今週火曜日、突如「docomo ID」なるサービスが「他社サイトでも使えるようになりました」とアナウンスされ、API仕様書が公開された。
OpenIDを使うのはよいのだが、しかし、独自機能によって、ログインした利用者(PCで通常のインターネット経由でログインした)について、その人の携帯電話のiモードID(契約者固有ID)を取得できる(個別の本人同意確認なしに)ようになっているのだという。
どうしてこんなことに……。(これが何を意味するのか、今後どうなって行くのか、本来はどうするべきなのか、これについては後日書きたい。)
その日、真っ先に docomo ID に対応したのが、NTTレゾナント(gooを運営している会社)の「ドコレキ」だった。*1
NTTレゾナントといえば、プライバシーマーク取得事業者である。そこで私は、NTTレゾナントのプライバシーポリシーを参照して、「エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社個人情報対応窓口」に以下の問い合わせをした(10日午前)。
Subject: 「ドコレキ」のプライバシー方針について
貴社がサービス提供する「ドコレキ」https://docoreki.jp/ におけるプライバシー保護方針についてお尋ねします。
「ドコレキ」は、昨日、NTTドコモによって開始された「docomo ID」でのOpenID方式によるログイン機能に対応されましたが、「docomo ID」では、携帯電話の契約者固有IDである「iモードID」の取得が可能とされています。
そこでお尋ねしますが、
(1)「ドコレキ」では「docomo ID」でログインした際に、利用者の「iモードID」の取得をしていますか? (yes/no)
(2)上記について回答が「取得している」である場合、取得の目的は何でしょうか? 取得する必要があるのでしょうか?
以上の点、お尋ねします。
P.S.
「iモードID」は日本の個人情報保護法の定義する「個人情報」には当たらないと思いますが、「iモードID」は個人に係る情報であり、プライバシー性の高い情報であると認識しています。
すると、12日の午後に以下の回答が返ってきた。
「ドコレキ」では「docomo ID」でログインした際に、
利用者の「iモードID」の取得はしておりません。
また、今後も取得する予定はございません。
そうですか。
となると、docomo IDに対応する以上、「iモードIDの取得は行っていません」という表示をしてほしいところだ。プライバシーマーク取得事業者なのだから。
そして、2番目に登場した docomo ID 対応サイト「xx.chew.jp」では、早速「iモードIDは取得していません」との説明が表示されていた。*2
プライバシーマーク制度においても、この新たに登場したプライバシーブリーチの仕組みに対応して、(1)iモードIDの取得をどうしているか、(2)利用者への告知を怠っていないか、これらの点を審査項目に追加するべきではないか。
iモードIDが「個人情報に該当しない」などというのは、日本の個人情報保護法がおかしいだけで、これは個人に直結した個人番号そのもの*3である。プライバシーマーク制度は、個人情報保護法とはまた別のものなので、iモードが「個人情報保護法のいう個人情報には該当しない」からといって、プライバシーマークの取得において無関係ということにはならない。
さきほど、13時にドコレキのサイトが更新されたようで、ログインボタンの部分に「ドコレキで取得するIDについて」というリンクが現れるようになった。
リンク先に、昨日まではなかった、「ドコレキではどのようなIDを取得していますか?」というFAQ項目が追加されている。
Q. 1-5. ドコレキではどのようなIDをお客様から取得していますか?
A. OpenID(PCおよびAndroidでの認証目的に限る),FOMAカード製造番号(お客様の携帯以外でのドコレキの不正利用防止の目的に限る)を取得させていただいております。上記以外のIDは取得しておりません。 また、お客様から取得させていただいているID以外に、お客様個別のマイページURLおよびマイボックスIP側ユーザ番号(お客様の携帯の認証の目的の限る)を配布しています。
FOMAカード製造番号を取得しているとのことだが、なぜ必要なのだろうか? 不正利用防止の目的というけれども、その意味をなしているのだろうか。