個人情報保護法改正の国会審議 第189回国会会議録から抜粋
(要配慮情報関係部分)

平成27年3月10日

衆議院予算委員会第一分科会第1号



平成27年3月25日

衆議院内閣委員会第2号



平成27年4月23日

衆議院本会議第19号



平成27年5月8日

衆議院内閣委員会第4号


○阿部委員 民主党の阿部知子です。


(略)


 次に、遺伝子情報ですが、これも一番、トップレベルの個人情報だと私は思います。

 今回の改正案では、遺伝子情報をどう扱うかということについてとりわけ言及がございませんけれども、いろいろな診断技術も日進月歩で、そのときに、その人のシークエンス、遺伝子の並びまでも全部出てくるような時代になりましたいわゆるゲノムの扱いについては、今後、大臣としてはどのような方向性をお考えでありましょうか


○山口国務大臣 ただいまお話をいただきましたのは要配慮個人情報の件であろうと思いますが、この件につきましては、今回の法案におきまして、人種、信条、病歴等、その取り扱いによって本人が差別、偏見その他の不利益を受けるおそれがあるものを対象としておるわけでありまして、さらに、これらと同様の性質を有するものを政令で定めるというふうなことになっております。

 実際に政令におきまして遺伝情報を要配慮個人情報として定めるかどうか、これは、もう先生も御案内のとおりで、例えば、遺伝子情報についても、どこまで詳しくしっかりと出すのか等々によって、あるいは技術の発達によってまた違ってくる面もあろうかと思いますが、これに関しましては、遺伝情報に対する国民の皆様方の意識、あるいは、諸外国、これは遺伝子情報は個人情報と認定をしている国も多々ございます、そういった外国における取り扱い等も踏まえて検討していきたいと思っております。


○阿部委員 重要な分野ですし、実は、山口大臣とは脳死臓器移植をめぐって生命倫理のことでも随分討議をさせていただきました。日本においても、例えばゲノム法のような、遺伝子そのものを個人の情報として保護していくような法体系というものも、私はこれだけ急速な時代の進歩の中では必要と思いますので、これは議員もやらなきゃいけないことですけれども、ぜひ内閣としてもお考えをいただきたいなと思っております。


(略)


○高井委員 維新の党の高井崇志でございます


(略)


 それでは次に、二条三項で、要配慮個人情報があります。これは人種、信条や社会的身分、犯罪の経歴のほか、その他政令で定めるものということで、その他がかなり広く入ってくるように読めます。

 要配慮個人情報の保護を強化するということは十分理解はするんですけれども、しかし、昨今、個人がいろいろな情報発信をSNSとかでする時代でありますので、余りここを厳格に政令で定めてしまうと、個人の表現活動の自由というものも萎縮してしまうのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 規制の例外というのは設けられていますけれども、これも少し狭過ぎるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。


○向井政府参考人 お答えいたします。

 要配慮個人情報につきましては、人種、信条、社会的身分等のほか、これらの情報と同様に、差別、偏見を生ずるおそれがあるために特に慎重な取り扱いを求められる情報を政令において限定的に定めることとしてございます。その対象を不合理に広く定めるようなことがあってはならないというふうに考えてございます。

 また、個人情報保護法それ自体は、個人情報取扱事業者の個人情報の取り扱いについて規律を定めるものでありまして、個人の表現行為について規定するものではなく、お尋ねのような場合においては、そういう規制がかかるようなことはない、お尋ねのような懸念は当たらないものと考えております。

 さらに、事業者が要配慮個人情報を取得するに際しまして、本人の同意を必要とする規制の例外といたしまして、法律に基づく場合のほか、政令においても柔軟に必要な場合を定めることとしておりまして、これらにつきましても、世の中の実態をよく把握して定めてまいりたいというふうに、これらの例外が狭過ぎることのないように配慮したいと考えているところでございます。


○高井委員 わかりました。では、個人は該当しないということですね。

 いずれにしても、個人情報取扱事業者についても、政令のところでそういった、過度な萎縮効果にならないように配慮をしていただきたいと思います。


(略)


平成27年5月13日

衆議院内閣委員会第5号



平成27年5月15日

衆議院内閣委員会第6号



平成27年5月20日

衆議院内閣委員会第7号


○山尾委員 民主党の山尾志桜里です。


(略)


 そして、今度は事柄なんですけれども、例えば助け合いマップをつくるときに、名前や住所、電話番号にあわせて、例えば、この御家庭には足のお悪い、不自由な方がおられるということですとか、あるいは御高齢の方がひとり暮らしで住んでいらっしゃるというようなことですとか、あるいは赤ちゃんがいるよというようなことですとか、本当に何か火災や災害が発生したときに特段に助けが必要ですよというようなことをあらわすような情報を、もちろん同意を得て、いただくということもあり得るかと思うんですね。

