平成27年3月10日
衆議院予算委員会第一分科会第1号
○高井分科員 維新の党の高井崇志でございます。
(略)
○高井分科員 ありがとうございます。
それでは、続きまして、次の問題に行きたいと思います。今度は、匿名加工情報についてでございます。
これは、個人情報に一定の匿名化を施す、それによって匿名加工情報というものにして、これは本人の同意がなくても第三者に提供できるようにするという一歩進んだ規定になっているわけです。
しかし一方で、では匿名加工情報というのをどうやって加工するかみたいな規則については、今後、個人情報保護委員会で決めていくということになっていると思うんですが、今の法案は見ていないんですけれども、復元できないように加工しなければならないと。復元できないとまで言うと相当厳しい基準になるおそれがあって、そういう厳しい基準を課されると、逆に匿名加工情報というものがうまく使えない、流通できないということになってくると思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
今回新たに設けます匿名加工情報は、特定の個人を識別できないようにするとともに、作成のもととなった個人情報を復元することができないように加工を行うものとしてございますが、この措置は、利用目的の限定なく、また本人の同意なく第三者に提供することが可能となりますので、データビジネスにおいて、特に有用性の高いパーソナルデータの利活用及び流通を確保する環境を整えるものでございます。
そういうものでございますので、事業者から負担が大きいと言われております個人情報の取り扱いに関する義務を適用しないとするものでございますが、具体的な加工方法につきましては、先生の御懸念は多分、復元できないというと、今のいろいろな技術を使ったら、およそ復元できないものなんてないんじゃないかという御懸念ではないかと想像いたしますが、そこまで厳しいことを考えていることは当然ございません。
この措置は、あくまでビッグデータの利活用を推進するための措置でございますので、ビッグデータの利活用にならないほど匿名化が必要になるような措置は考えてございませんので、当然、通常復元できないぐらいのイメージかというふうに考えてございます。
○高井分科員 通常復元できないというのがなかなか曖昧でして、関係者からは非常に心配なところなんですが。
では、もう少し具体化しますと、今は民間企業が既にもうやっているわけですね。そういった加工技術というのは、通常、企業がいろいろ試行錯誤しながらやって、それがいずれベストプラクティスとなって積み上がっていくんだろうと思います。
(略)
○高井分科員 ありがとうございます。
大臣、ここの関係事業者の声を聞きながら規則をつくっていくというのは非常に重要なところだと思いますので、ぜひ大臣からも、御指導、リーダーシップをとっていただけたらと思っております。
それでは、今の話と関連するんですが、今回、匿名加工情報というのができたことによって、実は、もともと個人情報保護法の規制対象じゃなかった統計情報などがありますけれども、こういったものが法律の読みようによっては匿名加工情報になってしまうんじゃないか。これが匿名加工情報になった途端に、安全管理措置を講ずるとか、取り扱い情報の公表をしなきゃならないとか、いろいろな規制がかかってきて規制強化になってしまうんですが、この統計情報などは匿名加工情報には入らないという理解でよろしいでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
統計情報につきましては、現行の個人情報保護法の規制対象外として整理されてございますので、今回、匿名加工情報をつくったからといって、これに入るものではございません。そのように規則等をつくってまいるつもりでございます。
○高井分科員 ありがとうございます。
一貫して、現行法の範囲を拡大するものではないんだという御答弁をいただいているので非常に安心をいたしますが、今後、具体的な規則をつくるときにはしっかりそこを、きょうの御答弁を踏まえていただいてお願いしたいと思います。
それでは、次の問題に行きます。
今度は、容易照合性という問題について、ちょっと専門的な話ばかりで大変恐縮なんですが。
今、現行法では、それ単体で個人情報とは言えないデータでも、他の情報と容易に照合することができて、それによって特定の個人を識別することができるものは個人情報に含まれるんだと。つまり、容易に照合できてしまえば個人情報になってしまう。
それは、例えば、個人情報のデータベースと、それから匿名加工した情報のデータベース、二つ分けて置いているんですけれども、実際に一人の人間がこれにアクセスするということは、企業であればあると思うんですね。やはり、もともと同じデータベースから端を発しているものですから、これが、一人の人でもアクセスしたら、それは容易に照合できることになるから、これは全て個人情報にみなされてしまうと、では、それを分けるために会社は担当者を二人置かなきゃいけないとか、非常に煩雑なことになると思うんですが、このあたりはいかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
匿名加工情報は、先ほども申しましたが、特定の個人を識別することができず、復元することができないように加工する。一方、さらに、当該事業者も含めて、他の情報と照合して再特定化することを禁止しているというところでございます。
したがいまして、匿名加工情報は、そもそも、作成に用いた個人情報と照合することが禁止されておりますので、容易照合性は認められないと私どもは解釈しております。
したがいまして、この匿名加工情報におきましては、容易照合性の問題は生じず、個人情報には当たらないというふうに考えてございます。
(転載者コメント:高井分科員は、匿名加工情報とは関係なく容易照合性とは何か、容易照合性の解約が厳しすぎるのでは?という質問をしたのに、向井政府参考人は、匿名加工情報の個人情報該当性を答えてしまっている。)
○高井分科員 大変早口というか、難しい質問で難しいお答えだったので、ちょっとにわかに理解できなかったんですが、また後ほど議事録を読ませていただいて、改めて法案審議のときに確認させていただけたらと思います。
もう時間がそろそろ参りましたので、最後に大臣にもう一度お聞きしたいと思います。
(略)
○平沢主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。
平成27年3月25日
衆議院内閣委員会第2号
○高井委員 維新の党の高井崇志でございます。
(略)
○高井委員 本当に、繰り返しますけれども、ITに造詣の深い山口大臣でございますので、ぜひそういう視点で、関係事業者の声をよく、本当に大臣が直接聞いていただくぐらいの、そういう場も設けて進めていただきたいと思っております。
それでは、次の、ちょっと細かい話になって恐縮なんですが、匿名加工情報、先ほどからも出てきています。個人情報なんだけれども、誰かわからないようにする。氏名とか年齢とか、わからないように匿名化して、そして、それだったら活用してもいいよ、場合によっては第三者に提供したりしてもいいよという、これは今回の法律で非常に大きな目玉であります。
この匿名加工情報については、法律の第三十六条というところにずっと出てくるんです。ところが、今申し上げた第三者に提供するときに対してさまざまな規制がかかるのではないかと思うんですが、実はこの法律の第四項にだけ「第三者に提供するとき」と出てまいりまして、そのほかの一項、二項、三項、五項には出てこないんですね。ただ、私は、これは三十六条全体が第三者に提供するときということを前提にした法律じゃないかと思うんですが、違うんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
匿名加工情報そのものは、それを作成いたしました個人情報取扱事業者内部におきましても、匿名加工情報のもととなった個人情報取得の際の利用目的にとらわれることなく、第三者に提供しなくても自社利用が可能でございます。
この点を明確にいたすために、三十六条は、匿名加工情報を作成した場合における義務として、第一項におきまして加工基準の遵守、第二項におきまして加工方法等の漏えい防止、第三項におきまして作成した情報の項目の公表義務、第五項におきまして匿名加工情報の識別禁止、六項におきまして安全管理措置を規定しております。これは、第三者提供のみではなく、自社利用の場合にもかかるというものでございます。
これに加えまして、作成した匿名加工情報を第三者に提供する場合の規律として第四項を設けまして、あらかじめ、第三者に提供する情報の項目及びその提供の方法を公表するとともに、提供に係る情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならないとしているところでございます。
○高井委員 まあ、そういう答弁かなと思ったんですが。
実は、匿名加工したものを自社で利用する場合というのはどういう場合かというと、いろいろな個人情報を会社で持っているんだけれども、セキュリティー上、万が一漏えいしてはいけないということで社内で持っておいたりするとき、あるいは業務委託とかしたりするときに、一部匿名化して保有するということがあるんですね。ところが、今のこの条文だと、そういう利用についても一々公表とか、いろいろ匿名加工情報というのは義務規定が、本来ある個人情報よりも厳しい規定というか、余計な事務が発生するということになってしまいます。
そうすると、事業者とすると、だったら、今までは会社の中であえて匿名化していたけれども、では、もう匿名化せずに、生の個人情報のままでずっと保管しておかなきゃいけなくなるねと。そうすると、万が一漏えいしたときに、それが個人情報の漏えいになってしまうということで、私は、非常に事業者に余計な負担をかける法律になってしまっているんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
匿名加工情報につきましては、まず、通常、個人情報を匿名化して別途保存しながら使うということがよく会社で行われていることは承知しております。
ただ、その場合でも、通常は、別のIDと容易に照合することにより個人情報になり得るものとして、その一部が匿名化されているということではないかと思いますので、それが全体としては個人情報になるということが多分多いのではないかと思いますが、実態は、実際、匿名加工情報という場合は、そういう意味では、匿名加工されたものが切り離されて、それで安全管理措置とかが講じられているもののみが匿名加工情報でございますので、そういったものを利用するというのは、一種特殊な場合ではないかと考えられます。
ただ、現実問題として、そういうふうなものがどういうふうに会社で管理されているかというのは多分ケース・バイ・ケースにならざるを得ないと思っておりますので、そこのところは、やはりまた、今後そういう実際の運用をしていく際に、常識的に、より安全、安全といいますか、わざわざそういうふうな危険を減らすためのようなものが匿名加工ということに当たることによりまして余計な負担が生じないような運用をする必要があると考えておりますので、そういう運用をする際にも、企業の実態をちゃんとヒアリングして、聞いてから定める必要があるというふうに考えております。
(転載者コメント:最初のシドロモドロ答弁。政令・委員会規則でどうにかできる部分ではないので、「聞いてから定める」では済まない話。)
○高井委員 本当にそのとおりだと思います。
私も、会社の中でどういう運用とかをやっているかまで詳細にはわからないので、やはりそういったことを私も聞きますし、また皆さんの方でもしっかり聞いていただいて、本当に屋上屋を重ねるというか、法律ができたことによって、何の法の趣旨とも関係ないんだけれども、余計な手間が、法律に書いてあるからやらざるを得ないみたいな、そういうことはないように、ぜひこれからも注意していただきたいと思います。
今の話と関連するんですけれども、
(略)
○高井委員 また個人情報保護法の質疑のときに詳しくお聞きしたいと思います。
ありがとうございました。
平成27年4月23日
衆議院本会議第19号
○濱村進君 公明党の濱村進でございます。
(略)
改正案では、第三者機関として個人情報保護委員会が設置される点、個人情報の定義が明確化される点、匿名加工情報を定義し利活用を促進する点といった大きなポイントが挙げられます。
(略)
○国務大臣(山口俊一君) 濱村議員にお答えをいたします。
パーソナルデータの利活用先進国への道筋についてのお尋ねがございました。
情報通信技術の急速な進展に伴い、新産業の創出や国民生活の利便性向上につながるビッグデータの利活用が進んでおりまして、その中でも特に利用価値が高いと期待をされるパーソナルデータは、積極的な利活用が求められております。
このため、今回の法律においては、パーソナルデータの利活用促進をする観点から、匿名加工情報という新たな類型を設けまして、本人同意にかわる一定の条件のもと、自由に利活用できる環境を整備することといたしております。
この匿名加工情報という類型は、欧米先進諸国にはない世界初のものでありまして、これを創設し、パーソナルデータの新たな利活用の道を開くことは、我が国をパーソナルデータ利活用先進国へと導く第一歩となるものと考えております。
次に、パーソナルデータの取り扱いに関し、諸外国とのかかわりについてのお尋ねがございました。
(略)
○副議長(川端達夫君) これにて質疑は終了いたしました。
平成27年5月8日
衆議院内閣委員会第4号
○平井委員 おはようございます。自由民主党の平井たくやでございます。
きょうは、貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。私も長くこの内閣委員会におりましたが、今は委員ではございません。しかし、御指名をいただきまして、ありがとうございます。
(略)
次に、匿名加工情報について伺います。
近年、さまざまなデジタル化に伴うコストが低下して、実世界のあらゆるものがネットワークでつながるIoTが進んでいます。ドイツでは、インダストリー四・〇とも言われ、物の開発、製造、流通の各プロセスをIoTで最適化する取り組みが進んでいます。
データの流通量は近年飛躍的に増加しており、我が国におけるデータ活用の売り上げ向上効果は六十兆円にも上るとの試算もある中、ビッグデータの活用を開始している企業は、米国が七割強であるのに対し、我が国は二割弱とのアンケート結果もあり、今後も官民を挙げて取り組んでいくことが必要だと考えています。
