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高木浩光@自宅の日記

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2006年07月17日

続・Winny稼動コンピュータ数調査の追試をしてみた

昨日の続き。昨日の実験で見つかった「38万9288ノード」というのはそれで全部ではなかったことがわかった。 その後、同じ条件のままもう一回、そしてスタートノードだけを変えて2回実験したところ、発見できたノード数は以下の表のとおりになった。

開始時刻経過時間ノード数
17日(祝日)午前4時40分3時間22分388,994
17日(祝日)午前8時45分2時間56分343,001
17日(祝日)午前11時51分5時間02分581,856

同じスタートノードから実行した場合、ほとんど同じ結果になった。グラフにすると、発見ノードが急増する特徴も同じように現れ、そのタイミングがわずかに前後しているものの、同じように10万弱と、20万弱のノードが見つかったタイミングで起きていた。この現象が起きる原因やタイミングは、予想と異なり、偶然に左右されにくいのかもしれない。

次に、無作為に選んだノードにスタートノードを変更して実験したところ、34万ノードしか巡回できなかった。発見ノードが急増するタイミングはほぼ同じだった。急に4万ノードがシャットダウンしたとは考えにくく、なぜこうなったのかわからない。

さらにもう一度、無作為に選んだノードにスタートノードを変更して実験したところ、今度は図1の結果となり、58万ノードに達した。同様に 10万弱と20万弱ノードあたりで急増現象が見られ(ただしタイミングが早かった)、3時間が経過した時点では、前回同様に 3時間20分あたりで 39万ノードで終わるように見えた。しかし、予想された終了時刻の直前になって発見ノードが急増する現象が起き、58万ノードが見つかった。

図1: 実行結果(開始時刻 2006年7月17日月曜日(祝日)午前11時51分)

このような急増現象がいつ起きるかわからないので、「これでほぼ全部」と言えそうにない。このケースでも、5時間経過時点でノード数は十分にサチっておらず、単にノードの消費(緑のプロット)が速過ぎたから終わっただけと言うべきのようだ。

現在のアルゴリズムでは接続を30秒で打ち切るようにしているが、これをもっと長くすると、得られるノード数が増加し、ノードの消費速度は遅くなるので、緑の曲線が赤の曲線に追いつきにくくなると考えられ、より確かに全体を巡回しやすくなるように思われる。しかし、全体の実行時間が長くなるため、稼動ノード数のスナップショットとしては不正確さが増してしまう(もし24時間かかるようであれば、午前と午後の比較ができない)。

今後の方向性として次が考えられる。

  • 一巡して終わりというこれまでの方法ではなく、繰り返し巡回するようにして、複数回にまたがって既知ノードの情報を活用する。過去何日間かに見つかったことのあるノードの全部に対して接続を試行して、そこで得られたノード情報からその回のノード総数を計数する。(これでも、本当に全体を一巡できたとはいえない問題は残る。)

  • 新鮮なノード情報が得られたのにそのノードに接続できなかったという、「Port0」ノードの割合を求め、その値と上の巡回時の接続可能状況から、稼動ノード数を統計的に推定する。

  • 無作為に抽出した1万程度のノードに対して、定期的に接続を試行して、ノードの稼働中、非稼働中の変化を観察して特徴を求め、全体の規模の推定に活用する。

訂正

上記には誤りがあり、18日の日記で訂正した。

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