法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第8回会議 議事録(転載)

転載者補足

以下は、法務省の許諾を得て、法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会の議事録をHTML形式に変換して全文転載するものである。法務省は(平成18年までのものについては)審議会議事録を「.exe」「.lzh」形式で公開しているため、通常のWeb検索でこれらの議事録がヒットしない状態にある。このままでは、国民がハイテク犯罪に対処するための刑事法について正しい理解を得る機会を損失し続けてしまうと考え、ここにHTML形式で転載するものである。転載元および他の回の議事録は以下の通りである。

転載元: http://www.moj.go.jp/SHINGI/030807-1.html

議事録一覧:

転載

法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会第8回会議 議事録

第1 日時 平成15年8月7日(木) 自 午後3時00分 至 午後4時13分
第2 場所 法務省大会議室
第3 議題 ハイテク犯罪に対処するための刑事法の整備について
第4 議事 (次のとおり)

議事

●ただいまから法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係)部会の第8回会議を開催いたします。

●本日は,御多忙のところ御臨席を賜りまして誠にありがとうございます。

さて,前回までの会議におきまして,要綱(骨子)につきましてまとめに向けた議論をいただきました。本日は,これまでの議論を踏まえまして,諮問に付されました要綱(骨子)の修正の要否を具体的に検討し,当部会として総会に報告すべき意見の取りまとめに入っていただきたいと思っております。

まず,本日は,事務当局の方で,これまでの議論を踏まえまして要綱(骨子)の第七の部分について再修正案を作成しているということでございますので,その案につきまして事務当局から説明をお願いしたいと思います。

また,これまでの議論の中で指摘されました論点のうち,事務当局におきまして検討することとされておりました点につきましても,説明をお願いしたいと思っております。そして,これらの説明について,質疑及び議論があれば,お願いをしたいと思っております。

さらに,○○委員,○○委員,○○幹事から修正の御提案があるとのことでございますので,その御説明をお願いしたいと存じております。

その後,○○委員ほか御提案の修正提案に関しまして,質疑及び御議論をお願いいたしまして,議論が終局いたしましたならば,部会としての御意見の取りまとめに移りたいと思っております。

本日の議論の進め方は,このような方法でよろしゅうございますでしょうか。

それでは,このような形で進めたいと思います。

それでは,最初に事務当局から説明をお願いいたします。

●事務当局の方で,これまでの議論を踏まえまして,要綱(骨子)の第七の部分につきまして修正案を作成いたしましたので,御説明いたします。

本日,席上に「要綱(骨子)修正案」と「新旧対照表」をお配りしていますので,御参照ください。

今回の修正は,要綱(骨子)の第七の一につきまして,保全要請の対象を,従来の案では「業務上記録し,又は記録すべき」通信履歴の電磁的記録としていたのを,「業務上記録している」通信履歴の電磁的記録に限定することとしたものでございます。

保全要請は,一般的に短期間で消去される通信履歴の電磁的記録のうち必要であると判断されるものについて,差押え等を実施するまでの間,消去しないように要請するという制度であり,将来記録されることとなる記録についても,その保全が必要となる場合が存在し,仮にこれを対象にしないとしても,保全要請を繰り返せば同じ結果となるものでございます。

これに関しまして,前回,将来記録されるこことなる通信履歴についても保全要請が可能となれば,それは通信傍受となるというような御意見がございました。しかしながら,保全要請は電磁的記録を消去しないことを求めるにすぎない上,通信内容を除いた通信履歴を対象とするにとどまり,また,「記録すべき通信履歴」も,業務上記録・保管することが予定されている記録でありますから,通信傍受とは全く性質を異にするものでございます。したがいまして,将来記録される通信履歴を保全要請の対象としても,いかなる意味でも通信傍受が行われることになるものではありません。

しかしながら,将来記録すべき通信履歴について保全要請を受ける事業者等の負担が不当に重くならないよう配慮すべきこともまた当然であり,保全の必要性の判断を慎重に行うとの観点等を考慮いたしますと,将来記録されることとなる記録の保全の必要性については,その将来の時点において判断するものとするのがより適当であると考え,保全要請の対象を「記録している」通信履歴の電磁的記録に限定することとしたものでございます。

なお,前回の会議におきまして,差押え又は記録命令付き差押えを行った場合においても,手続を明確にするため,保全要請の取消しを行うべきではないかとの御意見があり,これに関連しまして,例えば60日間という期間で「記録すべき」通信履歴の電磁的記録を含め保全要請を行っていた場合におきまして,30日目に記録命令付き差押えを行ったときは,その後には保全すべきものは当然になくなるとの御説明をいたしましたが,これは,「記録すべき」ものも対象としている場合について御説明をしたものでございます。今回の修正後の保全要請の制度の下では,そのようなことはないことになるわけで,保全期間中に記録命令付き差押えを行うことによって失効するのは執行がなされた記録と考えるのが適当であり,捜査機関としては,保全要請を行っていた記録の一部について記録命令付き差押えを行ったときは,その余の部分については差押え等を行う必要がないと認めるに至っていることが多いと考えられますが,そのような場合,手続の明確さを確保するために,その余の部分について保全要請の取消しを行うべきものと考えております。