今回新たに設けた匿名加工情報も、これを活用することができなければ意味がない。この点、匿名加工情報の加工基準が過度に厳しいものになるとデータの有用性が損なわれると考えます。また、この制度は、どのように経済活性化や国民の安全、安心の向上につながるのか、大臣に御意見を伺いたいと思います。
○山口国務大臣 今回の法案におきまして新たに類型化をいたします匿名加工情報、これは個人情報を加工して特定の個人を識別することができないようにするというふうなものでありますが、委員御指摘のとおり、具体的な加工の程度、また加工後の情報の有用性というのは、確かにトレードオフの関係にもあろうかというふうに思います。
具体的な加工の基準につきましては個人情報保護委員会規則で定めるというふうなことにしておりますが、本人の権利利益を適切に保護しながら情報の有用性に配慮するというふうな観点から、匿名加工情報の活用が期待をされる民間事業者のニーズもしっかり把握をしながら具体的な検討を進めていきたいと思っております。
この匿名加工情報の利活用による効果としては、例えば、ポイントカードの購買履歴とかあるいは交通系のICカードの乗降履歴などを複数の事業者間で分野横断的に利用するというふうなことによって新たなサービスとかイノベーションを生み出す突破口になるというふうなことが期待をされますし、このような経済効果のみならず、医療機関が保有する医療情報を活用した創薬とか臨床分野の発展、あるいはプローブ情報、これはセンサーで、先ほどIoTというようなお話もありましたが、この情報を活用したより精緻な渋滞予測とか、あるいは天気情報の提供等、まさに国民生活全体の質の向上にも資するものであろうと考えております。
政府としても、このような匿名加工情報の利活用によるさまざまな効果が最大限発揮されますように、加工基準の策定を初め、必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○平井委員 これまで質問させていただいたものは、いずれも、個人情報を積極的に利活用できるようにして新たな産業やイノベーションを創出して経済成長につなげていくことを目的としたものであり、非常に重要な視点であると認識しています。
(略)
○井上委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 民主党の阿部知子です。
(略)
○阿部委員 明確な御答弁ありがとうございます。
先ほど、平井委員の御質疑の中でも多々指摘もありましたが、例えば、これからこうした産業界が活用する、あるいはマイナンバー制度を導入するときに最も基本となりますのは国民の理解であり、また、国民がそのことを安心して受け入れられなければいずれも成功するはずがありませんので、個人情報の保護という原則を第一に重く見るというふうに理解して御答弁を受けとめました。
引き続いて山口大臣にお尋ねいたしますが、この法案の中でも、ビッグデータの活用、すなわち、個人のデータを集積して一つのクラウドというかデータの固まりにして、それを活用していくということが言われておりますが、もともと個人の持っている情報、個人、インディビジュアルと申しますから、分けることができませんが、そこから抽出されたデータとなったときに、ある側面から見て、例えば私などは医療分野におりますが、ある集団に対して非常に効果がある治療があるとすると、この集団にセレクトして行いたくなる。これは経済効果もそうですから、同じ薬を投与して、予後が余りはかばかしくない、こちらはいいとなると、やはり出てきた情報の利活用によっては逆にもともとの個人の情報の主体が不利益をこうむる、すなわちその利益に浴しないというようなことも起こり得るかと思います。
これが個人から集めた情報を加工して活用するときに、ある側面、私は起こってくると思いますが、ここについて大臣の御認識を伺います。
○山口国務大臣 私も科学技術担当もしておりまして、いろいろなところへ視察等、お話をお伺いするわけですが、当然、医療の中で、いかにピンポイントに効果があるかというふうなこともしっかり研究をされておるわけですが、お話しのような、ビッグデータ、これの解析によって、この類型にはこういうのがより効果があるというふうなことも出てこようかと思いますが、私としてはむしろ、今回新たに類型化をしていく匿名加工情報、この利活用が可能になることによって、ビッグデータの分析を通じてよりきめ細かな対応ができるようになるというふうなことが期待をされるんだろうと思います。
例えば、一定の治療が効果的な人にはその治療あるいはその薬を使う、そうでない方には別の治療を施していくというふうなことで、むしろ適切な人に適切なサービスを提供するということが可能になっていくのではないかと考えております。
いずれにしても、匿名加工情報の利活用を通じて、医療のみならず、さまざまな分野において国民生活が総じて豊かになるように取り組んでいきたいと思いますし、同時に、先生御指摘のようなことが決してないように、これも対応していきたいと思っております。
○阿部委員 私の今の指摘は、経済性以前の問題として個人の権利保護や尊厳というものがあって、治療へのアクセス等々も含めて保障される社会でなければ、ビッグデータの活用というのはかえって取捨選択になるであろうという懸念を申し述べましたもので、山口大臣は、先ほどみずからおっしゃっていただきましたが、科学技術担当でもあられますし、そのあたりへの留意をなおしていただきたいなと思います。
(略)
次いで、同様ですが、今度、匿名加工情報ということが行われるに際して、これも、十二月に出された骨子案では、大臣のお手元に図示してございますように、匿名加工情報においては、匿名加工情報を作成することをあらかじめ届け出るというのがもともと十二月の原案にございました。
こういうことを匿名加工情報として使いたいということを事業者は届け出る、それによって個人情報保護委員会は迅速に、トレーサビリティーも含めて、何をどう見ていくのかということがより把握しやすいし、こういうビッグデータの活用というものがまさにスタートしようとするときですから、ここは残された方がいいと私は思うんですね。届け出を削ってしまって公表だけにしたということが、かえって個人情報保護委員会で、もうしょっちゅうネット画面を見て、何か公表されているものを全部網羅して見てというのは、業務的にも大変であるし、逆にガイドラインやスタンダードをつくる際にも情報集積しやすいと思うんですね。
なぜこの届け出というところを削られたんでしょう。
○山口国務大臣 今回の法案におきまして新たに類型化をいたします匿名加工情報、これにつきましては、個人情報を加工して特定の個人を識別することができないようにしたものでございまして、個人情報そのものではなくて、個人の権利利益の侵害のおそれが低いものというふうなものでございます。
このような情報の性質も勘案をして、事業者による公表のみで委員会は匿名加工情報の取り扱いに疑義が生じた場合でも十分に対応することが可能であろうというふうなことから、過度な規制にならないように届け出までは求めないというふうなことにしたものでございます。
なお、委員会は、届け出がなくとも、事業者の公表内容によって問題点を見つけたり、あるいは、本人からの苦情を契機としまして匿名加工情報の取り扱いに疑義が生ずるというふうなことになりましたら、事業者から当然任意に話を聞くなどしてその事実関係を精査して、さらには、必要に応じて報告徴収及び立入検査を行うほか、問題があれば勧告、命令を行うというふうなことによって、適切に監督、是正をすることが可能であろうと考えております。
○阿部委員 今度の情報保護委員会がそうした立ち入りや監督、命令ができるということは評価いたしますけれども、先ほど申し上げましたように、たくさんの公表を見逃さずというところが果たして現実的に担保できるのか私は懸念いたしますし、スタート時点、当初十二月の段階であったものですから、何で落ちていったのかなということはいまだに疑義が残ります。先ほどの「相当」と一緒で、何か現状に法律を合わせたりするというよりは、法の精神を大事にしながら、そこを守るべきは守ってやった方がかえってうまくいくだろうというのが私の認識であります。
次の質問に移らせていただきます。
(略)
○井上委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 維新の党の高井崇志でございます。
(略)
○高井委員 そのあたり、どういうケースが容易照合性があるかというところが今後なかなか難しい判断というか、これも政省令でまた決めていくということなのかと思います。
それでは、その容易照合性の話で、これも何度かお聞きしているんですけれども、今回、個人情報の定義として、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。」、法律上そうなっている。これは現行法でもそうですね。
一方で、行政機関の個人情報保護法というのがあります。この行政機関が使う個人情報保護法では、この「容易に」という文言はないんですね。つまり、二つの法律で「容易に」という文言を入れる入れないで、差がはっきりと設けられているわけです。
ところが、現行の実態を見ると、では、どこまで、どれを容易にという、ガイドラインなんかを見ても、ほとんど実態の差がない状況だと思います。
今回、こういった利活用を促進するという法改正をする、目的にも新たにそういう文言を入れるわけですから、この法改正後は、この「容易に」というところにしっかり差を設けるべきではないかと思います。
それについてお考えをお聞きしたいのと、この問題が解決しないと、個人情報の範囲というのは結局広がったままになって、利活用の促進というのが進まないと考えます。例えば、社内規定などでしっかり厳格に管理しているような場合にはこの容易な照合には該当しないというくらいの解釈の変更をしてはどうかと思います。
現実に、今の現行法の解釈、ガイドラインでは、例えば個人情報のデータベースとそれを匿名化したデータベースというのがあって、では、その両方のデータベースに一人の人間がアクセスしたら、もうそれは容易照合性なんだと判断されるんじゃないかとガイドラインでは読めるんです。およそ、データベースを二つに分けて、それぞれ担当者を置くなんていうことは、どんな大企業でもできることじゃない。ましてや中小企業でそんなことができるはずがない。もっと言えば、社長が一人、両方アクセスもできないのかというようなことになると思います。
そう考えると、一人の人間がアクセスできれば個人情報に全部該当してしまうというような解釈は私はおかしいと思うんですけれども、改正法でもそうなるんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
まず、行政機関等が保有する個人情報でございますが、事業者が保有する個人情報と比べまして、特に法令違反あるいは犯罪捜査に関する情報、課税関係の情報等、おおよそ行政に固有なものも多数ある、一方で、独立行政法人の病院が所有しているような、民間にもあるような情報も、両方あると考えられますが、それらのものにつきましては、秘密保持義務とか、そういうふうなものと関連いたしまして、やはりかなり扱いは異なっているものというふうに考えております。
そうした中で、個人情報の利活用の推進については、もちろん、今回、匿名加工情報という新たな類型を設けることなどによりまして、できるだけそういう利活用の推進も目指しているところでございますが、一方で、容易照合性の解釈、その運用自体がこの法案自体で変わるものではないとは考えております。
委員御指摘のような、社内規定などで厳格に管理されている場合についても、例えば事業者内部での技術的な照合が相当困難であるとか、独立したデータベースをそれぞれ別の管理者が管理し、社内規定等により容易にアクセスできないようになっているなどの、事業者内部において通常の業務における一般的な方法で照合が不可能となっているものの、例えばシステムを管理して、システムを管理といっても、メンテナンスをするような技術者、業務に関係のないような技術者が、たまたまきょうそこにアクセスをされるような場合があったからといって、直ちにこれが容易照合性があるというふうには解釈するべきではないと考えておりまして、そういう、一般的な方法で照合が不可能になっているものであれば、容易に照合できるような状態にないと解釈することはあり得るものと現行法でも考えております。
○高井委員 わかりました。
一般的というものの解釈になるわけですけれども、そういう一般的ですらだめなのかというふうに思っていましたので、前向きな御答弁をいただけたと思います。
(略)
それでは、続いて大臣にお聞きします。
今改正法の目玉の一つが匿名加工情報だと思っています、三十六条。三十六条では、「委員会規則で定める基準に従い、当該個人情報を加工しなければならない。」とされていますが、一番重要な点が委員会規則になっております。
この委員会規則について幾つかお聞きしたいんですが、一つは、まず、いつ定めるのか。それから、どれだけの事業者からヒアリングを行って、パブリックコメントなども行うのかどうか。それから、後ほど出てくる六十九条の専門委員に、この委員会規則を定めるところにかかわってもらうのか。そして、ICTの分野というのは非常に技術革新のスピードが速いわけでございまして、この委員会規則というのもすぐ古くなってしまう。ですから、技術に硬直的な制度ではいけないと思います。この委員会規則も定期的に見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
ちょっと何点か、恐縮ですが、大事なところなので、大臣にぜひ御答弁をお願いします。
○山口国務大臣 これは前にも先生にお答えをさせていただきましたが、加工方法につきましては、委員会規則において、必要最小限、例えば、氏名を削除するとか、住所の市町村以下を削除するとか、生年月日を年代に置きかえる等、具体的な手法について、匿名加工情報を作成する事業者全てに共通をする内容、項目などについて、最低限の規律を定めるというふうなことにしております。
その上で、このような個人情報保護委員会規則に加えて、事業の特性とか取り扱うデータの内容に応じた詳細なルールが必要になると考えられるわけで、これにつきましては事業者の自主的なルール等に委ねるということを想定しております。
今るる御質問がございまして、この委員会規則を定めるに当たりましては、当然、事業者の自主的なルール等との関連性も考慮して、法案成立後、施行までの間、できるだけ速やかに検討を開始してまいる予定でありますし、この検討に当たりましては、パブリックコメント等を活用して民間企業とか消費者の御意見をお伺いすると同時に、委員会の審議におきましても、各分野の専門委員の御意見を踏まえまして、民間企業の利活用の動向とか技術の進展を適時適切に反映してまいりたいと考えておりますし、また、これらの技術進展を踏まえて、見直しについても柔軟に対応してまいりたいと考えております。
