政機関等における個人情報の適切な取扱い

準公共的な分野での事業者と行政機関等が連携した個人情報利用を念頭に置いた整理が必要

社会的なニーズ等を考慮しながら、個人情報保護法の目的・理念に即した全体としてバランスのとれた法の見直し・運用が必要

📋特定分野における取扱い

個人情報保護法はあくまで一般法

医療分野等の特定分野や、AIなどの特定の取扱い等については、実態や社会的な影響等を踏まえた特別法等での規律も有用との意見

短期的に検討すべき追加論点

「本人の権利利益への直接の影響の有無等」を切り口とした規律の内容を検討

📊
同意規制の在り方
以下の場合は同意不要と整理できるのではないか
  • 統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱い
  • 取得の状況からみて本人の意思に反しない取扱い
  • 生命等の保護又は公衆衛生の向上等のために個人情報を取り扱う場合であって本人同意を得ないことに相当の理由があるとき
📱
漏えい等発生時の対応(本人通知)の在り方
本人への通知が行われなくても本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合は本人通知不要と整理できるのではないか

個人情報の取扱いに関わる実態を踏まえた規律の検討

🔄
個人データ等の取扱いについて、実質的に第三者に依存するケースが拡大、委託先の管理等を通じた安全管理措置に係る義務の適切な遂行が困難な実態
⚙️
個人情報取扱事業者等からデータ処理等の委託を受けた事業者に対する規律の在り方を検討すべき

制度的な論点の再整理

1️⃣個人データ等の取扱いにおける本人関与に係る規律の在り方
  • 個人の権利利益への影響という観点も考慮した同意規制の在り方
  • 漏えい等発生時の対応の在り方
  • 子供の個人情報等の取扱い
2️⃣個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスクに適切に対応した規律の在り方
  • データ処理等の委託を受けた事業者に対する規律
  • 特定の個人に対する働きかけが可能となる個人関連情報に関する規律
  • 身体的特徴に係るデータ(顔特徴データ等)に関する規律
  • オプトアウト届出事業者に対する規律
3️⃣個人情報取扱事業者等による規律遵守の実効性を確保するための規律の在り方
  • 勧告・命令等の実効性確保
  • 悪質事案に対応するための刑事罰の在り方
  • 経済的誘因のある違反行為に対する実効的な抑止手段(課徴金制度)
  • 団体による差止請求制度、被害回復制度
  • 漏えい等報告等の在り方

今後に向けて考慮していくべき点

🏢
デジタル化に対応した個人情報取扱事業者のガバナンスの向上
🤝
個人・消費者と事業者との信頼(トラスト)の醸成・向上
📊
官民を通じたデータ利活用の推進、適切な企業・組織間連携
🔄
民間の自主的取組へのインセンティブ、認定個人情報保護団体に関する取組
👤
本人関与の在り方という観点からの更なる整理(プロファイリング、データポータビリティ等)
🔍
保護法益に応じた個人情報・個人データの範囲や規律の対象となる行為

私:それに続けて、同じフォーマットで、今度は、高木意見書にフォーカスして、何がどうなったかをまとめてください。

高木浩光氏の意見書から見る個人情報保護法見直しの行方

核心的保護利益と過剰規制の観点による提言と検討への反映

📅 2025年3月時点

出典:高木浩光氏の意見書(2024年6月12日)

高木意見の核心的保護利益の捉え方

🎯核心的保護利益

個人データ処理による個人に対する評価・決定の適切性確保の利益」を核心的保護利益と捉える

これに伴う手段的保護利益(開示・訂正・利用停止請求等)と、結果的に保護される副次的保護利益(秘密保持、勧誘拒否、自己情報を知る、私的領域保護の利益)に区分して把握

📐データ品質の原則

OECDガイドライン第2原則の「データ品質の原則」(関連性、正確性、完全性、最新性)の法制化の必要性を指摘

現行法は、狭義の正確性と最新性しかカバーしておらず、関連性と広義の正確性と完全性をカバーする規律が必要

関連性の原則の重要性:形式的平等が「人を区分する目的と区分に用いる特徴との一致」を要求することと類似。評価・決定に用いるデータ項目の決定目的との関連性にデータ保護の核心がある

過剰規制の指摘(1):目的内の提供

OECD8原則・EU法

目的外での提供だけを問題に

目的内の提供は「契約の履行」「正当な利益」に該当する場合には本人同意なく許容

日本法(民間部門)

目的内での提供であっても原則として本人同意が必要

これが過剰規制となっている

⚙️
目的内提供を可能にするための条件:
1️⃣
基本原則(特にデータ品質の原則)の導入
2️⃣
利用目的を十分に詳細な粒度で特定
3️⃣
「第三者提供時の利用目的拘束」の仕組みの導入