 ただ、今回はこの規制の対象に入ってくる、そしてまた要配慮個人情報ということも入ってまいります

 この要配慮個人情報には、人種、社会的身分、病歴その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取り扱いに特に配慮を要するというようなことが書かれているわけですけれども、さきに申し上げたような、例えば防災の取り組みについて必要な範囲での、つけ加えると、例えば、人種でいえば外国人の方なので緊急のときには日本語に不自由があるよというようなこともあるかもしれません。そういった事項を、もちろん同意を得て助け合いマップなりに取り込んでいくに当たって、そのこと自体は可能なのかどうか、何かそのこと自体によって、氏名等の情報とは違って、さらにほかの取り扱いに注意をするというようなことが必要となるのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。


○向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の具体的な例に即して考えますと、いろいろな状況はあろうかと思いますが、一般論を申し上げますと、足の不自由な人がいることにつきましては、それのみではいずれにも該当いたしませんが特定の病歴と結びついた場合には病歴に該当するというふうに考えられますひとり暮らしであることについてはいずれにも該当いたしませんし、外国人の方で日本語が不自由であることにつきましては、単に外国人であること、外国籍であるというだけでは該当しません。ただ、特定の人種に関する情報と結びついた場合には該当すると考えられます赤ちゃんがいることについてはいずれにも該当しないものと考えられます。

 ただし、これらの要配慮情報に仮に該当したという場合におきましても、事前に同意をとれば取得は可能でございますので、仮に該当しておるという場合におきましても、事前に同意をとっていただく、あるいは第三者提供をする場合にも事前に同意をとっていただくということによりまして利用は可能になるものではないかというふうに考えております。


○山尾委員 必要な範囲ではいずれについてもしっかり事前の同意、あるいは第三者提供においてもその事前の同意が必要だということで御答弁をいただきました。

 そして、もう一つ、そういった自治会さんなんかが困っていらっしゃるのは、例えば認知症を患っている方がおられて、なかなか御本人様からその同意をとるのが困難だという事例。でも、そういった事例については、やはり近隣住民の皆さんの支えを必要としているというような場合が今もありますし、もしかしたらこれからもふえてきて、共生社会というものを進めていく中でも問題、課題になってくるかもしれません。

 この場合の同意をとる相手はどういった方が考えられるのかというようなことについてお答えください。


○向井政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法におきましては、原則として本人の同意を得ることを必要としておるわけでございますが、この本人同意に関しまして、御指摘のような、認知症を患っている方など、同意したことにより生ずる結果について本人が判断できる能力を有していないなどの場合には、典型的にはその方の成年後見人等で同意をいただくということでございますけれども、必ずしも成年後見人制度が広く広まっているわけではございませんのでその辺につきましては、お子様とか、実質的に同意を得たというふうに考えられるような方の同意が必要になるのではないかというふうに考えてございます。


○山尾委員 改めて、今後高齢化も進んでいく中で、成年後見制度がさらに、社会としてしっかり基盤をつくっていくことが重要で、今の事例なんかはその必要とされる典型的な一例なんだろうと思います。これはこれで、またその制度の問題としてしっかり検討していく必要があるというふうに思います。

 今は情報をいただく、取得する段階の話をさせていただきましたが、次に、第二段階といいますか、保存し管理をする段階。

 自治会さんなんかは、お店ですとか企業さんというものとはやはり違って、限られた設備の中で、有志の皆さんのいろいろなスキルをみんなで持ち寄りながら運営をしているわけですので、その保存、管理にかかわるさまざまな義務がお店や企業と同じようにかかってくると、これはまた大変困るわけです。また、そこが余り過重になり過ぎると、そういった取り組みそのものの意欲が低下したりだとか、なり手の方が、いや、そこまではとてもとてもというふうになってしまったりだとかいうことがあっては大変に困りますので、改めて問いたいと思います。

 保存、管理段階で、自治会等が事業者に該当することになった、新たにかかってくる義務というものはどんなものがあるんでしょうか


○向井政府参考人 お答えいたします。


 自治会等が現在、五千件以下の個人情報しか取り扱っていない場合には、今回の法案によって、取り扱う個人情報の数が五千件を超えない者を個人情報取扱事業者から除却する旨の規定を削除することから、新たに個人情報取扱事業者となるものでございます。

 このような者が個人情報を保存、管理する段階では、安全管理措置、従業者の監督、委託先の管理、不要となった個人データの消去、開示等請求、個人データの第三者提供についての同意取得等の義務が課されることになるというふうに考えられます。