○高井委員 一つ一つコメントしたいところなんですが、時間が大分なくなってきたので、次に行きたいと思います。
三十九条、同じく匿名加工情報の話ですが、「匿名加工情報の安全管理のために必要かつ適切な措置、」の具体的内容というのがちょっと不明確なんですが、そのレベルなどは政令とか委員会規則で決めるんでしょうか。
そして、急速な技術の変化とかセキュリティーの課題というのは状況によって大きく異なるもので、業種によっても異なります。こういった多様性があることを踏まえて、民間の認定個人情報保護団体を活用する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、セキュリティーを含めまして、情報通信技術の分野は変化が非常に著しい分野であることから、規則の制定を含む法の運用のあり方を検討するに当たっては、個人情報保護委員会が全て一律に定めるのではなく、民間の自主規制に委ねることが必要な部分もあるものと認識してございます。
このような認識のもと、御指摘のような匿名加工情報の安全管理措置についても、措置の内容や項目など事業者一般に共通するルールについては委員会の規則において定めることとしつつ、技術的なレベルや事業の特性等に応じた詳細なルールについては認定個人情報保護団体が定める個人情報保護指針が活用されるよう、具体的な制度設計を行ってまいりたいと考えております。
○高井委員 わかりました。
(略)
○高井委員 御協力により十七問聞くことができました。三問残ってしまいましたので、また機会をいただけたら質問したいと思います。
これで終わります。ありがとうございました。
平成27年5月13日
衆議院内閣委員会第5号
○井上委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
(略)
○高井委員 ありがとうございます。
時間があったらまた今の話をもう少し深く聞きたいんですが、それでは、ちょっと先へ進みまして、これも寺田参考人の資料の七ページ、八ページに関連する、匿名加工情報の加工方法についての質問でございます。
先日、五月八日の内閣委員会で私の質問に山口担当大臣がこう答えられています。匿名加工情報の加工方法について、個人情報保護委員会規則において、必要最小限、例えば、氏名を削除するとか、住所の市町村以下を削除するとか、生年月日を年代に置きかえるなど、事業者全てに共通する内容、項目などについて、最低限の規律を定める、委員会規律と答弁されていますが、こういうことを委員会規則で定めてしまって、事業者側として問題はないですか。
○寺田参考人 この答弁内容で決められてしまいますと、非常に大きな問題になってしまいます。
というのが、具体的事例を出した方がわかりやすいかと思いますので、市町村といいましても、例えば大阪市であったりとか東京二十三区というのは何百万人、それに対して数百人しかいないような村もあります。東京を対象にしてビジネスをやっているようなところが、では、東京都ねとなってしまった瞬間に何の意味もなくなってしまいます。年齢でいいましても、例えば二十代をターゲットとしているようなファッション関係、こういった方たちの分析をしようとしたときに、十代、二十代、三十代とやっても、二十代にほとんど九〇%ぐらい皆さん集まっています、こういった形が起きてしまいます。
結局、もとのデータがどれだけたくさんあるのか、目的としてどこまでのものを求めているのかによって、市町村であったり年齢であったり、こういったものというのは粒度が大きく変わってくるというのがあります。
ですので、具体的な、こういったものはどの程度のレベルです、何を削除してくださいといったような決め方を上位の規則でつくってしまいますと、実際の実務上では全く匿名加工というのが使えないものになってしまいますので、どういったことが行われてはいけないのか、どういったことが起こると非常に困ったことになるのかといった部分をしっかりと方向性として規則であったりとかそういったところで決めていただいて、具体的な中身につきましては、やはりそれぞれ業界ごとに対象人数も違いますし、求めているものも違いますので、しっかりとしたマルチステークホルダーで指針をつくっていく、そういった方向性にしていただきたいと思っています。
○高井委員 まさに、今回私も何度も質問しているのが、やはり技術革新の非常に速い分野で、委員会の規則で一旦決めてしまって、それがもう身動きがとれなくなってしまうような形ではなくて、認定個人情報保護団体という団体をつくってそこに自主的に任せていこう、そういう答弁を政府からもいただいているわけですから、そこをより徹底していくということが大事なのではないかなと思っています。このあたりも、また引き続き委員会の審議の中で政府に対して問いただしていきたいと思っています。
(略)
○井上委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
(略)
次に、似たような御指摘をいただいて、私もはっとしたことがあるんですけれども、先ほどの寺田参考人の資料の七ページ、「匿名加工情報について」ということで、ここで、法案上は復元できないという表現があると。確かに、これをそのまま読んでしまうと、簡単に復元できないということにこだわり過ぎると、どこまでもこの取り組みというか、その重みが増してくる。その辺のあんばいというか、その辺をどのような形で今後捉えながら整理をする必要があるかということなんですけれども、宇賀参考人と坂本参考人にも、この件についての見解についてお聞かせ願えますでしょうか。
○宇賀参考人 私、かつて、内閣府の統計委員会の委員をしておりましたときに、匿名データ部会に所属しておりました。
統計法では、匿名データを作成する場合に統計委員会の意見を聞くということが義務づけられておりまして、そのときに、匿名データをつくるときに、一方で、個人が識別されないようにするという必要がございます。他方で、余りにもそのためにさまざまなデータを削除していきますと、今度はそれが統計情報として役に立たないという問題が出てくるわけです。
そこで、その部会では、統計学者の方々の御意見を聞きながら、ここまでやらないと危ない、しかし、逆にここまでやってしまうともう統計上のデータとして研究に役立たない、そういったことを両方をバランスをとりながら、ではどの程度どういうやり方で匿名データを作成しているかということをそこで判断してきました。
同じ問題がこの匿名加工情報にもあるというふうに思っておりますので、一方で社会通念から見て復元できないような形に持っていく必要がありますけれども、逆に匿名加工情報としての利用価値ということも考慮に入れて、適切なバランスをとっていくということが必要かと思います。
○坂本参考人 今、宇賀先生もおっしゃられたとおりなんですけれども、何でもかんでも消してしまえばいいかというと、そうでもないんですね。その必要もないし、それでは役に立たなくなる。
しかも、匿名加工情報というのは個人情報の中から識別できるようなものを取り除くという作業なので、きょう私が配付しているレジュメの私の名前をマジックで消したら、匿名加工情報をつくったのではないか、これは技術基準に適合しているのではないか、適合していないのではないか、こんなばかげたことを心配しなくていいように、きちっと適切に個人情報保護委員会なり何なりで明確に定めてほしいというふうに思います。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
(略)
○輿水委員 大切な御意見、本当にありがとうございました。
以上で質問を終わらせていただきます。
平成27年5月15日
衆議院内閣委員会第6号
○高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。
(略)
続きまして、個人情報保護法の改正案に移らせていただきます。
これまでの法案審議における政府からの説明によりますと、匿名加工情報につきましては、特定の個人を識別することができず、かつ、復元することができないものであるということですが、この復元することができないという要件について、これから個人情報保護委員会が設置されましたら、そこの規則の中で決められるものかもしれませんが、これまで個人情報保護法上、規定がなかったものです。実際に匿名加工情報を利活用したいと考えている事業者にとって、判断が難しいものと考えられます。
この復元することができないというのはどのような意味か、お伺いいたします。先日も、参考人の説明の中で、社会的通念上復元できない、その範囲である、詳しくは個人情報保護委員会の規則にまつべきだ、このようなお話もございましたが、答弁を求めます。
○向井政府参考人 お答えいたします。
復元できないようにするとは、匿名加工情報が、通常、人の技術力等能力をもって作成のもととなった個人情報を復元しようとしても当該個人情報に戻ることのないような状態にあることをいい、どのような手法によって復元を試みたとしても本人を識別できないといった、技術的側面から全ての可能性を排除するまで求めるものではございません。
どのような加工を施せばこの状態になるかを、今後、個人情報保護委員会が規則等でその基準を定めることとしておりますが、例えば、作成のもととなる個人情報と個別に関連づけられているID等の識別子を削除すること、それから、匿名加工情報データベース等に含まれる複数者間のデータ値を入れかえること、あるいは一定のノイズを付加すること等の一般的な手法を定めることを想定してございます。
さらに、これらの手法により実際にどのような加工を具体的に行うのかにつきましては、それぞれのサービスの特性、あるいは、取り扱う個人情報、匿名加工情報の内容に応じ、個人情報保護指針等による事業の実態を踏まえた自主的なルールに委ねることとしており、これらにおいて例示等が示されるものと考えております。
(略)
○井上委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
(略)
○泉委員 続きまして、匿名加工情報についてです。
懸念として寄せられているのは、例えば、捜査機関から業者に対して、一度匿名加工した情報をもう一度再特定してくれ、犯人の捜査のために必要なんだなんというような要請が来たらどうするんだ、いやいや、再特定はできませんと拒否をしてよいのか、それとも、やはり捜査機関から言われたら対応しなきゃいけないのか、そんな懸念も出ております。
きょう、警察庁にお越しいただいておりますので、御答弁をお願いします。
○露木政府参考人 お答えいたします。
個人情報保護法の改正案第二条第九項でございますけれども、匿名加工情報の定義規定がございますが、特定の個人を識別できないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものというふうに規定をされております。
したがいまして、今の規定のとおり、事業者が匿名加工情報を特定の個人が識別できるように復元することは困難であるということでございますので、私ども捜査機関がそのような求めを事業者に行うということは想定されないというふうに考えております。
○泉委員 ありがとうございます。
捜査機関が匿名加工した情報を再特定するように求めることはないということでありました。
(略)
○井上委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 それでは、私からは、先日の参考人質疑で大変有益な貴重な提言がありましたので、それに関連しての基本的には大臣のお考えなり対処方針を御質問させていただきたいと思います。
(略)
○高井委員 それでは、同じ寺田参考人に対しての私の質問で、実は、五月八日の内閣委員会で私が山口大臣に質問をしましたところ、匿名加工情報の加工方法につきまして大臣から、委員会規則において、必要最小限、例えば、氏名を削除するとか、住所の市町村以下を削除するとか、生年月日を年代に置きかえるなど、最低限の規律を定めることとしていますという答弁だったんですが、事業者としてはそれで問題ないですかと聞いたところ、寺田参考人から、この答弁で決められてしまうと、非常に大きな問題になると考えていると。
例えばということで、例えば市町村を削除といっても、東京を対象にしたビジネスの何かアンケートとかやって、東京都とくくられても何の役にも立たないとか、あるいは、ファッション関係で何か分析しようと思って、二十代、三十代、四十代とくくられても、もうほとんどファッションの対象は二十代の人だったみたいな。
そうすると、やはりどうしても、対象の大きさ、ここによって大きく変わってくる話なので、一概にそういう、市町村で削除とか、生年月日を年代に置きかえるとか、それではだめじゃないかということを答えられているんですけれども、それについての大臣の見解をお伺いします。
○山口国務大臣 これは、この規則におきましては、基本的には、特定の個人を識別することとなる項目を削除することぐらいのことを実は考えておりまして、氏名の削除云々というのはあくまで例示として申し上げたわけで、例えば、詳細な項目を一定のまとまりや区分に置きかえることというような、いわゆる一般的な手法を定めるというふうなことにとどめておきたいというふうに思っております。
今、高井先生お話しのとおりで、いわゆる認定個人情報保護団体において、それぞれいろいろな事情がおありになろうと思うんです。それぞれの中で具体的には決めていただくということで、再度申し上げますが、私の答弁においては、今申し上げた一般的な手法の具体的な加工イメージの例として氏名の削除とか生年月日云々というふうなことに言及をしたものでございまして、個々のケースにおける加工イメージにつきましては、おのおののサービス等の特性とか、取り扱う個人情報とか匿名加工情報の内容、これに応じて企業等の自主的なルールに委ねるというふうなことにしておりますので、寺田参考人の御懸念のようなことは、規則において具体的な内容を定めることは想定をしておりません。
○高井委員 それでは、最後にもう一問。
(略)
平成27年5月20日
衆議院内閣委員会第7号
○緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。
個人情報保護法の質問に立たせていただきます。貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
