前回の日記を読み返していたところ、「ストリートビュー」(最近は「ストビュー」と呼ぶ人もいる)で南東に2ステップ移動した地点に、何やら標識のようなものが写っていることに気付いた。
これは何だろうかと気になり、もう一度現地に出向いて確認してきた。前回の日記で最後の写真に示した路地の入口は、もう一歩引いて撮影すれば、以下のようになっていた。
「二輪の自動車以外の自動車通行止め」のマークがあるが、これは道路交通法上の規制を意味するのだろうか? それとも、単に「通り抜けできないような道ですよ」と言っているだけなのだろうか。
気になったので目白警察署に尋ねてみたところ、これは「標識」ではなく「看板」であり、道路交通法上の規制の効力は及ばないものとのことだ。ではどういう意味があるのかと尋ねたところ、「地域住民の要請でこのような看板を出すことがある」「部外者に入ってこられては迷惑になる場所や、実際に車が入り込んで動けなくなったような場所に出している」「区役所と協力してやっている」とのことだった。
Googleのストリートビュー撮影カー(以下「Googleストカー」とする)はそのような場所にまで入り込んでいたわけだ。住民の方も「よく通れましたね」とおっしゃっていたが、奥の方の地点を見てみると、こんな感じで通り抜けている。
前回の日記で民家の塀の中が丸見えになっている事例を示したが、それは稀なケースではない。
図4は、ある地点について、Googleマップ「ストリートビュー」での表示と、現地で私が撮影した通常の目線の高さ(約1メートル55センチ)からの写真と、LOCATION VIEW(Googleマップより先に開始されていた類似のサービス)での表示を比較したものである。(今回は、前回のように居住者の承諾を得たわけではないので、Googleマップにはリンクしない。できるだけ無難な絵を選んだ。)
このように、LOCATION VIEWの視点は、私の視点より少し高い程度であまり違わないのに対し、Googleのストリートビュー撮影カー(Googleストカー)の視点は大幅に異なって高い。
図5は、別の地点について同様に比較したものである。(LOCATION VIEWはこの通りには入っていなかった。)
通行人の目線では洗濯物が見えないのに対し、Googleストカーでは洗濯物が見える角度で撮影されている。(この日は洗濯物は干されていなかったようだが。)
図6は、さらに別の地点についての比較。(ここの通りもLOCATION VIEWは入っていなかった。)
図7は、ある地点で、通りからアパート側を向いたときの比較である。(ここもLOCATION VIEWにはない。)
通行人からの目隠しであろうか、通行人にはちょうど垂直となる位置に設置されており、日光や風を通すための斜めのスリットが開いている。これが、Googleストカーの撮影角度では、スリットを抜けて向こう側が透けてしまっている。
同様の状況は他にも無数にあるように思える。
ここに書き込まれたコメントなどによると、グーグル社は以下の内容のメールを送っているらしい。(事実かどうかはまだ確認できていない。)
Google ユーザー様、
Google へご連絡いただきありがとうございました。Google Maps ストリートビューは、日本の法律にもとづいて公共の通りから集められるイメージのみを表示しており、例えば道を歩いていて見ることができるイメージと同じです。
大変申し訳ございませんが、このフォームからいただいたメールからでは住所、詳細および、削除希望のイメージを正しく把握することができない場合がございます。ストリートビューの画像を削除希望の場合、下の手順に従っていただくか、ビデオをご覧になってください。
1. 問題のストリートビューの画像を表示します。
2. ウィンドウの右上に表示されている [ストリートビューヘルプ] をクリックします。
3. [不適切な画像を報告する] をクリックします。
4. 必要事項を記入して、報告してください。
http://www.youtube.com/watch?v=LjPufjGBKiM
お客様のご理解に感謝いたします。今後とも Google をどうぞよろしくお願いいたします。
Google チーム
「道を歩いていて見ることができるイメージと同じ」というのは事実に反する。
ところで、前回の日記に対するはてなブックマークの中に、こんなコメントを書いているのがいた。
atsushieno これが問題なら、むしろ車高の高い車を規制すべきという議論もしなければならないだろう。あと、将来車が空中を走るようになったらどうするのか。/ (略)
いったいどんなのなのかと調べてみたところ、驚いたことにMIAUの発起人の一人らしい。
K-Ono はいはい、MIAUの出番ですよ(笑) / (略)
というコメントが見られたように、大きなものに対抗する手だてとしてMIAUに期待する向きもある(他に団体が存在しないため)が、MIAUはプライバシー問題に取り組める団体ではないのではないかと私は感じている。MIAUは自由を追求する集まりであって、消費者保護やIT弱者救済を対象としているわけではなさそう*1だからだ。
*1 自由の追求がたまたま消費者保護にもなる事例があるというだけで。