行政機関個人情報保護法等改正の国会審議 第190回国会会議録から抜粋
(匿名加工情報 契約とオプトアウト)

平成28年4月5日

衆議院総務委員会第11号



平成28年4月19日

衆議院総務委員会第14号


○逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます


(略)


○逢坂委員 基本的なところ、多分余り確認されていないのかもしれませんけれども、これは、民間が利用するときは料金はいただくんですか。料金の設定というのはどのように考えておられるか。


○上村政府参考人 民間事業者がこれを利用されるに当たりましては、適正な経費負担をいただくという形で、手数料というものをいただくことにしてございます。具体的な内容等は政令で実費を勘案して定める、こういうふうにいたしております。


○逢坂委員 改めて基本的なところを確認したいんですが、民間事業者がこの仕組みによって情報提供を受けて、匿名加工情報、民間の段階では匿名加工情報となって利活用するわけですが、それは、一回利活用していいよと言われた民間事業者は、別の企業にその情報を提供することは可能なんですか


○上村政府参考人 基本的には、提案をいただいた事業者の事業目的、それからどのように法目的でありますところの新たな産業の創出にその利用がつながるか、ひいては経済社会活性化、豊かな国民生活の実現に資するかを審査する、こういうことになっております。


それから、当然、欠格条項が本法案にございまして、どなたでも提案できるというわけではございませんので、その適正性も審査をする。それから、どのような安全管理措置をとっていただけるか、これも審査をした上で、契約を結び、提供するという形にしております。したがいまして、どなたでもいいというふうなわけにはいきません。


したがいまして、一旦提供を受けた事業者から仮にほかの事業者へ移すということが予定されているのであれば、そういうことにつきまして、これは実際、契約の中でそういうことを決めていただくということになるかと思います。


○逢坂委員 ということは、契約の中で決まるということですから、一概にそれは禁止しているというわけではないという理解でよろしいでしょうか


○上村政府参考人 失礼いたしました。


多少説明がよろしくなかったかと思いますけれども、基本的に、いろいろなものを審査した上で提供するということでございますので、基本的には、その提供、審査を受けて、そういう意味では、審査を通過された方に提供されるものだと思います。


したがって、そこでとまるものだと思いますが、契約の中身によりましては、その提供を受けた事業者と関連のある事業者さんですとか、そちらの方が安全が確保できるとか、そういうことが担保できるのであれば、それはよく審査した上での、あるいは契約条項を見た上でありますけれども、必ずしも現時点で全て排除されるものでもないのかなというふうに思ってございます。


(略)


○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。


(略)


○梅村委員 加工の状況が十分でないかあるかの以前に、使われたくない、民間に自分の情報を提供してほしくない、それは名前じゃないとしても、どこに住んでいるとか、どういう環境にいるのか、いろいろあると思います。病院のデータもあるでしょうし、いろいろ今回これだけのデータがあります。そういうときに、きちんとされているかどうかではなくて、そもそもそういう提供が嫌だということは、国民は拒否をすることはできるんですか


○上村政府参考人 繰り返しになりますが、非識別加工情報というのは、個人が特定できない、識別できないというものでございますので、そういう意味では、個々人の方々の権利利益を侵害するというおそれはないものと思っております。


したがいまして、そういうことでございます


○梅村委員 しかし、その名簿が公表されたという事実は公表されるわけですよね。その中で、それが嫌だという国民の皆さんが生まれる可能性があるということはお認めになりますでしょうか


○上村政府参考人 そこは何度も申し上げますが、まず、加工の対象となる情報の限定、情報公開法の開示請求に当たるかどうかの判断、安全管理措置、それから従事者の義務、さまざまないろいろな措置を今回講じております。そうした安全管理措置、その他適切な加工、それから適切な取り扱いの規定を、これは昨年改正しました個人情報保護法をさらに上回る規定としているところでございます


こうしたものを通じて、御理解をいただいていくということだろうと思っております。


○梅村委員 理解といっても、こうした法案がそもそも国民の中には知られていませんので、やはり全ての国民にかかわることですので、もっと慎重な審議が必要な法案だというふうに私は思います。


(略)