次に,これまでの議論の中で指摘されました論点のうち,事務当局において検討することとされておりました「記録命令付き差押え」という用語の是非につきまして御説明をいたします。

これにつきましては,前々回の会議において,「記録命令差押え」を「記録命令付き差押え」と改めた案を提示させていただいたところでございますが,この用語について再度検討されたいという御意見がございました。

しかしながら,「記録命令付き差押え」の用語は,「記録」することを「命令」した上で「差し押さえる」という意味を表したもので,記録させるところに重点があるものではありますが,他方で,これによって差し押さえられた記録媒体は,押収物として,還付や準抗告等刑事訴訟法の諸規定が適用されることとなりますので,差押えの一種であるという意義も小さくなく,したがって,用語として適当であると考えております。

なお,前回も申し上げましたが,本諮問に関しましては,事務当局において意見書等の提出を受けたものがありますが,委員・幹事の皆様にはいつでも閲覧等できるように事務当局で保管しておりますので,必要があればお申出いただきたいと思います。

●ただいまの説明につきまして御質問や御議論がありましたら,お願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。

●事業者側にかかる負担等を考慮して,今回,将来の記録に対する保全要請については要綱案には盛り込まないという御提案については,例えば,事業者側が,将来の記録が捜査に必要であると予想されるならば,将来の記録を保全しても構わないと考えている場合に,今回要綱案に盛り込まれないことにより,そのような事業者に対して何かしらの影響を与えてしまうのでしょうか。つまり,今回の要綱案に則って立法がなされた場合,将来の記録を保全しても構わないと考える事業者に対して,それを残すことが事業者の活動として不当だという評価をされてしまわないか懸念されるのですが,今回の提案というのは,いわば現在行っている部分のうち,少なくとも過去の記録について保全要請をしっかりさせるという意味があるのであって,将来の記録を事業者側が保全をすることについて何ら影響を与えるものではないという理解でよろしいですか。

●この保全要請の制度は,現在行われていることを踏まえた制度であり,それを法律上明確にするという意味合いでありまして,この制度を作ったからといって,あるいは今回のように修正するからといって,現行行われているところができなくなるという趣旨ではないというふうに理解しております。

●今回,私どもの意見を入れていただいて,将来の保全については差し控えるという訂正をいただいたということについては感謝申し上げたいと思います。

ただ,理由付けとして,これが傍受に当たるか当たらないかという議論をここでするつもりはもうないのですけれども,先ほど保全要請を繰り返せば将来のものをずっと保全させていくことができるというような御発言があったのですが,保全要請は,先ほども言われたように差押えを前提としていて,それまでの期間,ごく短期間保管するということが本来の目的ですから,差押えをしないまま保全要請を繰り返していくというような取扱いはあってはならないものだというふうに考えますので,その点を御確認いただきたいと思います。

●もちろん,ただし書を設けた趣旨からも明らかだと思いますが,差押えの必要性がないと認めるに至ったときには,取り消すべきものだということで制度を作っているわけでございますので,差押え等の必要性が全くないというか,予定もされないのに保全要請することは予定していないというのは,そのとおりでございます。

●1点,補充させていただきますと,保全要請を繰り返せば同じ結果となるというのは,保全の必要性もないのに保全の要請を繰り返すという意味ではもちろんなくて,保全の必要性があるという場合に,消去されてしまうおそれがあるという状況の中で保全の要請を繰り返すということを行うことは当然想定されるわけで,その場合には同じ結果になるという意味でございます。

●よろしいでしょうか。

それでは,引き続きまして○○委員,○○委員,○○幹事の方から,修正提案につきまして御説明をお願いいたします。

●私の方から大ざっぱに述べさせていただいて,○○委員の方から後で補充をしてもらうことにしたいと思っています。

皆さんのお手元に,3名の連名の修正提案というものが行っておりますので,御参照いただきたいと思います。

それぞれ,要綱(骨子)の第一,第二という形で対応するように書いてございますのでお分かりいただけるかと思いますが,先般,皆さんに配布させていただいた日弁連の意見書をもとにして,委員・幹事として修正提案をさせていただくという形にいたしました。

要綱(骨子)第一については,かなり日弁連の中でも議論がございまして,ウイルスを作ることについてどの程度のところから規制をすべきかという議論がいろいろあったのでありますが,私どもの一つの眼目は,ここに書いてございますように「作成し,又は提供することにより利用可能にした」と。単に作成等をしただけで処罰するというのではなく,第三者に利用可能にしたという,そういう状況が加わる必要があるというふうにしてあります。ですから,少し作成よりプラスアルファがある。

この利用可能とは何かというのは非常に難しくて,私どももかなり議論をしているのでありますが,単なる作成では足りないという,そういう趣旨であるいうことでここにこういう言葉で記載しました。

それから,もう1点は,サイバー犯罪条約が求めている意図というものについて,どのように規定するかということを検討したのでありますが,やはり原案といいますか,「その意図に沿うべき動作をさせず,又はその意図に反する動作をさせる不正な指令」というのでサイバー条約の6条の要件が満たされているかということを検討しまして,はっきりと刑法に規定された「罪を行うために使用する目的で」というふうにした方がよいのではないかということで,それを加えるということでこれを加えさせていただいているということであります。

