<前の日記(2003年08月22日) 次の日記(2003年08月24日)> 最新 編集

高木浩光@自宅の日記

目次 はじめに 連絡先:blog@takagi-hiromitsu.jp
訪問者数 本日: 126   昨日: 2967

2003年08月23日

続・ツーカーセルラー東海から回答書がきた

8月9日の日記で、(1)〜(4)の4項目の質問をしたのに(1)と(3)にしか回答をくれなかったと書いた件について、その後、再度コールセンターに問い合わせ*1、(2)と(4)についても回答をくれるように依頼していたのだが、その回答書が来た。

2003年8月15日

(挨拶部 略)

■コンテンツプロバイダとの契約にて「サブスクライバーIDは個人情報なのでこれを厳重に管理し外部に漏らさない」との項目はあるか?

(回答)コンテンツプロバイダとの契約におきましては、本サービスの提供にあたり知り得た顧客に関する一切の情報について、第三者へ開示・漏洩しないことを明記致しております。

■非公式サイトヘのサブスクライバーIDの送信を止める機能はあるか? またEZweb@mailを一旦削除して登録しなおす方法以外に、サブスクライバーIDを変更する方法はあるか?

(回答)現行のシステムでは、非公式サイトにサブスクライバーIDへの送信を止める機能はございません。またEZweb@mailを削除して再加入頂く以外にサブスクライバーIDを変更することはできません。

「知り得た顧客に関する一切の情報について、第三者へ開示・漏洩しない」ことが契約で約束されているというのであるから、顧客としては、この文章を見ると直感的に安心感を覚える。

しかし、この回答文は、よく読むと、サブスクライバーIDが「知り得た顧客に関する情報」に含まれるのかどうか、答えていない。「一切の情報」という文節に注目すれば、含まれるように聞こえるが、「顧客に関する」という文節に注目すると、顧客に関するものとしているのかどうかが、不明だ。

この回答を前回の回答とあわせて4項目を並べてみると次のようになる。

(1) サブスクライバーIDは個人情報であるか。

それ自体は、単なる文字、数字及び記号の羅列であって、それによって個人を特定できる情報ではありません。

(2) コンテンツプロバイダとの契約にて「サブスクライバーIDは個人情報なのでこれを厳重に管理し外部に漏らさない」との項目はあるか?

コンテンツプロバイダとの契約におきましては、本サービスの提供にあたり知り得た顧客に関する一切の情報について、第三者へ開示・漏洩しないことを明記致しております。

(3) 非公式サイトに対してサブスクライバーIDを送信するのはプライバシーの問題があるのではないか。

コンテンツプロバイダー(以下「CP」)への提供自体に問題はないと考えております。

(4) (略)

(1)の回答からすれば、サブスクライバーIDは、(2)における「顧客に関する情報」にはあたらないと解釈できる。

その解釈の下では、公式サイトとの契約においても、(個人情報との結び付けさえしなければ)外部に転売することが許される(誰かわからないこのIDの人が、いつどんな閲覧をしたかの情報の転売が許される)という解釈も可能に思える。

一方、(2)の質問は、「これ(サブスクライバーID)を厳重に管理し外部に漏らさない」ことを約束しているかという問いである。「顧客に関する情報」でないのなら、

サブスクライバーIDは個人情報ではないので、契約において個別に明記していません。
と回答してもよさそうなものだ。それなのに、「顧客に関する一切の情報について開示・漏洩しない」という回答をここにもってくるのには、「サブスクライバーIDの保護を契約で明記していない」とは回答したくないという気持ちがあるのだろう。

であるなら、なぜ(3)のように、契約関係にないコンテンツプロバイダーである「非公式サイト」への提供について、「問題はない」という回答になるのだろうか。

ここでもやはり、「お客さまの情報は守る」ということと、「お客さまの情報ではない」という二枚の舌が巧みに使われている。

日記がトップに

とうとう、自分の氏名でGoogle検索したときのトップが、勤務先でなく、この日記になってしまった。いかん。勤務先のタイトルを日本語にすれば元に戻るかな。

*1 コールセンターの責任者は、今回もとても顧客想いの対応だった。私からの電話だとわかるやいなや、こちらから話の口火を切るより先に、回答書が回答になっていなかったことに理解を示すのだ。私も昔、いろいろなコールセンターに問い合わせたことがあるが、こんな顧客本位の対応はとても珍しい。回答に責任を持つため明快な回答を避けざるを得ない立場の者と、顧客対応の者とは別といったところだろうか。まさに組織と顧客の仲介役という感じだった。

検索

<前の日記(2003年08月22日) 次の日記(2003年08月24日)> 最新 編集

最近のタイトル

2024年03月23日

2024年03月19日

2024年03月16日

2024年03月13日

2024年03月11日

2023年03月27日

2022年12月30日

2022年12月25日

2022年06月09日

2022年04月01日

2022年01月19日

2021年12月26日

2021年10月06日

2021年08月23日

2021年07月12日

2020年09月14日

2020年08月01日

2019年10月05日

2019年08月03日

2019年07月08日

2019年06月25日

2019年06月09日

2019年05月19日

2019年05月12日

2019年03月19日

2019年03月16日

2019年03月09日

2019年03月07日

2019年02月19日

2019年02月11日

2018年12月26日

2018年10月31日

2018年06月17日

2018年06月10日

2018年05月19日

2018年05月04日

2018年03月07日

2017年12月29日

2017年10月29日

2017年10月22日

2017年07月22日

2017年06月04日

2017年05月13日

2017年05月05日

2017年04月08日

2017年03月10日

2017年03月05日

2017年02月18日

2017年01月08日

2017年01月04日

2016年12月30日

2016年12月04日

2016年11月29日

2016年11月23日

2016年11月05日

2016年10月25日

2016年10月10日

2016年08月23日

2016年07月23日

2016年07月16日

2016年07月02日

2016年06月12日

2016年06月03日

2016年04月23日

2016年04月06日

2016年03月27日

2016年03月14日

2016年03月06日

2016年02月24日

2016年02月20日

2016年02月11日

2016年02月05日

2016年01月31日

2015年12月12日

2015年12月06日

2015年11月23日

2015年11月21日

2015年11月07日

2015年10月20日

2015年07月02日

2015年06月14日

2015年03月15日

2015年03月10日

2015年03月08日

2015年01月05日

2014年12月27日

2014年11月12日

2014年09月07日

2014年07月18日

2014年04月23日

2014年04月22日

2000|01|
2003|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|02|03|04|05|06|07|08|09|
2013|01|02|03|04|05|06|07|
2014|01|04|07|09|11|12|
2015|01|03|06|07|10|11|12|
2016|01|02|03|04|06|07|08|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|10|12|
2018|03|05|06|10|12|
2019|02|03|05|06|07|08|10|
2020|08|09|
2021|07|08|10|12|
2022|01|04|06|12|
2023|03|
2024|03|
<前の日記(2003年08月22日) 次の日記(2003年08月24日)> 最新 編集