平成28年4月19日

衆議院総務委員会第14号(参考人質疑)


○藤原参考人 中央大学の藤原でございます。


(略)


○鈴木参考人 新潟大学から参りました鈴木正朝と申します。


(略)


○坂本参考人 日弁連情報問題対策委員会の委員長をしております坂本と申します。


(略)


○遠山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。


(略)


○遠山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。(略)


平成28年4月21日

衆議院総務委員会第15号


○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。


(略)


法案を見ておりますと、非識別加工情報の提供について、いつでもやるというわけではどうもないようで、改正案の第四十四条の四では、定期的に民間業者からの提案を募集するというふうになっております


この募集の期間、どの程度の期間を指すのか。例えば、年一回、四月から六月の間とかそういう感じで決めるのか。これらについてはどういうふうになっているんでしょうか。


○上村政府参考人 御指摘のとおり、御提案しております法案第四十四条の四におきましては、定期的に実施することとしているところでございます。これから詳細は決定していくことになると思いますが、毎年度募集を行うというようなことを考えておりまして、年度ごとに募集期間を設定するこういうことが制度の円滑な運営に資するということだろうと思っております。


具体的には、繰り返しになりますけれども、法律の成立をいただきましてから検討しますけれども、毎年度一カ月から二カ月程度、こうした募集期間を設定するということを想定しております。


○吉川(元)委員 もう一つ、関連なんですが、その募集期間というのは、全ての省庁そろってやるということでよろしいんでしょうか


○上村政府参考人 その点につきましては、今後検討の課題になってくると思っております。


○吉川(元)委員 次に、行政機関非識別加工情報を取り扱う提案が許可されて、契約を結んだ、情報を受けた民間業者というのは、四十四条の七の第一項五号において、その利用期間は個人情報保護委員会で定める期間を超えないものとされております


この利用期間、おおむねどのぐらいの期間を想定されているのかということが一点目。


それから、利用期間が終了した際、民間事業者には匿名加工情報としてあるわけですけれども、この情報はどのようにその後処理をされることになるのか。また、当然、利用期間が終われば利用してはいけないということになろうかと思うんですけれども、利用期間後も利用してしまった場合、それを防止する手だてというのは講じられているんでしょうか


○上村政府参考人 まず、利用できる期間でございますけれども、具体的には、提案者のニーズそれから適正管理の面、こうしたものを踏まえまして行政機関と提案者との間で利用契約を締結するわけでありますが、その契約の中でそれぞれ定めることになろうと思っております。


それから、その利用期間を超えてしまった場合、行政機関非識別加工情報をどうするかということでございますがこの取り扱いも基本的には契約において定めることとなると思いますが、具体的には、それは廃棄ないしは返却ということを定めるということになるんだろうと思っております。


その契約条項を守らなかった場合どうするかということでございますけれども、行政機関といたしましては、契約、一旦結びましたものの履行状況を適切にフォローアップしてまいりますし、法律上も、例えば、偽りその他不正な手段により契約を締結した、それから、契約事項について重大な違反があったというときには当然契約を解除することができますしその段階で利用は停止になります解除に際しましては、民間事業者に対しまして、提供された情報の廃棄義務を課すことも考えられるわけでございます。


こうした契約に違反をいたしますと、当然契約解除になりますがその先、また、この法律の欠格条項に該当いたしまして、新たな提案もできなくなるというようなことになっております。


○吉川(元)委員 今、ちょっと答弁の中で一点気になる言葉があったんですが、(略)


(略)


○遠山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。


(略)


○遠山委員長 これより採決に入ります。


行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。


本案に賛成の諸君の起立を求めます。


○遠山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。


平成28年4月26日

衆議院総務委員会第16号



平成28年5月12日

参議院総務委員会第13号


○参考人(宇賀克也君) 東京大学の宇賀と申します。


(略)