それから,先ほどの単なる作成・提供段階でなくプラスアルファというのとある意味では絡んではいるのですが,「電子計算機の正当な試験又は保護等」の場合には犯罪が成立しないということを注意的にといいますか,はっきり明記するという形にしたい。これも,条約に沿う形での規定でありますが,こういう形にしたいということであります。

これが主な点で,あとは四項もそういう意味では一項と関連したということで,そのような修正をさせていただきたいということであります。

それから,要綱(骨子)第二については,いろいろ全体として私ども議論をしまして,わいせつな文書図画という形で有体物の規定があり,その有体物の規定を生かしながら,今回の電磁的記録というものを規定していくというこのやり方が分からなくはないのですが,これ自体,もっとデータそのものに接近できるような形の規定が必要だろうという議論があるのでありますが,今回はそういうことを踏まえながら,この要綱(骨子)に基づいた形での修正ということで出させていただくということで,一番ポイントになっていると思われる「頒布」という概念を何とかしたいということで,ここに示しましたように「公衆送信」という言葉に変えたいと。やはり「頒布」というのは,どうしても有体物がつきまとっているというふうに思われますので,それはそれで有体物の場合生かして,「電磁的記録その他の記録」という場合には「公衆送信」という形の用語にしたらいかがかと。

それと同時に,これを175条の二文という形で置いておくのではなくて,175条の2という形で独立したらどうか,独立させた方が有体物とこの電磁的記録という形ではっきりするのではないかというのが第二であります。

第三,第四,第六,第七は修正していません。

第五については,後ほど申し上げますが,要綱(骨子)第五はいろいろ議論した結果,前回,「専ら」と「現に」という日弁連の意見書に書かれていた二つの点について御意見が集中したのですが,私ども委員・幹事としては,「現に」というものは削除して,「専ら」という点を入れようということで,皆さんの議論を踏まえながら検討しております。

それから,第七については,日弁連の意見書では「記録した電気通信の送信元」というふうに過去形になっていたのですが,ここを「記録している電気通信の送信元」ということで,今日出された修正案とここは同じということにさせていただいております。

そういうことで,皆さんの議論を聞きながら私どもとして提案させていただくというのが今回のものであります。

更に補充するという形で,○○委員の方からお願いしたいと思います。

●それでは,お願いいたします。

●それでは,補充させていただきます。

第一と第二については,ただいまの○○委員の御説明で尽きておると思いますので,まず第三と,第四もほとんど同じなのですが,第三と第四の修正案の趣旨は,このような方法での差押えをする場合には,補充性を要件にしてほしい,より対象者にとって侵害性の少ないやり方,これが原則であるという,このような制度をせっかく作るのですから,そういう原則を明らかにしてほしいということでこのような用語を追加してはどうかと。原案に大きな問題があるというよりは,それをよりよくしていただきたいという趣旨で作ったものでございます。

それから,要綱の第五ですが,前回大変たくさん御議論をいただいて,「現に」というのは余りいただけないのじゃないかと,それは今現在使っているということが要件になるのかというような御指摘もありましたので,その点を落としたのですが,「専ら」という点はやはり生かしていただきたいと思います。

この「専ら」を挿入している趣旨というのは,接続媒体のうちで当該電子計算機に対する差押状,差押許可状で差押えができるものを当該電子計算機の保管者が利用していると認めるに足りるものに限定するという趣旨でございます。ネットワーク接続された電子計算機の差押えにおいて,当該電子計算機の差押状,差押許可状で審査されるのは,原則として当該電子計算機を利用している者のプライバシーであると考えます。したがって,ネットワーク接続先の記録媒体についても,開き得るのは原則として当該利用者のプライバシーに限られるものと考えるべきであると思います。

ところで,接続している記録媒体においては,当該電子計算機の利用者のプライバシーはアクセス権限のみならず,例えばフォルダの名称,利用状況など,多様な方法によって画されていると思います。例えば,共有フォルダの中にはっきり,その共有フォルダを利用している人の名前でフォルダが記載されている,基本的にはその人しか使っていないというような場合です。ですから,「当該電子計算機で処理すべき電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるもの」というだけの限定では,広きに失しており,「専ら」を挿入すべきであると考える次第です。

本日,郵送で送られてきました経団連の意見書がございましたけれども,この中でも,要綱の第五というのは機能的に一体のものに限定すべきではないかというような趣旨の御意見もあって,基本的に我々の意見と近しいのではないかなというふうに考えております。

それから,要綱の第七ですが,この点については先ほども発言いたしましたが,過去のものに限定するという修正がなされたことについては,ここで再度感謝を申し上げたいと思います。

残っておる問題としましては,我々としては,90日間というのはやはり長過ぎる,30日程度とすべきではないか。あと,保全要請については基本的には書面でするというふうに事務当局から御説明もありましたが,書面ですることがほぼ決まっているのなら,法文上も書面でするということを書いていただきたいということ。

それから,捜査関係事項の照会,保全要請に関して漏洩しないよう求めることができるという規定は,任意捜査について非常に新しい規定ですし,どこまでの必要性があるのかきちんと議論されていないと思いますので,削除すべきであるというふうに考えます。

