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高木浩光@自宅の日記

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2009年08月15日

MIAUについての所感

前々回の日記でMIAUの中川理事のTwitter発言に触れて以来、MIAUについて、はてなブックマークで小さなコメントを書いていたところ、MIAU側で反応があり、MIAUからの公式発表とインタビュー記事が出た。

これをベースに、MIAUについての感想を書いてみる。

日経ITProのインタビュー記事の冒頭と終盤で津田大介代表理事が述べているように、審議会が市民参加に配慮しようにも「代表がいないから呼べない」という問題が存在していて、それに応じられる団体としてのMIAUの役割は重要であり、特に、ある時期の著作権関連の審議会において大きな役割を果たしたことには疑いの余地がないと思う。ただ、その後のMIAUの活動を見るにつけ、いくつか疑問を抱くようになった。

一つは、いわゆる「ダウンロード違法化」に反対する活動について。

違法化の検討が始まった当初から懸念された問題点に対し、早い段階から、罰則なし、「情を知って」の要件*1、ストリーミングは対象外とする方針が囁かれる中、MIAUは、徹底抗戦の構えで「ダウンロード違法化」に完全反対の立場をとった。反対にあたってどんな理由を挙げていたかは、MIAUの「ダウンロード違法化に反対するパブコメ素材」で確認できる。無理矢理作り出された理屈も含まれているように見えるかもしれないが、こうしたMIAUの勢力が存在したことも功を奏したのか、最終的に成立した改正法は当初からの懸念に対して手当てされたものになったように思う。

しかし、それでもMIAUは、改正法が成立した後になってからも、「“ダウンロード違法化”等を含む改正著作権法案の可決・成立を受けて」と題して、「なんら具体的な修正は行われぬまま法案が提出され、可決・成立したことに対し、強い遺憾の意を表明致します」と非難した。

MIAUでは設立当初より、ダウンロード違法化がはらむ問題点を訴えるとともに、パブリックコメントの提出や関係者への働きかけ、委員会等での提案等を行って来ました。結果的には「罰則規定なし」「“情を知って”という条件の追加」「ストリーミングは対象外」というところまで引き下げられたものの、約6000通ものパブリックコメントで指摘された問題点のほとんどに対して、なんら具体的な修正は行われぬまま法案が提出され、可決・成立したことに対し、強い遺憾の意を表明致します。

(略)しかし、今回の法案可決・成立によって、この問題がすべて決着した訳ではありません。ダウンロード違法化が成立したことによる弊害や、インターネットの健全な成長に及ぼす悪影響については、今後も訴え続けていきますし、法案の修正・見直しも視野にいれた活動に取り組んでいかなければならないと考えております。

“ダウンロード違法化”等を含む改正著作権法案の可決・成立を受けて, MIAU, 中川譲, 2009年6月17日

このあたりからよくわからなくなった。「ダウンロード違法化が成立したことによる弊害」というのは具体的に何なのか。それを示して非難すればよいのに、そうした具体性がない。具体的な問題があるのなら、法案が成立する前の段階で、提出法案に対する法文上の問題点の指摘をしたらよいのに、そうした指摘をMIAUがしたという話は聞こえてこない。昨年10月の時点で書かれた津田大介氏による記事「「ダウンロード違法化」ほぼ決定 その背景と問題点」でも、(その標題とは裏腹に)問題点の指摘はされていない。

MIAUの「ダウンロード違法化反対」はそもそも何のための反対なのか。その理念が見えない。たとえば、欧州議会で1議席確保したという「海賊党(Pirate Party)」と比べてみると、彼らは、「文化の共有、知識の無料/自由化、適切なプライバシー」という理念を掲げ、「著作権の適用範囲を縮小し、商用のみ(略)著作権で保護されるべき」といった具体的な方針(その是非はともかく)を明確にしている(CNET Japanによるインタビュー記事)。一方、MIAUの津田代表理事はというと、先週のインタビュー記事で、「アップロードの摘発をもっと効率的に行うべきだ」という考えを示した。

反対のための団体にはなりたくない

MIAUは反対のための団体と思われているふしがあるのですが,僕らは絶対にそうはなりたくないと思っています。「反対するなら対案を示せ」とよく言われますが,僕らはそれなりに対案を出し,対案を議論する場で実際に示しているつもりです。