具体的には、対象となる個人情報を、個人情報ファイル簿が公表されていること、情報公開請求に対して全部不開示とならないこと、行政運営に支障を生じないことの各要件を満たすものに限定し、提案の募集に関する事項及び行政機関等非識別加工情報の概要を個人情報ファイル簿に記載することにより透明性と一覧性を確保し、提案の欠格事由及び審査の要件を法定することにより公正性と透明性を確保し、第三者に対する意見書の提出の機会を付与した結果、提案に係る行政機関等非識別加工情報の作成に反対の意思を表示した意見書が提出されましたときは、当該提案に係る個人情報ファイルから当該第三者を本人とする保有個人情報を除いた部分を当該提案に係る個人情報ファイルとみなすことにより、国民の不安に応えて行政に対する国民の信頼を確保することに配慮した上で、行政機関等非識別加工情報に係る制度の新設により、新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現への貢献を意図したものと考えております。


(略)


○参考人(山本隆一君) 本日は参考人として意見を述べさせていただく機会をいただき、ありがとうございます。


(略)


○参考人(清水勉君) 日本弁護士連合会情報問題対策委員会の委員の清水と申します。


(略)


○委員長(山本博司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。


参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)


平成28年5月19日

参議院総務委員会第14号


○井原巧君 おはようございます。自由民主党の井原でございます。


(略)


○井原巧君 生じるものはないというふうに考えているということでありますけれども、いずれにしろ、取る側からすればこれは同じことなんですよね。要は匿名加工情報ということだろうと思うんですけれども、後ほど質問しますが、その辺の周知についてもお聞きしたいと思いますが、具体的に行政機関等が保有するパーソナルデータというのはいろいろ考えられるんですけれども、どのような種類があって、どのような分野での利活用が可能と考えているのか、ニーズが民間からあるのかどうか、省庁としてどのように考えているのか、見込みをお伺いしたいと思います。


○政府参考人(上村進君) まず、行政機関がどのようなパーソナルデータを持っているかということでございますけれども、それぞれの行政機関等の所掌事務に応じて多種多様なものがございます。幾つか例を申し上げれば、まず、法令に基づきまして申請、届出等により提出されたものがございます。それから、行政機関等がサービス提供主体となりまして、このサービスの相手方の個人情報を管理するために保有しているものもございます。その他、各種相談対応に係るもの、それから施設利用とか入館者に係るファイル、こういったものがあるわけでございます。


他方、ニーズについてのお尋ねでございますが、今回の非識別加工情報の提供制度は初めて設けるものでございますので、具体的にどのような情報の利活用が見込まれるか、これにつきまして現段階で確定的に述べること、これはちょっと困難な面があるということを御理解いただきたいと思います。


その上で申し上げますれば、有識者の研究会等におきまして、経済団体からのヒアリングにおきましては、この公共データという非常に信頼性が高い基礎データですので、こうしたものへの活用の期待が非常にあるということが述べられるとともに、行政機関が保有するパーソナルデータ、これを適正な利用促進するために利用可能なパーソナルデータについてのデータカタログを整備してほしい、こうした要望は示されておるところでございます。


また、本年四月十九日、これは日本経済団体連合会からの提言でございますが、ここで、官民の保有するパーソナルデータ等、幅広いデータの収集、分析、利活用、これを促進することが必要であるというふうに述べられておりまして、これまでより踏み込んだ取組が求められているとされているところでございます。


さらに、先週十二日のこちらでの参考人質疑では、例えば外国人出入国記録マスタファイル、こういったものを観光振興に利用する、それから二輪自動車の検査ファイル、自動車不具合情報ファイル、こうしたものを利用して自動車の設計する際の安全性を向上させる、こういったことも想定されるという御意見もあったところでございます。


いずれにいたしましても、今回のこの制度は民間側の要望に応えていくものなのでございますので、新制度につきましては、産業界等への丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。


○井原巧君 ありがとうございます。


いずれにしろ、様々、有用性について期待もされるわけですけれども、先ほど答弁にもあったように、ニーズの掘り起こしということをやっぱり手掛けていかなきゃならないと、こういうふうに思います。


利用する民間企業から、先ほど申し上げたように、その制度が分かりづらいというか、なかなか伝えづらいというところもあろうと思いますが、その運用の、利活用をしていただくように、周知等についてどのように今後取り組んでいくのか、お伺いいたします。