あと,保全要請について,これが濫用されないように,先ほどもありましたけれども,過去のものに限定されるとしたけれども,必要もないのに保全要請が繰り返されたというような実態が生じないとも限りません。そういうことがないように,保全要請に係る件数,そのうち差押許可状の請求までに至った件数,そして保全要請に係る罪名,保全要請に係る通信手段の種類,保全要請が行われた事件に関して逮捕した人員数を国会に報告するような制度を設けて,この制度の透明性を確保して,濫用に至らないようにしていただきたいというふうに考えるものであります。

●ただいま,○○委員と○○委員から御説明がございましたが,この修正事項につきましては大分これまで議論が尽くされたと思われます。しかし,なお質疑や御議論がございましたらお伺いしたいと思いますので,順次お願いをしたいと思います。

なお,本日は部会としての意見の集約をお願いしたいと思っておりますので,各委員におかれましては,それぞれの御意見を適宜明らかにしながら議論をお進めいただきたいと思っております。

それでは,○○委員ほかの御提案に係る修正案のうち,要綱(骨子)第一及び第二の部分につきまして,質疑,御議論がありましたらお願いをいたしたいと思います。いかがでしょうか。

●1点,質問があります。今回御提案のところの利用可能にするという概念なのでありますけれども,例えば自分で使うつもりであれば,こういうウイルスを作れば普通はよほどの事情がない限り利用可能になったようにも思われますのと,当然のことながら供用行為については,未遂を含めて処罰することが必要だとお考えなんだろうと思われるのですが,供用と利用可能にしたというものとの関係,例えば自ら使用する目的の場合に,どういうときに利用可能だというふうに具体的にお考えなんでしょうか。

●いかがでしょうか。

●「利用可能」という言葉自身は,サイバー犯罪条約自体からとってきたものですけれども,基本的には供用というのは積極的な行為を伴っていて,それをどこかに提供したとという要素があるわけですが,利用可能というのは,例えば開かれているネットワーク上で,例えば自分のホームページにアップしてあって,だれもがアクセスできる状態になったということになれば,これは当然利用可能になっていると。より受け身の状態であっても,利用可能になるという場合があり得るのではないかというふうに考えております。

要するに,第三者がアクセス可能な状態になったというような意味です。

●ほかにいかがでしょうか。

●私も,利用可能の点につきましては,それによって実際上いかなる限定が付されるのかということについては,今の御説明を伺いましても必ずしも釈然としないものがあるわけでございますけれども,その点については,今一応御質問がなされ,御回答がなされましたので,ほかの点について意見を述べさせていただきたいと思います。

まず,第一の一項について,「電子計算機の正当な試験又は保護等前記一の目的がない場合」に犯罪が成立しないという確認の規定を置くべきだということでございますが,ここに書かれていることを見ますと,要するに構成要件該当性がない場合には犯罪にならないということを書くということを意味しているように思われまして,これは無用の規定ではないかというように私には思われます。これがなくても,当然ではないかというように考えます。

四項につきましても,同じことではないかというように思っております。

それから,もう1点でございますが,目的を限定するということでございます。これは事務当局の要綱第一につきましての御説明でも,プログラムの信用性といいますか,信頼性といいますか,そのようなものを保護するという観点からいきますと,私はこのように犯罪の種類を限定する必要は特段ないのではないかというように思っておりますが,仮に限定するといたしましても,例えば器物損壊の目的のようなものはこの中に入っていないということになってしまいまして,そうしますと,コンピュータウイルスの中である程度重要なもの,一般の家庭で使用しているような電子計算機を全く使えなくしてしまうような場合については,これは処罰の対象にできないプログラムであるということになりかねない点において,やはり狭過ぎるのではないかというように思っている次第でございます。

●ほかにいかがでしょうか。

●今の,○○委員の御意見に対し,一応提案者として意見を述べさせていただきます。

まず,正当な行為について,これは構成要件に該当しないときに犯罪不成立だということを言っているだけの無用の規定だというふうにおっしゃられたのですが,このもともとの要綱案自身で,正当な行為の場合に,これがきちんと除外されているかどうかという点は非常に議論があるところではないかと思います。はっきり条約そのものの中にはこういう規定が置かれている,それはなぜかといえば,通常ウイルスと言われているようなものを使ってやる行為と,セキュリティを確保するためにプログラマがやっている行為を外形的に判断することはなかなか難しいからでありまして,その点がこういう規定なしに構成要件的に除外されているというふうに言えるかどうかの点は,多大な疑問があるというふうに考えております。

それから,犯罪の種類を限定する必要がないというお話でしたが,この点もサイバー犯罪条約では2条から5条までに定められている犯罪を行うために使用する意図というのがはっきり6条では要件とされているのでありまして,我々がここで引用した条項というのは,電磁的記録の不正作出罪,業務妨害罪,電子計算機損壊等業務妨害罪,電磁的記録の毀棄罪,これを対象としたわけで,基本的にサイバー犯罪条約で定めているものと,我が国の刑法典の中でそれに対応するものを過不足なく対応させたものだというふうに考えております。決して狭過ぎるということはないのではないかと思います。