(略)違法ダウンロード問題の際にも,僕が出ていた審議会では「アップロードの摘発をもっと効率的に行うべきだ」という対案を出したつもりです。実際に現場を取材すると,ネックになっているのはプロバイダ責任法の情報開示手続きの煩雑さにあることが多く,それらを改善する方が実効性がありますから。

僕らもネット上の違法コンテンツは減らしたいと思っています。しかし,ダウンロード違法化は効果も薄く,悪影響も考えられる。もっと効果のある方法をとりましょうと伝えたかった。

インターネット・ユーザーの声を政策の争点にしたい - インタビュー, 日経ITPro, 2009年8月7日

「ネット上の違法コンテンツは減らしたい」という方針をとるのなら、Winny等*2で大量に流通している著作権侵害ファイルについて、MIAUはどのような立場なのか。Winny等を利用する行為について、MIAUが考え方を示したという話は聞かない。*3 *4

Winny等はその仕組み上、ダウンロードすると同時にアップロードする(送信可能な状態におかれる)ようになっており、そのことをよく知らない大量のネット中級者が無差別にファイルを溜め込んで送信可能な状態においていることが、違法コンテンツ流通蔓延の原因になっている。ネット上級者であるMIAUの人達ならよく知っていることだろう。

アップロードを自覚しないWinny利用者らは摘発できない(故意が認められない)のだから、津田代表理事が言うように「アップロードの摘発をもっと効率的に行うべき」であるなら、Winny等の利用者に向けて、「あなたがやっていることはアップロードですよ」という注意喚起をしたらいいのに、MIAUはそういうことをやらないのだろうか。MIAUは、インターネットリテラシ読本作成のプロジェクトも活動の柱の一つとしているのだから、そうした啓発活動をするのも本来、自然なはずではないか。*5 *6

同様の違和感は、児童ポルノ単純所持処罰化に反対する活動においても感じた。

規制推進派が創作物まで規制しようとしてくる中で、それに反対する勢力としてMIAUが存在することの意義はわかる。また、Webのブロッキングという乱暴な手法の導入に対し、批判勢力が必要であることもわかる。7月10日に発表された「児童ポルノ禁止法改正案緊急声明についての解説」はよく書かれていると思ったが、「3.冤罪の可能性がある処罰の新設ではなく確実な法執行で児童を守ること」の内容に違和感を覚えた。

MIAUは、「児童ポルノによる児童の被害は、拡散のみならず所持が続くかぎり継続するという考え方を必ずしも否定するものではありませんが」と、それを被害として認めている。それなのに、所持を違法化しないで「製造・頒布・提供の摘発をより効率的かつ着実に行うことができる法執行体制を整備」せよと主張する。

7月12日の日記に書いたように、Winnyネットワークには大量の真性児童ポルノ(15歳以下のハードコア物等)が流通しており、「児童ポルノによる児童の被害」が無視できない状態にあることは、上級者であるMIAUの人達ならよく知っていることだろう。また、7月18日の日記にに書いたように、それらを摘発することは日本の法実務上、困難になっており、その困難性の原因はWinny等の機能的特殊性にある。このことも、MIAUの人達ならよく知っているはずだ。

それなのに、「提供の摘発を効率的かつ着実に行え」という。どうやって?

こうしたMIAUの立場を見ていると、2ちゃんねる掲示板の「ダウンロードソフト板」の住人たちと重なって見えてしまう。つまり、「マヌケな『情弱』*7どもが違法にアップロードしてくれているおかげで俺たちは安全にダウンロードだけ享受できる*8この状態をいつまでも続けたい。そういった「情報強者」の立場と区別がつかない。

そうでないとすれば、Winny等の利用者達に向けて、違法な利用をしないための啓発活動があってしかるべきであるし、ダウンロード違法化や児童ポルノ取得・所持違法化に反対する理屈を立てるときにも、Winny等における実態にちゃんと触れて、それを踏まえた対案を打ち出してしかるべきではないか。(あるいは逆に、「海賊党」のような理念を打ち出すとか、児童ポルノによる児童の被害を否定するというのなら、話はわかる。)