○政府参考人(上村進君) 御指摘いただきましたように、この改正案によります非識別加工情報の提供制度に関しましては、民間事業者から積極的に提案をいただくことが極めて重要なわけでございます。このため、この法案、御審議いただいている法案の第五十一条の二では、民間事業者に対する情報提供等を規定しているところでございます。


また、今回、法案の成立をいただきましたならば、施行に向けまして各種説明会を開催するですとか、ホームページ、それから広報誌の活用を始め様々な形で民間事業者向けに制度の周知を行いまして、相談をいただきましたら丁寧に対応する等によりまして、円滑な利活用をしっかり確保してまいりたいと思ってございます。


また、先般の個人情報保護法改正も含めました一般的なパーソナルデータ利用、こうしたものにつきましても、個人情報保護委員会その他の関係機関と連携いたしまして、民間事業者の理解が深まるように適切な対応を図ってまいりたいと考えております。


○井原巧君 是非周知方、よろしくお願い申し上げたいと思います。


(略)


○石上俊雄君 おはようございます。民進党・新緑風会の石上俊雄でございます。


(略)


それで、この中に新たな産業の創出という言葉があるわけでありますが、このことに対して、責務や基本姿勢についてお伺いをさせていただきたいと思います。


改正案では、行政機関は民間からの提案を審査して、提案が新たな産業の創出又は活力ある経済社会若しくは豊かな国民生活の実現に資するものであれば情報を匿名化して提供をするということになるわけでありますが、しかし、これはよく読むと、責務ではなくて行政機関の長の裁量のため、基本姿勢は言わば受動的というか受け身というふうになるわけでございます。


しかし一方で、世界経済フォーラムの有名な報告書でございますパーソナルデータ・新たな資産の誕生というところでは結構期待をしているわけですね。パーソナルデータは新しい石油と、二十一世紀の価値ある資源とまで言っているわけでございますので、この積極的な利活用ということが時代の要請だというふうなことを言えるんだというふうに思うわけです。


しかし一方で、今回の改正案というのは、報道等によりますと、要は官庁の出し渋りへの対応に対してまるっきり対応していないというような批判もあるわけでございますが、このことについて私は的外れなのかなとも思わないわけでありますが、要はこの行個法はビッグデータの利活用ということについて、利用を促進するということに対して、今回、どの立ち位置にいるのか、推進するのか中立的な立場なのかといったところについて、総務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。


○政府参考人(上村進君) お答えいたします。


まさに委員御指摘のとおり、行政機関は民間からの提案を審査する、その上で基準に合致したものを提供するということでございますけれども、まずこの提案募集につきましてですけれども、まず対象となる、提案の対象となる個人情報を、まず個人情報ファイル簿が作成、公表されているものとした上で、そのほかの条件もございますが、提案対象となる個人情報ファイルを国民に明らかにする、そういう責務はあるわけでございます。したがいまして、こういう提案の対象となるという条件に該当しながら行政機関の長の裁量で提案募集をしないと、そういうことはできないという仕組みにしておるわけでございます。


また、民間事業者から提案をいただきました場合、これを行政機関が審査するわけでございますが、審査基準を満たしている場合、この場合は行政機関は提案者に対し契約締結ができる旨を通知するものとされております。この場面におきましても、行政の恣意的な判断で非識別加工情報を提供するかしないか、それを左右するようなことはないというふうな仕組みにしております。


このように、本法案に基づく非識別加工情報の提供におきましては、裁量による出し渋りというものはないものと考えておりまして、委員のお尋ねにお答えするならば、ビッグデータとしての個人情報の利活用を推進するものであるというふうに考えております。


○石上俊雄君 ありがとうございます。


いろいろ機微な情報にも関わりますので、その辺はしっかりしながら推進をしていくという位置付けで是非お願いしたいというふうに思います。


それでは、その新しい産業の創出というところで、個人情報の活用に対する事業提案を行い得る者の範囲についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。