●要綱(骨子)第二に関し175条の2という形で独立した規定とするというご提案については,日弁連の意見書ではサイバーポルノについての規定を特化するという形で御意見がございましたが,現行の刑法174条と175条の区別,すなわち,なぜ175条が重く処罰されているのかということについては以前考え方を御説明させていただきました。御提案の趣旨はよく分からないところがございますが,サイバーポルノの場合,174条と175条の区別を設けずに規定を設けるべきだという御趣旨であれば,現行の規定の考え方との違いをどう考えるべきなのかというところが疑問ではないかと思いますが,立法形式の関係につきましてだけ申し上げさせていただきますと,どのような内容で法整備を行うかについては法制審議会で御審議いただいているところでございますが,立法形式につきましては,御議論も踏まえまして,今後関係当局とも協議の上決定することにしたいと考えておりますので,この点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

●よろしいでしょうか。

それでは,第一及び第二の部分につきましての質疑,あるいは御議論はこれで終わらせていただきまして,次に要綱(骨子)第三から第七の部分につきまして,質疑,御議論をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

●もう何遍も言っているので,また同じことを言うことになって申し訳ないのですが,第三,第四についてこういう規定を設けること自体は意味があるというふうに思っているのですが,私どもは,やはり,第三,第四をまず原則として,といいますか,このやり方をやった,それでも駄目だった場合に初めて物を押さえるという,こういう形にした方がよりよいのではないかというのが趣旨なんです。ですから,具体的に実際の運用でうまくやるよというのでいくか,その辺のポイントといいますか,その辺が私どもとしてはより積極的に第三,第四のこの提案を生かすには,第三,第四のやり方をまずやって,それでも駄目な場合に初めて物を押さえていく,こういう形で規定できないかということが私どもの考え方です。ですから,その辺はどうなのだろうかということは,御意見をお聞きしたいと思います。

●これは,前回までにその点も含めて申し上げたので,○○委員も御記憶だと思いますので繰り返しません。原案のような形が今の刑事訴訟法の仕組みを前提にした場合に最も自然であって,御提案のような修正案にするのは妥当ではないと私は思います。

●私も,この点については前回までの会議で意見を申し上げましたが,このような修正案は適切ではないと思います。

それから,第三の四に同一性の確認の手続の御提案もありますけれども,この点も既に以前申し上げたとおり,このような規定は不要であるというふうに考えております。

●ほかにいかがでしょうか。

●1点だけ,今の四の点についてですけれども,これは通信傍受法を連想されたのだと思いますが,通信傍受法の立会人に署名してもらって封印するというのは,同一性を確認し担保するという趣旨の規定ではないものですから,これは,その点を誤解されているのか,あるいは,それからの連想で,それを根拠にこういうものを設けるというのは理由がないのではないかと思います。必要性については,○○委員と同じです。

●いかがでしょうか,○○委員,○○委員,今の点につきまして。

●別に今のことをお答えするつもりはないのですが,連想したかしないかというのは別にしまして,私どもの趣旨は,物の場合も結局同じじゃないかという議論はあるわけですが,やはり改ざんできる可能性があるということを踏まえて,そうではないということをきちんとやろうということでこれを作ったので,通信傍受法を連想したかどうかということで,通信傍受法にあるからこれがちょうどいいというのでは,その意味では趣旨が違うということで,ここはここでの規定として私どもは提案しているということであります。

●別の観点から,いかがでしょうか。

これまで十分御議論は尽くされてきたような気がいたしますけれども,なお補足することがございましたら……。

●国会報告,公表の規定を設けるという点について,これまで事務当局の考え方を申し上げておりませんので,その点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

通信傍受法にこのような規定が設けられておりますが,これは,通信傍受が通信の秘密の重大な制約を伴う処分であることなどから,その制度の在り方だとか運用状況についての検討の資料とするために実施状況等を国会に報告するとともに公表するということになっているものでございます。これに対し,保全要請の場合は,もともと通信業者等が業務上の必要性等から記録しているものを消去しないように求めるものにすぎませんし,制裁もございませんし,かつその内容を捜査機関に開示させるというようなものでもない,こういうものでございますので,通信傍受法のようにこのような規定を設ける必要はないというふうに考えているところでございます。

●私どもにも経団連の情報通信委員会情報化部会の意見というものが送られてきて,それを見ても,要綱(骨子)第七についての意見の中で,保全要請制度が差押えを前提の運用がされているか否かを検証できるようにするため,保全要請件数とその結果差押えに至った件数を定期的に開示すべきであるというふうに意見で述べられているのですね。ですから,ただし書もつきましたし,そういう意味で多くの不安というのは,捜査機関がそんなことをするはずがないということはそれはそれでよろしいのですが,濫用があるのではないかという不安があることがあるわけです。保全要請という形で。そういうことが一つの要素になっているわけですから,そういうものをきちんとこういう形で行われているという,ここで私どもが示したような形での開示というのは,そんなに不必要だというほどのものではなくて,この程度は開示してもよろしいのではないかと逆に思うぐらいなんですけれどもね。

●司法統計などで令状請求した件数などは分かるわけで,それの前段階での保全要請で,これも通信の秘密に対する重大な制約につながりかねないものであることは間違いないと思うのですね。そのものが重大な制約になっているかどうかは別にしても。だとすれば,実際に経済団体などからもこのような意見が述べられているわけですから,司法統計に件数を挙げておくとか,そういうことすらしないというのは,やはりいかがなものかなと,その程度はしてほしいなと思いますけれども。