(略)
○緒方委員 ありがとうございました。
現場の方は、恐らく、この国会の審議を見ながら、さあ、どうなるんだろうかということを非常に注目いたしておりますので、今の大臣の方向で積極的に情報発信をしていただければと思います。
その上で、今回の法律で匿名加工情報というものが新しく定められまして、新しく加工基準も個人情報保護委員会規則で定められるということです。書いてあることは、特定の個人を識別することができず、かつ復元することができないようにするための措置ということでして、これをまさに個人情報保護委員会規則で定める基準を待った上でということなんですが、例えば、これは何度もこういう議論はあったと思いますけれども、一般論としては、ここまでやればさすがに個人を特定できないだろうというところまで加工したつもりなんだけれども、行動パターンが非常に特異な方で、この人は毎日必ず朝十時になったらこのパチンコ屋に行って、その後この人はここに行って、こういう明らかにわかる行動パターンをとっている人というのは、実は、相当加工しても、トレースすることが可能なんですよね。
こういう若干特異なケースではありますけれども、どこまでこの匿名加工情報というのは加工すればいいのか。そういう、全体のデータの中で特異ケースが出てきた人、その人までがわからなくなるようにするとなると、それは相当なことをしなきゃいけないわけでありまして、個人情報保護委員会規則で決めるということになっていますが、どの程度のことをすれば匿名加工情報と言えるというふうにお考えでしょうか。審議官。
○向井政府参考人 お答えいたします。
匿名加工情報の加工基準につきましては、特定の個人を識別することになる項目を削除、例えば、氏名の削除ですとか、住所の市町村以下を削除、詳細な項目を一定のまとまりや区分に置きかえる、いわゆるグルーピングでございますとか、分析対象データの平均から大きく乖離するデータ群をまとめるようなもの等の、一般的な手法を定めることが考えられますが、ただ、いずれにいたしましても、例えば、市町村でも、人口がたくさんいるところと少ないところはどうするんだとか、そういういろいろな問題が出てくると思います。
これらにつきまして、やはり重要なことは、一方で案をお示ししながら、よく産業界ないしそういうのを利用されている方の意見を聞いていくことであるというふうに思っております。
御指摘のような特定のパターンをとる人間の行動に関する特異値の取り扱いにつきましても、恐らく特異値を消すような関数を使うんだと思うんですが、そういうふうなことを規則で定めることは想定されるというふうに考えます。
○緒方委員 ありがとうございました。
では、質問を少しかえたいと思います。
(略)
―――――――――――――
○井上委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
平成27年5月26日
参議院内閣委員会第9号
○相原久美子君 民主党の相原久美子でございます。今日はよろしくお願いいたします。
(略)
本法案では、個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、個人を識別することができないよう加工し、復元することができないようにしたものを匿名加工情報と言っております。
昨年十二月に示されました内閣官房IT総合戦略本部パーソナルデータに関する検討会の技術検討ワーキンググループ報告、ここの中では、いかなる個人情報に対しても、識別非特定情報や非識別非特定情報となるように加工できる汎用的な方法は存在しない、第三者提供を念頭に一定の匿名化措置を行っても、必ず識別性又は特定性をなくさせるわけではなく、またそうした匿名化の措置に対して一般的な水準をつくることもできないと指摘されています。要は、匿名という形で加工しても、それが本当に十分性があるというふうにはなかなか言えないのだというある意味の指摘もあるんだと思います。この指摘によりますと、個人情報保護委員会規則で加工基準を一律に定めるというのは難しいのではないかと思います。
実効性確保のために、事業実態や技術レベルを踏まえて事業分野に対応した加工基準を定めることが想定されますけれども、その際、どのように事業者の予見可能性を十分として識別行為の禁止ですとか安全管理措置等について実効性確保のための措置を講ずるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
先生御指摘のとおり、まさにこれは一律にはなかなか決められないものでございます。一方で、基本的な部分は一律に定められる部分もあると思いますので、それらにつきましては個人情報保護委員会で定めた上で、個々の業界に係る分につきましては先ほどの認定個人情報保護団体等を活用してやはり定める必要がございますし、ない分野におきましてもよく実態を踏まえて作成していく必要があるのではないかというふうに考えております。
これらの加工情報の基準を定めた上でこれらの実効性を上げるためには、まずどのような加工情報があるかということを、まず実態を個人情報保護委員会がよく見ること、それから、国民生活センターとも連携して消費者からの苦情に敏感に反応することが必要なのではないかというふうに考えております。
○相原久美子君 後ほど聞こうと思ったんですが、国民生活センターとの連携というのも、消費者側の代表として相当の課題が蓄積されておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
また、当初、匿名加工に当たりまして事業者に個人情報保護委員会への届出を求めるとされておりましたけれども、本改正案で項目の公表へと緩和されました。確かに、事業者や委員会の負担を考えますと現実的な選択かもしれないのですが、情報保護、いわゆる国民の情報の保護、そして優良事業者の育成の観点からも、罰則の強化、そして課徴金制度などを導入すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
罰則というのは、今回、不正に流出した場合に罰則を作りましたけれども、一般的な罰則というのは、諸外国とのバランスを見ても、通常の個人情報保護法は、余り罰則というよりは、むしろ諸外国では課徴金で対応されている例が結構ございます。課徴金というのも当然検討対象にはしたところでございますけれども、現時点ではまだ時期尚早かなというふうな考え方の下に今回は御提案しておらないところでございますけれども、この法律の附則に三年ごとに見直すというふうな話がございます。三年ごとに見直す際には、今回、所管が個人情報保護委員会に移りますので、まさに、やっぱり三年ごとというのは結構短うございますので、個人情報保護委員会ができましたら、次の改正に備えた検討も開始するというのも必要なのではないかというふうに考えております。
○相原久美子君 違反事案とか何かが出てきたことによる、そういう知見等々によっての恐らく見直しということにもなろうかと思いますけれども、そこも、諸外国がこれだけ課徴金制度で対応しているということであるのであれば、まあゼロということではないのかなと思いますので、是非その辺についても注視をお願いしたいと思います。
匿名加工情報の第三者への提供につきましては、提供後に識別行為が行われることがないかという懸念、国民にとってはあります。個人情報保護委員会は提供先事業者に対しどのように監督する予定なのでしょうか。通常の第三者提供の場合は第二十三条で規定がありますけれども、同様に匿名加工情報も、作成目的、情報項目、提供先への本人への通知、又は本人が容易に知り得る状況に置くべきではないかと考えます。仮に、流通した匿名加工情報について本人が識別された場合、本人へ通知する等の仕組みが必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
匿名個人情報にかかわらず、通常、法律で一般的に想定しているのは、多分個人、本人から聞いて取得したというのを元々原始取得は想定しているということでございますけれども、現在のIT社会におきましては、個人から聞かなくても、いろんな情報を加工することによって個人が特定できてしまうというふうなことは十分起こり得ることだろうと。
そういう意味で、もちろん特定禁止なので特定しちゃいけないんですが、特定禁止、特定してはいけないので、できないので、法律上は当然それを特定したときはすぐ廃棄していただくというのが法律上の義務になるというふうに思いますが、先生の御疑問の、一般論で言うと、そういう場合はやっぱり原始取得に当たりますので、当然本人に知らすなり、あるいはオプトアウトするなりということは必要になってくるのではないかと思います。
○相原久美子君 ありがとうございます。
私もこの質問をするに当たりまして少し学習してきたんですが、学習すればするほど分からなくなりました。一般の国民にとってはそれほど本当に理解がなかなかし難い、危険性ですとかそういうものもなかなか予知しにくいというところがありますので、どういう形で現行法があって、どう改正されていくのかと、今、更問いのように質問させていただきました。申し訳ございません。
(略)
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
(略)
○若松謙維君 分かりました。じゃ、ちょっとこの件はまた注視して、これからも議論していきたいと思っております。
次に、九項ですか、いわゆる匿名加工情報、これにつきましても、本法案で個人情報の利活用を促進する観点から特定の個人を識別することができないようにする、個人情報を加工したいわゆる匿名加工情報の規律が設けられておりますが、先ほどの衆議院の附帯決議では、この匿名加工情報につきまして、個人情報保護委員会規則で基準を定めるに当たっては、効果的な利活用に配慮するとありますが、これ、具体的に今後どういうふうにしていくか、お尋ねいたします。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
今回の法案におきまして新たに類型化します匿名加工情報につきましては、個人情報を加工して特定の個人を識別することができないようにするものでございますけれども、加工の程度と加工後の情報の有用性というのは一般的にはトレードオフの関係にあるんではないかと考えております。
したがいまして、個人情報保護委員会が基準を定めるに当たりましては、本人の権利利益を適切に保護しつつ、情報の有用性に配慮する観点から、活用が期待されます民間事業者のニーズを把握しつつ具体的な検討を進めるということとしてございます。
また、基準に定められた加工方法により実際にどのような加工を具体的に行うかにつきましては、対象になるサービス等の特性、取扱個人情報、匿名加工情報の内容に応じまして、事業の実態を踏まえた個人情報保護指針等の自主的なルールに委ねることとしておるところでございます。
このように、個人情報保護委員会の定める基準と民間企業の自主的なルールによる適切な対応がなされることにより、実効的な利活用がなされることを期待しております。
○若松謙維君 だんだんまた言葉のやり取りが抽象的になってきまして。
そうすると、具体的に、さっきトレードオフという言い方ありましたけど、じゃ、今後この匿名加工情報、これが、個人情報に対して匿名加工情報の対象が広がれば広がるほど、どうなんですか、利活用というのはやりやすくなる、それともかえって情報が分からなくなって活用できなくなる、そこら辺の折り合いというんですか、どういうふうにまとめていくんですか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
一般的には、端的に氏名を外すというのがありますが、氏名を外しただけでは住所地等で特定できてしまうと。じゃ、氏名も住所も外すという場合に、じゃ、住所をどのように外すかといいますと、東京都辺りですと区単位でも十分な人口がおられますけど、一方で、地方に行きますと字とかで特定されてしまうというふうな場合もあり得るだろうというのを、そういうのを具体的に考えながら、徐々に、何といいますか、識別しているものを抽象化していくというふうな作業が必要でございます。
そういう中で、一般論としましては、氏名を外すから始まりまして、例えば年齢だと、五歳刻みにする、十歳刻みにする、情報の量によって違うと思います。それから、住所につきましては、例えば市町村単位にするとか、人口幾ら以上の単位にするとか、そういうふうな加工の仕方。それからあと、よく言われますのは、特異な行動をするパターンについては、その特異な行動だけで分かってしまうということもありますので、そういう場合は、そういう特異な行動だけを外すというふうな加工の仕方もあるようでございます。
そういうふうなことを組み合わせる必要がございますので、それらにつきましては、なかなか全ての、何といいますか、情報につきまして、一般的に通用する方法というのはなかなか難しいので、個々の具体的なものに即して基準を定めていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○若松謙維君 これも分かればでいいんですが、今ちょっと質問やり取りしながら思い付きで怒られますけれども、Suicaありますね。Suicaは大体国民の方はほとんど持っていらっしゃいます。あれは個人名入れるんでしたっけ。入れないですよね。何も入れないんですね。じゃ、これはSuicaのデータですから何千万人といると思う、これは個人情報になるんですか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
Suicaの場合は、全く無記名の誰かが分からないようなやつと、それから記名式のクレジットカードもひっついたやつと、両方ございます。したがいまして、記名式の場合には当然個人情報に当たり得る可能性が十分あると思いますが、無記名のものについてはむしろ個人情報に当たらないことが多いんではないかと考えられます。
○若松謙維君 そうすると、記名式、特に定期とか、そういうのは必ず記名ですよね。ということで、そのデータは個人なんですけれども、これを利活用する場合には先ほどの加工が必要だということですね。そこがどこまでやるかというのが、じゃ、字まで入れるのかどうかという、そういう話になると思うんですけれども、という理解でよろしいわけですね。
○政府参考人(向井治紀君) まさにそういう個人の入ったデータにつきまして、個人名を外すだけではなくて、どこまで抽象化すれば識別できないかということを議論するということになろうかと思います。
○若松謙維君 何か少しずつ分かってきたような気がします。