条文的には、今回の改正案の事業提案を行える者、第四十四条の五になるわけでありますが、事業の提案を行える者は国内企業に限られるのかどうかということなわけですね。要は、具体的に言うと、外国企業でもいいのかとか、国内にありますけど、拠点はほぼ海外で、株主、従業員も日本社会とはまるっきり関係がない企業でもいいのか。要は、もう食うか食われるか、国際競争というかグローバルな競争が激しくて、そういうふうに国外の、海外の企業と戦っている状況下にあるにもかかわらず、その外資系の企業からの提案も受けることが可能なのかということについて総務省のお考えをお聞かせください。


○政府参考人(上村進君) お答えをいたします。


今委員御指摘をいただきましたように、このお諮りをしている改正案の四十四条の五では、民間事業者からの提案、どういう提案内容を受け付けるかということを書いてあるわけでございます。また、その次の第四十四条の六では、この提案者に係る欠格事由というものを定めております。これは六号ございまして、未成年者、破産決定を受けて復権を得ない者、その他条項があるわけでございますが、この中に、外国企業であること、あるいは外国人であるということは含まれておりません。したがいまして、法案上はこうした主体であっても非識別加工情報に係る事業提案を行うことは可能でございます。


ただ、外国の企業の場合も、これは国内の民間事業者の場合も同じでございますけれども、提案に当たりまして、この非識別加工情報を利用した事業活動が本当に我が国における新たな産業の創出あるいは我が国の国民の豊かな生活の実現に資するかということ、これは明らかにしていただく必要があるわけでございます。


そういう意味では、外国企業等からそうした提案があった場合は、その提案を受けた行政機関等では、真にそうした目的に沿うものにこの提案がなっているか、具体的な説明に基づいて適切に審査をしていただく必要があるんだろうと思っております。


○石上俊雄君 一条のところで、先ほど局長言っていただきましたが、目的が書かれているわけなので、やっぱり国民の皆さんの豊かな国民生活の実現に資する内容ということをしっかり審査をいただいて提供先を決めていただきたいなと、そういうふうに考えているわけでございます。


続きまして、個人情報の定義についてお伺いします。


 (略)


次に、匿名加工情報の二次流通についてお伺いしたいと思います。


これは、資料八の①を御覧をいただきたいと思いますが、非識別加工情報の作成、提供の手順と仕組みを書いてあるわけでありますが、まずどこから始まるかというと、行政機関等から提案の募集をするというところから始まってくるわけでありまして、提案募集があって、その後、提案を受けて審査を行って、利用契約を締結し、提供に至るという、こういう流れになるわけですね。


その場合に、民間における匿名加工情報の二次流通は、基本法第三十七条で必要な手続が定められておるわけでございます。しかし、契約による流通制限は可能となるわけでありますが、法律上の規制はないということで確認をしております。


しかし、匿名加工情報の復元や個人の識別が行われることを監視、監督するには、そもそもそのデータがどこに流通しているのかということが分からなければ監視も監督もできないわけでございますので、法の定める内容の実現というのは困難になるということになるわけです。


この二次流通の問題と、トレーサビリティーというか、どこに行っているのかということによる安心と信頼の確保の観点について、今回のこの行個法の改正案ではどういうふうに整理をされているのか。また、国内のみならず国外への流通はどうなっているのか。国外の流通に対する監視、監督は、法の執行の実効性はどう担保されておるのか。このことについて、総務省、お答えいただけますでしょうか。


○政府参考人(上村進君) お答えをいたします。


まず、この行政機関非識別加工情報でございますけれども、先ほど来御説明しておりますように、まず欠格事由に該当しないかどうか、提案者を限定しております。提案者がそれに当たらないかどうかの審査をすると。それから、利用目的もこの法目的に合致したものであるかという審査をいたします。これに合致したものだけに提供する、それから手数料をいただくということにしております。


こうした、何といいましょうか、条件の下で提供するということでございますので、こうしたものを考えますと、提供先から自由に再提供させるというようなことは認めるということは適切ではないんだろうと思っております。基本的には行政機関等から一時的な提供の相手方のみに利用が認められるとその旨は契約でこれを定めるということを考えておるわけでございます。したがいまして、二次流通ということは基本的には考えていないと。


その上で、提供の相手方というのはこれは契約の相手方でございますので、行政機関はそれを明瞭に把握をしているということでございますので、トレーサビリティーの点で問題が生じるということはないものと考えております。