「取得の状況からみて本人の意思に反しない取扱いを実施する場合」を本人同意不要として整理する方向で検討が進行中

過剰規制の指摘(2):統計量への集計

📊統計的利用の制限

民間部門では、個人データを統計量に集計する利用に対して第三者提供の制限が過剰規制となっている

公的部門では「専ら統計の作成のために保有個人情報を提供するとき」には目的外提供が許容されているが、民間部門にはこれに相当する規定がない

⚙️
統計量への集計を前提に第三者提供を許す条件:
1️⃣
決定利用(個人に対する評価・決定に用いること)の禁止
2️⃣
「第三者提供時の利用目的拘束」の仕組みの導入
3️⃣
データの転々流通を防止する規律

「統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱い」を本人同意不要として整理する方向で検討が進行中

過剰規制の指摘(3):要配慮個人情報の取得制限

⚠️要配慮個人情報の取得制限問題

生成AIにおけるWebサイトクローリングデータの学習利用など、要配慮個人情報の取得制限による過剰規制

平成27年改正時から解釈に疑義があり「個人データとして取得する場合」に限り適用されるものと理解すべき

LLMの学習入力は「個人データとして取得する場合」に当たらないと解すべき

著作権法における「非享受目的」(著作物に表現された思想・感情を享受する目的でない)の概念と類似

問題とすべきは、生成AIが個人情報を含む出力をする場合の正確性など

「個別の個人の権利利益への直接的な影響が想定されない個人データの利用」として生成AI学習データ利用は本人関与が必要ないとする指摘が事務局ヒアリングの大半

過剰規制の指摘(4):個人データへの統一

🔄散在情報に対する過剰規制

個人情報データベース等を構成することを予定していない個人情報(散在情報)に対する義務は過剰

利用目的の特定・通知、適正取得、不適正利用禁止、目的外利用禁止などが散在情報にまで課されることは過剰規制

⚙️
義務の対象を「個人データ」に統一
📝
「個人データ」の定義に「(個人データとして取り扱われることが予定されているものを含む。)」を加える

本人関与による規律の実効性

👤自律的ガバナンスの限界

自律的ガバナンスだけでは真の課題は解決せず、個人情報保護委員会の介入が必要

特に「関連性要件」は差別の防止のための要件であり、当事者間では解決が難しく、専門的な判断が必要

データ品質の原則(特に関連性要件)の法制化が不十分
AI規制で求められる公平性(fairness)の確保が個人情報保護法でカバーできない

「事業者のガバナンスの実効性に限界があることから、認定個人情報保護団体やプライバシーガバナンスなどの自主的な取組等を織り交ぜた全体のガバナンスの在り方について議論を深める」方向

直接的な影響が想定されない利用

📊統計利用・分析目的の取扱い

個人に対する決定を伴わない利用(統計利用など分析結果の獲得と利用のみを目的とする場合)には本人関与は必要でない

漏えい事故が発生する可能性はゼロではないため、被害が極めて甚大である場合には本人オプトアウト機会の検討余地あり

「本人の権利利益への直接の影響の有無等」を切り口として規律の内容を検討する方向

「統計作成等、特定の個人との対応関係が排斥された一般的・汎用的な分析結果の獲得と利用のみを目的とした取扱いを実施する場合」は同意不要と整理する方向

個人の権利利益の外延

🔍端末識別番号やCookieの扱い

法の規律対象とすべきか否かは、個人に対する決定を伴うか否かによって判別すべき

端末識別番号やCookie情報に基づいて個人別に異なる結果がもたらされるのであれば規律の対象

データの類型で規律を決めるのではなく、事業者が「各個人の個人データに基づき何らかの影響を及ぼす(異なって扱う)こと」(決定利用)を予定しているか否かで判断すべき

「特定の個人に対する働きかけが可能となる個人関連情報に関する規律の在り方」として検討

事務局ヒアリング結果への見解

高木意見が反映されている点
  1. 「個人の権利利益への直接の影響の有無等」を切り口とした規律の検討 採用
  2. 統計作成等の分析目的の利用に本人同意不要との整理 採用
  3. 「個人データ等の取扱いの態様の多様化等に伴うリスク」への対応 検討中
⚠️さらなる検討が必要な点
  1. データ品質の原則(特に関連性要件)の法制化 未確認
  2. 「第三者提供時の利用目的拘束」の仕組みの導入 未確認
  3. 義務の対象を「個人データ」に統一 未確認
  4. AI規制と整合的な公平性(fairness)の確保 未確認

今後の見通し

📈
「個人の権利利益への直接の影響の有無」という基準は、高木氏の提唱する核心的保護利益の考え方と共通
📊
統計利用や生成AI学習データについては、本人関与不要との方向で見直しが進みつつある
データ品質の原則の法制化や第三者提供時の利用目的拘束の導入については、引き続き議論が必要

「法改正による解決が難しい部分については、少なくとも、基本方針やガイドラインを通じて、実効的な対応を図るべき」と高木氏は指摘



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