じゃ、更にちょっと質問しますと、例えば個人の、記名式の個人の方、当然、ビッグデータでこの方の定期以外のいろんな行くところも恐らくデータとしてあると思うんですね。そうすると、特定した方のこの方の行動というのはもう全部ある意味で分かるわけですよね。だけれども、そういうデータというのは、先ほど言ったように、それはやっぱり個人データで、ビッグデータの活用の際には何が問題で何が課題なのかと、ちょっとまとめてくれますか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
まず、そういう、例えばどこの駅の降りた方が例えば改札口こちらから出て、その人の住所はこの辺にありますというふうなデータを、個人であれば当然個人データ、名前も書いてあって住所地も特定あれば個人データですけれども、一方で、利活用する場合、例えばマーケティングに利活用する場合には、例えば東出口の方には割と年輩の方が多数行かれますとか、一方で、こっちに学校があれば、こっちの別の出口からはどちらかというと年齢層が低い方が出られますみたいなデータを使うと、例えばコンビニにどういう商品を置くのかというのは変わってまいります。そういうふうな、何といいますか、例えば商店街開発ですとか、そういうふうなものの有用性に使えるんではないかとああいう乗降データは期待されているところございます。
そこをどこまで加工するか。だから、まさにどこまで抽象化すればいいのかという話でございますけれども、まさに個人が特定されるようなことがないということがまず原則だろうと。したがって、住所、氏名は外すんだとは思いますけれども、じゃ、それも、だから人口にもよるとは思いますけれども、例えば何々町何丁目ぐらいでかなりの人口がおられれば特定される可能性はほぼないというふうに考えられればそこまで抽象化するというふうな形になって、そういう人間がどれぐらいのボリュームでいるのかみたいな話をデータとして活用していくんではないかというふうに考えます。
○若松謙維君 もっと少し分かってきたと思います。
(略)
平成27年5月28日
参議院内閣委員会第10号
○上月良祐君 自由民主党の茨城県選出の上月良祐でございます。
今回の二法は、国民経済にも国民生活にも大変大きな関連がある、影響がある大変重要な法案だと思います。時間は短いですけれども、しっかり議論させていただきたいと考えておりますので、大臣ほか政府参考人の皆様方、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
まず最初に、個人情報保護の関係についてお聞きします。
ビッグデータの活用というのは最近大変注目されております。報道も多いし、議論もされておりますけれども、私は、これが成長戦略にどういうふうに関係するのかどうなのか、この点に非常に関心を持っております。日本再興戦略改訂二〇一四にも世界最高水準のIT社会の実現ということで取り上げられております。情報通信白書でも六十兆円を超える売上向上効果があるといったような記述もあったりいたします。
ただ、一方で、少しちょっと分からないこともあるんです。といいますのは、例えば再興戦略の中もよく見てみると、書いてあるのは、ビッグデータの利活用を、そのための環境を整え、進めますとか、マイナンバーも、これを導入しますと書いてあるんですが、これがどういうふうに成長戦略に結び付くのかどうなのか。
例えば、例はちょっと違うんですけれども、広告業界のことなんかを考えて、これまで例えば新聞とかテレビの広告って大変多かったと思うんです。ところが、今ネットで、検索の記録とかを見て、その人に専用のというんでしょうか、その人にカスタマイズされたような広告が出てくるみたいなのがあったりして、確かに今ネットの方の広告はすごく増えているようです。しかし、それでテレビと例えば新聞なんかの広告が減っているとなれば、これは成長しているというよりはその区分が変わっている、パイの食い合いの中身が変わっているというような話でありまして、何か新しい成長に本当に結び付いていくんだろうかと。
例えばIoTと結び付けてとか、あるいは海外に持っていって、ビッグデータの分析をして、日本で売上げが増えるのはいいんですけれども、それだけだと食い合いみたいな話かもしれなくて、東南アジアにその仕組みを持っていって、そこで例えばそこの市場を何とか頑張って占有する、先に寡占できるように頑張ってみる、そういったものと結び付かないと成長戦略というふうにはならないんじゃないかと思うんですけれども、その辺りについて、このビッグデータの利活用、そもそも、ビッグデータと言いますけれども、ビッグデータって定義があるのかどうか知りませんが、ビッグじゃなくても、何というんでしょうか、今までもあったような話なのかもしれません。その辺りについてちょっと教えていただきたいと存じます。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
御指摘のとおり、成長戦略であります日本再興戦略の中でビッグデータの利活用の推進が掲げられているところでございます。今般の個人情報保護法の改正は、ビッグデータの利活用を推進するため、世界最高水準のデータ利活用環境を整備することを目的に掲げ、特に利用価値が高いとされているパーソナルデータの利活用環境を整備するものでございます。
その主眼は、現在パーソナルデータの利活用に企業がちゅうちょしているという利活用の壁を取り払うものでございまして、具体的には、今回の法案におきまして、匿名加工情報を新設することによりまして、例えばポイントカードの購買履歴、あるいは交通ICカードの乗降履歴などを複数の事業者間で分野横断的に利活用可能とするということによりまして、マーケティングあるいは御指摘の広告等の効果的な推進が図れるのではないかと。
(転載者コメント:おっと、「御指摘の広告等の効果的な推進」は匿名加工情報で扱えないでしょ。)
それから、よく産業界が期待している分野といたしまして、医療・健康分野がございます。現在、そういう医療分野のビッグデータの利活用というのは世界的に徐々に進みつつあるというところで、例えば、そういう匿名化された医療の履歴をビッグデータ解析することによりまして、新薬の開発ですとか新たな健康方法の創設ですとか、そういうふうな産業分野も期待できるのではないかと思っております。
そういう意味では、何といいますか、必ずしも移行していない面がないわけではない、移行というのは、テレビから例えばネットに移行している部分がないわけではないとは思いますが、一方で、そういう手段が拡大することによりまして、ますます、何といいますか、消費活動に刺激を与えるとかいうことも期待できると思っております。
それらが相まって、今回の、このような経済効果を確かにするために、匿名加工情報に関するものも含めまして、制度運用に係ります政令、規則、ガイドライン等を整備してまいりたいと考えているところでございます。
○上月良祐君 ありがとうございます。
私が最初に申し上げました方の疑問というんでしょうか、POS情報なんかを使ってやるという方が、本当にそれが成長戦略なんだろうかと。成長しないわけじゃないと思うんですが、少しはパイが広がるんだと思いますけれども、というところには必ずしもお答えがあったかどうかですけれども。私も、医療の方がやっぱり一つのポイントになるのかなというふうには思っております。
ちなみに、さっき一応ちょっと聞いたんですが、ビッグデータって定義ってあるんですか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
ビッグデータというのは、明確な定義は存在いたしません。一般的には、従来の顧客名簿のような少量かつ定型的なデータだけではなくて、情報通信技術の進展によりまして収集、活用が可能となった、多量性、多種性、リアルタイム性などの特徴を有したデータというふうにされているところでございます。
○上月良祐君 ありがとうございます。
ちょっともう一つお聞きしたいのは、国際的に見て、そういった利用環境というんでしょうか、そういったものは日本がどういう位置にあるのか。ITの活用全般は、日本というのは全般的に言うと遅れていると。セキュリティーの問題とか、あるいは経営上も守りの方を中心にどうも、しようがないからやっているんじゃないですけど、これはやらなきゃしようがないからやっているという方はありますが、攻める方でITを使うという意識が足りないと。これは何かそういうふうな意識のデータなんかもあったりして、ちょっと遅れている面があるというふうに言われてはおります。
ただ、国際的に見て、今お話がありましたような匿名加工情報という仕組みは世界で初めてなんでしょうか。そういうふうな取組だということでもありますので、今、日本が置かれているその状況というんでしょうか、その個人情報保護の中で活用できる環境づくり、それは世界の中と比べてどんな状況になっているんでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
日本の個人情報の定義は、容易に照合できる、他のデータと合わせて個人が識別できるものというふうになっているところでございます。
その際に、情報を移転する際に、容易に照合するのは情報の移転元か移転先かという議論がございます。日本の場合、これは情報の移転元で容易照合性があるということで解釈が統一されておりまして、そういたしますと、一旦個人情報となりますと、その情報の一部を提供する場合でも、これは大抵の場合、提供元において容易照合性はありますので、個人情報になってしまうという、そういうことはございます。
それは解釈で変更するか、いろんな手はあろうかと思いますけれども、今回はそういう意味で、匿名加工情報という新たな類型を設けることによって、法律に明確に個人情報を、そういう個人を識別できるデータを外して匿名化することによってその一部を移転することを明確化するというのが新たな試みであろうと思います。
これらの点については諸外国は解釈で行っているというふうなことはあろうかと思いますが、現在のそういう解釈に対して経済界が極めて、何といいますか、個人情報の利活用にちゅうちょしているという面はございます。
そういう意味で、現状の日本のビッグデータの利活用については、必ずしも世界のトップを行っているものではないというふうに認識しております。
○上月良祐君 ありがとうございます。
是非、環境を整えて、特に今回のような世界で初めて、本当の、どういうふうに定義するかで初めてかどうかというのは変わってくるのかもしれませんが、そういう取組をできるかどうかというのが成長戦略では私は一番重要だと思っております。
今までの日本は、やはりキャッチアップから抜け出せなかった、要するに人のまねをしていた。まねというのは、キャッチアップは追い付け追い越せなどと言われていましたけれども、キャッチアップはあくまで追い付きであって追い越せはないんだと思うんです。追い越せるかどうかというのは、新しい概念にチャレンジできるのかどうか。そういう意味で、匿名加工情報というのが世界でも余り例がないんだとしたらば、そういったところに思いっ切りチャレンジしていただきたい。そして、しかし、やる以上は、できるだけ制度的に漏れがないように、ミスがないようにきちんと見ていただきたいというふうに思っております。
それによって、企業が是非とも活用しやすいような環境づくりをしていただきたいと思っておるんですけれども、匿名化をするという度合いと、企業にとっての利用価値というのがトレードオフの関係にあると。余り匿名化をしちゃうと企業としては利用価値が少なくなってしまうというような御説明がたしか前回の委員会であったように記憶いたしております。なるほどなと、それはそうだと思っております。
そういう意味で、企業にとって使いやすい、何というんでしょうか、利用の仕組みづくりというんでしょうか、そういう点についてどういうふうなお考えでいらっしゃるのか、これはちょっと大臣に是非お聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(山口俊一君) 先ほどビッグデータの御議論もございましたが、実は私も勉強会等で、新井先生という方がロボットは東大に受かるかプロジェクトってやっておられるんですね。要するに、コンピューターに様々な試験問題を解かせるということなんですが、そのお話の中で、やはりビッグデータが利活用できるようになってAIの知能が質的変化を起こしたとおっしゃるんですね。今私立大学の八割は受かりますと豪語しておられましたが、そういったふうに物すごく大きな変革のまさに真っただ中に置かれておるんだろうと。そういう中で、いかに我が国もこれをしっかり分析をし利活用できるかというのは非常に大事な話であろうと思っております。
その中で特にやはり利用価値が高いというふうに期待をされておりますのがパーソナルデータ、これは個人の権利利益保護というのをしっかり確保しながらいかに利活用できるかというのが大変重要なポイントであろうというふうなことでございます。
そうしたことで、今回の法案におきましては、パーソナルデータの利活用を促進をするというふうな観点から、先ほど御議論ございました匿名加工情報、こういった新たな類型を設けて、本人同意に代わる一定の条件の下、自由に利活用できる環境を整備をするというふうなことにしておるわけでございまして、この匿名加工情報の具体的な加工の程度あるいは加工後の情報の有用性というのは、今委員も御指摘いただきましたようにトレードオフの関係にもあろうと思いますけれども、この加工の方法などの基準を定めるに当たりましては、個人情報の保護と利活用のバランス、これを適切に図っていく観点から、消費者の皆さん方あるいは産業界、専門委員等の御意見、これを幅広くお聴きをするとともに、その結果を委員会規則とかあるいはガイドラインに反映をするとともに、それを踏まえた民間の自主的なルールの策定、これを促してまいりたい。それによって、しっかりと保護をしながらちゃんと利活用できるというふうなところに持っていきたいと考えております。
○上月良祐君 ありがとうございます。
私は利活用のことを随分言いましたけれども、今の大臣の御答弁を聞いて大変安心をいたしました。利活用をするためにどんどん使っていって個人の権利義務が侵されるということになってしまうと、これは企業も安心して使えないわけですね。だから、逆に言うと、ちゃんとそれが守られているから、そのルールがきちんとできているからこそ企業も使いやすいということなんだと思います。なので、どちらも、そこはトレードオフの関係じゃなくて、それは両方とも軌を一にするものだと思います。きちんと守る、守られているからきちんと使えると、そこのところを是非とも今回、いろいろ難しい、これから細かいルールを作っていくことになると思いますけれども、しっかりやっていただきたいと思っております。