それから、国外流通の御質問がございましたけれども、これも先ほどもお答えをしたところでございますが、国外流通に関しまして、外国の方あるいは外国企業が提案を行い、それに提供を行うということはあり得るというふうには思っております。ただ、これは先ほどのお答えのとおりでございますけれども、これは、その提案が本当に我が国の豊かな国民生活、我が国の新たな産業創出に適合するものであるかどうかということを適切に審査するということが必要になってくるということでございます。


また、その上で、国外の方に対して提供を行う場合であっても、これは利用契約で利用形態それから安全管理措置というものを定めていくことになると思いますし、必要に応じてどのように管理をされているかというフォローアップを行うこととなると思っております。この契約に基づく義務違反があれば契約解除ということになるのはこれは国内の民間事業者の方と同様でございまして、契約解除で以降の利用を停止する等の適切な取扱いは担保されているものと考えております。


○石上俊雄君 だんだん時間がなくなってきたので急ぎますが、二次流通が行われた場合提供元の行政機関に対して情報公開による開示請求があれば、これ先ほど冒頭に言いましたけど、情報公開法第五条の第一号で、要は個人情報というか、開示義務となってくるわけになるわけです。そうすると、よく考えると、行政が持っているデータをどういうふうに加工してどういうことが得られればどういうメリットがあるというのは、一生懸命要求する側が、提案する側が考えるわけでありますが一回出たものがオープンデータ化になるのであれば、その最初に頑張った人の苦労というのが何かただ取りされてしまうような感じになってくるんじゃないかなと、そういうふうに思うわけです。


そのことに対して、今回のこの行個法をどういうふうに整理されているのか、総務省、お答えいただけますでしょうか。


○政府参考人(上村進君) お答えいたします。


これも繰り返しになりますけれども、この非識別加工情報というのは、特定の個人を識別できない、あるいは元に、個人情報に復元できないというものではございますが、御提案をしている改正案におきましては、この権利利益の十分な保護を図ることに対応しますために、情報公開法の開示請求とは異なる面がございます。これはもう繰り返しになりますけど、例えば、欠格条項に当たらない方に提供する、それから目的がこの法目的に合致した利用目的であるかどうかと、一連の規律を作った上で、それに合致する方、あるいは目的の利用に対して提供するということになってございます。


それから、今回御提案している非識別加工情報、これ民間事業者に参りますと個人情報保護法の適用になりますので、識別行為の禁止というふうな取扱いがなされることになります。このような点におきまして大きく情報公開法と仕組みが違うわけでございます。


そのため、お答えになるわけでございますが、この御提案を申し上げています非識別加工情報については、情報公開の仕組みで提供されるということにはせずに、これはもう類型的に不開示情報と規定すると、こういうふうなことにしてございます。したがいまして、情報公開法による開示請求がありましても開示されるということにはなりません


以上でございます。


○石上俊雄君 分かりました


そういうことになれば安心なのかな。でももったいないような気がしますねその辺は何か手数料で差を付けるとか、何かうまく工夫できればいいのかなと、そういうふうに思います。したがって、今あり得ないという話でありましたので、手数料の質問については飛ばさせていただければと、そういうふうに思います。


(略)


○片山虎之助君 それじゃ、順次質問いたします。


(略)


○片山虎之助君 このお金ですよね、実費を勘案して政令で定める額とかなんとかなっているでしょう。提案した人に情報提供するんだから、お金をもらうわけですよね。厚労省に聞いているわけじゃないのよ、もっと適切な答弁するところがあるかもしれません。


実費を勘案する、勘案するというのはそのとおりでなくてもいいという意味なんですが、実費を勘案して政令で定める額はどういう額ですか


○政府参考人(上村進君) お答えをいたします。


要するに、一言で申し上げますと、非識別加工情報の加工はそれなりの人手も時間も掛かるものでございまして、そういう意味では行政資源を使って御提供申し上げるということでございますので、これは国民からいただきました財源を使うということでございますので、それについては回収をさせていただくと。そういう意味で、掛かった実費、大きなものは人件費だろうと思ってございますけれども、それをいただくということを述べているわけでございます。


