<前の日記(2005年03月06日) 次の日記(2005年03月15日)> 最新 編集

高木浩光@自宅の日記

目次 はじめに 連絡先:blog@takagi-hiromitsu.jp
訪問者数 本日: 367   昨日: 1737

2005年03月11日

非接触ICカードがなりすまし不能とまでは言わないので注意

2月6日の日記で「 ICカードの非接触スキミングですって? ええかげんなことぬかすな」というのを書いたが、ICカードならばなりすましできないとまでは言わないように、表現 に気をつけたつもりだった。

「磁気ストライプと違って、読み出せるからといって、なりすませることには ならない。

この番組で言われているような方法での複製はできない。

しかし改めて読み返してみると、

たとえばEdyでは、EdyカードからEdyナンバーを誰でも読み取れるが、Edyのリーダ・ライタに対して、なりすましてそれを与えることはできない。暗号を破らない限り。そのように作られているはずだ。

というのはちょっと勇み足だった。3月5日の日記「Edyナンバーをいろいろ流用するのが花盛り」でも、

磁気ストライプカードやRFIDタグと違って、ICカードは暗号演算機能を持つので、たとえEdyナンバーが誰でも読み出せるものであっても、リーダとの通信プロトコルにおいて、そのEdyナンバーとしてリーダに認識させるように振舞うことは困難になっているのであるから、このような応用は技術的には正しいといえる。

と書いたがこれも、安全さを強調しすぎる表現にしてしまっていた。ICカード に対するICタグの安全性の低さを説明するために、比較の問題としてICカード の特性を示したため、安全さを強調しすぎてしまった。

接触型のICカードにおいても、かねてより、利用者が誤って偽装置に挿入して しまうことの問題点が指摘されてきていたし、非接触型においてはその危険性 が増大するという懸念は、表でも指摘が出ていた。そうした攻撃への対策は なされているとの噂も耳にしているが、本当にできているのかどうかは 知らない。現実の攻撃の可能性を減らすことはできても、完全にリスクをなく すのは無理な気もしないでもない。

2月6日の日記で言いたかったことは、危険性を訴えるならば検証してからにし てもらいたいということだった。なので、今、ICカードも実は危ないんで はないかというようなことを証拠もなく言いたくはないのであるが、 今まさに銀行のキャッシュカードをどうするかということが焦点となり、 さらには、その安全性の前提が、預金者保護の制度作りがされるのかされない のかに影響を及ぼすかもしれないという今の状況がある中では、 「ICカードは安全です」ということになってしまってはいけないと思う。

リンク元をだどってあちこちのblogや掲示板などを見てまわったところ、 Suicaのお金を非接触読取りで盗まれるのではないかといったよくある不安に 対して、それはあり得ないことだと説明をしている人が何人かいるのを見たの で、ちょっと責任を感じてしまった。本当にそうかどうかはわからないので、 もし仮に、知らないうちに残金が減っているという現象が起きているなら、あ り得ないことと断定するのではなしに、疑うこともした方がよいかもしれない。

プリペイドカードくらいならば、そこまでする盗賊は現れないだろうという 前提による安全性なのかもしれないが、これが銀行のキャッシュカードと なると話は別で、盗賊たちはどこまでもやるのかもしれない。

少なくとも銀行のキャッシュカードについては、非接触型にするのは本当に やめたほうがいい。その必要もないのだから。ATMを「タッチアンドゴー」で 使いたいわけではあるまい。

やっぱり本当に、「財布には電磁シールドが必須」という未来が現実となる日 がやってくるのかもしれない。

無題

3月5日の日記で「Suica番号がメールアドレスと結び付けられ始めた」というのを書いたのだったが……

ウアアアァァァァ・・‥‥……。正直、知らんかった。

yoshinovさんか……。そういえばリンク元にも……。 とりあえず週明けにコンタクトしてみるとするか。 (他にもアレなナニがあるし。)

無題2

第8回 コンピュータ犯罪に 関する白浜シンポジウム講演録が公開されていた。

グアァ……。すみませんすみませんすみません。 意味の通らない文が何箇所かあるので、連絡入れます。 これだけの分量の大半を正確に文字おこししていただいており、感謝します。

ビデオも公開したいのですが、どうやって公開したものかと思案中です。

無題3

国土交通省東北地方整備局郡山国道事務所というサイトがあったので、リンク してみる。


こ・ち・ら ♥

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://takagi-hiromitsu.jp/diary/tb.rb/20050311]

講演内容が無料で公開されています。 via 高木浩光@自宅の日記...

検索

<前の日記(2005年03月06日) 次の日記(2005年03月15日)> 最新 編集

最近のタイトル

2024年04月07日

2024年04月01日

2024年03月23日

2024年03月19日

2024年03月16日

2024年03月13日

2024年03月11日

2023年03月27日

2022年12月30日

2022年12月25日

2022年06月09日

2022年04月01日

2022年01月19日

2021年12月26日

2021年10月06日

2021年08月23日

2021年07月12日

2020年09月14日

2020年08月01日

2019年10月05日

2019年08月03日

2019年07月08日

2019年06月25日

2019年06月09日

2019年05月19日

2019年05月12日

2019年03月19日

2019年03月16日

2019年03月09日

2019年03月07日

2019年02月19日

2019年02月11日

2018年12月26日

2018年10月31日

2018年06月17日

2018年06月10日

2018年05月19日

2018年05月04日

2018年03月07日

2017年12月29日

2017年10月29日

2017年10月22日

2017年07月22日

2017年06月04日

2017年05月13日

2017年05月05日

2017年04月08日

2017年03月10日

2017年03月05日

2017年02月18日

2017年01月08日

2017年01月04日

2016年12月30日

2016年12月04日

2016年11月29日

2016年11月23日

2016年11月05日

2016年10月25日

2016年10月10日

2016年08月23日

2016年07月23日

2016年07月16日

2016年07月02日

2016年06月12日

2016年06月03日

2016年04月23日

2016年04月06日

2016年03月27日

2016年03月14日

2016年03月06日

2016年02月24日

2016年02月20日

2016年02月11日

2016年02月05日

2016年01月31日

2015年12月12日

2015年12月06日

2015年11月23日

2015年11月21日

2015年11月07日

2015年10月20日

2015年07月02日

2015年06月14日

2015年03月15日

2015年03月10日

2015年03月08日

2015年01月05日

2014年12月27日

2014年11月12日

2014年09月07日

2014年07月18日

2014年04月23日

2014年04月22日

2000|01|
2003|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|02|03|04|05|06|07|08|09|
2013|01|02|03|04|05|06|07|
2014|01|04|07|09|11|12|
2015|01|03|06|07|10|11|12|
2016|01|02|03|04|06|07|08|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|10|12|
2018|03|05|06|10|12|
2019|02|03|05|06|07|08|10|
2020|08|09|
2021|07|08|10|12|
2022|01|04|06|12|
2023|03|
2024|03|04|
<前の日記(2005年03月06日) 次の日記(2005年03月15日)> 最新 編集