マイナンバーの方も少し聞かせてください。
(略)
○上月良祐君 ありがとうございました。以上で終わります。
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。今日は久しぶりに内閣委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
思い起こせば、前回質問をさせていただいたのは二年前のマイナンバー法のときでしたので、何か巡り合わせを感じるわけですが。今日はいろいろと質問させていただきたいところがあるんですが、個人情報保護法改正案にとりわけ集中して、様々課題について質疑をさせていただきたいと思いますので、大臣、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。
(略)
○石橋通宏君 その点、確認させていただきました。また後ほど、若干また戻って質問させていただきます。
それでは、今日、私の質問のメーンですが、匿名加工情報について特に集中的にいろいろと確認をさせていただきたいと思います。
大臣、改めて、先ほど今回の改正の目的ということで御説明をいただきましたが、匿名加工情報を今回新たに設けたというのが私も恐らく目玉だろうなというふうに思っているわけです。だから、逆に、この匿名加工情報がいかなるものなのかということについて、これ、本当に明らかにしていくことが改正の趣旨にも合致するんだと思うんですね。
改めて、大臣、今回匿名加工情報を規定した目的についてですが、これ、何なんでしょう。第三者に対する提供を促進するためなのか、目的外利用をもっともっとできるようにするためなのか、一体、端的に結構ですから、何のために匿名加工情報を定義をするんでしょうか。
○国務大臣(山口俊一君) 今回の法案では、今委員御指摘のとおり、新たにこれは特定の個人を識別できないように加工された匿名加工情報、これを新たに定義をさせていただきまして、一定条件の下で本人の同意なく自由な情報の流通、利活用を認めて、データの利活用が促進をされるということを実は期待をしておるところでございまして、この匿名加工情報の利活用によりまして新事業、新サービス、これの創出が図られることにもなりまして、結局、ひいては国民生活全体の質の向上に資するというふうに考えておりますが、このような匿名加工情報、この利活用による様々な効果が最大限に発揮をされるように必要な環境整備に努めてまいりたいということであります。
○石橋通宏君 大臣、匿名加工情報というのは個人情報の一部ですか、それとも匿名加工情報というのは個人情報とは全く別のものですか。
○国務大臣(山口俊一君) やはり匿名加工情報というのは、加工することによって特定の個人を識別することができないようにするわけですから、いわゆる匿名加工情報自体は個人情報という類型から外していく、ただ、やはり照合性というのは、一〇〇%これどうなのかということもありますので、そこら辺に関しては、若干ルールとして使い方に関しては規則を決めていくということになるわけです。
○石橋通宏君 お手元に資料をお配りをさせていただいて、一ですが、大臣、その辺曖昧にしていただくとちょっと問題なので。加工されてでき上がった、法律上定義には合致した匿名加工情報は、個人情報とは別のものになるということでよろしいですね。
つまり、これなぜ大事かというと、法案で言うと第一節第十五条から第三十五条までの規定と、第二節の規定というのがあるわけです。これ改めて確認しますが、第十五条から第三十五条までの規定というのは、これは匿名加工情報、匿名加工情報取扱事業者には適用されないものだということでよろしいですね。
○政府参考人(向井治紀君) 匿名加工情報は個人情報に該当いたしません。したがいまして、御指摘のとおりになります。
○石橋通宏君 実はここが大事なところだろうなと。衆議院の審議でも若干そこが混同されているような議論が散見されたものですから。
改めて確認しますと、第十五条から第三十五条までの規定というのは、これはあくまで個人情報と個人情報取扱事業者に関わる規定で、匿名加工情報には適用されないというのが今答弁で御説明をいただいたと思いますので、その辺、それでよろしいんですね。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
元々、匿名加工情報の元は個人情報でございますので、個人情報であるうちは当然されますが、それが匿名加工情報になったら個人情報ではございませんので、それらの規定は適用されません。
○石橋通宏君 そこを是非明確化してください。
それで、じゃ、匿名加工情報ですが、これ定義で、識別することができない、かつ復元することができないと、これ二つ並列で並べられて、かつで結ばれておりますけれども、この識別することができない、かつ復元することができない、これどういう状態ですか。
○政府参考人(向井治紀君) まず、識別することができないというのは、それらの情報を合わせても特定の個人を識別する、これができない、要するに個人情報には当たらないということになる、何といいますか、識別できないということなので、個人を識別できないということでございまして、復元できないというのは、通常の手段を用いてそれらを元に戻そうとしても元の個人を識別することができない、したがって復元することができないと、そういうことでございます。
○石橋通宏君 そうすると、さっき大臣、容易照合性の問題があるので云々言われたけれども、これ、匿名加工情報になれば容易照合性は関係なくなるんじゃないんですか。そこを明確にしてください。容易照合性がなくなるから匿名加工情報、これ第三者利用も含めて自由にできるということにしているわけですね。そこでまだ容易照合性の問題が残ると言ってしまったら、じゃ、匿名加工情報って何なのかということになりませんか。容易照合性の問題がなくなった状態が匿名加工情報だということでよろしいですね。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
むしろ、個人情報でございませんので容易照合性云々の議論には当たらないと、そういうことでございます。
○石橋通宏君 当たらないということですから、大臣、先ほどちょっと当たるようなニュアンスの答弁だったんじゃないかなと思いますので、そこは明確に、容易照合性というものは匿名加工情報については問題にならないんだと。逆に言えば、なってはいけないわけです。そこのところは、是非政府も統一的にきちんと答弁していただければなというふうに思います。
これ先ほど、これ向井審議官でいいですが、技術的に、先ほどもちらっとおっしゃいましたが、じゃ、技術的に絶対に復元はできないのか、不可能なのか、そこまでやらなきゃいけないのかということがちょっと心配、懸念のところにもなるわけですが、これはどうなんでしょう。技術的に絶対復元できないというところまで求めるのか、いや、そこまではさすがに、スーパーコンピューターを使って解析すれば何とかなっちゃうなというので、一〇〇%はやっぱり技術的にはあり得ないということは認めた上での匿名加工情報なのか、そこだけもう一回確認お願いします。
○政府参考人(向井治紀君) 技術的に一〇〇%復元できないということはなかなか難しいと思っておりまして、そこは通常の手段を用いて復元できないということで、一〇〇%復元することを不可能にすることまで求めるものではございません。
○石橋通宏君 要は、照合してはいけない、つまり元データに戻してはいけないと、それを禁止することでこの匿名加工情報の信頼性を担保している、そういうつくりになっているということでよろしいですね。
○政府参考人(向井治紀君) 御指摘のとおりでございます。
○石橋通宏君 そこも併せて確認をさせていただきました。技術的には、技術どんどん進歩しますので、一〇〇%復元不可能だということは、それはやっぱりさすがにそこまでは要求できないと。しかし、復元してはいけないということを法律上も担保しているので、それによって匿名加工情報の信頼性、安全性というものを担保する仕組みになっているということで今確認をいただきました。
それでは、大臣、復元すること、先ほど、例えばスーパーコンピューターとか、そういうもう想像できない、普通にはアベイラブルではないものを使ってやることまではさすがに一〇〇%はできないけれども、通常一般からいったら復元、照合できないんだということだということで説明いただきましたが、じゃ、通常一般に復元することができるような加工情報は法律上言う匿名加工情報にはならない、当たらないという理解でよろしいですね。
○国務大臣(山口俊一君) 御指摘のとおりで、更に申し上げますと、さっきの答弁させていただきましたのは、今お話がありましたように、一〇〇%復元ができないかどうかということに関してはこれからの技術の進歩等々を考えると言いづらい面があるというふうなことと、例えば事業者が復元を勝手にしてしまうというふうなことがありますので、そこら辺は法律的に担保を保つということでさっきあのような答弁をさせていただいたわけでありますが、先ほど参考人の方からお答えをしたとおりであります、基本的には。
○石橋通宏君 なので、大臣、復元することができる、つまり、先ほど私が言ったのは、容易照合性の問題ですから、容易照合性の問題ですから、スーパーコンピューターを用いなければ照合できないのは、これ僕は容易照合性とは言わないと思っていますので、そこをだからちゃんと整理して、つまり、通常一般的に、今現在、誰でも使えるような技術を使ってはそれは戻せないということでいっていただければそれは容易照合性に当たらないわけですから、そこの確認と、逆に言えば、今一般的に復元することができるように加工された情報というのは法律上の匿名加工情報には当たらないということでよろしいですかというのが私の質問です。
○国務大臣(山口俊一君) 法律的には当たらないというふうに考えていただいて結構でございます。
○石橋通宏君 法律上は当たらないと。つまり、それは個人情報のままだということでよろしいですね。
○国務大臣(山口俊一君) そういうことであります。
○石橋通宏君 そこは大変重要なところです。
といいますのは、第三十六条の条文を、これ改めて確認をしていきますと、これは、個人情報取扱事業者、個人情報を持っている事業者が匿名加工情報を作成する、つまり、意思を持って、これから法律上の匿名加工情報を作るんだという意思、意図を持って、その委員会規則で定める基準に従って個人情報を個人を識別できないよう、かつ復元できないよう、これ法律の要請ですね、加工したものが匿名加工情報であるという規定になっているわけです、ですね。
とすると、これに合致しない加工情報というのは法律上の匿名加工情報にはならないということで整理をしたいと思いますが、それでよろしいですね。
○政府参考人(向井治紀君) 御指摘のとおりでございます。
○石橋通宏君 ということは、これ、かねてから衆議院でも質疑出ていたと思いますが、個人情報を持っている事業者が、例えば安全上の観点から、これは今、現行でもよくある話です、匿名化をする若しくは仮名化をすると。一定の識別情報等々を取り除いて、普通取り扱うというようなことはされております。今回、それが、じゃ、匿名加工情報に当たるのではないかと。どこからどこまでが当たるのか当たらないのかということが、かなり混乱を持って議論されてきたわけです。
今の御説明でいくと、そういう場合、つまり事業者がこれは匿名加工情報を作るので規則にのっとってこれを加工しましたというのでなければ匿名加工情報には当たらないという今御説明だったので、とすると、先ほど言ったように、事業者が安全上の観点などなどから全く別の目的で加工化した、仮名化した、それは法律で言う匿名加工情報には当たらないというのが政府見解であるということでよろしいんですね事業者が安全上の観点などなどから全く別の目的で加工化した、仮名化した、それは法律で言う匿名加工情報には当たらないというのが政府見解であるということでよろしいんですね。
○政府参考人(向井治紀君) 委員御指摘の、形式的に匿名化を施したというふうなもの、加工を施したという場合にまで匿名加工情報としての取扱いを求めるものではございません。
○石橋通宏君 そうすると、一体どういう場合に、どういう時点に法律上、匿名加工情報に当たるものになるのかというのは、誰がどう判断するのかということが非常に曖昧にむしろなるのではないかなということが心配されるわけです。
大臣、そうすると、この三十六条の規定にのっとって、個人情報取扱事業者が匿名加工情報を作るんだという意図を持って規則にのっとって作りましたと。そうすると、公表の義務が生じるわけですから、それをもって事業者は公表するわけですね。その場合にのみ、法律上の匿名加工情報として扱われると。つまり、事業者が、いや、これは僕は匿名加工情報を作る意図はなくて、あくまで自社内の利用とか、あくまで安全上の対策とかでやるもの、仮名化をするものであるから、これは法律上言うところの匿名加工情報を作る意図も何もありませんと。そういう加工化というのはそれに当たらないので公表しませんから、それは、要は作成した事業者の側が公表する公表しない、意図を持って作成する作成しない、それをもってこの法律上の三十六条の定義に当たるか当たらないかが判断されるという整理でよろしいんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 実際に、先生御指摘のとおり、どこでまさに匿名加工情報になるのかというのが明確化されるというのは、まさに公表されたときだというふうに考えております。
○石橋通宏君 そうすると、いいですか、整理しますが、匿名加工情報を作るという意図を持って正式な基準にのっとって作成をされたと。定義に合致するようにそれが、匿名加工情報が作られたと、事業者が意図を持ってね。それで、公表すればこの法律の匿名加工情報、第二節の規定に照らし合わせてそれが適用されるという整理でよろしいということなので、そうでないもの、そういう意図を結果的に、結果的にですよ、事業者がそういう意図がなかった、基準にものっとっていない、でも結果的に個人情報を何らかの仮名化なり匿名化の加工をしたら、条文には合致するように、要は識別できない、復元もできない状態になってしまったんだけれども、これは、いや、私はそういう意図で作ってないですから、だから公表もしませんよという、それは法律上には問題にならないという整理でよろしいですね。向井審議官、もう一回そこだけ確認。