●この御提案は,司法統計に載せろということではなくて,通信傍受法と同じように国会に報告をしろ,そういう形で公表しろという御提案ではないのですか。

●もともとの提案はもちろんそうです。しかし,先ほどの○○幹事の御説明自身が,大したものじゃないのだから内容を公表する必要はないというふうにおっしゃいましたので……。

●今,議論しているのは,御提案についてであって,そのように話を広げていくのは適切ではないと思います。

もう一つは,通信の秘密につながりかねないということなのですけれども,通信の秘密を制約したり侵害するのは,保全されたものを差し押さえていくというところからなのですね。しかし,そこのところは令状をとってやるわけですから,裁判官のチェックを受けているはずです。経団連の方たちの御関心は,私なりに推測すると,濫用と言われているのは,通信の秘密の侵害につながりかねないような濫用であるというよりは,むしろ必要もないのにむやみに保全要請をどんどんしてこられて,それで事業者の負担が増える,そちらの方じゃないかという感じがするのですね。そういうこととの関係で,国会という場にまで出して公表してチェックするまでの濫用の危険がある,そこまでおそれないといけないということは果たしてあるのか,私は疑問だと思います。

●私も,今の○○委員と同じでございまして,先ほどの○○幹事の説明の趣旨についても,○○委員の方が国会報告というのをそれ以外のものに変えてこのことについて統計にも何も載ってこないということを言っておるのだというふうにおっしゃった点については,そこまでの話を決して○○幹事はしなかったはずだと私も理解しております。

●お二方の御意見,それぞれ十分に理解できたと思いますので,ただいまの点以外に,ほかにございませんでしょうか。−−特にございませんでしょうか。

それでは,修正の御提案につきましての御議論は一通りこれで終わらせていただきたいと思います。

その他の点も含めまして,ほかに修正の御提案等ございましたら是非おっしゃっていただきたいと思います。−−特にございませんでしょうか。

更にこの審議につきましていろいろ御意見があろうかと思いますけれども,この際一言言っておきたいという御意見がございましたら,おっしゃっていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

●先ほどの第七のところですが,国会に報告するほどのものではないという御意見は,それはそれで一つの御意見として承ったのですが,何らかの形でここに記載しているような保全要請の件数,差押許可状の発付に至った件数等について,公表していく,開示していく,そういう用意はあるのでしょうか。あるいは,そういう方向性はとり得るということなのでしょうか。その辺を少しお伺いしたおきたいと思います。

●今の点につきましては,こういった統計を仮にとるといたしますと,私ども事務当局だけの所管ではなく,いろいろなところと関係している事柄でございます。ただ,いずれにいたしましても,統計として必要なことについては,それぞれが今後とも資料として公表していくというのは,これまでどおりであろうと思われます。

●それでは,この辺で,部会としての意見の取りまとめに入りたいと存じます。

既に御案内のとおり,諮問第六十三号は,

近年におけるハイテク犯罪の実情にかんがみ,この種の犯罪に対処するとともに,欧州評議会サイバー犯罪に関する条約(仮称)を締結するため,早急に刑事の実体法及び手続法を整備する必要があると思われるので,別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。

というものでございます。

その別紙の事項として,第一から第八までの八つの事項を掲げてきたのでございます。

そして,諮問に付されました要綱(骨子)を一部修正する修正案が事務当局からと○○委員ほかからあったのでございます。

そこで,採決の方法でございますが,今回の諮問は非常に多岐にわたっておりますので,全体を一括して採決することは適当でないというふうに考えております。

まず,第一につきましては,要綱の第一の一から四までと,第一の五が異なる事項のものでありますので,これにつきまして分けて採決します。

次に,第二の事項につきまして採決した後に,第三及び第四の事項については一括して採決します。

さらに,第五から第八までの各事項について,事項ごとに採決したいと考えております。

言い換えますと,まず第一の一から四,これが1回目の採決。第一の五,これを2回目の採決。第二を3回目。それから,第三と第四を併せて4回目。それから第五,これを5回目。第六を6回目。第七を7回目。第八を8回目。このように,各事項ごとにこの順序で採決をさせていただきたいと思います。

各事項ごとに修正案の御提示があるものにつきましては,修正の御提示の内容等にかんがみまして,先に○○委員ほかの御提案の修正案についてお諮りをいたします。それから次に,事務当局案についてお諮りをしたいと思っております。

それでは,このような順で進めますが,まず,第一の一から四までの事項,不正指令電磁的記録等作成等の罪の新設に係る部分につきまして,採決をいたします。

先に,○○委員ほかの御提案の修正提案につきまして採決をいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第一の一から四までの事項につきまして,○○委員ほかの御提案に係る修正提案のとおり修正し,これを部会の意見とすることに賛成の委員は挙手をお願いいたしたいと思います。

(賛成者挙手)

●次に,反対の委員の挙手をお願いしたいと思います。

(反対者挙手)

●それでは,事務当局から採決の結果を報告していただきます。

●ただいまの採決の結果を御報告いたします。

賛成2名,反対15名でした。

なお,ただいま御出席の委員数は,部会長を含めまして18名でございます。

●ただいま御報告がありましたとおり,要綱(骨子)第一の一から四までの事項につきましては,○○委員ほかの御提案の修正提案が賛成少数で否決されました。

次に,これらの事項に関する原案につきましてお諮りをいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第一の一から四までの事項につき,原案を部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんは挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●次に,反対の意見の皆さん,挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●それでは,採決の結果を事務当局から報告願います。