ぶっちゃけて言うと、MIAUは、それらをわかっていてあえて隠しているように見えてしょうがない。「ネット上の違法コンテンツは減らしたい」というのも、「児童ポルノによる児童の被害は、拡散のみならず所持が続くかぎり継続するという考え方を必ずしも否定するものではありませんが」というのも、心にもないことを言っているように感じられてしょうがない。(そうじゃないというのであれば、今後の活動で見せてくれたらいい。)

次に、ストリートビュー問題について。*9

MIAUは、ストリートビュー問題について検討した総務省のWGに構成員として参加したそうなのだが、その活動内容がようやく明らかにされた。「「インターネット地図情報サービスWG」第一次提言(案)作成協力のご報告」は、MIAUの立場を次のように表明している。

MIAUが総務省から上記WGに招致されたのは、ユーザー側の団体としていち早くこのGSVの問題を公開の場で議論し、諸問題整理の一翼を担えたことを受けてのものと理解しております。

同WGの議論については、総務省から公式な第一次提言(案)が発表されております。これによれば、現状のGSVは、個人情報保護法などに鑑みて適法であるというコンセンサスが取れております。もちろん、例えば東京都の情報公開・個人情報保護審議会におけるグーグル社の発言内容に虚偽があったなどという点については問題があると考えますが、それは「グーグル社はプライバシーという観点から見ておかしい」のではなく、グーグル社のコーポレートガバナンスの問題ではないかと考えます。

GSV問題や今後の「プライバシー」概念の明確化や具体的な政策への反映については、MIAUとは別に、専門的な見地から行動や政策提言ができる団体が必要であると我々は考えています。(略)

「インターネット地図情報サービスWG」第一次提言(案)作成協力のご報告, MIAU, 2009年8月3日

ストリートビュー問題だけならまだしも、それだけでなく、インターネットに係るプライバシー問題全般について、MIAUは取り扱いの対象外なのだそうだ。(たとえば、ちょうど同じ時期に米国のEFFが「日常の便利なシステムがプライバシを脅かす」という趣旨の啓発活動を行ったのと対照的である。)

なぜそこまでプライバシー問題の取り扱いを排除しなければならないのかよくわからないのだが、ストリートビューについて「適法であるというコンセンサスが取れております」という表明はあきらかにおかしい。

総務省の当該研究会 第一次提言(案)の「インターネット地図情報サービスについて」を読むと、「4.我が国において懸念される法的問題」に書かれていることは、次の4点である。

  1. 個人情報保護法に照らすと、ストリートビューを運営するグーグル社は、個人情報取扱事業者に該当するとは言い難い。(ぼかし前の写真が保管されているならそれは個人情報に該当し得るが、「特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」とは言い難いという理由により。)

  2. ストリートビューを運営するグーグル社は、総務省の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」における「電気通信事業者」に該当する。したがって、同ガイドラインを遵守することが求められる。ストリートビューに対しては以下が求められる。
    • 個人情報の利用目的をできる限り特定すること(個人情報保護ガイドライン第5条第1項)
    • 利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱わないこと(同第6条第1項)
    • 偽りその他不正の手段により個人情報を取得しないこと(同第7条)
    • 利用目的を本人に通知し、又は公表すること(同第8条第1項)
    • 個人情報保護管理者の設置(同第13条)、プライバシーポリシー(当該電気通信事業者の個人情報の取扱いに関する方針についての宣言)の公表と遵守(同第14条)などが必要
    • 公開することにつき本人の同意を得るか又はオプトアウトの要件(同15条2項)を満たすことが必要