具体的にはこれから政令等で定めることになりますけれども、例えば時間当たり人件費掛ける掛かった日時、そういうような方法というのは一つ考えられるのではないかと思っております。


○片山虎之助君 だから、それは例えば準備をする経費、人件費、ソフトウエアの経費、そういうものを私は全部入れなきゃいかぬと思いますその期間は働かないんだから、国民のために。取りあえずはどこかの企業集団のためのデータを出すために働くんですから。もうけるって、もうけろとは言いませんよ、しかし少しぐらいもうけてもいいと私は思うんですけど、そこはどういうあれになるのか。


そこで、外国の具合を聞きたかったんだけど、外国はどうなっているんですか


○政府参考人(上村進君) 外国の場合は、先ほどの御答弁ともちょっと重なるんですが、行政機関から特に非識別加工情報のようなものを提供するという制度はないと承知しておりますので、そういう意味では、非識別加工に掛かる経費というのはないのではないかなと思っております。


それで、今御指摘いただきました、どの範囲までを取るかということでございますけれども、なかなか、例えば事前の相談まで入れるのか、それから契約のフォローアップまで入れるのかと、いろいろ考え方はあると思いますが、何分政令で定めるものでございますので、明確な基準でこれと定められるものが中核になってくるのかなと、今の段階ではそんな想定をしているところでございます。


○片山虎之助君 恐らく今は何にも決まっていないと思いますけれども、やっぱり国民がある程度納得できる、余り安くしない方がいいかもしれませんね、そういう感じが盛んにあるので、よろしくお願いします。


(略)


○主濱了君 生活の主濱了であります。


早速質問に入りたいと思います。


(略)


○主濱了君 先を急ぎます


今度は、非識別加工情報から自分自身の情報が除外されるよう申請ができるか否か、こういう問題であります。これについても、実は参考人質疑の際に私から質問したわけですけれども、また質問します。


非識別加工情報の作成に当たり、自分自身の情報を使用してほしくないと考える国民が、自分自身の情報が非識別加工情報から除外されるようにまずできるんでしょうかと、こういうことですね。


これにはちょっとヒントがありまして、四月十九日の衆議院の総務委員会では、この非識別加工情報というのは個々の方々の権利利益を侵害するおそれはないと、こういうふうな答弁があったので、基本的には国民からの申請に応じて除外を行うことは想定していないのではないだろうかというふうに思われるわけであります。


あわせて、総務省から、加工の方法が十分でない、あるいは運用が十分でない、そういうふうなことがあった場合には状況に応じて適切な対応をしていくことになると、これも同じ十九日の委員会で説明も、答弁もありました。実は、これはとんでもないことなんですよね。とんでもないことだと私は思います。加工の方法が十分でないデータが外部に出る、出てからでは遅いわけでありますよ。出ちゃったらもう本当に遅い、そう言わざるを得ないんですよ。どうカバーしますか、出てしまったものを。これ、できないと思うんですよ。この件については、根拠のない不安と、こういうふうな御意見もありますけれども、これは根拠がないというんじゃなくて、本当に想定されるわけでありますので、本当に私はとんでもないというふうに思っております。


結局、国民の皆様が自分自身の情報を利活用されたくないと考えた場合にはその自分の情報が非識別加工情報から除外されるよう申請する、そういうふうな道を開いておくべきだと、こういうふうに考えますが、御見解を承りたいと思います。


○大臣政務官(古賀篤君) 済みません、先ほどの答弁と少し重なるところがございますが、その非識別加工情報については、利活用の促進とその個人の権利利益の保護と、このバランスというのが非常に大事だ、調和が大事だというふうに思っております。


今おっしゃられたように、本人が情報を利用されたくないといった場合でありますけれども、特定の個人が認識できないように加工し、そして安全な形で提供しているということの中で、個人情報保護法における匿名加工情報と同じく、その本人の同意とか本人からの除外申請というのは定めていないところでありまして、そういった意味で、きちんと加工していくことが大変重要になってくると思っております。