○山尾委員 今言っていただいた中で、ちょっと幾つか具体例でお伺いをしたいと思います。


 安全管理措置、これは、そういった情報を紙あるいはデータとして保存をする、あるいは、その保存をする部屋の施錠、アクセスの限定など、さまざまな観点があると思うんですけれども、今お話ししているような例でいくと、どの程度のいわば安全管理措置が必要とされるのか、お答えください。


○向井政府参考人 お答えいたします。

 自治会の規模、活動内容、個人データの取り扱い状況によって異なるものの、個人データが漏えいしないようにするために、構成者名簿を管理する者が、例えばエクセルファイルにパスワードを設定するとか、紙媒体の名簿につきましては施錠する等を行うことによりまして、部外者がこれらに容易にアクセスできないようにするような対応が必要なのではないかと考えられます。


○山尾委員 それでは、従業員の監督義務ということですけれども、この場合、従業員というのはどういった方が想定されて、どの程度の監督義務が必要になるんでしょう


○向井政府参考人 お答えいたします。

 個人情報取扱事業者には、従業者に個人データを取り扱わせるに当たって、必要かつ適切な監督を行う義務が課されるわけでございますが、これらの例といたしましては、従業者に対する教育及び研修を行うことが挙げられるところでございます。

 自治会等の場合には、名簿を取り扱う自治会等において名簿の作成、管理を担当している者が従業者に該当するものと思われますが、これらの者が個人情報の保護の大切さや法律の義務の内容について理解できるように、自治会等の内部においてもこれらのことを例えば啓発していくようなことが考えられるのではないかと考えられます。


○山尾委員 自治会の方がそういった名簿をやってくださる方に啓発するといっても、中でそういうことをちゃんとお教えできるといいますか、講師ができるといいますか、なかなかそれは難しいことだと思うんですよね。後でまた指摘しますけれども、やはり、しっかり今回の改正を踏まえて、あるのであれば、速やかにガイドラインを設けていただく必要があるというふうに思っております。

 もう一つ、例えば委託先のこととか、削除のこととか、開示請求に係る開示義務とか、事実上やっていたかもしれないけれども、今回のこの法改正によって法律上の義務として重たいものがかかってくるということはその他にもいろいろあるわけです。

 もう一つ取り上げますと、第三者提供の段階なんですけれども、こういった例えば助け合いのマップというようなものは、市役所ですとか消防ですとか、一定程度の提供先に提供することによってその目的を達することができるという場合が結構あると思うんですけれども、そのときには、どの段階で、誰から、どんな同意をとる必要があるんでしょうか


○向井政府参考人 お答えいたします。

 第三者提供に係ります本人の同意は、第三者に提供される時点よりも前に得る必要がありますが必ずしも提供のたびに同意を得なければならないものではなく事前に包括的に同意を得ておくことも可能と解されてございます。

 提供先につきましても、必ずしも個別列挙することまで義務づけるものではございませんので、一般的に想定されるような例えば防災マップですと、何かの災害があったときに通常提供されるべき範囲というふうな感じだと思いますが、実際につくる場面を考えますと、やはり作成時に、これは防災マップにも利用しますということを示して同意をとっていただく、それで、その防災マップは、一般的でいいんですが、災害が起こった場合なんかにこういうところに提供されますということを示した上で同意をとっていただくのが最も現実的かなというふうな気がいたします。


○山尾委員 ただ、災害が発生した場合には、二十三条一項二号の例外で、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」に当たることが多いでしょうから、同意がなくても、出動する消防だとか、あるいは救出に向かういろいろな役所の方だとかにそういった情報を渡すこと自体は、これはそもそも許されていることだというふうに思いますので、そこはちょっと、今の答弁で誤解を与えたらいけないと思いますので、確認しておきたいと思います。


○向井政府参考人 御指摘のとおり、法二十三条一項二号に定めます「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」には、本人の同意が必要ございません。それに該当しない場合でも、事前に目的を示せばよいというふうなことだというふうに考えます。


○山尾委員 なので、最初の作成の段階で、そういった防災マップのようなものは、例えば、消防団に入っているこの若い方が、いざというときはお互い助け合うようにするんだよというようなマッチングなんかもあり得ると思うんですけれども、そういうことも含めて、社会通念上、納得ができる範囲で事前に渡すこともあり得るよというようなことも含めて同意を得ていくということが現実的なのかなというふうに受けとめました。

 いざ緊急時、災害発生時のときは、しっかり例外で、同意の有無にかかわらず、当然それは必要な範囲でお出しができるということも確認できて、その点はよかったというふうに思います。


(略)


平成27年5月26日

参議院内閣委員会第9号



平成27年5月28日

参議院内閣委員会第10号



平成27年6月2日

参議院内閣委員会、財政金融委員会連合審査会第1号



平成27年6月2日

参議院内閣委員会第11号



平成27年6月4日

参議院内閣委員会第12号