○政府参考人(向井治紀君) 御指摘の場合につきましては、およそ利活用なされていないものでございまして、特にそれによって権利侵害だとか起こる問題ではございませんので、基本的にはそういうふうな場合に公表する必要はないものと考えております。
○石橋通宏君 そこが恐らくこれまで大変混乱して議論されてきた部分ではないかなと思いますので、今御答弁をいただきましたので、改めて三十六条の意味、匿名加工情報、法律上の匿名加工情報に当たるものがどのようなものなのであるかということについて整理をいただいたんだと思います。つまり、事業者がこの法律上の規定にのっとって意図を持って作成した、そして、だからこそ公表をしたと、その場合に、一般的には法律上の匿名加工情報に当たるので、そうでないものについては当たらないから、それは今後とも個人情報として個人情報の規定が適用をされ続けるという整理だったと思いますので、そこを確認をさせていただきたいと思います。
そうすると、もう一つの問題が生じてきますね。そうすると、事業者が個人情報を加工して、匿名加工情報を作ったと。ルール、基準にのっとって作りましたと。しかし、例えばそれが不十分な匿名化だったというふうになるとしましょう。つまり、基準にのっとって作ったつもりだったんだけれども、実はそれが復元可能だった、その場合には、それは基準に照らし合わせて適切ではないから、匿名加工情報にはならないんですか。つまり、不十分なので、つまり識別可能だったり復元可能だったりするから、それは、事業者はそのつもりで加工してそう公表したんだけれども、でも要件は実は満たしていないから匿名加工情報にはならない、つまりそれはいまだに個人情報という扱いになるんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 御指摘のとおりでございます。
○石橋通宏君 それはどこの段階で気付くんでしょうね。
例えば、匿名加工情報だと思って匿名加工情報を作りました、公表しました、でも実はそれが不十分でした。つまり、識別できちゃう、容易照合性があっちゃった。でも、事業者は、匿名加工情報、つまりもう容易照合性がなくなったものとして扱って公表もしているので、先ほど大臣言われたとおり、自由に活用するわけです。自由に活用されちゃった。そうしたら、後になって、いや、十分じゃなかったじゃないか、匿名加工情報、これ容易照合性があるじゃないかといったときに、だからそれは個人情報なんだといっても、これは後の祭りにならないですか。それ、どうやって整理するんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 御指摘の場合につきましては個人情報という取扱いになりますので、個人情報の不適切な第三者提供ということに当たるということになろうかと思います。その場合には個人情報保護委員会からの指導、命令等が起こるものと思っております。
その端緒といたしましては、そういう公表されているものを個人情報保護委員会がチェックするというのもございましょうし、個人の方からのいろんな苦情等を端緒とする場合もあるんじゃないかというふうに考えております。
○石橋通宏君 これ確認ですけど、先ほど大臣もちらっとおっしゃいましたが、これ、匿名加工情報というのは、作成する際に元々の個人情報の所有者に同意は要りませんね。第三者提供するときも目的外利用するときも、匿名加工情報ということでいけば何の要求もありませんね。しかも、トレーサビリティー、今回、個人情報の点ではトレーサビリティーというのを強化をしました。でも、匿名加工情報にはトレーサビリティーありませんね。唯一の要件は、これは匿名加工情報であるということをきちんと明確化するということだけですね。それでよろしいですね。
○政府参考人(向井治紀君) 御指摘のとおりでございます。
○石橋通宏君 そうすると、先ほど向井さん、いや、それは、不十分なやつは個人情報だから、それは個人情報の規定が当たるので、個人情報をその要件に従わないままやったということで指導の対象になる、罰せられるという話だと思いますが。
しかし、一旦、匿名加工情報として、今申し上げたように、本人の同意も要らない、目的外利用の通知も要らない、何にも要らないわけです。自由に使えるのが今回、匿名加工情報の趣旨ですからね。とすると、もう自由に流通しているわけです。間に幾つもの業者がひょっとしたら入ってしまうかもしれないし、それが実際に様々な新たなサービス提供なり目的で使われているかもしれませんね。で、どこかの段階で、いやいや、これ照合性あるじゃないかといって気付いたときに、それで元々誰だといったってトレースできないんでしょう。どうやってそれを元々のところまでトレースして罰するんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 匿名加工情報としてやる場合は公表いたしますので、公表元がまず、そこがその情報が不十分だという、そこの元は多分分かるんだろうと思います。それがばあっと広まった場合にどうかというのは、御指摘のとおりでございます。
したがいまして、匿名化あるいは復元の可能性をなくすための加工方法につきましては、できるだけそのような誤解の生じないようなガイドラインないし、あるいは認定保護団体の指針等を作っていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○石橋通宏君 今、元々作成したときに公表するので、それは元々公表したところについては分かるのではないかというお話でしたが、匿名化加工されて様々にもう流通をしてしまったところの大本の公表のところまでたどって判断できるのかどうか、そういうところが一つ課題になるのではないかと思います。
今、向井さんが、そもそも作成する段階でしっかりしたものをということだと思います。そこのところをちょっと併せて確認をしたいわけですが、じゃ、個人情報保護委員会が基準というものを作る、その基準にのっとって匿名化をするということで先ほど確認をさせていただきました。
保護委員会が作る基準、改めて確認ですが、これどんな基準を作るんでしょうか。要は、多種多様な業種に多種多様な個人情報がある中で、それを匿名化する基準というものを一律に作れるんでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) まず、保護委員会の基準につきましては、例えば氏名を外すのはある意味当然でしょうけれども、住所の場合につきましては例えば市町村名を外すとか、あるいは年齢の場合ですと年齢の階層を五歳刻みにする、十歳刻みにするというのは、多分、情報の量によって違ってくるんではないかと。
それから、特異な行動をするパターンについては、そういうものについても、そういうふうなものを外すような加工方法がございますので、そういうことを措置を講じるというふうなことを一般論として、何といいますか、個人情報保護委員会が決めていくということになろうかと思っています。
業種ごとにいろんな情報があろうかと思いますので、それらについては、業種ごとに認定個人情報保護委員会が決めていくということでございます。
済みません。先ほどちょっと答弁にミスがございまして、提供する場合も匿名加工情報は公表することになっておりますので、その公表によってある程度はトレースできるのではないかというふうに思います。
○石橋通宏君 今ちょっと訂正をいただいた部分で、匿名加工情報については、第三者提供するときにも第三者提供したことを公表する。つまり、ごめんなさい、それは、それによってトレースができるということの意味の公表ですか。それとも、あくまでこれ第四項のことを言われている、この情報の項目、提供の方法については公表しろということになっていますが、それによってトレースもできるんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 全てがきっちりとトレースできるというわけではございませんけれども、若干のトレースの可能性は増えるんではないかというふうに思っております。
○石橋通宏君 いや、若干という意味が分かりませんが、匿名加工情報を受けたところは、それを受けたものをまた別の第三者に提供するときには、そのときにもその公表の義務が課せられると。だから、これをずっとたどっていけば、それはずっと追うことができると。つまり、トレース、どこの誰にどう提供したかという個人情報と同じようなトレーサビリティーの義務は掛かっていないけれども、実質的にこの第三者提供のときの公表ということをトレースしていくことは可能なので、同様の効果が生じるということなんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 通常の個人情報ほど提供先まで明示してなどの記録義務が掛かってくるわけではございませんので、そういう意味では、提供先まで公表しているわけじゃないので、そういう完全なトレーサビリティーがあるわけではございませんけれども、先生がおっしゃるように、提供するたびに提供することを公表するのをたどっていけば、何もないよりはトレースできる可能性が高くなるものと思っております。
○石橋通宏君 そこのところは、恐らく先ほどの問題の指摘含めて重要なところだろうと思いますので、もう一度きちんと整理をして確認をいただければと思いますが。
私が質問したその基準の件ですが、資料でいくと二のところでその辺ちょっと整理をさせていただいておりますけれども、今、保護委員会が策定する基準というのはあくまで一般論、基本ルールであるということだと思います。個別具体的な加工方法というのは、これは認定団体が作っていくんだという整理になっていると思います。
それでは、認定団体がこの個別具体的な加工方法、加工ルールというのは作るんだということでしたけれども、それは、じゃ、その認定団体が作る個別具体的なルールにのっとって匿名加工情報を作ることは義務付けられていますか。
○政府参考人(向井治紀君) 認定団体のない場合もございますので、それが義務付けになっているわけではございません。
○石橋通宏君 つまり、これ、委員会の基本ルール、一般論的な基本ルールにさえのっとって作ればいいというのが法律上の要請ですね。つまり、認定団体が個別具体的なルールを作るんですと先ほどから言われていますけれども、しかし、それは義務じゃないわけです。認定団体がないところもあるので、認定団体がないところは、それはその業界独自の、分野独自のルールというのは作れませんから。
とすると、企業が自分のところの自主的なルールなり自主的な加工方法で加工する、あくまで委員会の作る一般論的な基本ルールにのっとって作るということのみが法律上の要請だということで、もう一回そこだけ確認してください。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
その委員会の、加工方法の、作る規定の仕方というのは、認定個人情報保護団体がない場合について、やはり委員会の保護規則がある場合とない場合では変わってくるんじゃないかという気はしております。
例えば、委員会の保護規則を、委員会におきます匿名化をする場合の規則を作る場合に、通常、こういうようなことを、一般論書いてありますし、それ以外の部分について、個別論についてもこれこれこういうことをしなさいと書きつつ、認定保護団体がある場合にはそちらに従うというふうな書き方がありますので、そういうふうなことで適切に対応できるのではないかというふうに思っております。だから、認定保護団体がないところが緩くなるというようなことにはならないようにするような規則を作る必要があると思っております。
○石橋通宏君 いや、しかし、保護委員会が作る一般論的な基本ルール、これは一般論なんですよね。
ということは、具体的な様々、多種多様な業種、業態、それに対する個別具体的なルールというのは委員会は作らないわけでしょう。あくまで一般論的な共通の基本的なルールのみを作るのが委員会規則であって、個別のそれぞれの業界に特有の個人情報の加工ルールというのは、それは委員会規則には含まれないんでしょう。そういう整理でいいですね。
○政府参考人(向井治紀君) 個々の、何といいますか、特殊な事例、特殊な業界ごとのものは、基本的には認定保護団体があれば認定保護団体に任せるということになりますが、認定保護団体のない場合についてその部分が緩くならないような措置というのは必ず必要になってくると思います。
○石橋通宏君 今言われた措置というのは、じゃ、その認定保護団体がない業界、業態、分野については、保護委員会がそれに応じた個別具体的なルールを作るという意味でおっしゃっているんですか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
基本的には、個人情報保護委員会が定める基準を遵守してもらうことで法が求める最低限の適正な状態が確保されるとは想定をしておりますけれども、特に認定団体が存在していない事業分野については、委員会が、当該分野に特有の匿名加工方法があるような場合には、QアンドAを作成するなりガイドラインを作成するということも考えられるのではないかと思っております。
○石橋通宏君 大臣、これ御存じですね。もう様々な業界団体の皆さんから、ここについては懸念なり要請なりが出されているはずです。つまり、保護委員会が全てのあらゆる多種多様な業界の扱う個人情報についてルールを定めるなんて、それは不可能だと。だから、是非それぞれの業界の団体に任せてほしいと。委員会が作る規則はあくまで、先ほど言われたように、一般論の基本ルールだけ作ってもらって、個別具体的なやつは業界に任せてほしいという、そういう整理になっているはずですね。だから、そこを懸念されているわけです。
なので、団体がないところは委員会が作るんですという、そういうもし答弁されているのであると、それは、いや、そんなことできないだろうと。僕も心配ですよ。そんなこと果たして委員会のあの後ほど言う体制でできるのか。いや、できないでしょう。いや、できないことをやるとおっしゃっているのか、いや、そうじゃないとおっしゃっているのか、分からない。
とすると、じゃ、認定保護団体が今ないところは、やっぱり極力認定保護団体をつくっていただくんだと。だから、それで認定保護団体に全ての個別具体的なルール、ガイドライン作りというのはやってもらうという方向でいいのか。ちょっとそこの整理をもう一回してください。
○国務大臣(山口俊一君) まさに先生御指摘のとおりで、ともかく認定個人情報保護団体をしっかりつくっていただく、これは力を尽くしていきたいと思っておりますし、同時に、できるだけ認定保護団体のないところに関しても御相談に乗るというふうな格好で、それと、一般論的なことになるかも分かりませんが、しっかりとQアンドA辺りを作って、それを周知をしていく。さらには、例えば町内会等々、そういったところもあろうかと思います。そこら辺に関してもちゃんとした、ガイドラインというかQアンドAというか、分かりやすいものを個人情報保護委員会としても提供していきたいというふうに思います。