  3. プライバシーの関係から、ストリートビューには法的リスクが残る。具体的には以下。
    • 個人の住所とともに当該個人の住居の外観の写真が公表される場合には当該個人の住居の外観の写真はプライバシーとして法的保護の対象になり得ると考えられている。屋内の様子、車両のナンバープレート及び洗濯物その他生活状況を推測できるような私物が写り込んでいる場合にも、内容や写り方によっては、上述の判断基準に照らし、プライバシーとして法的保護の対象となる可能性がある。
    • 人の顔や車両のナンバープレートなどはプライバシーや肖像権との関係で問題を生じやすい情報であり、ぼかしを入れたり、解像度を荒くしたりして判別できなくして公開することが必要。
    • 撮影の態様については、公道からの撮影は不当な態様での撮影とはならないことが多いと考えられる。しかし、私有地にあえて無断で立ち入るなど不当な手段を用いたり、道路交通法等関係法規を遵守しなかったりした場合などには不当な撮影態様とみられる場合があり得る。
    • 我が国の住宅事情にかんがみれば、人の目線を大きく超えるような高さにカメラ位置を設定して撮影すると、結果として塀越しに家屋をのぞき見て撮影しているのと同様となり、やはり不当な撮影態様とみられる可能性があることから、サービスに支障がない限度で、可能な限り人間の目線に近い位置にカメラ位置を設定して撮影するなどの配慮も必要である。
    • 公共の場所にいるという一事によってプライバシーの利益が全く失われると解するのは相当ではなく、もとより当該個人が一切のプライバシーの利益を放棄しているとみなすこともできない。したがって、態様や程度の如何によってはなおプライバシーの利益を侵害するおそれがあると考えられる。
    • プライバシー侵害となるかどうかは、写真の内容や写り方に左右される面が大きく、撮影態様も個別のケースごとに検討する必要があるため、最終的には事例ごとの個別判断とならざるを得ないため、道路周辺映像サービス提供者に一定の法的リスクが残ることは避けられない。

  4. 肖像権との関係から、ストリートビューには法的リスクが残る。具体的には以下。
    • 公道上において普通の服装・態度でいる人間の姿を撮影・公開することは受忍限度内として肖像権侵害が否定されることが多いが、常に肖像権侵害が否定されているわけではなく、公共の場における人の姿の撮影・公開につき肖像権侵害が肯定された事例も存在する。
    • ストリートビューでは、目的は地図情報の提供であって人の容貌の公開自体が目的なわけではない。ごく普通の服装で公道上にいる人の姿を撮影したものであって、かつ、容貌が判別できないようにぼかしを入れたり解像度を落として公開したりしている限り、社会的な受忍限度内として肖像権の侵害は否定されると考えられる。
    • ストリートビューでは、風俗店等に出入りする姿、立ち小便をしている姿、職務質問を受ける姿等公道であっても撮影、公開されることを通常許容しないと考えられる写真が入り込むこともあり得るため、肖像権侵害となるかどうかは、プライバシーと同様に最終的には事例ごとの個別判断とならざるを得ず、一定の法的リスクが残る。

この提言案は、「サービスを一律に停止すべき重大な問題があるとまでは言い難い」という結論を出してはいるものの、上記のように、個別の法的リスクは残るので、いろいろと対策をとらないといけないという趣旨になっている。

それを、MIAUは、「個人情報保護法などに鑑みて適法であるというコンセンサスが取れております」と宣言してしまう。

このことについて、はてなブックマークにコメントがいくつか付いたのだが、それに対するMIAUの中川理事のTwitter発言はこうだった。

適法という判断ができたのは個人情報保護法に関してだけである。そもそも、個人情報保護法とプライバシー保護とは別物であり、個人情報保護法に違反しなければプライバシーを保護したことになるわけではない。提言案も、総務省のガイドラインに準拠していると言えるのかという問題を残しているし、プライバシーや肖像権に関して、個別事案毎の問題だからこの種のサービスには法的リスクは残るとしているわけで、「適法です」などという安直な内容ではない。

個別に問題が生じ得るものだからこそ、問題の存在は常に訴えていかないといけない。それなのに、MIAUは、問題自体が存在しないことにしてしまう。*11

たしかに、一部の反対派がストリートビューの中止を求めているわけだから、「サービスを一律に停止すべき重大な問題があるとまでは言い難い」という結論を出したい人達がいるのは理解できる。しかし、だからといって、問題自体が存在しないかのように言う必要性はないわけであって、いったいなぜ、MIAUはそうするのか?