●ただいまの採決の結果を御報告いたします。

賛成15名,反対2名でございます。

なお,御出席の委員数は,先ほどと同様でございます。

●ただいま報告がございましたように,要綱(骨子)の第一の一から四までの事項につきまして,原案が賛成多数で可決されました。

それでは,次に,第一の五の事項,電子計算機損壊等業務妨害の罪の未遂罪の新設に係る部分につきまして,採決をいたします。

この点につきましては,修正提案は提出されておりませんので,原案につきましてお諮りをいたします。

それでは,諮問に係る要綱(骨子)第一の五の事項につきまして,原案を部会の意見とすることに賛成の委員の挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●次に,反対の委員の挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●それでは,採決の結果の御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果は,賛成17名,反対なしで,御出席の委員数は同様でございます。

●繰り返しになりますが,ただいま御報告がありましたように,要綱(骨子)第一の五につき,原案が全会一致で可決されました。

それでは,次に,第二の事項,わいせつ物頒布等の罪の改正に係る部分につきまして採決をいたします。

先に,○○委員ほかの御提案の修正提案につきまして採決をいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第二の事項につき,○○委員ほかの御提案に係る修正提案のとおり修正し,これを部会の意見とすることに賛成の委員の挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●次に,反対の委員の挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●それでは,採決の結果の御報告をお願いいたします。

●御報告いたします。

賛成2名,反対15名でございます。

御出席の委員数は,同様でございます。

●ただいま御報告がありましたように,要綱(骨子)第二の事項につきまして,○○委員ほかの御提案の修正提案が賛成少数で否決されました。

次に,事務当局の修正提案のとおり修正した後の要綱(骨子)につきましてお諮りをいたします。

なお,この場合の採決方法としましては,最も厳密に運ぶといたしますと,まず修正提案の部分についてだけ採決をし,これが可決されれば,修正部分を除いた要綱(骨子)について採決し,また,これが否決された場合には,要綱(骨子)の原案につき採決をするというふうになろうかと思いますけれども,簡便な方法として,修正案のように修正された後の要綱(骨子)についてお諮りすることといたしたいと存じますが,よろしゅうございますでしょうか。

それでは,このような形で行いたいと思います。

それでは,諮問に係る要綱(骨子)第二の事項につきまして,事務当局の御提案に係る修正案のとおり修正した後の要綱(骨子)を部会の意見とすることに賛成の委員の挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●それでは,反対の委員の挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●それでは,採決の結果を事務当局から御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果は,賛成17名,反対はなしで,御出席の委員数は同様でございます。

●ただいま御報告がありましたとおり,要綱(骨子)第二の事項につきまして,事務当局の修正により修正されました後の要綱(骨子)が全会一致で可決されました。

それでは,次に,要綱(骨子)第三,第四の事項につきまして,併せて採決させていただきたいと思います。

先に,○○委員ほかの御提案の修正提案につきまして採決いたします。

要綱(骨子)第三,第四の各事項につき,○○委員ほかの修正提案第三,第四,第五に記載されております修正提案のとおり修正して,これを部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●次に,反対の委員の挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●それでは,採決の結果の御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果は,賛成2名,反対15名でございます。

御出席の委員数は,同様でございます。

●ただいま報告がありましたように,要綱(骨子)第三,第四の事項につきまして,○○委員ほかの御提案の修正提案が賛成少数で否決されました。

次に,要綱(骨子)第三の原案及び事務当局の修正提案のとおり修正した後の要綱(骨子)第四につき,お諮りをいたします。

それでは,諮問に係る要綱(骨子)第三,第四の事項につきまして,要綱(骨子)第三の原案及び事務当局の修正提案のとおり修正した後の要綱(骨子)第四を部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●それでは,反対の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●採決の結果の御報告をお願いいたします。

●御報告いたします。賛成17名,反対なしでございます。

出席委員数は,同様でございます。

●ただいま御報告がありましたとおり,要綱(骨子)第三,第四の事項につきまして,要綱(骨子)第三の原案及び事務当局の修正提案のとおり修正した後の要綱(骨子)第四が,全会一致で可決されました。

それでは,次に,第五の事項,電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体からの複写に係る部分につきまして採決をいたします。

先に,○○委員ほかの御提案の修正提案につきまして採決をいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第五の事項につき,○○委員ほかの御提案に係る修正提案のとおり修正し,これを部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●次に,反対の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●採決の結果の御報告をお願いいたします。

●採決の結果を御報告いたします。

賛成2名,反対15名でございます。

出席委員数は,同様でございます。

●ただいま報告がありましたように,要綱(骨子)第五の事項につきまして,○○委員ほかの御提案の修正提案が賛成少数で否決されました。

次に,原案につきお諮りをいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第五の事項につき,原案を部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●反対の意見の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●採決の結果の御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果は,賛成15名,反対2名でございます。

出席委員数は,同様でございます。

●要綱(骨子)第五の事項につきまして,原案が賛成多数で可決されました。

それでは,次に,第六の協力要請に係る部分につきまして採決をいたします。この点につきましては修正提案は出されておりませんので,原案につき,お諮りをいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第六の事項につき,原案を部会の意見とすることに賛成の委員の挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●反対の委員の挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●採決の結果の御報告をお願いいたします。