○石橋通宏君 なるべく認定保護団体をつくっていくという大臣の答弁でありましたが、そうすると、これ、いろんな業界、今、認定保護団体、大体四十一ぐらいあるというふうにお聞きをしております。最終的にどれぐらいの業界、業態があって、どれぐらいの認定保護団体を作成する必要があるのか私も想像も付きませんけれども、逆に、それを促進していく、促していくためには、当然、それぞれの業界の皆さんに、認定保護団体を是非つくってくれと、是非登録して、認定受けてくださいという何らかのインセンティブが必要なのではないかなと。
これも業界の皆さんは強く、じゃ、つくったからといってどういうメリットが団体の方にはあるのかと。いや、それは委員会が仕切るなら、じゃ委員会が仕切ればいいじゃないかと。でも、やっぱり認定保護団体をつくって登録して頑張ればこういうインセンティブがあるから是非そうしてほしい、そういう何か具体的なものがあるんでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
まず、まさに認定保護団体を広くつくっていただきたいというののやはり一番の理由というのは、そういう認定保護団体がありますと、その業界に適した、何といいますか、そういう加工方法というのを随時に、随時といいますか、機動的に定められるというのが一つのメリットであろうかと思っております。それから、そういう認定保護団体があるということが、また消費者との信頼を深めるとか、そういうふうなメリットもあると思います。
これらにつきまして、是非そういうふうな各種業界に働きかけを行っていく必要があるというふうに考えております。
○石橋通宏君 今日、質疑を通じて匿名加工情報について様々明らかにさせていただきまして、正直申し上げて、一番のポイントは、この匿名加工情報がどれだけ適切にその定義にのっとって、つまり容易照合性がない形で、信頼性ある、安心ある形で作られ、それが活用されるかということに尽きると思います。そうすると、いかに今申し上げた認定個人情報保護団体がしっかりと活動いただけるかということ、ガイドラインをしっかりちゃんとしたものを作っていただいて、それにのっとってちゃんと匿名加工情報を作成していただくということに尽きるんだろうなというふうに思うんです。
だからこそ、ここは是非これ政府のイニシアチブで、全ての業界にきちんと認定保護団体がつくられて、そしてちゃんとしたガイドライン作っていただいて正しく匿名加工情報が作成されるように、これ失われちゃうと、大臣、もう全て今回の改正、信頼失われてしまいますから、そこのところをもう最大限やっていただくことをお願いをしておきたいと思います。
あと、残り時間が少なくなってきましたので、幾つか確認だけさせていただきたいと思いますが、今回、併せて要配慮個人情報も新たに規定をされました。
これ、要配慮個人情報も、当然、加工すれば匿名加工情報になるということ、できるんだということだと思っておりますけれども、そうすると、これは一点確認ですが、単なる個人情報と要配慮情報を含む要配慮個人情報と、加工のルールというのは変わりますか、同じですか。
○政府参考人(向井治紀君) 要配慮個人情報というのは幾つかのものございますけれども、例えば人種とかそういうのは当然分からないようにしろということになろうかと思いますけれども、要配慮個人情報だからというふうな加工方法の違いはないものと考えております。
○石橋通宏君 それは、つまり、保護委員会が策定する基準なり、それぞれの認定団体が作るガイドラインなり、それは個人情報、要配慮個人情報、それを分けてルール設定する必要はないという見解だということでよろしいですね。つまり、一定のルールの下に加工すれば、要配慮個人情報、要配慮の部分は確実になくなるので特に分けてやる必要もないという、そういう整理だということでいいですね。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
要配慮個人情報につきましては、大抵の場合それはそもそも加工情報に入らないものが多いと思っておりますが、医療履歴なんかはむしろ、まさにそういう分野の加工方法として規定されると思いますけれども、いわゆる要配慮個人情報と通常の個人情報を分けた規定の仕方が必要になるものとは考えておりません。
○石橋通宏君 そこのところは、是非、間違いなく大丈夫なんだということであれば、それは確実にそういうふうにしてください。これ一番心配されるところだと思います。
まさに今、向井さん言っていただいた医療の関係とか、これ、今回のビッグデータ活用、パーソナルデータ活用でいけば、やっぱり医療・介護連携ですとか、国民の皆さんの福祉の向上ですとか、様々な公共サービスの提供ですとか、非常にやっぱり重要なポイントなんです。重要なポイントだからこそ今回わざわざ要配慮情報というのを区分けしたわけですから、そこが匿名加工された際にどうなるのか、同じルールでやって間違いないのかということは、これ心配されるところだと思いますから、今日、答弁は、同じルールでやって、要配慮情報は確実に削除されるから問題ないんだという答弁だったと思いますので、確実に現場の運用でそうなるように、これは担保してください。
もしそうならないのであれば、僕は、これはそれぞれのやっぱり情報に応じた加工のルールがあるということであれば、要配慮個人情報に応じた加工のルールというのはあってしかるべきなんだろうなと思ってこれを確認しているんだけれども、そうでないということなので、そうではないなら、それが確実に加工の段階で要配慮があるものもないものも、加工した後ではそれは一切見えなくなっているということが担保されるということで是非よろしくお願いします。
何かありますか。
○政府参考人(向井治紀君) 済みません。やや舌足らずだったかもしれませんが、要配慮情報かどうかで決まるのではなくて、情報の種類によっては、その情報の種類によって加工方法を定めるものは当然出てくると思いますので、その対応で足りるのではないかという趣旨でございます。
○石橋通宏君 そこは是非しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
時間の関係で最後になるかもしれません、まだ幾つかありましたが。
(略)
○委員長(大島九州男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
平成27年6月2日
参議院内閣委員会、財政金融委員会連合審査会第1号
平成27年6月2日
参議院内閣委員会第11号
平成27年6月4日
参議院内閣委員会第12号
○委員長(大島九州男君) 個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
(略)
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。
先週に続きまして、内閣委員会で今日も六十分の質疑時間をいただきまして、ありがとうございます。
先週、山口大臣と個人情報保護法改正案、とりわけ匿名加工情報についていろいろと議論をさせていただきまして、かなり、それまで若干分からなかった部分についてクリアにさせていただくことができたのではないかというふうに思っております。
今日は先週の質疑でやり残した部分と、とりわけ十五条の関わりについて質疑をと思っておりましたが、もう既にお話が松下委員からもございましたとおり、今週になりましてこの日本年金機構、前代未聞の、今分かっているだけで百二十五万件という大変な、大切な国民の皆様の年金情報、個人情報が漏えいをしてしまったという。まず、松下委員も言われましたけれども、今本当に多くの皆さんが不安に思われている、自分の年金は大丈夫なのか、どうなってしまったのかと。この問題をしっかりと対応して、なぜこれが起こってしまったのか、そして、どう皆さんのこの情報をしっかり保護するのかということを議論させていただかない限り前に進めないなという思いがするものですから、今日はまずこの問題から入らせていただきたいというふうに思います。
(略)
平成27年6月10日
参議院地方・消費者問題に関する特別委員会第5号
○福島みずほ君 消費者の権利という観点から、パーソナルデータ、ビッグデータ、マイナンバーなどについてお聞きをいたします。
匿名加工情報についてとりわけお聞きをいたします。匿名加工情報とは、「特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。」とされております。匿名加工情報の第三者提供に関する内閣官房、消費者庁の見解はどうでしょうか。
○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、個人情報保護法上、個人情報は特定の個人を識別することができるということが要件の一つになっておるところでございます。今回の法案におきます匿名加工情報は、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、かつ元の個人情報を復元することができないようにしたものでございます。したがいまして、個人情報には該当しないものでございます。
今回の法案におきましては、消費者保護にも配慮をいたしまして、データの利活用による新事業、新サービスの創出を促進するという観点から、新たに匿名加工情報を定義をいたしまして、委員会規則に基づく適正な加工とか、加工に関する情報等の安全管理措置などの一定の条件の下におきまして、本人の同意なく第三者に提供できるようにするものでございます。
消費者保護にも配慮しながら、自由な情報の流通、利s活用が促進されることを期待をしているところでございます。
○政府参考人(服部高明君) お答えさせていただきます。
匿名加工情報は、個人情報を誰に関する情報であるか分からないように加工し、本人の権利利益の侵害のおそれを低減したものと承知しており、その前提において消費者の権利利益を害するものではないと考えております。
また、改正法案では匿名加工情報の作成方法や安全管理措置の基準等が個人情報保護委員会規則で定められることになっているところ、消費者庁としては、匿名加工情報に係る制度設計が消費者の理解を得られるものとなり、消費者の安心、信頼を損なわないよう運用されることが重要であると認識しております。
法改正後は、新設される個人情報保護委員会が個人情報保護法を所管することとなりますが、消費者庁としても、同委員会と連携しつつ、消費者の利益の擁護及び増進を図るべく必要な取組を行ってまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 消費者の立場からすれば、自分のデータをビッグデータにしてそれを売買するということは予想していないと思うんですよ。そんなこと頼んでいないし、そんなこと同意していないよというのが消費者の立場ではないでしょうか。
JR東日本と日立製作所の連携による四千三百万枚のSuica情報売買問題に関して、国土交通省はどのような注意、指導を行っているでしょうか。
○政府参考人(篠原康弘君) お答え申し上げます。
御指摘の平成二十五年六月のJR東日本の事案でございますが、JR東日本によりますと、Suicaの旅客流動に関するデータの中で、氏名、連絡先、Suica番号等を削除して、個人が特定できないような加工をした上で日立製作所に提供したということでございましたが、国土交通省といたしましては、利用者の不安を惹起するおそれのあるデータの提供につきましては個人のプライバシーに配慮して慎重かつ丁寧な対応を行うことが望ましい旨の指摘を行ってございます。
○福島みずほ君 このSuica情報売買は、現行法において、適法なんでしょうか違法なんでしょうか。
○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
事案の発生当時、Suicaに関するデータにつきましては、氏名、連絡先、Suica番号等を除くことなどによりまして、個人が特定できないよう加工した上で日立製作所の方に提供されたものだというふうに承知をしているところでございます。
個人情報保護法上、個人情報とは、特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含むというふうに規定をしているところでございます。
他の情報と容易に照合できるかどうかにつきましては、当該情報にアクセスできる者の範囲、アクセス制限の技術的な措置等を踏まえて総合判断をする必要がございまして、御指摘の事案につきましては直ちに違法性があるとまでは言えないということで、このような事案につきまして、JR東日本を始め、グレーゾーンとして対応が困難という意見があるところでございます。
したがいまして、現在、匿名加工情報という新たな類型を設けることといたしまして、法改正案を国会で御審議をいただいているところでございます。
○福島みずほ君 個人情報保護法の今回の改正案にも、大きく匿名加工情報についてできるというふうにやっているんですね。これは消費者の権利という観点から極めて問題ではないか。
例えば、Suicaの情報は、池袋駅に夜六時に降りた人が二十代、三十代、四十代、男女別でどうで、どこから来ているかというのが全部分かるわけですよね。こういう情報って物すごくビジネスチャンスになるので、そういうことはSuicaを購入するときには考えていないが、自分の情報があらゆるビジネスに使われると、自分の承諾なくして、そんなことを、申し込んだときに同意なんかしていないよというのは多いと思うんですね。極めて匿名加工情報をビジネスに利用することは問題ではないか。
マイナンバーにおいても、一つ、年金のだだ漏れ問題もそうですが、一つは今回医療情報も入っています。今回マイナンバーの中に特定健診とそれから予防接種が入っているんですね。でも、特定健診も予防接種も自分では持っているんですよ、その情報を。何でそれがマイナンバーに乗っかっていくのか、それが漏れたらどうなるのか。
○委員長(西田昌司君) 福島みずほ君、時間が来ていますので、おまとめください。
○福島みずほ君 はい、分かりました。
漏れたらどうなるのかという問題と、それからそれがビッグデータとしてなると、今後それが特定健診でも心電図や血液や全部入りますので、今後医療情報に広がるとそれがビジネスに使われる、それから個人のデータが漏れると大変なことになる、その二つが極めて問題だと思います。またこの点については厚生労働委員会などでも質問させてください。
以上で終わります。