結局のところ、MIAUは、全否定するか、全肯定することしかできないんだなと思った。昭和の野党のようなやり方で、げんなりする。

必要なことは、何を実現したいのかの理念を背景に理想論を展開しつつも、是々非々で落とし所を探し続けていく作業だろう。

ストリートビューの場合でも、その落とし所が「サービスを一律に停止すべき重大な問題があるとまでは言い難い」であるにしても、プライバシーを大切にするという理念と、けして両立し得ないものではないはずなのに、MIAUは、プライバシー全般までも否定してしまった。*12 *13

*1 改正法では、「著作権を侵害する自動公衆送信(略)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」となった(改正法30条1項3号)。

*2 ここで言う「Winny等」の指す範囲は、7月20日の日記で示した法律私案の4条2項の努力義務に反した性質のプログラムを指す。

*3 ちなみに、私自身は、著作権侵害の取り締まりについてあまり考えはなく、必ずしもあらゆる著作権侵害が取り締まられるべきだとまでは思わない。たとえば、何十年も前のテレビ番組などについて、流通を妨げられることが正しいことだとは思わない。

*4 Winny等とダウンロードの自由との関係について、私の考えは、2006年12月12日に書いたように、「Winny等を規制しなければダウンロードの自由が奪われる」というものだった。結局、その通りの結果になっているのだと思う。

*5 ちなみに、米国のEFF (Electronic Frontier Foundation) では、(あちらでは非Winny型のファイル交換ソフトが主流なので趣旨がやや異なるが)「How To Not Get Sued for File Sharing」という啓発コンテンツを出しているし、「Teaching Copyright - Peer-to-Peer File Sharing」では、個人間のファイル交換の自由と著作権との衝突について考えさせる試みをしている。

*6 この日記を書く前に、MIAUに寄付金を送金しようとしたが、事前に寄付を申し込んで受入許可がないと送金してはいけないようだったので、まだ寄付はしていない。

*7 「情報弱者」の略。本来の情報弱者の意味から転じて、ネットやPCスキルの低いとみなす人々を侮蔑する言葉として2ちゃんねる掲示板では使われている。

*8 Winny等においても、いわゆる「UP0パッチ」を適用するなどの方法によって、アップロードを抑制して、ダウンロードだけすることが可能である。

*9 なお、私個人はストリートビューで困ってはいない。今住んでいるところはマンション高層階であり、私の住居について問題を感じない。実家も、元々車通りの多い幹線道路に面していて、道路から距離を置いた場所にあるため、道路からの撮影写真に問題を感じない。ちなみに、今住んでいるマンションの前のストリートビュー画像が削除されていることはここで触れておきたい。それは私が削除要求したものではない。別の住人が削除要求したものだろう。おそらく、保安上の心配からそうしたのだろうと思われるが、私個人はうちのマンションについて保安上の問題を感じない。今後MIAUに寄付をすることになれば、MIAUの人々に私の住所が知れることになるだろうから、先にこの点を明確にしておく。

*10 ちなみに、この後、中川氏は、私のセキュリティ脆弱性に関する活動に対して誹謗し始めた(中川氏のTwitter発言その2その3)。私が脆弱性の問題を指摘するときは、必ず、解決方法が存在していて、それが単に知られていないが故に解決されていない部類の問題を扱うようにしている。(こういうとき、「解決策を知らない技術者は安く使える」という意味でのコスト面からの実現性が云々という話がよく出てくるが、だからといって、解決策の知識の普及が否定されることにはならない。) 対して、MIAUのダウンロード違法化反対運動では、解決策がない状況で、ひたすら「ダウンロード違法化に反対するパブコメ素材」のようなリストアップが行われていた。

*11 たとえば、今年の5月にグーグルは、日本でも自動車ナンバープレートをぼかすよう方針転換したわけだが、それがもしMIAUの功績であるのなら、そのように表明したらいいはずだ。

*12 ちなみに、私自身のストリートビュー問題についての立場は、2008年8月31日の日記に書いた通りである。このうち、自動車ナンバープレートの問題は解決されたが、他の2つはまだ解決されていない。「通りに立った目の高さでという嘘」については、今後の撮影で目線を下げるという約束はされたものの、どういう映像になるのかいまだ示されていないし、既に撮影されたものはそのまま出すという話になっている。また、「私道や敷地内に入っての撮影はしていないという嘘」については、その後も何ら方針が発表されていない。

*13 ダウンロードにせよ児童ポルノにせよ、他人の権利が侵害されることには寛容のようだし、プライバシー概念自体に懐疑的なようだから、自分自身のプライバシーが損なわれても文句は言わないのだろうか。


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