そういう意味では、情報漏えいの防止措置ですとか認識行為の禁止義務、これは、民間事業者に対して、あるいは官民を通じての一元的な監視、監督をしていくということでありまして、そういった安全な形で提供できるような仕組みをしっかりと講じていきたいと思っております。


○主濱了君 いずれ、総務省自体としても、加工の方法が十分でないとかあるいは運用が十分でない、そういったようなことが起こり得るというのは、これは認識しているわけですよね。そこだけは確認しておきたいと思います。


結局、行政機関は、個人の情報を法に基づき、あるいは職務の過程で、職務遂行の過程で合法的に情報を集めるわけであります。この個人情報には、戸籍であるとか住民票であるとか、あるいは国保のレセプトであるとか様々なものが含まれてくる、税務の関係であるとか様々なものが含まれてくるというふうに思っております。


行政に集められた全ての国民のその全ての個人情報が、先ほどもちょっとありましたけれども、宝の山と、こういうふうに表現がありましたけれども、そういうふうな個人情報が事業者の提案により非識別加工情報として行政から事業者に提供されようとしているわけであります。本当にこれでいいのかと私は思っております。私は、この法案が可決された暁には個人のプライバシーの根幹に禍根を残すのではないか、こういうふうに危惧をしているところであります。


(略)


○主濱了君 最後の質問になります


提供した非識別加工情報等の扱いと、こういうことでありまして、まず第一番に、昨年の個人情報保護法改正法に基づき導入されます匿名加工情報については、他の民間事業者が作成した匿名加工情報を更に、更に別の第三者に提供しようとする民間事業者に対して一定の規律が課されております


まず、この匿名加工情報を取り扱う業者は、受領した匿名加工情報を二次加工して更に自分で加工を加えて第三者に提供することはできるんでしょうか、これが第一点目。


それから、第二点目、行政機関等が提供した非識別加工情報について二次加工が行われた場合又は非識別加工情報と今度は民間からもらってきた匿名加工情報とを組み合わせた形での二次加工情報が行われた場合、こうした情報、こうしたデータが第三者に提供されることが認められるのかどうか、こういう問題です。これは、行政からいただいた情報と、それから民間からいただいた情報を一か所で組み合わせたらばかなり精度の高い情報になってしまう可能性があるんですが、それが認められるかどうかと、こういう問題です。


○大臣政務官(古賀篤君) ただいま二次加工についての御質問をいただきましたが、非識別加工情報を提供するに当たって審査が行われるわけでございます。その際に、利用の目的とか方法の適切性、さらに提供先におけるその非識別加工情報の管理のために講じる措置が適切かどうか等の審査を行うわけであります。その中で、民間事業者の作成による匿名加工情報との組合せも含めまして二次加工を行うかどうか、二次加工したデータの利用範囲も含めた利用の仕方について審査を行うことになります。そして、二次加工及び二次加工情報の第三者への提供につきまして、具体的には個別のケースにおいて適切に処理されるべきものと考えております。


審査を経て合意された利用契約の範囲で行っていただくことになるわけですが、個人の権利利益の保障に支障が来すことのないように十分な対応をしていきたいと考えております。


○主濱了君 今ので一点だけ。これには罰則ありますでしょうか。要するに、間接強制しかできないというふうに思うんですよね。間接強制しかできない、その手段とすれば罰則があるか否かと、こういうことなんですが、いかがでしょう。


○政府参考人(上村進君) 行政機関個人情報保護法の場合でございますね。この取り扱う行政機関職員が、例えば個人の秘密が含まれるデータを不正に提供するとか、それから個人の秘密が含まれない場合であっても、いわゆる個人情報のデータを不正に提供する、そうしたものにつきましては罰則がこれは直罰で掛かることになっております。


○主濱了君 これは質問ではありませんので。


やはり本法案については、私は、個人の情報の保護と、こういうふうな名前の法律なわけですけれども、それとは逆の個人の情報の提供に関するものを同じ法律に入れる、これやっぱりおかしいと思いますよ。無理があると、こういうふうに思います


以上で終わります。


○委員長(山本博司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。


(略)


これより採決に入ります。


行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。


   〔賛成者挙手〕


○委員長(山本博司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。


(略)