●御報告いたします。賛成17名,反対はなしでございます。

御出席委員数は,同様でございます。

●要綱(骨子)第六の事項に係ります原案につきましては,全会一致で可決されました。

それでは,次に,第七の事項,保全要請等に係る部分につきまして採決をいたします。

第七の事項につきましては,本日,事務当局と○○委員ほかから修正提案が出されましたが,保全要請の対象を,将来の記録すべき通信履歴を除外し,既に記録されている通信履歴に限定するという修正は,双方共通しておりますので,まず○○委員ほかの御提案の修正提案のうち,その余の部分,すなわち,保全要請の期間を30日に限定するという点,それから保全要請は書面によるという点及び国会報告,公表を行うという,この3点に関するものですが,これらの点につきまして併せて採決をいたします。

それでは,諮問に係る要綱(骨子)第七の事項につきまして,○○委員ほかの御提案に係る修正提案のとおり,保全要請の期間を30日に限定する点,保全要請は書面による点,それから国会報告,公表を行う点について修正し,これを部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●次に,反対の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●それでは,採決の結果の御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果は,賛成2名,反対15名でございます。

出席委員数は,同様でございます。

●要綱(骨子)第七の事項につきまして,○○委員ほかの御提案の修正提案が賛成少数で否決されました。

次に,事務当局の2回にわたります修正提案と,ただいま否決された部分を除く○○委員ほかの御提出の修正提案により修正した後の要綱(骨子)につきまして,これを部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●反対の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●採決の結果の御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果は,賛成17名で,反対はございません。

出席委員数は,同様でございます。

●要綱(骨子)第七の事項につきまして,全会一致で可決されました。

次に,第八の不正に作られた電磁的記録等の没収に係る部分につきまして採決をいたします。この点につきましては,修正提案は出されておりませんので,原案につきましてお諮りをいたします。

諮問に係る要綱(骨子)第八の事項につき,原案を部会の意見とすることに賛成の委員の皆さんの挙手をお願いいたします。

(賛成者挙手)

●反対の委員の挙手をお願いいたします。

(反対者挙手)

●採決の結果の御報告をお願いいたします。

●ただいまの採決の結果を御報告いたします。

賛成17名で,反対はございません。

御出席委員数は,同様でございます。

●要綱(骨子)第八の事項につきまして,原案が全会一致で可決されました。

以上ですべての事項についての採決を終わりまして,諮問第六十三号につきましては,要綱(骨子)第七の保全要請の対象を記録している通信履歴に限定するという点については,事務当局から示された修正案及び○○委員ほかの修正提案のとおり修正するほか,事務当局から示されました修正案のとおり修正した上で,これを部会の意見として総会に報告することに決しました。どうもありがとうございました。

この決定につきましては,部会長から総会に報告する予定でございます。部会長報告につきましては,慣例といたしまして部会長に一任をお願いしておりますが,今回もそういうことでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

●どうもありがとうございました。

それでは,本日,予定しておりました議事はすべて終了いたしました。

この際でございますので,特に御発言がございましたら,どうぞ委員・幹事の方,御自由に御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

それでは,事務当局からごあいさつをいただきたいと思います。

●事務当局から,一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。

まず,委員・幹事・関係官の皆様方には,御多忙中にもかかわりませず,今回の諮問につきまして御熱心な御審議をいただきまして誠にありがとうございました。また,部会長には議事の進行,意見の取りまとめなど,格段の御努力をいただきまして誠にありがとうございました。

本部会の冒頭にも申し上げましたとおり,近年のハイテク犯罪の実情にかんがみ,我が国の治安や社会経済秩序を維持するためには,この種のハイテク犯罪に的確に対処するための法整備を行うことが不可欠でございます。また,ハイテク犯罪の容易に国境を越えて犯され得るという特色にかんがみれば,事実上のグローバルスタンダードとなっているサイバー犯罪に関する条約の締結に向けて法整備を行うという観点からも,ハイテク犯罪に対処するための刑事法の整備は急務と考えられます。

そこで,今後のスケジュールでございますが,本日の部会で御決定をいただきました諮問第六十三号の関係は,9月10日に開催が予定されております法制審議会の総会に部会長から御報告をいただき,速やかに答申をちょうだいした上で,法案の立案作業を進めたいと考えております。

委員・幹事・関係官の皆様には,今後とも相変わらずの御支援,御協力をお願いいたしたいと思います。

どうもありがとうございました。

●それでは,私から一言御礼のごあいさつを申し上げます。

実体法,手続法にわたります8項目に及ぶ事項の審議をさせていただきました。

短期間のうちに8回という非常に回数の多い中,皆さん御出席賜りまして十分な御審議をいただき,幸いにして幾つかの点では全員一致というところもございまして,私としては審議の成果が十分反映されたと思って喜んでいる次第でございます。

ただいま○○委員からお話がありましたように,せっかくの答申が出ましたものですから,できるだけ早くこれが法案となって,立法化が実現することを心より期待をいたします。

最後になりましたが,このような立派な答申ができましたことを心より感謝申し上げますとともに,皆様方の今後の御多幸,御健康をお祈りいたしまして,私のあいさつとさせていただきます。

どうもありがとうございました。

それでは,これで散会いたします。